うっかり物を落としてへこんでしまった。家具の移動中に傷をつけてしまった。そんなふとした拍子についたフローリングの傷にお悩みの方も多いのではないでしょうか。しかし傷が小さいと、わざわざプロに補修してもらうのも気が引けてしまうことも。
そこで今回は、フローリングの傷をご自身で補修する方法をご紹介します。症状別の補修方法や注意点についてもまとめました。コストを抑える秘策も伝授しますのでぜひご一読ください。
フローリングの傷は私でも補修できる?
フローリングの傷はご自身で補修可能です。フローリング補修用のアイテムが販売されており、少しの傷やへこみなら、ご自身での補修で目立たなくすることができるでしょう。ただし、深い傷や状況次第ではプロにお願いした方が良いケースもあります。
ここでは、ご自身でフローリング傷を補修する場合と、プロに依頼する場合のメリット・デメリットをお伝えします。
ご自身で補修するメリット・デメリット
ご自身でフローリングの傷を補修する場合のメリットは、出費を抑えられるところです。フローリングの補修アイテムは、1,000~5,000円ほどで購入できます。補修アイテムさえそろえれば都合に合わせて作業に取りかかれるのも、ご自身での補修ならではのメリットです。
デメリットは、ご自身の補修では傷を根本的に直せない点が挙げられます。不自然さが残ってしまったり、傷が復活してしまったりと、補修箇所がかえって目立ってしまう可能性があるでしょう。仕上がりに納得がいかず、結局はプロに依頼することになり余計な出費となってしまうことも考えられます。
プロに依頼するメリット・デメリット
フローリングの傷の補修をプロに依頼した場合、新品同様に補修できるところがメリットです。ご自身の補修では難しい深い傷や大きな傷も、プロならきれいに仕上げてくれるでしょう。
その分デメリットとして、コストがかかってしまいます。料金の計算方法は修繕会社によって異なりますが、作業範囲で計算する場合は、5,000~60,000円ほどかかるでしょう。作業時間で料金を計算している場合、半日で15,000円ほど、1日30,000円ほどが多いようです。いずれも傷の程度や範囲によって料金が変わるので、あくまで目安として把握しておいてください。
【症状別】フローリングの補修方法
では実際に、ご自身でのフローリングの補修方法をみてみましょう。擦り傷や剥がれ、へこみなど症状別の補修方法をまとめました。
擦り傷には色を塗って補修
フローリング補修用のクレヨンが販売されており、浅い擦り傷ならクレヨンを塗ることで手軽に補修できます。色はフローリングに近い物を選んでください。フローリング補修用のクレヨンを使った、基本的な手順を紹介します。
準備するもの
- フローリング補修用クレヨン
- ヘラ(クレヨンとセットになっている商品もあります)
- 布
手順
- 傷にフローリング補修用のクレヨンを塗りこむ
- 余分なクレヨンをヘラで取り除く
- 仕上げに布で拭く
クレヨンはフローリングに塗るだけなので、擦り傷が気になったらすぐに補修できるでしょう。ただし、傷が浅い場合に有効な方法です。また、手順や方法は商品によって異なるので、詳しい内容は商品の説明書を確認してください。
剥がれには接着剤と専用パテ
フローリングの一部が剥がれてしまった場合、接着剤と専用パテを使用します。クレヨンを塗るだけとは違って少し手間や時間がかかるものの、ご自身での補修が可能です。接着剤と専用パテを使った方法をご紹介します。
準備するもの
- 瞬間接着剤
- パテ(フローリングに使用できるもの)
- マスキングテープ
- 紙やすり
- 塗料
- ハケ
- 木目を描くペン
- 仕上げ用スプレー
手順
- 剥がれている木材を瞬間接着剤で貼りつける
- 作業範囲をマスキングテープで囲う(養生)
- 隙間をパテで埋める
- 埋めたパテを紙やすりで削って平らにする
- 埋めたパテを塗料で着色し、木目を描く
- 仕上げ用スプレーで艶をだす
埋めたパテをきれいに平らにすることで、補修箇所をより目立たなくできるでしょう。塗料の剥がれ防止にもなります。削る際は削りカスが出るので、掃除機などを近くに準備しておくと良いかもしれません。
埋めたパテの着色は、塗料で塗るだけでなく木目を加えましょう。木目を描く専用のペンも販売されているので、活用してみてください。
へこみならアイロンを使えば元どおり
へこみの場合はアイロンを使ったフローリングの補修方法があります。これは、床材が水分を含むと膨らむ性質を利用しています。
準備するもの
- アイロン
- 湿らせた布
- 水を入れたコップ
手順
- へこみのある部分に固く絞ったタオルを置く
- タオルの上にアイロンを当て、60秒ほど熱を加える
- アイロンを離し、タオルにコップの水を少量かけて湿らせる
- 再度アイロンで60秒ほど熱を加える
- アイロンでの加熱とタオルを湿らす工程を3回ほど行う
軽度なへこみなら、この方法で補修できます。家にあるものでチャレンジしやすいので、試してみる価値があるでしょう。
えぐれ傷は補修材を流し込んで固める
傷が少し深いえぐれ傷には、フローリングの補修材がおすすめです。スティック状の補修材を温めて溶かし、補修部分に流し込んで埋める方法です。フローリング補修セットとして必要なアイテムをそろえて販売している商品があるので、別々に購入しなくても手軽に準備できます。
準備するもの
- 補修材
- ホットナイフ(電熱コテ)
- マスキングテープ
- スクレーパー(ヘラ)
- 木目を描くペン
手順
- 補修箇所の周囲をマスキングテープで囲う(養生)
- 補修材をホットナイフ(電気コテ)で溶かし、傷に流し込む
- 補修材が固まったら、スクレーパー(ヘラ)で余分な部分を取り除く
- 木目を描く
補修材の色は、フローリングと近い色を選びましょう。補修材は混ぜて使えるタイプの商品があるので、フローリングと近い色がなくてもご自身で色味の調整が可能です。補修材だけでフローリングになじんでいれば、木目を描く工程を省いても差し支えないでしょう。
作業中は、ホットナイフの取り扱いに注意してください。かなり熱くなるので、火傷や置いた場所が焦げてしまう恐れがあります。
ホットナイフや電熱コテの代わりに、金属スプーンに補修材を乗せ、火で炙って溶かす方法があります。その場合は、不要なスプーンを使用してください。なかには、ドライヤーの熱で溶かせる補修材もあります。さまざまなタイプの補修材が販売されているので、使いやすいものをチョイスしましょう。
費用を抑えたいなら必見!100円均一でも手に入る補修アイテム
「もっと費用を抑えたい!」「ごく小さい傷だから本格的な補修用品を購入するか迷う」といった悩みもあるでしょう。そういった場合は、100円均一アイテムを活用するのも一つの手です。100円均一には、ウッドパテや補修マーカー、補修用クレヨンなど、フローリングの傷が補修できるアイテムが販売されています。
他にもマスキングテープやカッターナイフ、ハケなどの購入も可能です。100円均一でアイテムがそろえば、コスト削減のみならず、気軽にチャレンジしやすいでしょう。まずは試しに補修してみたい方にも、100円均一アイテムはおすすめです。
フローリングの補修をする際の注意点
ここまでで、フローリングの傷の補修方法についてお伝えしてきました。ただし、補修する前にぜひ注意していただきたい点があります。以下に3つ紹介するので、頭に入れておきましょう。
ご自身での補修はあくまで目立たなくする方法
ご自身での補修は、あくまでフローリングの傷を目立たなくする方法です。接着剤で貼りつけたり、補修材で埋めたりしても、床が完璧に元どおりになるわけではありません。まずはそのことを頭に入れ、ご自身で補修するか、プロに依頼するか検討しましょう。
賃貸の場合は事前に大家さんに確認を
アパートやマンションなど、賃貸の場合は補修する前に大家さんの許可をもらう必要があります。これはご自身での補修だけでなく、プロに依頼する場合も同様です。賃貸契約によっては、貸主に報告なく補修することを禁止していることも。さらに補修跡が目立っていると、トラブルになりかねません。大家さんに確認してから補修に取り掛かるほうが賢明でしょう。
ここで押さえておきたいのが、すべてのフローリングの傷の補修をする必要はないということです。そのことは、国土交通省から発表されている「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」にも示されています。
経年劣化や通常の生活をしていて生じた傷の場合、補修は貸主の負担となるのです。例えば、フローリングの消耗による変化や、家具の設置によるへこみなどが該当します。しかし、故意や不注意による傷は、借主が負担して補修しなければなりません。引っ越しの作業中の傷や、窓の閉め忘れで雨が吹き込みフローリングに傷みが生じた、といったケースが挙げられます。
傷の深さやサイズを見極めて最適な方法で補修しよう
フローリングの傷の補修にはさまざまな方法がありますが、傷の深さやサイズを見極め、傷の状況に合った方法で行いましょう。
傷が深い、補修範囲が広い、ご自身での補修が難しい場合は、プロに依頼することも視野に入れてください。前述したように、ご自身での補修は傷を目立たなくすることにすぎません。失敗して悪化してしまうケースもあります。不安な方はプロに任せるのが安心です。
「セゾンの住まい小修繕」では、フローリングなどの補修を承っています。365日専門技術を持ったスタッフが対応し、アフターフォローも充実しています。フローリングや壁、小さなものでも気になっている傷などがある方は「セゾンの住まい小修繕」にご相談ください。
フローリングの傷を防ぐ対策法
せっかくフローリングの傷を補修しても、再び傷ついてしまったらガッカリしてしまいます。最後に、フローリングの傷を未然に防ぐ対策方法について解説します。
椅子や家具の脚にカバーをつける
椅子や動かす頻度が高い家具の脚にカバーをつけると、フローリングに直接擦れずに済むので、傷予防になります。脚のカバーは、シリコン素材のものや靴下のように履けるもの、裏にフェルトが付いているものなどいくつか種類があります。
脚のカバーは、フローリングの傷を防いでくれる一方、脱げやすく何度も履かせることが手間だと感じてしまうかもしれません。また、カバーの見た目がインテリアの雰囲気と合わないケースもあるでしょう。なかには脱げにくい工夫がされている商品や、脚に馴染む透明素材のアイテムなどが販売されているので、いろいろな商品を見比べてみてください。
クッションフェルトを貼る
家具や椅子の脚の裏に、クッションフェルトを貼る方法もあります。カバーのサイズが合わない場合、クッションフェルトなら切って調整できるので、サイズ調整がしやすいです。さまざまなサイズにカットしてあるタイプや、一枚からご自身で切って使うタイプがあります。
手軽に対策できますが、ズレやすく、ほこりも溜まりがちな側面があります。ゴミやほこりがついたまま使用していると、逆にフローリングを傷つけてしまう恐れも。クッションフェルトはこまめに状態をチェックしましょう。すぐ貼り替えられるように、予備を用意しておくと安心です。
また、クッションフェルトには、滑りやすくして傷を防ぐタイプと、滑りにくくして傷を防ぐタイプが販売されています。動かす頻度が高い椅子には滑りやすくするタイプ、あまり動かさない家具には滑り止めタイプを使用すると良いでしょう。
フロアマットやラグを敷く
子どもが遊ぶエリアや、キャスター付きの椅子の下にはフロアマットやラグを敷くと効果的です。フロアマットやラグを敷いておけば、子どもがおもちゃを落としてフローリングがへこんでしまうといった事態を防げるでしょう。また、傷予防だけでなく寒さ対策にもなります。
キャスターつきの椅子はカバーやクッションフェルトが使用できません。そのため、傷予防にはフロアマットなどを下に敷く必要があります。
フロアマットやラグを敷く場合、お手入れのしやすさが重要です。簡単に拭けたり、洗濯機で洗えたりと、清潔を保ちやすいかどうかも確認してください。
定期的にワックスを塗る
フローリングは乾燥すると傷つきやすくなります。乾燥を防ぐには、ワックスが有効です。定期的にワックスを塗ることで、フローリングの表面を保護できます。
ワックスは、フローリングの材質に合ったものを選ぶと良いでしょう。おすすめは、床用の樹脂ワックスです。フローリングはもちろん、ビニール床やクッションフロア、Pタイルにも使えます。
おわりに
フローリングの傷はご自身での補修が可能ということをお伝えしました。フローリング補修用のアイテムが豊富に販売されており、小さい傷や浅いへこみならご自身で目立たなくできるでしょう。補修用のアイテムや補修方法は、傷の症状に合わせて選んでください。
しかし、ご自身での補修は、傷を目立たなくする方法であり、完璧に直すことはできません。ご自身での補修が難しい場合、プロにお願いすることも検討しましょう。