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バターとマーガリンの違いとは?共通点とおすすめの使い分け方法を知ろう

バターとマーガリンの違いとは?共通点とおすすめの使い分け方法を知ろう
セゾンのくらし大研究 編集部

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バターとマーガリンは、見た目や使い方が似ているため、何が違うのだろうと疑問を抱く方も多いでしょう。そこで、このコラムでは、原料をはじめ、保存方法や賞味期限など基本的な違いはもちろん、ファットスプレッドとの違いや身体に及ぼす影響などについて詳しく解説します。食品の知識を深めたい方、健康的な食事を目指している方は、ぜひ参考にしてください。

バターとマーガリンの違いとは?

1.バターとマーガリンの違いとは?

バターとマーガリンの違いを深掘りしていきましょう。

原料の違い

バターは、牛乳から分離したクリームを撹拌操作によって塊状に集めたものです。すなわち、乳脂肪が原料になっています。

一方、マーガリンは主に食用油脂を原料とし、食塩や乳化剤、着色料など、さまざまな成分を混合させた加工食品です。原料には、コーン油・大豆油・パーム油・なたね油などの植物性油脂が主成分として使われています。また、植物性油脂は種類が豊富であることから、原料の組み合わせ次第で固さや風味の違う商品を生み出せることも、マーガリンの特徴です。

製造方法の違い

バターの製造方法は、まず生乳を遠心力により、クリームへ分離させるところから始まります。その後、クリームを加熱殺菌して冷却、撹拌して乳脂肪を凝集します。バターの風味をより良くするため、水洗や加塩工程などを経て、ようやくバターができあがります。

マーガリンは、精製した食用油脂に、水・食塩・粉乳をはじめとする乳成分、ビタミンなどを加えて混合乳化して作られています。殺菌後、急速冷却して固め、練り上げることで完成します。

バターとマーガリンは原料が違うだけでなく、製造工程も異なります。製造工程は、バターが「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(乳等省令)」、マーガリンが「日本農林規格(JAS規格)」にて定められています。

栄養成分の違い

バターとマーガリンに含まれる栄養成分には、以下が挙げられます。

  • たんぱく質
  • 脂質
  • 炭水化物
  • カルシウム
  • ビタミンA
  • ビタミンB1
  • ビタミンB2など

このように、どちらにもさまざまな栄養成分が含まれていますが、大きな違いはビタミンAの含有量です。

100g当たりのビタミンAの含有量を見比べてみましょう。

  • バター    520μg
  • マーガリン    25μg

ビタミンAは、視覚をはじめ、心臓や腎臓などさまざまな器官の機能のサポートに欠かせない栄養素の一つです。そのビタミンAが、バターには豊富に含まれています。

また、バターとマーガリンの脂質量は、同程度の含有量ですが、原料が違うことから脂肪酸やコレステロールの量が変動します。

味の違い 

味で大きく違う点は、コクの奥深さでしょう。バターは、原料が牛乳からできているため、牛乳特有の芳醇な香りとクリーミーさで濃厚な味わいが楽しめます。一方、マーガリンは、あっさりとした味わいが特徴です。

また、マーガリンは、原料の組み合わせにより多様性があるため、さまざまな商品が販売されています。例えば、クセがなく口溶けが良いもの、クリーム仕立てであっさりとしたものなど、好みの味を選べるところも魅力です。

値段の違い 

「バターは、マーガリンに比べて値段が高いな」と感じている方もいるのではないでしょうか。実際の商品を比べてみると、価格の違いは一目瞭然です。

今回は、目にする機会の多い「雪印メグミルク」の商品を見比べてみましょう。

  • 雪印北海道バター     200g 410円(税別)
  • ネオソフト(マーガリン) 300g 320円(税別)

ご覧のとおり、バターの値段の方が高いことがわかりますね。

バターの値段が高い理由のひとつが、バターの大量生産が難しいことです。バターは、生乳の脂肪分が原料であるため、大量生産が難しいといわれています。

一方、マーガリンは、食用油脂を原料に必要な成分を混合して加工するため、比較的大量生産しやすくなっています。そのため、マーガリンの方がお手頃な価格で手に入るという訳なのです。

賞味期限の違い 

賞味期限とは、未開封で正しく保存していれば、記載の年月までおいしく食べられる期限のことです。

バターとマーガリンの賞味期限は、以下のとおりです。

  • バター   約6ヵ月
  • マーガリン 約8ヵ月~9ヵ月

生乳が原料であるバターは、マーガリンに比べて賞味期限が短くなっています。一度開封したものは、バター、マーガリンにかかわらず鮮度が落ちてしまうため、なるべく早めに使い切りましょう。

ファットスプレッドとの違いは? 

2.ファットスプレッドとの違いは? 

マーガリンのパッケージを見ると、「ファットスプレッド」と書かれているものがあるのをご存知でしょうか。ファットスプレッドとは、マーガリンの一種です。マーガリン類は、日本農林規格(JAS規格)で成分規定が設けられており、マーガリンとファットスプレッドの2つに分類されています。

マーガリンとファットスプレッドの油脂含有率は以下のとおりです。

  • マーガリン     80%以上
  • ファットスプレッド 80%未満

ファットスプレッドの特徴は、マーガリンに比べて油脂含有率が低く、軽い味わいであること。また、ファットスプレッドは、バターやチョコレート、果実加工品など、フレーバーを足すことができます。

ちなみに、バターも乳脂肪分80%以上という、「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(乳等省令)」の成分規定が設けられています。

バターとマーガリンの共通点とは? 

3.バターとマーガリンの共通点とは? 

バターとマーガリンの違いが分かったところで、共通点を見てみましょう。

カロリー

バターとマーガリンのカロリーは、ほとんど同じです。

100g当たりのカロリーを見比べてみましょう。

  • バター   700Kcal
  • マーガリン 715Kcal

さらに、脂質も同程度含まれていますので、どちらも大きな違いはないといえるでしょう。

また、先ほど取り上げた「ファットスプレッド」に関しては、カロリーと脂質が低い傾向にあります。ダイエット中の方、カロリーをなるべく抑えたい方は、ファットスプレッドを選んでも良いかもしれませんね。

どちらも代用OK

マーガリンは、1869年にフランスでバターの代用品として生まれたもの。バターの代わりにマーガリン、マーガリンの代わりにバター、どちらの代用も可能です。しかし、代用できるとはいっても、全く同じ味に仕上がるという訳ではありません。なぜなら、バターとマーガリンは原料に違いがあるためです。バターの代用としてマーガリンを使った場合、牛乳特有の香りや風味などがどうしても劣ってしまいます。代用する際は、この点を理解したうえで、活用すると良いでしょう。

バターとマーガリンの使い分け方法 

4.バターとマーガリンの使い分け方法

バターとマーガリンの違いは、使い方にも影響を与えています。それぞれの使い分け方法をご紹介しましょう。

コクや風味が欲しいならバター

バターは、加熱しても風味を損ねる心配がないため、炒め料理や煮込み料理など、加熱する料理におすすめです。例えば、バターソテーやムニエル、カレーなど、コクや風味をプラスしたいときに使うと良いでしょう。

また、ケーキやパン、焼き菓子など、お菓子作りにもバターは向いています。バターの種類が変わるだけで、味わいに変化が起きる程、お菓子作りはとても繊細。しかしながら、最近ではケーキ用のマーガリンなど、マーガリンでもお菓子作りに特化した商品も販売されていますので、扱いやすいものを選ぶと良いでしょう。

サクッと軽い仕上がりにしたいならマーガリン

マーガリンは、バターに比べ、柔らかくなめらかで扱いやすいという特徴があります。そのため、パンに塗りやすく、トーストしたパンやサンドウィッチに向いているといえるでしょう。

それだけでなく、マーガリンはサクッと軽い仕上がりにしたい時にもおすすめです。例えば、スポンジケーキやクッキー、タルトなど、歯切れの良いあっさりとした味わいに仕上げることができます。

風味を大切にしたいときはバター、口当たりを軽くしたいときはマーガリンというように、使い分けると良いかもしれませんね。

バターやマーガリンが健康に悪いって本当? 

5.バターやマーガリンが健康に悪いって本当?

「バターとマーガリンは、たくさん食べると健康に悪い」という言葉を耳にしたことがある方も多いはず。特に、マーガリンに対して、身体に良くないイメージを持っている方が多いかもしれませんね。では、本当に健康へ悪影響を及ぼすのか、バターとマーガリンの違いを踏まえながら見ていきましょう。

トランス脂肪酸が身体に悪いの?

バターやマーガリンが健康に悪いとされている原因は、トランス脂肪酸が関係しているといわれています。トランス脂肪酸とは、油脂の中に含まれる脂肪酸の一種です。

トランス脂肪酸は、天然で食品に含まれているものと、油脂を加工精製することによってできるものがあり、天然ものにはバター、加工品にマーガリンが該当します。では、なぜトランス脂肪酸が健康に悪いといわれているのでしょうか。理由を探ってみましょう。

その理由は、トランス脂肪酸を摂りすぎた場合、以下の症状が現れる恐れがあるためです。

  • 血液中のLDLコレステロールが増加する(通称:悪玉コレステロール)
  • 血液中のHDLコレステロールが減少する(通称:善玉コレステロール)

両者の症状は、動脈硬化症を進行させるリスクがある他、日常的に多く摂取してしまうと、少ない場合に比べ、心筋梗塞や心筋症など心臓病のリスクが上がると考えられています。このように、トランス脂肪酸の過剰摂取によって健康に影響を及ぼす可能性があることが、身体に良くないイメージを生み出しているのかもしれません。

ただ、不飽和脂肪酸には悪い面だけでなく、良い面もあります。それは、身体の組織機能をサポートするために欠かせない必須脂肪酸「リノール酸」も含んでいることです。主にリノール酸は、植物油に含有しているため、マーガリンに含まれています。必須脂肪酸は、人の身体の中ではつくれない大切な栄養素です。そのため、マーガリンは身体に悪影響を及ぼすだけではないといえますね。

トランス脂肪酸はバターとマーガリンどちらが多いの?

では実際、バターやマーガリンにはどれくらいのトランス脂肪酸が含まれているのでしょうか。

100g当たりのトランス脂肪酸含有量(平成26・27年度調査結果/農林水産省)は以下のとおりです。

  • バター   平均1.7g(最小0.65~最大5.8)
  • マーガリン 平均0.99g(最小0.44~最大16)

上記のデータからわかるように、平均値で見るとバターの方がトランス脂肪酸の含有量が多い結果となっています。

ちなみに平成19年日本食品分析センターの調べでは、100g当たりのトランス脂肪酸含有量は以下のとおりです。

  • バター   平均1.951g(最小1.710~最大2.210)
  • マーガリン 平均8.057g(最小0.356~最大13.489)

以前は、トランス脂肪酸の含有量はマーガリンの方が圧倒的に多かったのですが、平成26・27年度の調査ではかなり減少しています。なぜ、ここまでマーガリンのトランス脂肪酸の含有量が減っているのでしょうか。

その理由には、マーガリンの食品製造者が自主的にトランス脂肪酸含有量の低減に取り組んでいることが挙げられます。「マーガリンは健康に悪い」「マーガリンは危険」など、悪いイメージの払拭に挑んでいる結果の現れなのです。

しかし、マーガリンのトランス脂肪酸の含有量は減っていますが、商品によってバラつきがあります。そのため、バターとマーガリンにかかわらず、商品によりトランス脂肪酸の含有量は変動するといえるでしょう。とはいえ、WHOが目標を掲げるトランス脂肪酸の摂取量は、「総エネルギー摂取量の1%未満」。日本人の平均で計算すると、1人当たり約2g未満になるため、摂取量に対してそこまで神経質にならなくても心配ないでしょう。

バターとマーガリンはどちらが太るの?

トランス脂肪酸の過剰摂取は、肥満をはじめ、生活習慣病のリスクを高める可能性があると考えられています。しかし、バターとマーガリンのトランス脂肪酸の含有量は、商品によって異なることから、どちらかが極端に太りやすいとはいえないでしょう。

バターとマーガリンの保存方法とは? 

6.バターとマーガリンの保存方法とは?

では最後に、バターとマーガリンの保存方法について、ご紹介します。

バター

バターの保存方法は、冷蔵保存と冷凍保存の2パターンがあります。

①冷蔵保存の場合

バターは、28~33℃で溶けてしまうため、10℃以下で保存するようにしましょう。保存する際のポイントは、2つです。

1つ目は、なるべく空気に触れないようにすること。

バターは、長期間空気に触れてしまうと、脂肪が酸化しやすくなり、変色や嫌なにおいを生じることもあります。保存する時は、密閉容器に入れるか、ラップで包むと良いでしょう。

2つ目は、においの強いものと一緒に置かないこと。

バターは、においを吸収しやすい特徴があるため、においの強いものと一緒に置くのはNGです。保管場所には気を配りましょう。

②冷凍保存の場合

一般的に冷蔵保存している方が大半かもしれませんが、実は冷凍保存も可能です。冷凍後に解凍しても、組織が壊れることがなく、品質にも問題ありません。ただし、再冷凍は品質に影響してしまうため、小分けにして冷凍し、毎回使い切ることをおすすめします。

マーガリン

マーガリンの保存方法は、冷蔵保存がおすすめです。バターとの違いは、冷凍保存に向いていないことです。なぜなら、マーガリンは解凍すると油分と水分が分離する可能性があり、その水分によってカビが発生する恐れがあるためです。

マーガリンを保存する際は、乾燥から守るため、極力空気に触れないようにしましょう。また、マーガリンを長時間常温に出しておくと、表面に水分が発生することがあります。これも、カビの発生に繋がりかねないため、使ったらすぐに冷蔵庫へ戻すよう心がけましょう。

おわりに

バターとマーガリンには、原料だけでなく、製造工程や味わい、保存方法など、さまざまな違いがあります。トランス脂肪酸について深堀していくと、「バターとマーガリンは健康に悪い」というイメージが覆った方もきっと多いはず。正しい知識を身につけて、日々の食生活にバターとマーガリンを上手に活用していきましょう。

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