「Macを売却するために初期化したいけれど、手順がよく分からない」「Macを初期化しようとしたらエラーが発生して先に進めない」といった悩みをお持ちの方は多いのではないでしょうか。
Macを初期化すると、保存されている大切なデータが削除されてしまうため、慎重に行う必要があります。また、初期化前に行わないとエラーが起きる原因となる作業があるので、事前に準備しておくことが大切です。
このコラムでは、Macの初期化を正しく行うために必要な事前作業や手順、エラーが起きる原因を解説しています。
初期化はなぜ必要?Macの初期化に関する概要を紹介
初期化とは、保有しているMacに保存されているデータを消去して、工場出荷時の状態に戻すことを指します。Macを売却・処分する場合は、今までMacに蓄積した重要な個人情報を含んでいるため、第三者に悪用されないようにデータを消去しておく必要があります。
他にも、Macに動作不良が起きた場合に、ストレージの軽量化や設定をリセットするために行われる作業です。
Macを初期化すると余分なデータを消去できるため、実行前より起動や動作が高速になり、仕事などの効率が上がるでしょう。一方で、Macの中にある今まで積み上げてきたデータが消去されるリスクを伴います。
動作不良の際は、最終手段として用いられる方法であるため、初期化すべきかよく検討してから実行しましょう。
Macを初期化する際の6つの事前準備
Macを初期化する時には、慎重に対応しなければいけません。その理由は、初期化をすると、Macに保存されているデータが削除されるからです。
Macを売却せず、動作不良を直すためだけに初期化を行う場合、無造作に実行するとデータを回復できなくなる可能性があります。Macを初期化する前に、事前に準備すべきことをおさえておきましょう。
iCloudでデータのバックアップを取っておく
初期化する前に、Macに保存しているデータをiCloudにバックアップしましょう。iCloudは、Appleが提供している写真やファイルなどのデータをクラウドに保存できるサービスです。
Macを初期化する前にバックアップしておかないと、実行後に同じデータを最初から用意する手間がかかります。iCloudへの保存は、以下4つの手順で行えます。
- MacのAppleメニューから「システム環境設定」を選択し、Apple IDをクリック
- 「iCloud」を選択
- 「iCloud Drive」を選択
- バックアップするデータにチェックを入れる
macOS Mojave以前のバージョンを使っている場合は、「Apple ID」をクリックする必要はありません。Macを初期化する前に、大事なデータのバックアップを忘れずにとっておきましょう。
iCloudに紐づけたアカウントをサインアウトする
Macを初期化するためには、iCloudからのサインアウトが必要です。データのバックアップをiCloud上に保存したばかりの方は、忘れずにサインアウトしましょう。iCloudからのサインアウトは、以下7つの手順で行います。
- メニューバーのAppleマークを選択
- 「システム環境設定」を選択
- 「iCloud」を開く
- アカウント情報下部にある「サインアウト」を選択
- iCloudに「コピーを残す」項目のチェックマークを外す
- 「続ける」を選択
- アップデート完了後、iCloudからサインアウトする
初期化したMac上にiCloudのデータは存在しなくなります。しかし、iCloud上とAppleIDで連携している各デバイス上には残るため、再度iCloudにログインできなくなることはありません。
iTunesに紐づけたアカウントをサインアウトする
Macを初期化する際、iTunesのサインアウトは必ずしも必要ありません。しかし、iTunesと紐付けできる台数が10台までと決まっているため、サインアウトしておいた方が良いでしょう。iTunesのサインアウトは以下3つの手順で行います。
- 「iTunes」を開く
- メニューバーから「アカウント」を選択
- 「サインアウト」を選択
iMusicなどの各種アプリも同じようにサインアウトできるので、合わせて実施しておきましょう。
NVRAMをリセットする
NVRAMとは、Macに保存されているユーザー設定の情報のことを指します。リセットすると、変更されていた可能性がある一部機能が復元され、NVRAMが原因で発生する初期化のエラーを防ぐことができます。NVRAMのリセットは、以下3つの手順で行います。
- Macの電源をシャットダウンする
- 電源を付けてすぐに、「option」+「command」+「R」+「P」キーを同時に押し続ける
- 数十秒ほど押し続けたらキーを離す
上記手順を行ったあと、Macが再起動したらNVRAMのリセットは完了です。NVRAMが破損していた場合、Macの不具合やOSの起動を妨げることにつながるので、初期化の前に行っておきましょう。
「Macを探す」の設定を解除する
Macを売却したり他人に譲ったりするときは、「Macを探す」機能を解除しましょう。
「Macを探す」機能をオンにしたままだと、売却したMacを購入したユーザーが使えない可能性があるからです。「Macを探す」機能は、以下4つの手順で解除できます。
- Appleメニューの「システム環境設定」をクリック
- 「AppleID」を選択
- 「iCloud」を選択
- 「Macを探す」のチェックを外す
Macを売却する前に「Macを探す」機能をオフにしましょう。
MacにペアリングしているBluetoothデバイスを解除する
MacにBluetooth対応のマウスやキーボードなどの周辺機器を接続している場合、ペアリングを解除しておきましょう。Bluetoothデバイスの解除自体はしなくても初期化には問題ありません。
しかし、他のPCに乗り換える場合に、Bluetoothデバイスに過去の情報が残っていることが原因で、上手く接続されない可能性があります。デバイスのペアリング解除方法は、以下3つの手順です。
- Apple メニューから「システム環境設定」を選択
- 「Bluetooth」を選択
- ペアリングを解除するデバイス横に表示される削除ボタンをクリック
パソコンを買い換える際には、初期化の前に今後も使用する予定のデバイスのペアリングを解除しておくことをおすすめします。
ディスクユーティリティを使ったMacの初期化手順
Mac初期化前の事前準備が完了後、実際に初期化を行っていきましょう。インターネットに問題なく接続できていることが確認できたら、Macの電源を落とし、以下の手順に従って初期化を進めていきます。
- Macの電源を入れた後、「command+R」をAppleロゴが表示されるまで押し続ける
- 表示されたユーザの選択画面から、管理者パスワードを入力する
- ユーティリティウィンドウで「ディスクユーティリティ」の選択
- サイドバーの「Macintosh HD」を選択する(変更している場合は別名)
- ツールバーの「消去」または「ボリュームグループを消去」ボタンをクリックする
- 表示された画面にApple IDを入力する
- 消去が完了したら、ユーティリティウィンドウに戻る
- ユーティリティウィンドウにある「MacOSを再インストール」を選択する
上記の手順がすべて終わったら、自動的に再起動して初期化は完了です。初期化には時間がかかりますので、途中でバッテリーが切れないように電源ケーブルをつないで行いましょう。
Macを初期化する際に注意すべき2つのポイント
Macの初期化は、途中で中断しないように注意することが大切です。予期せぬ中断で、Macのシステムにダメージを与えてしまう可能性があります。初期化する前にあらかじめ注意点を確認して、正常に完了できるようにしておきましょう。
電源ケーブルを接続して作業する
Macを初期化する前に、本体に電源ケーブルをつないでおきましょう。初期化は長時間に及ぶ可能性が高いため、バッテリー切れで中断されないようにする必要があります。
初期化中に電源が切れると、中途半端なところで強制終了されるため、不具合を生む恐れがあるからです。Macの初期化は、電源を確保してバッテリー残量の心配がない状態で行いましょう。
安定したインターネット環境で行う
MacOSの再インストールにはインターネット接続が必要なため、インターネット環境が優れている場所で進めましょう。Wi-Fiでつないでいる場合は、有線に切り替えることで切断するリスクを下げられます。
仮に、初期化の作業中にインターネット接続が切れた場合、予想外のエラーが発生したり、中断によって本体にダメージ与えたりすることがあります。
初期化を正常に終了させるためにも、安定してインターネットに繋げる環境で作業を行いましょう。
Macを初期化できない3つの原因
Macの初期化中、エラーが検出されて思うように進まないケースが多くあります。初期化できない原因を把握しておいて、問題が起きたときにひとつずつ検証して解決できるようにしておきましょう。
インターネット接続が不安定である
インターネット接続が不安定だと、OSの再インストールなどが必要な場面でエラーが発生します。初期化中に「2002F」の表示が出たら、インターネットの接続不良を疑いましょう。
カフェなどの公共Wi-Fiは多くの方がインターネットに接続しており、通信が不安定となる恐れがあります。インターネットへの接続が安定しなければ、場所を移動してやり直すのもひとつの手段です。
データストレージに問題が発生している
Mac内のSSDやHDDなどのデータストレージに異常があると、初期化に失敗する可能性があります。データストレージ内の初期化で必要なデータが、意図しないところで削除されている可能性があるからです。
また、単純にデータストレージの空き容量が不足していることも考えられます。Appleメニューで「このMacについて」をクリックすれば「ストレージ」を確認できるので、容量がギリギリだったり、足りていなかったりした場合は、不要なデータを削除しましょう。
Macのタイムゾーン設定が正しくない
Macを長期間使っていなかった場合、タイムゾーンがずれていて初期化できない場合があります。久しぶりに使用するMacを初期化する場合は、タイムゾーンのずれを疑い、設定日時を確認してみましょう。
設定日時は、Appleメニューから「システム環境設定」を開き「日付と時刻」をクリックすると確認できます。
おわりに
Macを初期化すると保存されているデータが削除されるため、事前にバックアップをとるなどの作業を忘れずに行いましょう。また、手順どおりにMacを初期化しても、何かしらの不具合が生じ、予定どおり進まない可能性があります。
Macの初期化でエラーが起きた原因を推測して対処しても解決しなかった場合、パソコンサポートの利用を考えましょう。
「セゾンのパソコン訪問サポート」は、MacやWindowsなど、どのような機種にでも対応可能です。電話予約すれば、最短即日でパソコンのプロが自宅まで訪問して修理します。
不用意にMacを触り続けても、さらなる故障を引き起こす原因になるので、一度プロへの相談を検討しましょう。