がん保険の診断給付金は、がんと診断されたときに受け取れる給付金のことです。使い道は自由であるため、がんの治療費や生活費、セカンドオピニオンの費用などさまざまな用途に使えます。今回はがん保険の診断給付金のメリットや注意点、必要とされる金額などを解説します。
がん保険の診断給付金とは
がん保険の診断給付金とは、がんと診断された際に受け取れる給付金です。「診断一時金」や「がん診断保険金」などの名称の場合もあります。
診断給付金の金額は、50万円や100万円、200万円などある程度まとまった金額であることが一般的です。使い道に制限はなく、がんの治療費や生活費の補填に充てるなどさまざまな用途に使うことができる点が特徴です。
診断給付金がメインの保障である保険の他に、特約として付帯できるタイプもあります。がん保険だけでなく、医療保険にも特約として付帯できる商品があることを覚えておきましょう。
がん保険の診断給付金のメリット5つ
がん保険の診断給付金には、次のようなメリットがあります。詳しく確認していきましょう。
- がんと診断された段階で受け取れる
- 使い道は自由
- 精神的な安心感につながる
- 通院にも入院にも対応できる
- 非課税である
がんと診断された段階で受け取れる
がん保険の診断給付金は、がんと診断されれば、治療が始まる前に受け取れます。また、治療法にkかかわらず使うことが可能であるため、使い勝手がよいといえるでしょう。
がん保険には、診断給付金以外にも入院給付金や手術給付金などの給付金があります。これらの給付金は、入院や手術を終えてから請求することが一般的です。また、入院や手術をしないと受け取れません。しかし、診断給付金は診断が出たタイミングで、入院や手術をする前にまとまった金額を受け取れます。
使い道は自由
がん保険の診断給付金の使い道に制限はなく、自由に使うことができます。がんの入院治療費にも通院治療費にも使えるのはもちろん、セカンドオピニオンの費用や、仕事を休むことで減少した収入を補填し生活費として使うことも可能です。その他、がんの治療によってウィッグが必要になった場合、ウィッグ購入費としても活用できます。がん保険の診断給付金は使い道が限定されていないため、柔軟に利用できる点がメリットといえるでしょう。
精神的な安心感につながる
がん保険の診断給付金の存在は、精神的な安心感につながります。当面の治療費や生活費など、経済的な不安が軽減されるためです。
がんと診断されると、ほとんどの方がショックや不安を抱えるはずです。治療費にかかるお金のこと、また治療が長期化することによって収入が減ってしまうことなどを不安に感じる方も少なくないでしょう。安心して治療に専念できるよう、経済的な不安を払拭することはとても重要です。
通院にも入院にも対応できる
通院にも入院にも対応できる点も、がん保険の診断給付金のメリットのひとつです。従来、がんは入院して治療を行うのが主流でしたが、現在は入院をしない、通院のみの治療も増えてきています。そのため、入院給付金が主な保障であるがん保険の場合、入院給付金を受け取れない可能性もあることに注意しましょう。
その点、診断給付金は保障の対象に制限がないため、治療法に限らず使うことができます。
非課税である
がん保険の診断給付金は手術給付金や通院給付金と同じように非課税であるため、所得税や住民税が課税されることはありません。また確定申告時に、医療費控除を申請する場合、がん診断給付金は、がんの診断を受けたことに対しての見舞金のようなものであって医療費を補てんする性質上のものではないので差し引く必要がありません。
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がん保険の診断給付金に関する注意点6つ
がん保険の診断給付金に関しての注意点としては、以下の6つが挙げられます。ここからは、それぞれの内容を解説していきましょう。
- 支払回数を確認する
- 上皮内新生物も保障の対象であるかをチェックする
- 免責期間の有無を確認する
- 高額療養費制度から給付を受けられることを考慮する
- 長期入院への備えは診断給付金以外でおこなう
- 医療費控除において医療費から差し引く必要はない
支払回数を確認する
2回目以降の診断給付金を受け取れるのは、診断給付金を複数回支払うタイプのがん保険のみです。1回目のがん診断給付金の支給がなされても、2回目以降は保障の対象外となっている場合があるため、加入前に確認することが重要です。
上皮内新生物も保障の対象であるかをチェックする
上皮内新生物も保障の対象に含まれているかどうかのチェックも忘れずに行いましょう。上皮内新生物は上皮内がんとも呼ばれ、腫瘍細胞が粘膜の上部層である上皮内にとどまっており、その下の基底膜を破って浸潤(しんじゅん)していない状態をいいます。
がん保険によって、上皮内新生物を保障の対象にしているかどうかは異なります。保障対象としている場合でも、一般的ながん保険の給付金額と同じ水準の保険、給付水準が低く設定されている保険などさまざまです。
免責期間の有無を確認する
免責期間の有無を確認することも重要です。免責期間とはがんと診断されても診断給付金を受け取れない期間のことで、契約日から90日間あるいは3ヵ月間であることが一般的です。
加入するがん保険の免責期間の有無、ある場合は長さを確認しておきましょう。がん保険には、免責期間の長さを考慮してなるべく早く加入することをおすすめします。
高額療養費制度から給付を受けられることを考慮する
公的医療保険制度には高額療養費制度があるため、限度額を超える治療費について、所得に応じて後日払い戻しを受けられます。そのため、健康保険の自己負担分すべてをがん保険の診断給付金で対応する必要はありません。高額療養費制度から給付を受けられることを考慮して、診断給付金の金額を決めると良いでしょう。
長期入院への備えは診断給付金以外でおこなう
診断給付金が主な保障であるがん保険のみでは、長期入院になった場合の入院費に対応できない可能性があります。そのため、長期入院への備えを万全にしたい方は、診断給付金がメインの保障であるがん保険ではなく、日数無制限で入院給付金を受け取れるがん保険を選ぶと良いでしょう。
医療費控除において医療費から差し引く必要はない
がん保険の診断給付金は、医療費控除において医療費から差し引く必要がないことをおさえておきましょう。医療費控除は1年間に100,000円以上の医療費を支払った際に受けられ、確定申告で所得税と住民税が戻ってくるしくみです。
医療費控除は、1年間に医療に関して支払った医療費の金額から、給付金や保険金で補填される金額を引いて算出します。がん保険の診断給付金は、がんの診断を受けたことに対する見舞金のような位置づけであり、医療費を補填するわけではないと解釈される給付金です。そのため、差し引く必要はありません。がん保険の診断給付金は、非課税です。
がん保険の診断給付金の金額
がん保険の診断給付金の金額は、概ね100万円程度あれば、金銭面での不安はひとまず軽減できるといえるでしょう。厚生労働省の「医療給付実態調査(令和元年)」によると、がんの治療のために入院した場合の1日あたりの費用は協会けんぽの場合平均70,485円で、平均入院日数は約11日です。
1日あたりの費用と平均入院日数を掛けると、がんの入院費用は約770,000円で、医療費の自己負担率が3割の場合、約230,000円を用意する必要があることが分かります。
ウィッグ購入費やセカンドオピニオンの費用がかかることもあるでしょう。また、入院した場合は差額ベッド代や、お見舞いで訪れる家族の宿泊費や交通費なども考慮する必要があります。
そのため診断給付金は100万円程度をベースに、貯金から費用を出せる方はそれより少なく、先進医療や自由診療を治療の選択肢に含めたい方は多くするなど、ニーズや置かれている状況に応じて選択しましょう。
なお、加入しているがん保険の診断給付金の金額や支払事由などは、保険証券や契約者専用のサイトなどに記載されているため、必ず確認しておくことが重要です。
がん保険で受け取れるほかの給付金をおさらい
がん保険には、診断給付金の他、以下のような給付金があります。
- がん入院給付金
- がん通院給付金
- がん手術給付金
- 抗がん剤治療給付金
- がん先進医療給付金
がん入院給付金は入院に対して、がん通院給付金は通院に対して支払われる給付金のことです。入院や通院の日数に応じて金額が異なります。保険証券などで給付日額を把握しておきましょう。
がん手術給付金はがんの手術を受けた場合に、がん入院給付金日額に決められた倍率をかけた金額が支払われることが一般的です。そのほか、抗がん剤治療給付金は抗がん剤治療を受けたときに、がん先進医療給付金は先進医療を受けたときに支払われます。
がん保険の診断給付金の有無による受取金額を比較
がん保険の診断給付金の有無によって、給付金の受取金額がどのように異なるのか、「胃がんの診断を受け、2週間入院しその間1回の切除手術を受けた」事例をもとにご説明しましょう。
【保障内容(例)】
- がん入院給付金5,000円(日額)
- がん手術給付金100,000円
- 診断給付金100万円
診断給付金がない場合、がん入院給付金は5,000円×14日=70,000円、またがん手術給付金として100,000円が支払われます。給付金総額は170.000円です。
一方、診断給付金が備わっている場合は、上記の金額に100万円が加わり、給付金は合計で117万円となります。それぞれの保険商品の給付金の金額によって異なりますが、まとまった金額である診断給付金が支払われることで、受け取り総額が大きく変化することが分かります。
参照元:厚生労働省|医療給付費実態調査
がん保険の診断給付金を複数回受け取れる保険もある
診断給付金を複数回受け取れるがん保険もあります。その場合、2回目以降のがんの診断は前回から2年以上経過している、入院による治療に限るなど、支払条件が設定されていることが多い点に注意が必要です。
がん保険の診断給付金は必ずしも必要なわけではない
がん保険の診断給付金が、すべての方にとって必ずしも必要なわけではありません。例えば、入院が不要である場合は、がん通院給付金で治療費をカバーできるでしょう。また、がん保険によっては、セカンドオピニオン費用を受け取れる場合もあります。貯金から診断給付金にあたる金額を問題なく出せる方にとっても、重要度はあまり高くないかもしれません。
一般的に、診断給付金が付加しない場合は、付加した場合と比べて月々の保険料が抑えられます。保険料が家計に占める割合と、診断給付金の必要性のバランスを考慮して判断しましょう。
がん保険の診断給付金で想定外の出費に備えよう
がん保険の診断給付金は、がんと診断されたときに受け取れる給付金のことです。使い道が自由であるため、通院でも入院でも治療費に充てられること、さらに治療費に限らず生活費やウィッグ代などにも使えます。そのほか、診断されたタイミングで受け取れること、非課税であることなどのメリットがあります。
がん保険の診断給付金によって、がん治療に関する経済的な不安を減らすことができるといえるでしょう。診断給付金の支払い条件は保険によって異なるため、あらかじめ詳細を確認しておくことをおすすめします。