ふと気付くと壁紙にカビが発生していたという方も多いのではないでしょうか。壁紙はカビが発生することで見た目が悪くなるだけでなく、そこに住む家族の健康に影響する恐れもあります。そこで本記事では、カビの基本知識からカビの取り除き方、カビの予防法までを徹底解説します。「カビが生えているけど、どうすれば良いか分からない」という方はぜひご覧ください。
「エコカラットセルフ」は、大人気のエコカラットと同じ優れた調湿・脱臭機能を備えながら、マグネットでラクラク取り付けできるDIYキットです。22種類×2サイズからお気に入りのデザインが選べ、おしゃれな空間づくりを楽しめます。接着剤不要で壁を傷つける心配もなく、インテリア初心者でも気軽にチャレンジできます。機能性とデザイン性を兼ね備えた、魅力的な壁材をお試しください。
壁紙に発生するカビとは何か?カビの種類と特徴
まずは、カビの基本知識について理解していきましょう。
カビは微生物の一種で、キノコや酵母と同じ真菌グループです。およそ30,000種類あるといわれており、チーズやワインなどの発酵食品や医薬品を作るうえで人の暮らしに欠かせないものです。
しかし、家の中で発生するカビには有毒なものもあり、注意が必要です。カビの一例として、私たちの生活に身近な黒カビ、青カビ、緑カビを紹介していきます。
黒カビ
カビの中でもポピュラーな種類のカビです。初期では薬剤に弱いですが、繁殖しだすと薬剤に強い抵抗性を持ち、むやみな薬剤使用が逆効果になるケースがあります。壁紙クロスや壁に発生する多くは黒カビといわれています。
青カビ
チーズの発酵や医薬品などに使われているカビです。空気中に多く浮いているため、パンやお菓子に付くと、青カビとして発生します。毒性はないとされていますが、見えないだけで有害なカビもいっしょに発生している可能性があるため、注意が必要です。
緑カビ
木材や畳の裏などに発生しやすいカビです。一般的にツチアオカビとも呼ばれ、湿気の多い場所でよく見られます。木材に付くと劣化や腐敗につながります。また、吸いこむことで体調を崩す恐れがあるので注意しましょう。
カビが発生する条件とは
なぜ、カビは発生するのでしょうか。ここからは、カビが発生する条件をお伝えします。
温度
カビが最も活発になるのは温度が20~30度のとき。特に黒カビが活発になるのは25度のため、意外かもしれませんが秋は梅雨の次に黒カビにとって好条件の季節です。人が快適に暮らせる温度が、カビにとっても繁殖しやすい温度といえます。
湿度
湿度が70%を超えるとカビは活発になり、湿度が上がるほど繁殖のスピードも速くなります。梅雨の時期は湿度や気温が最適となるため、1年の中でも特にカビが発生しやすくなるのです。
栄養
カビも生きているため、エサが必要です。人の皮脂汚れやダニ、ほこり、食べもののカスなどの汚れがカビにとって栄養源となります。
上記の「温度」「湿度」「栄養」の3条件がすべてそろうと、カビはすぐに繁殖します。本来、目に見えないはずのカビは、胞子が集まると2~3日で目に見えるほどの塊となります。
そして、1週間経つ頃にはたくさんの胞子を作り、周囲にまき散らし始めるのです。作られた胞子は、風や水、人などによって他の場所に運ばれ、発芽と発育をくり返していきます。
特に、家の中でカビが発生しやすい場所として、窓のゴムパッキンや部屋の四隅、棚の裏などが挙げられます。定期的にカビが発生していないかチェックすると良いでしょう。
壁紙にカビが発生するメカニズムとは?
そもそもなぜカビが室内で発生するのでしょうか。
実は、室内の空気1立方メートルには、常に数個から数千個のカビの胞子が飛んでいるといわれています。また、カビは住宅に使用されている建材を栄養に、さらに高温多湿な日本の気候と組み合わさって発生しやすくなっているのです。
まさに、日本の一般的な住宅はカビが1年中発生できる好条件となっているといえます。その他にも以下のような条件がそろうことで、壁紙のカビはより発生しやすくなります。
換気不足
あまり換気を普段から行っていない部屋は要注意です。特に気密性が高い家の場合、湿気がこもりやすくなるため気を付けましょう。
意外と見落としがちなのが、クローゼットや押し入れです。衣類についた湿気などがこもることで湿度が高くなり、風通しも悪いためカビが繁殖します。
漏水
壁紙が水分を吸ってしまうことで、カビが発生しやすくなるケースもあります。
洗濯機や、水道管からの水漏れ、メンテナンス不足の屋根などからの雨水の浸水も、カビ発生の原因のひとつとなります。また、水を使う家電である冷蔵庫や加湿器も注意が必要です。
結露
室外と室内の温度差があると、窓などに結露が起こります。特に冬の時期は暖房により暖められた室内と冷え込んだ室外の温度差が大きくなるため、結露が起きやすいのです。
窓枠などを伝って壁紙が結露の水分を吸うことで湿気が多量に取りこまれ、カビの温床となります。
壁紙のカビによる被害
高温多湿の日本の家はカビが発生しやすいことをご理解いただいたところで、ここからはカビが原因で起きるアレルギー反応を見ていきましょう。
ダニが発生する
結露によって黒カビが増えると、黒カビをエサとしてダニも発生しやすくなります。
また、結露の原因である高い湿度は、ダニの繁殖条件としても適しているのです。チリダニによって引き起こされる気管支ぜん息や、ツメダニに刺されることで赤く腫れるといった健康被害があります。
アレルギー性鼻炎になる
壁紙をはじめ、おうちにカビが発生すると、鼻水や鼻づまり、くしゃみといった症状が現れます。また、ススカビというカビの一種の胞子を吸いこむと、スギ花粉とともに気管支ぜん息やアレルギー性鼻炎などの原因になります。
シックハウス症候群を引き起こす
シックハウス症候群とは、家自体が原因となる健康被害のことです。建材などの化学物質やハウスダストによって室内の空気が汚染されます。
ハウスダストの中には、カビやダニなども含まれており、鼻水や吐き気、のどの渇き、頭痛といった症状が現れます。
壁紙のカビによる健康被害は大きく、特に抵抗力の弱い小さい子どもや高齢者、舐めて誤飲してしまうリスクのあるペットがいる家は注意が必要です。
壁紙のカビの取り除き方
ここからは、壁紙のカビの取り除き方を紹介していきます。カビの発生が初期段階であれば、以下の方法で取り除ける場合もあります。
クエン酸と重曹
壁紙のカビが軽度の場合は、クエン酸スプレーと重曹ペーストがおすすめです。
クエン酸スプレーの作り方
- スプレーボトルに、クエン酸(小さじ1/2杯)と水(100ml)を入れる。
- クエン酸が溶け切るようによく振れば完成
重曹ペーストの作り方
- 重曹と水を2:1の割合で用意し、プラスチックコップなどの容器に重曹を入れる。
- 少しずつ水を加えて混ぜ合わせ、壁に塗っても落ちないくらいのペースト状にして完成。
掃除の手順
- キッチンペーパーを壁紙のカビに当てクエン酸スプレーを吹きかける。そのまま5分ほど放置する。
- キッチンペーパーを外したら、重曹ペーストを歯ブラシなどでカビに刷り込む。
- 重曹ペーストの上からキッチンペーパー、ラップの順で被せ、養生テープで固定する。そのまま2~3時間放置する。
- キッチンペーパーなどを外し、濡れ雑巾で水拭きをする。
- 最後に乾拭きして消毒用エタノールを吹きかけ、乾燥させれば完了。
エタノール
消毒用エタノールだけを使用した方法は壁材にも優しく、身体にも害がないため、小さい子どもやペットがいるご家庭や賃貸住宅に住んでいる方にもおすすめです。
消毒用エタノールを選ぶ際は、エタノール成分が70~80%のものだと除菌効果がより高くなります。掃除のやり方としては、消毒用エタノールを含ませたティッシュを壁紙に押し当て、拭き取るだけです。
消毒用エタノールを使用する時は、お部屋にカビの胞子が舞い上がらないよう、スプレーで直接吹きつけないようにしましょう。
オキシクリーン
水を吸わない壁紙には酸素系漂白剤であるオキシクリーンもおすすめです。使用する時は、壁紙が変色しないか、目立たないところでテストすると安心です。
オキシクリーン液の作り方と掃除の手順
- お湯(100ml)の中にオキシクリーン(付属スプーン1/8杯)を入れ、混ぜ合わせる。
- オキシクリーン液を雑巾に浸して絞り、壁紙を拭く。
- そのあと雑巾で水拭きと乾拭きを行い、水分をよく拭いて乾燥させれば完了
壁紙の素材で異なるカビの取り除き方
ここからは、壁紙の素材ごとのカビの取り除き方をお伝えします。壁紙の素材や使うアイテムによっては色落ちしてしまうケースがあるため、まずは目立たないところで試すと安心です。
水を吸わない壁紙にカビが発生した時
水を吸わない壁紙には、タイルやビニール製の壁紙などがあります。水回りによく使われる壁紙で、水分をはじくため漂白剤を用いたカビの除去が可能です。流れ落ちて床などにつかないように、ジェルのような粘度のある漂白剤が良いでしょう。
用意するもの
- 塩素系漂白剤(カビキラーなど)
- 雑巾
- 歯ブラシ
- モップ
水を吸わない壁紙のカビの取り除き方
- ほこりをモップで拭きとる。
- 水で固くしぼった雑巾で水拭きし、汚れを拭く。
- カビがある部分に塩素系漂白剤を歯ブラシで擦るように塗り込む。
- 漂白剤を水拭きして、水分をしっかりと取り除くよう乾拭きする。
水を吸う壁紙にカビが発生した時
水を吸う性質がある壁紙の場合、塩素系漂白剤(カビキラーなど)を使用できません。市販されている専用のカビ除去スプレーがおすすめです。
用意するもの
- 市販のカビ除去スプレー
- 雑巾
水を吸う壁紙のカビの取り除き方
- 10cmほど離れたところからスプレーをし、そのまま20~30分ほど放置する。
- 水で固くしぼった雑巾で水拭きする。
漆喰や土壁などにカビが発生した時
漆喰には吸湿性があるため多湿を好むカビの発生を抑制できるメリットがありますが、室内の湿度が高すぎたり換気が不充分だったりすると、漆喰にもカビが発生します。漆喰や土壁などには専用のカビ除去アイテムがおすすめです。
用意するもの
- 土壁・漆喰用のカビホワイト
- モップ
漆喰や土壁のカビの取り除き方
- モップで表面のほこりを拭きとる。
- 固くしぼった雑巾でやさしく落とす。
- 土壁・漆喰用のカビホワイトを塗布する。
- よく換気し、完全に乾かす。
木製の壁にカビが発生した時
木材と一言でいっても、オーク材やチェリー材、パイン材などさまざまな種類があります。木製の壁で漂白剤を使ってもカビを取り切れない場合、紙やすりを使用すると良いでしょう。
ただし木材の種類によっては紙やすりを使用しない方が良いものもあるため、まずは木材の種類を特定しましょう。木目が目立たない種類の木材は、漂白剤や紙やすりの使用で見た目が変わる可能性があるため、注意が必要です。
用意するもの
- 酸素系漂白剤(液体)
- 消毒用エタノール
- 紙やすり
- キレイな布
- キッチンペーパー
木製の壁のカビの取り除き方
- 消毒用エタノールでカビのある部分と周辺にスプレーする。乾燥したあとキレイな雑巾で乾拭きする。
- 酸素系漂白剤を染みこませた酸素系漂白剤をカビ部分に被せ、20分ほど放置する。
- 上記でもカビの色素が落としきれない場合は紙やすりで削り落とす。ただし、カビを飛散させてしまうため、消毒用エタノールで殺菌した部分のみ削り落とすように注意が必要。
壁紙のカビを取り除く時の注意点
ここからは、壁紙のカビをご自身で取り除く時の注意点をお伝えします。
マスクやゴーグルなどで身体を守る
体内にカビが入り込むのを避けるため、マスクやゴーグル、メガネ、長袖の服、ゴム手袋などを着用しましょう。
また、掃除中は換気を心掛け、特に強い洗剤や漂白剤を使う時には、臭いが消えるまでしっかりと換気してください。
壁をキズつけないために保護する
紙でできた柔らかい壁紙の場合、破れたり、水分によってふやけたりします。壁紙のカビを取り除く時には、壁紙の材質が何かを確認してから、優しく雑巾で拭いたり、歯ブラシで擦る時には柔らかいものを使用したりするなど壁紙に適した取り除き方をしましょう。
頑固なカビにはプロの手を借りることも検討する
繁殖しだした黒カビは薬剤に対して強い抵抗性を示すことがあるため、広範囲に侵食したカビについてはプロの手を借りることも検討した方が良いでしょう。
壁紙にカビを発生させないためのポイント7つ
軽度のカビであれば取り除けるとはいえ、やはり壁紙にカビを生やさないことが理想的です。
こまめに部屋を換気する
晴れた日は窓を開けて、お部屋の湿気を追い出しましょう。換気扇や扇風機を併用するとより効果的です。ただし、雨の日は外の湿気を取り込む可能性が高いため、避けた方が良いでしょう。
除湿機を使用する
家の湿度を下げるため、湿度の高い梅雨や冬場の結露には、除湿機の使用もおすすめです。また、室内干しの際にも除湿機を使用することで、湿度の上昇を抑えられます。
家具と壁の間にスペースを作る
狭い隙間ほど、カビの元となる湿気やほこりが溜まりやすいといわれています。タンスなどの家具なら5cmほど、冷蔵庫など湿気を出す家電は10cmほどスペースを作ることで掃除がしやすく、空気も通りやすくなるためカビ発生が緩和されるでしょう。
結露対策をする
窓ガラスに新聞紙を貼りつけたり結露防止シートを使用したりして結露を抑えましょう。結露の水分が壁紙に吸収されて、カビが発生するという負のスパイラルを予防できます。
月に1度掃除する
壁紙にカビを発生させないためにも、月に1度掃除をしましょう。カビの栄養源であるほこりや汚れを取り除くだけでも、繁殖の防止につながります。
セスキ炭酸ソーダを活用してみる
アルカリ性の洗剤であるセスキ炭酸ソーダは、カビの栄養となる汚れの除去や菌の働きを抑える効果がみられるカビ対策に有効なアイテムです。掃除の際にセスキ炭酸ソーダを活用することで、より高い予防効果が期待できるでしょう。
セスキ炭酸ソーダつくり方
- セスキ炭酸ソーダ(小さじ1/2)と水(200ml)をスプレーボトルに入れる。
- セスキ炭酸ソーダが溶けきるように振れば完成。
セスキ炭酸ソーダで壁紙のカビを取り除く方法
- 壁紙にスプレーを吹きかける。
- 乾いた布で優しく拭き取り、完了。
壁紙の張り替えや塗装をおすすめしない理由
広範囲に広がっている壁紙のカビの場合、下地まで根を張っている可能性が高いため、カビを除去せずに壁紙だけを張り替えると再発するリスクがあります。
また、壁紙のカビを隠そうと上から塗装すると、一時的に見た目は良くなるものの塗装の中でカビが増え、さらに広い範囲で壁紙や壁材が劣化してしまうこともあるのです。
そのため、カビの除去ができていない状態での壁紙の張り替えや塗装はおすすめしません。ご自身で壁紙のカビを根元から取り除くのが難しい場合は、プロの手を借りることを検討してみるのも良いでしょう。
クロスにカビが発生すると、見た目だけでなく健康にも悪影響を及ぼします。小さなお子様やご年配の方がいるご家庭は特に注意が必要です。内装マスターは、クロスの張替えを、迅速かつ丁寧に施工いたします。お客様のご予算に合わせた最適なクロスをご提案いたしますので、お気軽にご相談ください。
おわりに
このコラムではカビができる原因やカビによる健康被害、壁紙の素材ごとのカビの取り除き方を解説してきました。初期のカビであれば簡単に対処できる場合もありますが、カビが広範囲に出ている場合は、プロに依頼すると安心できるでしょう。家族の健康のためにも、壁紙のカビを放置することなくしっかりと対処していきましょう。