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【医師監修 】血圧が高いのはなぜ?高血圧の原因やリスク、対策方法を解説

【医師監修 】血圧が高いのはなぜ?高血圧の原因やリスク、対策方法を解説
工藤 孝文 内科医

監修者

内科医

工藤 孝文

福岡大学医学部卒業後、アイルランド、オーストラリアへ留学。現在は、自身のクリニック:みやま市工藤内科院長として「世界一のかかりつけ医」を目指して、日々、地域医療に力を注いでいる。門は、糖尿病・高血圧・脂質異常症などの生活習慣病、漢方治療・ダイエット治療など多岐にわたる。「患者さんに寄り添い、心と体を整える」をモットーに診療を行っている。日本内科学会・日本糖尿病学会・日本肥満学会・日本東洋医学会・日本抗加齢医学会・日本女性医学学会・日本高血圧学会・・日本甲状腺学会・日本遠隔医療学会・小児慢性疾病指定医。

「血圧が高くて気になる..」「なぜ高血圧はいけないの?」「血圧が高くなる原因・対処法が知りたい」このような悩みを持つ方が、多いのではないでしょうか。高血圧の原因が分からないと、対処もできなくて不安になりますよね。高血圧を放置してしまうと、脳卒中などの重い病気にかかる恐れがあります。

このコラムは、血圧が高くなる原因とその対処法を解説します。なぜ高血圧が危険なのかも解説するので、ぜひ最後までお読みください。

高血圧の基準とは

日本高血圧学会の高血圧診断基準では、最高血圧が140mmHgを超える、もしくは最小血圧が90mmHgを超えると高血圧だといわれています。また、最高血圧が120mmHg未満かつ最低血圧が80mmHg未満が正常値といわれています。

自宅で測定する「家庭血圧」の際には、基準値よりおおよそ-5mmHgで計測しましょう。これは、もし病院で計測した場合、慣れない環境に緊張して血圧が上がってしまうケースがあるためです。健康診断などで高血圧と診断されても、自宅では正常値が出るケースも考えられる点には注意が必要です。

血圧が上がる代表的な原因6選

高血圧になる最大の原因は生活習慣です。遺伝的に高血圧になりやすいケースもありますが、基本的には生活習慣が高血圧を引き起こしています。

肥満

肥満体型の方は、一度に大量の血液を送り出す必要が出てきてしまうため血圧が上がります。身体が大きい分、血液を全身に行き渡らせる際に必要な血圧が高くなるためです。現在、肥満体型でなかったとしても、運動不足や食生活次第では肥満につながることもあるため注意しましょう。

塩分

塩分を摂り過ぎると、血液中の塩分濃度が高くなって、高血圧の原因になります。人間の身体は、水分と塩分それぞれが一定の濃度で保たれています。塩分が増えてしまうと、身体はバランスを保つため、塩分濃度を下げなければなりません。塩分濃度を下げるために水分が身体のなかに溜め込まれると、その結果血液量が増えてしまい、血管にかかる圧力が増して血圧が上がります。

カリウムの摂取不足

カリウムは野菜や果物に多く含まれていて、体内の余分な塩分を構成するナトリウムを排出してくれます。カリウムが不足すると、ナトリウムが充分に排出されません。その結果、血液中の塩分濃度が上がり、血液量が増えて血圧が上がってしまいます。

喫煙

たばこに含まれている「ニコチン」という成分は、交感神経を刺激して、血圧を上昇させるホルモンを分泌させます。ニコチンによって血管が収縮して、血液の粘度が高くなることで血流が低下します。

血流が低下してしまったら、全身の細胞に対して、新鮮な栄養素と酸素を満足に届けられません。栄養素と酸素が全身の細胞に行き渡らないと、改善のためにストレスホルモンがたくさん分泌されて、交感神経の働きが活発になり、血圧が上がります。

ストレス

ストレスが原因で分泌されるアドレナリンとノルアドレナリンは、心拍数を高め、交感神経を刺激して血管を収縮させます。人間はストレスを受けることで、副腎ホルモンが脳から分泌されます。このホルモンの刺激によって、副腎からアドレナリンが、神経の末端からノルアドレナリンがそれぞれ分泌されてしまうのです。

大量の飲酒

お酒の飲みすぎは、血圧が上がる原因になります。日本酒なら1合、焼酎は1/2合弱、ビールは中ビン1本、ワインはグラス2杯弱、ウイスキーやブランデーはダブル1杯程度の量であれば、毎日飲んでいても大きな影響はありません。ただ、基準量以上のお酒を飲んでいる方は、血圧が高くなりやすいので注意が必要です。

高血圧をそのままにすると「動脈硬化」の原因になる

血圧機器

高血圧をそのままにしてしまうと、動脈硬化という症状が引き起こされます。動脈硬化は、血管が硬くなり、柔軟性が失われた状態です。高血圧の状態が長く続くと、血管はいつも張りつめた状態におかれます。張りつめた血管は徐々に厚く、硬くなっていきます。この状態が動脈硬化です。

動脈硬化の進行中、特に症状が出るわけではありません。そのため症状の自覚がしづらく、気付かないまま悪化しやすいです。動脈硬化を放置すると、血液を送り出すときの圧力で血管がダメージを受け続け、心筋梗塞や脳卒中などの重い病気を引き起こしてしまいます。

動脈硬化が進行する前に高血圧に気付かないと重い病気を引き起こしてしまうため、血圧を正常に保つ必要があります。

動脈硬化が引き起こす3つの病気

動脈硬化は、心筋梗塞や脳卒中など、さまざまな病気を引き起こします。日常生活に大きな影響を及ぼす病気も少なくありません。高血圧を放っておくとどうなってしまう可能性があるのかを確認してみましょう。

心筋梗塞

心筋梗塞は「冠動脈」という、心臓を動かすのに必要な酸素を送る血管の動脈硬化が進行することで起こります。プラークという、悪玉コレステロールなどが血管の壁に溜まることでできるこぶのような塊が破裂して起こる病気です。心筋梗塞になってしまうと、冠動脈が完全に閉鎖されてしまい、心筋への血流が途絶えてしまいます。

主な症状には以下のようなものがあります。

  • 胸が押しつぶされるような痛み
  • 締めつけられるような痛み
  • 冷や汗
  • 吐き気
  • 嘔吐失神
  • 焼けるような胸の重苦しさ

痛みの症状が出ない無痛性心筋梗塞もあり、こちらは高齢者や糖尿病の方に起こりやすいです。日常生活に多大な悪影響を及ぼし、発症すると約40%が死に至るといわれています。

狭心症

狭心症は、心臓の冠動脈が詰まって狭くなり、身体に酸素や栄養分が充分に届かなくなる病気です。心筋梗塞とよく似ていますが、狭心症は冠動脈が狭まっていて、いくらか血流がある状態をいいます。一方で心筋梗塞は、冠動脈が完全に塞がり、血流が全くなくなった状態です。狭心症の症状は、心臓に負担の掛かる行動をとった時に出ます。また、以下のような状況のときも症状が出ます。

  • 運動中
  • 心理的なストレスを受けたとき
  • 急に寒いところに移動したとき

おもな症状は、胸の痛みや締め付けられるような圧迫感です。坂道や階段を上る、重い荷物を持つなどの行動をしたときに、胸が急に痛くなったり、締めつけられるような圧迫感が出たりします。

脳卒中

脳卒中は、脳の血管が詰まったり破れたりすることで、血液が脳に届かなくなってしまい、脳の神経細胞に障害されて起きる病気です。脳卒中の原因は以下の4つです。

  • 脳出血(脳の血管が破れる)
  • 脳梗塞(脳の血管が詰まる)
  • くも膜下出血(動脈瘤が破れる)
  • 一過性脳虚血発作(脳梗塞の症状が短時間で消える)

動脈硬化がきっかけで症状が起こります。脳卒中は、動脈硬化による血液の供給不足や血管の痛み、破綻によって引き起こされます。おもな症状は以下のようなものです。

  • 片方の手足や顔半分の麻痺・しびれ
  • 激しい頭痛が起こる
  • 立てない、歩けない、フラフラする
  • ものが二つに見える、視野が半分欠ける、片目が一時的に見えなくなる
  • 呂律が回らなくなる、うまく言葉を話せない、他人の言っていることを理解できなくなる

寝たきりになったり、要介護者の原因の3割以上になったりなど後遺症が重く、日本人の死因第3位の病気です。高血圧による動脈硬化が大きな原因なので、こまめに血圧をチェックしておく必要があります。

参照元:国立研究開発法人 国立循環器病研究センター「脳卒中

血圧を下げるためにできること7選

血圧を下げるためには、食生活や運動などの生活習慣の改善が大切です。こちらでは血圧を下げるためにできることを7つ紹介しますので、少しずつできることから始めてみましょう。

塩分摂取量を減らす

日本高血圧学会は、1日に推奨される食塩摂取量を6g以下としています。その一方で、日本人の平均食塩摂取量は9.7gとされています。

塩分量をすぐ減らすのは難しいです。そのため、コショウや唐辛子、酢やオリーブオイルなど、別の調味料を使ってみるのがおすすめです。なかでも、カツオや昆布の出汁は、ビタミン・ミネラルも摂れるので、特に推奨されています。

血圧を下げるのに効果的な食べ物を食べる

塩分を減らす他に、カリウムやマグネシウムといった血圧を下げる効果がある栄養素を摂ることもおすすめです。カリウム・マグネシウムは以下のような食品に含まれています。

  • 野菜
  • 果物
  • ナッツ
  • 海藻

禁煙する

ニコチンには血管の収縮機能があるため、たばこを吸うと血圧が高くなります。血圧を低くしたいのであれば、禁煙することをおすすめします。ただ、たばこは依存性が高いものなので、いきなり吸うのを止めるとストレスになる可能性があります。1本ずつ減らしたり、周りの人に協力してもらったりして、段階を踏んで禁煙を進めていきましょう。

お酒を控える

複数の研究で、1日の飲酒量が多いほど血圧の平均値が上がったという報告があります。純アルコール量換算で1日約20g程度が適量です。缶ビール500mlが適量となるので、飲みすぎには注意しましょう。また、お酒を飲むときにおつまみを食べる方は、塩分の少ないものに変えることで、より血圧を下げることにつなげられます。脱水症状を回避するために、水を飲むのもおすすめです。

ストレスを溜めない

血圧を下げるために生活習慣を変えるのは大事ですが、適度なストレス解消も同じくらい大切です。食生活を整えたり、お酒を控えたりするのも、我慢し過ぎてしまうのも身体に良くないので、最初から頑張り過ぎない方が良いでしょう。気付かないうちにストレスが溜まっていることもあるので、ご自身なりの解消方法を探してみてください。

1日30分以上の有酸素運動をする

1日30分以上の有酸素運動を続けることで、その直後から収縮期血圧を5mmHgほど下げることができ、ほぼ丸一日効果は続きます。ただ、普段身体を動かす習慣がない方が、いきなり30分以上運動するのは難しいです。ウォーキングなど簡単にできることから始めてみるのが良いでしょう。

睡眠を7時間以上取る

血圧を下げるためには、7時間以上の充分な睡眠を取るのが大事です。睡眠時間が少ないと、早朝と夜の血圧が上がりやすくなってしまいます。早朝・夜の高血圧は病気につながりやすいので、注意しましょう。

血圧は、肥満体型や塩分の摂り過ぎなどが原因で高くなります。高血圧は動脈硬化を引き起こし、大きな病気につながる可能性があるので、注意が必要です。
血圧を下げるための工夫は、どれも日常生活にすぐ取り入れられるものばかりです。運動を始めたり、たばこやお酒を控えたりするなど、できることから少しずつ始めてみてください。

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