不動産投資ローンを利用して不動産投資を始める際、自己資金をできるだけ多く差し入れることで融資審査に通りやすくなったり融資条件の改善が期待できます。不動産投資の重要な要素である「自己資金」は、どの位を準備すれば良いのでしょうか。
不動産投資ローンの審査基準
不動産投資は不動産投資ローンを利用することにより長期間のレバレッジ効果を発揮することができますが、不動産投資のパフォーマンスを向上させるためには融資審査がどのような基準で行われているかを把握し、より有利な融資条件を引き出すことが重要と言えます。融資審査は金融機関によって独自の基準が定められており、審査内容も不明となっている事が多いのですが、一般に以下の要素が融資審査に影響を与えると言われています。
【物件の条件】
基本的な傾向として、東京・大阪・名古屋などの大都市圏や、その周辺のベッドタウンなどで一定の賃貸需要が見込める場所にあり、築年数が浅く利回りが高い物件が好まれます。事業計画をしっかりと練り、入居者が安定して得られそうな立地の物件を選ぶのは最低限必要な対策です。
【投資家の属性】
不動産投資ローンは担保となる物件の価値が重要なポイントとなりますが、融資額が比較的高額なこともあり、投資家本人の属性も重要です。例えば収入が不安定であったり、奨学金やカーローンなどでほかに借入金がある場合は融資審査においてデメリットとなります。
また金融機関によっては不動産投資ローンの申し込み年齢や返済時年齢に上限を定めています。理想としては、会社員や公務員などで給与収入による安定的な収入があり、勤続年数も長く、万が一賃料収入が途絶えても一定期間なら返済を継続できる自己資金があると良いでしょう。
不動産投資家の自己資金はどれくらい?
不動産投資ローンを利用する場合に一定の自己資金があると空室や滞納により賃料収入が途絶えた場合でもローンの返済を継続できます。また、頭金として差し入れることで借入れが少なくなり、返済負担軽減、キャッシュフロー改善などのメリットが生まれます。
では、不動産投資家は物件を取得するにあたり、いくら位の自己資金を用意しているのでしょうか?
不動産投資と収益物件の情報WEBサイト「健美家」の「第13回不動産投資に関する意識調査調査」によると、物件を購入した際に不動産投資ローンを利用した方が用意した自己資金の割合は以下のようになっています。
- 自己資金なし(29.6%)
- 自己資金20%(39.2%)
- 自己資金30%(17.1%)
- 自己資金40%以上(6.0%)
また、具体的な自己資金の金額は、700万円未満(36.4%)が最も多くなっています。この結果から、自己資金は20%程度を用意することが一般的と言えますが、自己資金なしの割合もかなり多くあることが分かります。しかし、金融機関は自己資金なしの融資にはかなり慎重な姿勢をとり始めており、自己資金なしでの融資の割合は減少傾向となっています。投資家の属性が高くないと自己資金なしの融資の利用は難しいと推測されます。
金融機関別不動産投資ローンの自己資金条件
不動産投資ローンの利用において各金融機関はどのようなスタンスをとっているのでしょうか。
金融庁が金融機関を対象に行った不動産投資ローンについてのアンケートでは、メガバンクや地方銀行では購入金額の一部を自己資金で賄わせることが多くなっていますが、信用金庫や信用組合ではその割合は低下する傾向にあります。
参照:金融庁:投資用不動産向け融資に関するアンケート調査結果
しかし、信用金庫や信用組合は営業エリアが狭く、利用者もそのエリア内に住所あるいは事業所を置いている必要があるなど利用条件が厳しく設定されているため、欲しい物件の購入に利用できない場合もあります。
また、政府系金融機関である日本政策金融公庫では不動産賃貸業を対象とした貸付の場合、融資金利は低いものの融資期間が短いことが多く、返済負担が大きくなる傾向にあります。また融資額も4800万円が上限となっているため自己資金をほかの金融機関利用時より多く用意する必要があります。
このほか、ノンバンク系についても自己資金についての姿勢はほかの金融機関と大きな違いはありませんが、共同担保を認めていることもあり、ご自身や親族が自己所有の不動産物件を所有している場合は、これを差し入れることで融資額を増やしフルローンが利用可能となる場合があります。
自己資金は多く準備することで賃貸経営開始後のキャッシュフローを改善する効果が期待できるメリットもありますが、多額の出費となってしまうため、手持ち現金が減少してしまい不測の事態に対する対応力が低下する恐れもあります。手持ち現金を減らすことなく不動産投資ローンを利用したい場合は、金融機関や物件の厳選を進めたり、共同担保の活用によるフルローンを活用することをおすすめします。
自己資金が少なくても、不動産投資ローンは組める?
自己資金が少なくても投資家の属性が高ければ、不動産投資ローンを契約できる可能性はありますが、金融機関は自己資金なしでの融資に対し慎重な姿勢をとり始めています。不動産投資ローンを有利に利用するためにはほかの借入金を返済したり、物件の所在地・築年数・利回りを見直すと良いでしょう。
また自己資金については物件価格の20%程度を目安として準備することが望ましいと言えますが、どうしても難しい場合はほかの不動産物件を共同担保として差し入れることで自己資金の金額を抑えることも可能です。共同担保を受け入れている金融機関を探すと良いでしょう。
おすすめはセゾンファンデックスの不動産投資ローンです。セゾンファンデックスでは銀行などでは取り扱いの難しい築古や狭小物件などでも多数の融資実績があるため、ほかの金融機関の融資審査に通らなかった場合でも相談してみると良いでしょう。
共同担保を差し入れることで自己資金なしでの物件購入も可能となっています。また、この共同担保とする物件は自己所有だけでなく、親族などの他者が所有する物件でも担保設定が可能となっています。
おわりに
不動産投資ローンを利用し、投資用物件を取得する場合の自己資金の額については物件価格の20%程度を準備することが多くなっています。自己資金なしでの融資利用は、投資家の属性が高かったり取得物件の収益性などが良好でないと難しくなりつつあります。
また、不動産投資ローンは取得した物件に対し抵当権を設定しますが、どうしても自己資金を準備することが難しい場合、融資条件に合う金融機関を厳選するか、あるいは取得物件に加えほかの不動産物件も共同担保として差し入れることで自己資金の額を抑えることもできます。セゾンファンデックスのアパートローンでは共同担保とする物件は自己所有以外でも設定可能となっているため、共同担保を利用する場合には検討してみると良いでしょう。