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日焼けでむけた皮は無理にはがしてはいけない!紫外線の肌への影響や適切な対処方法を解説

日焼けでむけた皮は無理にはがしてはいけない!紫外線の肌への影響や適切な対処方法を解説
小渕 英里 富士見スキンクリニック飯田橋 院長

監修者

富士見スキンクリニック飯田橋 院長

小渕 英里

日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医。東京女子医科大学卒、同大学病院東医療センター、都内クリニック勤務を経て、2021年9月に飯田橋駅西口すぐに「富士見スキンクリニック飯田橋」を開院。 皮膚科専門医として患者さまの悩みやご希望をお伺いし、保険診療/美容自費治療の両面から最適な治療方法をご提案しています。

日焼けで皮がむけてきた時、どのような対処をしているでしょうか?日焼け後の肌は外からの刺激に弱くなっているため、むけてきた皮ははがさないことが大切です。しかし「皮むけの後はどのようなケアをしたら良いか分からない」「目立つ日焼けの痕を隠す方法はないか」と不安を抱えている方も多いでしょう。このコラムでは、以下の4項目について解説します。ぜひ、参考にしてみてください。

このコラムでわかること

  • 日焼けで皮がむける理由
  • 日焼け後におすすめの保湿方法
  • 日焼けによる皮むけを隠すメイク方法
  • 日焼け後の肌の紫外線対策

日焼けで皮がむける理由を解説

日焼けで皮がむける理由は、肌のターンオーバーが関係しています。ターンオーバーとは、古い肌がはがれ落ち、新しい肌に生まれ変わること。ターンオーバー自体は、日焼けにかかわらず、常に起きている身体のメカニズムです。

皮むけの原因は皮膚がダメージを受けたから

日焼け後に皮がむける原因は、紫外線によってダメージを受けた肌の表皮細胞が死んでしまったからです。表皮細胞とは、皮膚の一番外側にある細胞のことで、常にターンオーバーが行われています。

通常のターンオーバーは、28~48日間で古い表皮細胞がはがれ落ち、新しい肌に生まれ変わります。しかし、紫外線によってダメージを受けた場合は、表皮細胞が日焼けから3~7日で肌の外に排出され、未熟な新しい肌が表に出てきてしまうのです。このような急激な細胞の入れ替わりが、皮むけのメカニズムです。

皮むけを引き起こす紫外線の種類

皮むけを引き起こす紫外線は「UV-B」と呼ばれる光です。人の身体に影響を与える紫外線には「UV-A」「UV-B」という波長の違う2つの光があります。UV-Bは、UV-Aに比べ日焼けを起こす力が大きく、表皮細胞に大きなダメージを与える光です。UV-Aはすぐに身体に症状が現れないものの、皮膚の奥深くの細胞にダメージを与え、肌のしわやたるみの原因になります。

UV-Bは、肌が赤く腫れあがる「サンバーン」という症状を引き起こし、その後肌が黒くなる「サンタン」という状態に変わります。肌の皮がむける症状は、主に「サンタン」の症状と併せて発生します。

日焼けでむけてきた皮は無理にはがさない

2.日焼けでむけてきた皮は無理にはがさない

日焼けによってむけてきた皮は、肌のトラブルを防ぐために、無理にはがさないことが大切です。むけてきた皮の下には、まだ新しい皮膚が隠れています。新しい皮膚は、まだ外部からの刺激に弱い未熟な状態です。皮をはがすと、未熟な皮膚まではがれてしまうこともあります。

また、未熟な皮膚が紫外線等の外部の刺激を受けると、組織が傷つき、肌のしみやくすみなどの原因になります。そのため、むけてきた皮ははがさずに、新しい皮膚を保護してあげましょう。

日焼け後におすすめの保湿方法3選

日焼けで皮がむけはじめている肌は、水分が失われ乾燥状態にあります。新しくつくられている表皮細胞を保護するために、肌に水分を補給するなど保湿ケアが大切です。適切なケアを行わなければ、皮むけの痕にしみが残るなど、肌トラブルの原因になります。

化粧水で水分を加える

日焼け後の肌を保湿する際には、低刺激の化粧水を使うことがおすすめです。化粧水は「肌に水分を与える」「皮脂の分泌を整える」という2つの役割があり、日焼けによって乾燥した肌を保護するのに最適。一般的な化粧水は、アルコールや防腐剤など肌に刺激を与える成分が配合されているため、日焼け後は痛みを感じる場合があります。皮がめくれて肌が敏感になっている日焼け後は、低刺激の化粧水を使うと良いでしょう。また、塗ってしみる場合は、化粧水は無理に使用する必要はありません。

乳液やクリームで油分を加える

皮膚のバリアが壊れている状態なので、乳液や保湿クリームで肌に油分を加えましょう。肌に油分がないと、いくら水分を補給しても、すぐに蒸発してしまいます。乳液は水分の蒸発を防ぐことはもちろん、肌を柔らかくし、うるおいを与える効果があります。保湿クリームは、乳液よりも油分が多いことが特徴です。クリームが表面に薄い膜を張って、肌を守ります。保護の面では、保湿クリームが優れていますが、元のお肌のタイプによって乳液を使った方が良いでしょう。

体の内側から水分を補給する

肌の保湿には、身体の内側から水分を補給することも大切です。水分補給には、水かスポーツドリンクがおすすめ。コーヒーやお茶は、利尿作用があるカフェインを多く含んでいるため、控えた方が良いでしょう。また、日焼け後の肌の赤みが完全に治まっていない場合は、炎症を促進するアルコールの摂取は避けてください。

日焼けはやけどです。病院に受診するべき状態は、みずぶくれができている、冷やしても真っ赤でほてりがひかない場合です。早い治療が大切ですので、ためらわずに受診しましょう。

日焼けによる皮むけを隠すメイクの手順

4.日焼けによる皮むけを隠すメイクの手順

日焼け後に気になるのが、皮むけの痕が目立つことです。「皮むけ痕をメイクで隠したい」という方も多いでしょう。しかし、日焼け後の肌は乾燥しているため、化粧が肌に上手くのりません。皮むけ痕を隠す際は、化粧のノリを良くするために、導入液(ブースター)やワセリンの使用がおすすめです。

導入液(ブースター)を塗る

日焼け後の乾燥した肌にメイクする際は、化粧水をつける前に、導入液(ブースター)を使用しましょう。導入液は、化粧水をより肌に浸透させる効果があり、肌の乾燥や化粧のノリを改善する効果があります。

化粧水とクリーム・乳液を塗る

導入液をつけた後は、化粧水で肌に水分を充分浸透させることが大切です。メイクのノリが悪い大きな原因の一つとして、充分な保湿がされていないことが考えられます。特に日焼け後の肌は乾燥しているため、入念に水分を浸透させてあげることが大切です。また、肌の水分の蒸発を防ぐために、乳液や保湿クリームで油分も適量加えてあげましょう。

皮むけ箇所にワセリンを塗る

皮がむけている箇所には、乳液や保湿クリームの上からワセリンを塗ると、より化粧がのりやすくなります。ワセリンとは、石油からつくられており、肌に油分を補給する際に使用する保湿剤です。ワセリンは、赤ちゃんの保湿剤として使えるほど刺激性が弱く、日焼け後の敏感肌に使用する場合でも安心です。ただし、ワセリン自体には、水分を補給する効果がないため、化粧水を使った後に塗ると良いでしょう。

リキッドタイプのファンデーションを塗る

メイクの下地づくりの最後は、リキッドタイプのファンデーションを使いましょう。リキッドタイプは、パウダータイプのファンデーションより油分が多いため、日焼け後の乾燥した肌におすすめです。また、リキッドタイプは、手で伸ばせるため、肌に刺激をあたえるスポンジやブラシを使う必要がない点でも優れています。

日焼け痕が白くなる場合がある【白斑】

日焼け痕が白くなる場合がある【白斑】

日焼けで皮がむけた後は、部分的に肌が白くなる場合があります。周りの肌の色と違い、色が白く抜け目立ってしまうため、気になる方も多いでしょう。肌が部分的に白くなる症状は「白斑」という病気です。日焼けが原因の白斑は、特に「海水浴白斑」と呼ばれています。

「海水浴白斑」は、メラニン色素を生成する「メラノサイト」がダメージを受け、働きが止まったことが原因です。メラニン色素は、肌を黒くし紫外線を吸収することで、身体を守る役割を持っています。肌が白くなるのは、肌を黒くするメラニン色素が生成されないため生じる症状なのです。

海水浴白斑は、自然治癒で時間の経過とともに治るのが一般的です。しかし、白斑の症状は、紫外線の刺激以外にも、自己免疫力の低下や遺伝などが原因で起こることもあります。白斑が治らない場合は、皮膚科へ受診をおすすめします。

参照元:炎症後白斑 – ラッフルズジャーパニーズクリニック 

日焼け後の肌の紫外線対策

日焼け後の肌の紫外線対策

皮がむけて新しい表皮組織がつくられているときは、紫外線による刺激から、肌を守ることが大切です。日焼け後の紫外線対策には、敏感肌用の日焼け止めや、UVカット機能のある服や帽子の使用がおすすめ。

敏感肌用の日焼け止めを使う

日焼け後の肌は刺激に弱いため、敏感肌用の「紫外線吸収剤・不使用」の日焼け止めを使いましょう。日焼け止めは「紫外線吸収剤」と「紫外線散乱剤」という2つの種類の成分があります。紫外線吸収剤は、紫外線を吸収し熱などのエネルギーに変えて、肌を守る成分です。しかし、熱などのエネルギーに変える際に、人によってはアレルギー反応や炎症を引き起こす場合があります。

一方、紫外線散乱剤は、天然のパウダーで紫外線を反射させるものです。紫外線吸収剤よりも、肌への負担が少ないといわれています。ただし、紫外線吸収剤よりも紫外線のカット率が低い点はデメリットです。紫外線カット率の低さは、UVカット機能のある服装で補うと良いでしょう。

6-1.敏感肌用の日焼け止めを使う

UVカット機能のある服や帽子を使う

UVカット機能のある服や帽子は、紫外線への有効性を「UVカット率」として表記しています。UVカット率は、90%以上のものであれば安心です。アームカバーやUVカットマスクは暑さが気になるという方も、接触冷感機能や通気性などが優れた製品が多く市販されているので、試してみましょう。各UVカットグッズの機能については、以下の表を参考にしてみてください。

帽子360度つばがあるタイプまたは7cm以上のつばがあるタイプ。
アームカバー接触冷感や吸水速乾機能のあるものが夏場は使いやすい。
UVカットマスク目の下から首までを覆うマスク。接触冷感素材や通気口があるタイプだと夏場でも暑苦しくならない。
UVカット眼鏡・サングラス目に紫外線を受けることで、メラニン色素が増加する。レンズの色や遮光性は紫外線防止には関係がないので注意。

おわりに

日焼け後に皮がむけてきた際には、無理にはがさないことが大切です。日焼け後の肌は、新しい皮下組織がまだ未熟で外部の刺激に弱い状態にあります。敏感になった肌を守るために、保湿ケアや紫外線対策を充分にしておきましょう。

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