断捨離とは、ただものを捨てることだけを指しているのではないことをご存知でしょうか?本コラムでは、断捨離とはいったい何か、手順やスムーズに進めるコツ、部屋をきれいに保つための注意点などをご紹介していきます。「断捨離をしてみたいけれど、どこから手をつけて良いか分からない」など、お悩みの方はぜひ参考にしてみてください。
1. 断捨離とはいったい何?
断捨離という言葉の意味や断捨離がもたらす効果など、基本的な情報をまとめていきます。
1-1.断捨離とは
断捨離とは、住まいと心の中のガラクタをコンサルティングするクラター・コンサルタント、やましたひでこ氏が提唱した考え方です。「断」はいらないものを断つ、「捨」はいらないものを捨てることを指し、「断」と「捨」を繰り返していくと、ものに対する執着から離れられる「離」の状態になれると定義づけられています。つまり、ただものを捨てるだけでなく、捨てることで身軽に生きていこうという考え方が断捨離というわけです。
1-2.断捨離の効果は?
断捨離をすることで、どういった効果が期待できるのでしょうか?項目に分けて見ていきましょう。
・時間を有効に使える
ものが少なくなることで、「何かを探す」手間が少なくなり、時間を有効に使うことができるようになります。例えば洋服選びの時間は短く済み、印鑑や通帳などたまにしか使わないけれど大切なものがあると思っていた場所にない、といったことが起きにくくなるのです。
・お金が貯まりやすくなる
いらないものを断つ気持ちを常に持つようにしておけば、何かを購入するときには本当に必要かどうか自然と考えるようになります。また、ものが少ない分どこに何があるかも把握しやすいため、同じものを購入してしまうことも減るでしょう。
さらに、いらないものは捨てるという気持ちも併せて持っておくと、不要だと感じたものをリサイクルショップなどで売ることにより、臨時収入を得られるかもしれません。ものを買いすぎず、不要なものを売ることにより、お金が貯まりやすくなるのです。
・心にゆとりができる
物が多い生活をしていると、視界に入る情報の多さによって知らない間にストレスが溜まっていくとされています。さらに「いつか捨てよう」という気持ちが心の片隅にあり、片づけることを先延ばしにしていくことでも気が重くなってしまうのです。断捨離を行えば、ものが多いストレスから解消され、心にゆとりができるでしょう。
1-3.断捨離とミニマリストの違い
断捨離と同じように使われる言葉としてミニマリストがありますが、両者の意味は異なります。断捨離は生活に最適なものを最適な量持つことを意味するのに対し、ミニマリストは最小限の持ちものだけで暮らす方のことを意味するのです。
断捨離とミニマリスト、どちらも本当に大切にしたいものだけを選びぬくことで生活を豊かにしようという考え方は共通しています。断捨離を続けていれば、ミニマリストのような生活に近づいていくこともあるでしょう。
2.断捨離の手順は?
2-1.STEP1.場所ごとに取り組む
部屋全体を少しずつ片づけていこうと考えていると、片づけ始める前より散らかってしまうことも多くあります。そのため玄関、クローゼット、キッチン、デスク周り、洗面所など片づける部分を決めて、場所ごとに取り組んでいきましょう。どこから片づけるか迷った場合には、簡単に片づけられそうな場所や目につきやすい場所から片づけ始めるのがおすすめです。
置き場所に困ったらとりあえず押し入れやクローゼットにしまってしまう、という方も多いと思います。とりあえず収納に押し込めば見た目的には片づきますが、ものは減らないので断捨離にはなりません。さまざまなものが押し込まれている収納場所も、忘れずに断捨離するようにしましょう。
2-2.STEP2.全部出して分類
断捨離の最初の工程となるのは、棚やクローゼットのものを全部出すこと。出したものについて、必要か不要か考えながら分けていきます。
以下の順番で不要なものだと判断していくことで、断捨離がスムーズに進むでしょう。
- 一目でゴミだと分かるもの(紙くずやペットボトル・粗大ごみ)
- 粗品やもらったもの(使わないタオルや洗剤など)
- 量が多いと感じるもの(洋服など)
- 買い直せるもの(金額の小さいもの)
また、必要だと判断したものでも、今持っている「数」が本当に必要かどうか考えなければなりません。例えば洋服やタオル、食器などについては、生活していくうえで多すぎる場合もあるでしょう。普段の生活に加えて来客時などのことも踏まえ、本当に必要な数から少し余裕を持って必要数を決めていくのがおすすめです。
断捨離をしていると、「これは本当に必要/不要か?」と悩んでしまう場面は少なくありません。そういったときには、必要・不要に「保留」も加え、3つに分けて分類してみましょう。いったん保留にできることで、断捨離が進めやすくなるはずです。
2-3.STEP3.必要なものをジャンル分けして片づける
つづいて、必要なものを使用頻度の高さを基準にして、ジャンル分けして片づけていきましょう。よく使うものは取りやすい場所に、あまり使わないものは奥の方や高い場所に収納すると、使いやすく整理できます。
2-4.STEP4.保留にしたものは時間を置いて判断する
捨てすぎ、残しすぎにしないためにも、必要か不要かの判断は重要です。そのため迷って保留にしたものはすぐにいるかどうか決めるのではなく、少し時間を置いて判断すると良いでしょう。とはいえ、ずっと保留にしておいては片づかないばかりか、保留にしたことを忘れてしまう可能性もあるため、1ヵ月など保留にする期限を設けておくようにしてください。
思い出に関するものは、絶対に必要なものではないけれどなかなか捨てられないと思います。ある程度踏ん切りをつけて処分することも必要ですが、落ち込んだときの励みにするためにもすべて処分する必要はありません。専用の思い出ボックスなどを作り、1ヵ所にまとめておくのが良いでしょう。
3.スムーズに断捨離を進めるコツは?
「断捨離の進め方は分かったけれど、きちんとできるか心配」という方もいると思います。ここでご紹介するコツを押さえておけば、スムーズに断捨離を進められるでしょう。
3-1.一度に終わらせようとしない
一気に片づけようとすると、ものがあまりにも多いことからやる気を失ってしまったり、途中で挫折してしまったりするかもしれません。また1日中片づけをすると疲れてしまうためにどんどん先延ばしになり、いつまでも断捨離が進まないといった可能性もあります。
断捨離をしようと心に決めたのであれば、1日ではなく何日かかけて片づけるようスケジュールを立てるのが良いでしょう。毎日少しずつ片づけていくことで、だんだんときれいな部屋に近づけていけますよ。
3-2.断捨離する期限を決める
何日かかけてスケジュールを立てるようにと述べましたが、それに加えて断捨離する期限を決めておくことも重要なポイントです。終わりを決めておかないとズルズルと片づけを進めてしまい、どれだけ時間が経過しても全く片づいていないという事態が起こりかねません。
どの場所をいつまでに断捨離していくかの目安はもちろん、先ほど触れたように保留にしたものに関しても期限を設け、その期限を守って断捨離していくようにしましょう。
3-3.大きなものから捨てる
部屋が広くなったと実感できるのは大きいものがなくなるときなので、大きなものから捨てるようにすると断捨離がはかどるでしょう。
新たに購入を考えるときにも大きなものは部屋を割く面積が大きいことを念頭に置き、部屋に設置したときにどのようになるかきちんとイメージしたうえで、購入するかどうかの判断をしましょう。
3-4.どんな暮らしがしたいのかを考える
「断捨離がなかなか進まないな…」と悩んでいる方におすすめしたいのが、断捨離後どのような暮らしがしたいのかを考えることです。テレビや雑誌、インテリア情報のWEBサイト、SNSなどを見ながら、ご自身にとっての理想の暮らしを思い描いてみましょう。
理想の暮らしが具体的に思い描けるようになれば、あとは断捨離をするだけだと前向きに取り組めるはずです。憧れの暮らしと部屋の現状があまりに違いすぎて落ち込むこともあると思いますが、少しずつでもものを減らさなければ理想には近づけません。憧れを胸にご自身を奮いたたせ、コツコツと断捨離を続けましょう。
4.アイテム別断捨離のコツ
効率的に断捨離するには、アイテムによって異なるコツを押さえなければなりません。片づけ方に迷ってしまう場面が多いアイテムを厳選して、断捨離のコツをお伝えしていきます。
4-1.洋服やバッグ、靴の断捨離
四季の移り変わりによって異なるものを使うために数が多くなってしまいがちな洋服やバッグ、靴は、断捨離に悩むアイテムです。「冠婚葬祭で使うもの」「身につけると気分が上がるもの」このどちらも満たさず、1年以上身につけていないアイテムは処分することを検討してください。
なかなか処分する決断ができないという場合には、一度身につけてみると良いでしょう。体型が変わったり年齢を重ねたりしたことで、なんだかしっくりこないというアイテムが見つかるかもしれません。傷みの少ないアイテムに関しては、リサイクルショップやフリマアプリなどを利用して、捨てずに売るのもおすすめです。
4-2.食器やキッチンツールの断捨離
食器やキッチンツールは、買ったりもらったりしたもののほとんど使わずに棚の奥に仕舞われているアイテムも多いのではないでしょうか。洗いにくさや扱いにくさから使用することがほとんどないものや、引き出物でもらって仕舞いっぱなしのものなどは、思い切って処分してしまいましょう。
ご自身の中で処分する基準を決めておくと、スムーズに処分することができます。例えば1つあれば生活するうえで問題ないものは1つだけ残して処分する、複数必要なものは必要な数だけ残して処分するなど、ルールを決めてみましょう。スペースに余裕ができることで、毎日の料理もしやすくなるはずです。
4-3.本や雑誌の断捨離
気が付いたら部屋に積み上げられている本や雑誌に辟易してしまう方も多いかもしれません。今後読み返さないであろう本や情報が古くなってしまった本、まだ読んでいないものの読む気にならない本は処分の候補になります。
また本に関しては、思い切ってたくさん処分して電子書籍で買いなおすというのも1つの手です。電子書籍に切り替えて、紙で手元に置いておきたい本だけを購入するようにすれば、本や雑誌が増え過ぎることはないでしょう。
4-4.書類の断捨離
1枚1枚はペラペラですが日々増え続けることで積みあがっていく書類も、断捨離に困ってしまうアイテムです。不動産や保険関係など権利や契約に関する必要書類以外は、基本的にとっておく必要はありません。サービスの案内など普段使う書類だとしても、WEBサイトで閲覧できるものであれば処分できます。
見返したい書類に関しては、スマートフォンで撮影したりスキャナーで取り込んだりして、電子で保管しておくと良いでしょう。処分する際に個人情報の扱いに困って捨てられない場合には、シュレッダーを利用すると処分しやすくなります。
5.断捨離後のきれいな部屋をキープするコツと注意点
断捨離をしても、またすぐに散らかってしまっては意味がありません。きれいな部屋を保つためにはどうすれば良いのでしょうか?
5-1.新しいものを買うときはよく考えて
新しいものを買うときは「本当に必要なものか」、慎重に考えるよう心がけましょう。そして、新しいものを購入したら古いものを買った分捨てるというように、ものを増やさないよう努力してください。新しいものを買うときには、レンタルやサブスクがないかも確認しておくと良いでしょう。レンタルやサブスクであれば使わなくなったら返却すれば良いので、自宅にものが増えることはありません。
5-2.自身の適量を理解することが大事
タオルは洗い替えに2枚あれば良いという方もいれば、洗濯の頻度が高くないから4枚は必要という方もいるでしょう。このように、人によって物の適量は異なります。断捨離をするときにはご自身の適量をきちんと把握したうえで処分していくことが大切です。同居している方がいる場合には、お互いの適量をきちんと把握しておきましょう。
5-3.人のものは断捨離しない
配偶者が収集しているコレクションやもう使っていない子どものおもちゃなど、ご自身にとっていらないと感じるものも、その人にとっては大切なものかもしれません。勝手に捨てて悲しい気持ちにさせないためにも、人のものを勝手に断捨離するのはやめましょう。まずはご自身のものを断捨離し、どうしても処分したいのであれば、必ず許可をとるようにしましょう。
おわりに
ただ単に片づけることだけを示しているのではなく身軽に生きていくための術でもある断捨離は、ストレスを感じることの多い方こそ取り入れていきたい考え方です。ご紹介したようなコツさえ押さえれば、どなたでも簡単に断捨離をすることができます。部屋をスッキリさせて快適な毎日を過ごすためにも、断捨離を取り入れてみませんか?