この記事では、サスティナブルについて知りたい方に向けて、具体的な内容や求められている背景などを解説していきます。サスティナブルとは「持続可能な」という意味の言葉です。近年は環境問題などへの取り組みに対して頻繁に使われています。
2015年9月の国連サミットにて採択された、持続可能な社会を目指す目標の「SDGs(エスディージーズ)」ともかかわりが深い言葉のため、その違いなども解説していきます。
1.サスティナブルって何?
まずは、サスティナブルとは何か、について見ていきましょう。
1-1.サスティナブルの意味
サスティナブルとは、「持続可能な」という意味をもつ形容詞です。英語表記は「Sustainable」で、持続するという意味の「Sustain」と、○○できるという「able」から成り立っています。
これからも地球に住み続けられるような社会を創っていこう、とする国際目標の「SDGs(エスディージーズ)」の広がりにより、近年耳にする機会が増えています。環境問題に限らず、ファッションや観光、食事などの幅広い分野で使われはじめています。
1-2.サステナビリティとは
サステナビリティは、「持続可能性」を意味する名詞です。英語では「Sustainabillity」と表記されます。前述のサスティナブルが形容詞なのに対し、サステナビリティは名詞のため、英語表記する際には使い方に注意しましょう。サスティナブル同様、サステナビリティもSDGsの広がりとともに耳にすることが増え、次のような言葉でも使われています。
・Lifestyles of health and sustainability(LOHAS:ロハス)
意味:人も環境も健康で持続可能性のある生活様式
・Corporate Sustainability(コープレート・サステナビリティ)
意味:企業が環境・経済・社会に与える影響を考慮して立てる長期的な企業戦略
このように、地球環境に負担をかけないような仕組みに変えていこうという意味で使われることが多いでしょう。
1-3.サスティナブルな社会について
前述したとおり、サスティナブルやサステナビリティは、SDGsの広がりによって注目度を高めている言葉です。SDGsは「Sustainable Development Goals」の略で、サスティナブルな社会の実現を目指して2015年9月の国連サミットで採択された国際目標のことです。サスティナブル=持続可能な社会という表現は、この採択をきっかけに広がったといえます。
持続可能な社会というとやや抽象的ですが、つまりは「これからも地球で生活できるような社会」に変えていこうとする取り組みのことです。
サスティナブルな社会を実現するためには、貧困や飢餓をなくすこと、気候変動の対策など、さまざまな問題の解決が欠かせません。SDGsは、世界が掲げる17の目標と、実際の行動指針を示した169のターゲットがあり、その道筋を示しているのです。
1-4.サスティナブルとSDGsの違い
言葉こそ違いますが、日本で近年耳にするサスティナブルという表現と、SDGsの向かうところはほぼ同じだといえます。ほとんどの場合、持続可能な社会を実現していくための取り組みを表しています。そのため、サスティナブルやSDGsという言葉を見かけたら、「持続可能な社会に対する取り組みなのだな」と理解しておきましょう。
そのうえでそれぞれの違いを示すのであれば、サスティナブルは環境問題以外でも使われる可能性がある一般的な形容詞であり、SDGsは国連サミットによって採択された具体的な目標だということです。SDGsは固有名詞のため、他のものを指さない点が違いといえるでしょう。
2.サスティナブルが求められている理由
ここからは、なぜサスティナブルな社会になることが求められているかを、具体的に見ていきましょう。
2-1.気候変動
気候変動とは、おもに地球温暖化のことを指します。日本だけでも、季節外れの猛暑やこれまで体験したことのないような大雨など、気候変動を身近に感じる機会は多くなってきました。気象庁が示したデータによると、35℃を超える猛暑日や1時間に50mm以上の大雨が発生する回数などは、増加傾向にあるといいます。
さらに、地球全体の温度が上がると、将来的に沈んでしまう島もでてくるといわれています。これは南極の氷が溶け、海水面が上昇することがおもな原因とされています。万が一南極の氷が全部溶けてしまったら、日本においても沈んでしまう地域がでてくるかもしれません。
この他にも、大型台風や熱波、干ばつなど、気候の変化が原因とされるさまざまな自然災害が世界中で起こっています。地球温暖化は、二酸化炭素が増えることで引き起こされるため、その排出量を減らす取り組みが推進されているのです。
参照:SDGs目標13. 気候変動に具体的な対策を | EduTownSDGs
2-2.生物多様性
地球上には、人や動物だけでなく植物や菌など、さまざまな生き物が暮らしています。どの生き物も個体では生きていけず、多くの命のつながりの中で初めて生存が可能となるのです。生物多様性とは、こうした命のつながりを大切にする考え方で、環境保全を考える方たちに支持され広がってきました。
例えば、2004年にスマトラ島沖で発生した地震の際には、海辺のマングローブ林と健全なサンゴ礁が残る地域ではそれらが津波のエネルギーを吸収したため被害が軽減されました。また、私たちの健康を支える医薬品は、70,000種もの植物がもたらす物質によってつくられています。
このように、生物多様性が豊かであることは、人にもさまざまな恩恵を与えてくれるのです。一方で、人類の自然の搾取によって環境破壊が進み、生物多様性が失われてしまうことが今問題となっています。そのため、生物多様性を守る行動が求められているのです。
参照:生物多様性とは?その重要性と保全について |WWFジャパン
2-3.土地の変化
持続可能な社会の実現が求められる背景には、土地の変化も大きく影響しています。例えば、世界の森林は毎年1,300万ヘクタールの規模で失われており、土地の劣化による砂漠化や干ばつが深刻になっています。森林は地球温暖化を防ぐのにも欠かせない役割を果たすにもかかわらず、森林から農地への転換や居住地の建設などによって失われているのです。
このように、世界的には森林伐採などが大きな課題です。一方、日本では荒廃した森林の増加が問題視されています。これは、戦後復興の際に国の政策として国内の木材を増やしたにも関わらず、外国産の木材輸入によって林業が衰退したことに起因します。
成熟した森ができあがっているのに、誰も伐採しない森林が増えているのです。手入れが適切ではない森林は、大雨による土砂災害や山崩れの原因となります。そのため、日本では国内の森林資源を活用していくことが課題とされています。
2-4.環境汚染
地球上で暮らすためには、空気や水などが汚染されていないことも大切です。しかし、生活利便性を追求した結果、環境汚染も進んでいます。
例えば、車や工場などから排出される化学物質による大気汚染は、酸性雨や光化学スモッグなどの原因です。農作物や森林の植物を枯らしたり、私たちの健康を脅かしたりと、さまざまな影響を及ぼします。
また、プラスチックごみは、世界中の海で毎年約800万トン流れ込んでいるといいます。プラスチックは自然に分解されず、海の生き物が食べてしまうこともあるため、生態系にも大きな影響が生じているのです。こうした決して好ましくない影響は、できるだけ軽減していくことが求められています。
参照:大気汚染が引き起こす問題
3.サスティナブルな生活とは?
ここからは、サスティナブルな生活とはどのようなものか、について見ていきましょう。
3-1.サスティナブルなファッション
ファッション産業は、さまざまな点で環境負荷が大きいといわれています。例えば、服1着をつくるときの二酸化炭素排出量は約25.5kg。これは500mlのペットボトルを約255本製造する量に値するといいます。さらに水は約2,300リットル、浴槽で換算すると約11杯分です。たった1枚の服をつくるだけで、これだけの環境負荷がかかってしまうのです。
さらに、ファッションの消費サイクルは短く、大量生産・大量消費が問題視されています。こうしたことから、サスティナブルなファッションを求める声は高まっています。具体的には、1着をできるだけ長く着るような取り組みを行うことや、服のリユースを楽しむこと。長く着られる素材を選ぶことや、環境に優しい製造方法でつくられている服を選ぶことなどが挙げられるでしょう。
3-2.サスティナブルな暮らし
食事や住居など、暮らしを支える要素は幅広くあります。こうした生活の中でも、サスティナブルな取り組みを加えることは可能です。
例えば、食事の面で問題視されているのは、まだ食べられる食品を捨ててしまう「食品ロス」です。農林水産省のデータによると、令和元年度の日本の食品ロスは年間570万トンだったと推計されています。これは、国民一人ひとりが茶碗1杯分のご飯を毎日捨てている量に値します。こうした食品ロスを減らすためにも、食べ残しを減らしたり食べきれる分を買ったりという行動が大切です。
フードロスについては詳しくはこちらで解説しています。関連記事:フードロスとは?問題点や日本の現状と社会・家庭でできる取り組みをチェック
また、生活のなかで太陽光や風力を使った再生可能エネルギーを取り入れることも、サスティナブルな暮らしにつながります。こうした事業に力を入れる電力会社を選ぶことも、有効な方法でしょう。
3-3.サスティナブルな人
生活の利便性だけを追求するのではなく、環境にも配慮した選択をする方は、サスティナブルな人といえます。例えば、エコバッグを利用したり、手持ちの服を長く愛用したりといった習慣もサスティナブルな選択です。
また、値段だけで商品を購入するのではなく「どのような製造過程でつくられているのか」にまで目を向けてみるとさまざまな背景が見えてきます。商品購入にもこうした視点が加わっている方は、サスティナブルな選択をしているといえるでしょう。
こうして見てみると、「すでにサスティナブルな行動をしていた」という方もいるのではないでしょうか。言葉自体は聞き慣れなくとも、サスティナブルな行動をしているという方は多くいます。決して特別な行動ではないため、理解を深めることでより楽しくサスティナブルに取り組んでいきましょう。
4.私たちができるサスティナブルな生活の具体例
ここからは、サスティナブルな生活の具体例について見ていきましょう。
4-1.フードロス削減
前述でも簡単にお伝えしたとおり、食品ロス=フードロスは大きな問題です。この問題は、できるだけ食べきれる量を購入することや、買ったものはしっかりと使い切れるよう心がけるだけでも変化していきます。とくに、価格が安いときのまとめ買いは、フードロスの大きな要因の1つ。お得な買い物であることは確かですが、食べきれる量であるかをしっかりと確認しておくことが大切です。
また、食材を購入するスーパーなどでのフードロスを減らすこともできます。例えば、すぐに使う食材であれば賞味期限の近いものを購入するといった行動も、フードロスの助けとなります。ぜひ身近なところから、フードロスの削減に取り組んでいきましょう。
フードロスについては詳しくはこちらで解説しています。関連記事:フードロスとは?問題点や日本の現状と社会・家庭でできる取り組みをチェック
4-2.再利用やリサイクル
まだ着られる服や使える家電などは、再利用したりリサイクルしたりすることもサスティナブルな取り組みです。古着屋にもっていき再販売を依頼することで、新しいユーザーが有効活用してくれることもあるでしょう。
また、着られなくなったり使えなくなったりした服や家電でも、素材やパーツに分けてリサイクルできることもあります。最近では、不要になった服を店頭で回収して、リサイクルなどに取り組む企業も増えてきました。処分といっても捨てるだけではないため、選択肢の1つにこうした企業を加えてみるのも良いでしょう。
繰り返し使えるマイバックやマイボトルを持ち歩くことも、取り入れやすい方法です。マイバックを持参すれば袋代がかからないため、節約にもつながります。また、マイボトルを持参すると値引きしてくれる飲食店も増えているため、楽しく取り組みやすいでしょう。
4-3.節電や節水
日常生活になくてはならない電気を生み出すためには、大きなエネルギーが必要です。現在のエネルギーは石炭や石油、天然ガスなどの化石燃料をもとにしているため、二酸化炭素の排出量が多いことが懸念されています。そのため今後は、太陽光や風力などの再生可能エネルギーをできるだけ取り入れていくことが大切です。
また、すぐに取り組める方法としては、できるだけ消費電力を減らす「節電」が有効です。使わない部屋の電気を消したり、テレビを見ないときには主電源から消したりするだけでも節電につながります。さらに、今後は地球温暖化の影響などから水が不足することも予想されています。2030年までに、水不足の影響で7億人が住む場所を追われるという見方もあるほどです。
そのため、生活の中でできるだけ節水を心掛けることも大切な行動といえます。トイレの水を流すときには大小のレバーを使い分けたり、シャワー時間を減らしたりといった行動が限りある水を守ることにつながるでしょう。
5.日本初!CO2排出量を可視化できるクレジットカードが誕生
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人間が生活するうえで、CO2の排出は切っても切れない課題であることは、認識のとおりであり、今後のライフスタイルにおいては、暮らしの中でCO2排出がより少ないモノやコトを選んだり、オフセットすることで、気候変動に配慮したライフスタイルを実践していくことが、より求められていくものとなっていくでしょう。
おわりに
サスティナブルとは、「持続可能な」という意味の言葉で、近年ではおもに環境問題などへの取り組みに対してよく使われています。持続可能な社会を目指す目標として定められた「SDGs」の影響から、耳にする機会が増えました。これからも地球で暮らしていくために推進されているサスティナブルな取り組みには、私たちがすぐにでもできるものも多くあります。ぜひこの機会により一層サスティナブルへの関心を高めてみましょう。