50代は多くの人にとって変化の多い時期です。「子どもの成長」「親や実家の心配」「健康や老後への不安」など、前もって考えなくてはならないことがたくさんあります。でも、日常生活に流され、なかなかじっくり考えられない、できれば考えたくない現実です。
しかし、なんとなく過ごしていると、なんとなくの後半人生を迎えることになってしまいます。気力も体力もある今こそ、まずは人生の棚卸しをして、「これからどのように過ごすか」という課題に真剣に向き合い、快適な毎日を手に入れていただきたいと思います。そのためにはまず家全体のお片づけがおすすめ。とはいえ、家全体ともなると膨大すぎて何から始めたら良いのか分からない。では、プロに依頼するとしたらどうなるの?という方のために、『美的収納』という片づけ術に出会ったことで、人生をより一層輝かせた方々に登場していただきます。
今回は少し趣向を変えて、美的収納プランナーの湯淺真理子が夫と対談しながら、家を片づけてどう変化したかをご紹介します。
1.美的収納で変わった我が家の暮らし
妻―約10年前に美的収納サロンセミナーというクラスを受講したのですが、そのことに気付いていましたか?笑
夫―家の中のものがどんどん変化しているので、何かやっているな?と感じていました。楽しそうだから良いなとは思っていました。
妻―以前からお互いインテリアには興味があり、家が片づいていないという状態ではありませんでしたが、最終的には劇的な変化がありましたよね?
夫―たたんで引き出しに入れていたTシャツが全てハンガーに掛けられた時は、首周りが伸びてしまうのではないかとヒヤヒヤしました。
妻―服をズラッと並べて厳選するのもイヤそうでしたよね?
夫―捨てられる!という恐怖心がありました。
妻―最初に「絶対に捨てないから安心してね」と言ったのに、怯えていましたよね。笑 その姿を見て服以外のものは厳選せずに全てを残すことに決めました。
夫―片づけ=捨てるという意識だったのでしょうね。捨てられるどころか、収納ボックスを揃え、タオルを同じもので統一したことで家の中に調和が生まれたことや、洗濯動線が劇的に楽になったことで、これはただの片づけではないなと思いました。
妻―それまでは家のあちこちに服を入れていましたが、書斎にクローゼットを設置して、ワイヤーラックをキチンとした家具に変えたあたりでかなりテンションが上がりましたよね?急に部屋に篭って、徹夜して自分で片づけ始めましたよね。
夫―確かに今思うと、統一感のない部屋だったように思います。質感や色などが統一されたことで、「仕事部屋」から「自分の部屋」になったような気持ちになりました。
2.整ったクローゼットを眺めることで自分軸が定まった
妻―お気に入りの場所はありますか?
夫―クローゼットですね。服をたたんで引き出しに入っていたときには分からなかったことがハッキリ分かるようになったのを覚えています。着るもの、着ないもの、存在を忘れていたもの。クローゼットに種類別・色別に並んでいるから、全体量も使用頻度も一目瞭然になることで、手放すことが苦痛でなくなり、無駄な買い物を一切しなくなりました。
妻―引き出しに入っていたときには、「着てないものもあるけど?」と聞いても、ちゃんと確認することもなく「全部いる!!」と言っていたのに。面白いものですね。
夫―「ここになければ洗濯中なのだな」と、焦って探すこともなくなりました。
妻―それ以前は、見つからないと「捨てた?」と疑われていました。笑
夫―ついつい疑っていました。笑 それと、カテゴリー別に並んでいることで好みの傾向がよく分かります。黒白紺など保守的な色が好きだし、仕事的にも便利だということ。また、何をどれくらい持っているのかが分かるようになったので、どんな差し色にしようかなと楽しめるようになりました。
妻―そんなことを感じていたのですね。嬉しい!
夫―整ったクローゼットを毎日眺めることで、自分の好みの「軸」がはっきりしてきました。服だけでなく、カバン・靴・小さなゴルフグッズまでも「本当に好き」なものが見つかるまでは買わなくなりました。どんなに使い易そうでも好みでなければ妥協しません。
妻―詳しくレクチャーしたことがないのに、美的収納を確実に捉えていますね。
夫―ある日、ペンケースの中がごちゃごちゃしていることがイヤになって、万年筆・ボールペン・シャーペンだけにして、それらが一目瞭然に見えるケースに買い替えました。ボールペンもインク交換できるお気に入りを見つけました。使い捨てのようなものが入ると、全体調和が崩れると感じるようになったのです。好きなものを大事に長く使いたいという気持ちになりました。
妻―まさに美的収納ですね。
3.美的収納のおかげで決別できたもの
妻―とても印象的な出来事がありましたが、覚えているでしょうか?美的収納以前の私は、家に大量にあるDDVDやCDがすごく邪魔だと思っていました。全く観る気配のないDVD。当時出始めたiPodに中身を全て取り込んだ後のCDケース。自分の部屋でもないのにそれらがとても無駄なものに見えて、ことあるごとに「捨てたら?」と言っていました。美的収納の講座を経て「誰でも自分の大好きなものがある」と知った私は、ある日「素敵な家具を買って、このDVDをキレイに並べようよ。大事なものだからね。」と提案しました。それなのに、その場でDVDとCDを紙袋に入れて、買取専門店に行ってしまったのです。
夫―そんなことがありましたね。
妻―私にはとても強烈な出来事でした。「捨てて」と言っていた時は「老後に観るのだから!」「ケースも大事だから」と頑なでしたが、せっかく「大事にしよう」と言ったのに「もういらない」と。さらに帰宅したら「おかげで手放せたよ。ありがとう」と感謝されて狐につままれたような気持ちになりました。笑
夫―整ったクローゼットを眺めることで、すべての意識が変わったのだと思います。例えば、書棚にも衝動買いした本がたくさんありました。でも実は心の底から「読みたい」とは思っていないことが分かったのです。なんとなく良いなと思って買って、なんとなくいつか読もうと思って置いてある。そういうことはもうやめたいなと感じていたのだと思います。アクティブではない、自分とつながっていないと感じるものは今後残しておいても縁がないなと。
妻―クローゼットからそこまで感じ取っていたのですね。
夫―もちろん、時間と共に興味や好みも変化していくけれど、取捨選択の習慣がついていると楽だなぁと。仕事などで判断することが多い人の身の回りが片づいているのは、本当に大事なことを知っているから余計なことに時間を使わないためなのでしょうね。
妻―ほかにも変化はありましたか?
夫―例えば、海外出張に行ったときに「何か記念に」と買いそうになるけれど、「家に合わないな」「使わないな」と思うものは欲しいと思わなくなりました。
妻―使いながら旅のエピソードを楽しめるものか、食べ物が嬉しいです。笑
夫―収納って、片づけるという「行為」でなくて、「その状態を確認する習慣」だと思います。収納を通じてできた「自分軸」をさらに確立していくような。
妻―自分軸は、まさに美的収納メソッドが大切にしているものです!私も自分の価値観のようなものが揺らがなくなりました。
夫―片づけるときではなく、洗濯や着替えるときに感じるもの。
妻―美的収納で家を整えた方は皆さん「暮らしが劇的に楽になった」ということと「今の自分で良い」というような、ふたつの観点で幸せを感じられるように思うのです。自分軸がはっきりすることで、自信につながるのではと感じています。
4.好きなことを見つけた妻が劇的に変わった
妻―自信といえば、私がその後変化していたように見えましたか?
夫―美的収納で家を整えたと思ったら、いつの間にか仕事にしていましたね。笑 好きなことができて良かったなと思っています。
妻―出産のタイミングで仕事から離れ、その時間が長くなるほどに社会に出るのが怖くなり、その不満や不安を家族にぶつけていたような気がしています。美的収納に出会うまでは、本当に社会に出る自信のかけらもなくなってしまって、夫も子どもも成長しているのに、私だけ取り残されたような気持ちでくすぶっていました。美的収納で「自分軸」を手に入れたら、「私はこれで良いのだ」と思えるようになりました。
夫―「変わらなければならない」と焦っているうちは、人は変われないと聞いたことがあります。家を片づけているうちに、ありのままの自分を受け止められたのかもしれませんね。
妻―私の気持ちが安定したので家族にも優しくなれたような気がしていますが、どうでしょうか?
夫―美的収納も自分の人生も心の底から楽しんでいるように見えました。家族仲も格段に良くなった気がします。
妻―子どもが中学生になるタイミングでこの仕事に巡り会えて良かったです。本当に好きなものを追求していったら、好きな仕事と出会えました。
夫―家事が楽になり、子どもからも手が離れるしで、ベストタイミングでしたね。これからはより多くの方の役に立てると良いですね。
妻―家が整っていること、探し物がないこと、家族であっても「それ捨てたら?」と思わない、「これがここにあったら便利だろうな」という思いやり。さらに自分軸が確立されて、自己肯定感がアップすること。夢や目標が明確になること。美的収納を通じてそんなことをお伝えできたら嬉しいです。
夫―情熱を傾けられるものに出会えて良かったですね。
妻―ありがとうございます。
(聞き手:美的収納プランナー 湯淺真理子)
5.今回の美的収納 3つのポイント
① 整った空間を眺めることで、自分軸が見えてくる。
② 今の自分と離れていると感じるものは決別しやすい。
③ ありのままの自分を受け入れることで、家族に優しくなれる。
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