ピアノは楽器の王様といわれています。ピアノは音域が広くさまざまな表現ができ、メロディーと伴奏を同時に弾くこともできます。ピアノはとても楽しい、素敵な楽器なのです。好きな音楽を聴くのも良いですが、楽器の演奏は非常に能動的で、脳のさまざまな部分に作用することが分かっています。ピアノは、感情を込めたり、強弱をつけたりなど、弾き手によって音色が変わります。音にあなたの人生を投影させ、趣のある素敵な音色を奏でましょう。楽器を弾くのに、年齢制限などはありません。
今回は、「音楽と共に人生を」をテーマに、50・60代からピアノを始めるメリットを紹介します。
1.ピアノを趣味にするメリット
ピアノを趣味にするメリットは、ご自身の好きな曲を弾けるようになるだけではありません。音楽は心身にも良い影響を与え、より豊かな人生を送る手助けをしてくれるのです。
ここからは、50・60代からピアノを趣味にするメリットについて紹介します。
1-1.生活習慣病予防につながる
演奏体験は、楽しいだけではなく、健康に繋がることもあります。ピアノを弾くためには、左右の手の5本の指を器用に動かしたり、楽譜を読んだりしなければなりません。楽器演奏は脳の活性化を促進し、認知症を予防する効果が期待できます。ピアノを趣味で楽しむことで、老化を防止し、いきいきと過ごすきっかけにできるはずでしょう。
1-2.演奏を通じて友人を作れる
ピアノを趣味にし、演奏会に参加したり、楽器に興味がある人同士で集まったりすることで、交流のきっかけにすることができます。積極的に行動すれば、人伝に音楽仲間が増えていきますし、また同じ目標を持っている人がいれば、楽しく継続することもできるでしょう。音楽が橋渡しとなり、新しいコミュニケーションが生まれ、年齢を飛び越えた友人を作ることができます。
1-3.効果的にストレス解消ができる
楽器を演奏するためには、身体全体を使い、高い集中力を発揮する必要があります。楽器演奏に没頭することで、悩む時間が少なくなります。音楽を楽しむことが、ストレス発散になり、メンタルも前向きにしてくれるでしょう。また、ピアノは弾きながら歌を歌うことができるので、同時にカラオケを楽しむことができます。大きな声を出すことで、自然と深い呼吸になり、副交感神経が優位になってリラックス効果を得ることもできるのです。
1-4.多くの人を楽しませられる
音楽は世界の共通語といわれています。音楽を奏でれば、言葉の壁を楽々と飛び越え、コミュニケーションのきっかけとなったり、相手に元気や勇気を与えたりすることができるのです。家族や友人の好きな曲を弾けるようになるまで練習し、弾いてあげるのも素敵です。楽器演奏は自分が楽しいだけでなく、誰かに影響を与えたり、誰かを笑顔にできる、素晴らしい趣味になってくれるでしょう。
2.気分は演奏家!ピアノの上達のコツは
弾ける曲のレパートリーを増やしたり、好きな曲をスラスラと弾けるようになったりするためには、コツコツと練習を続けることが大切です。何をもって上達と感じるかは、練習によって費やせる時間は人によって違いますが、初心者向けの入門曲ならば、大体3〜6ヵ月ほどで弾けるようになります。習慣化するまえに挫折するのを防ぐためには、上達のコツをつかみ、楽しみながら続けることが重要です。
ここからは、ピアノ上達のコツについて紹介しましょう。
2-1.楽譜の読み方の基本を抑える
楽器演奏をする時、避けて通れないのが、「楽譜を読むこと」です。しかし、楽譜は基本さえ押さえれば、読むスピードの速い遅いはあるものの、誰でも読むことが可能です。「ト音記号」は高い音を表す記号で、主に右手で弾きます。「ヘ音記号」は低い音の範囲をあらわすときに使われ、主に左手で弾きます。音符は、上に行くほど高い音、下に行くほど低い音になります。
まず分かりやすいドとソの位置から覚え、少しずつ読める音符を増やしていきましょう。好きな曲の楽譜を見て、「ド・レ・ミ・ファ」と一つ一つの音をリズムに乗りながら読むのも、読譜力を付けることにもつながります。
2-2.Amazonやぷりんと楽譜で楽譜を購入
ぷりんと楽譜は国内最大級の楽譜配信サイトで、楽譜数は25万点以上あり、自身の好きな曲だけをピンポイントに購入することができます。また、初級、中級、上級など、色んな難易度の楽譜があるので、自身のレベルに合わせて選べるのも魅力的な部分です。Amazonでも、有名なアーティストや楽曲だと、ピアノ楽譜があることもあります。まずは好きな曲、憧れの曲などの楽譜を探してみましょう。
2-3.好きな曲を弾けるようになろう
練習曲は、基礎固めとしては効果的な方法です。しかし、知らない曲やあまり好きではない曲を延々と弾くのは、苦痛に感じやすいものです。練習曲ばかり取り組んでしまうのは、楽器演奏を趣味にする際の挫折ポイントの一つとなります。趣味で始めるならば、好きな曲に挑戦してみましょう。イントロやサビの部分だけでなく、最初から最後まで弾きとおせるようになることで、全体のレベルを底上げすることができますし、「誰かに聴かせてあげよう」という楽しみも増えます。
2-4.指の筋力を鍛える
ピアノは両指を使って演奏する楽器なので、指を動かす筋肉が重要です。指の筋肉を鍛えることは、ピアノの演奏を上達させる第一歩です。指の筋力を鍛えることで、音の強弱の表現力や、テンポが速い曲への対応力を上げることができます。また、指の動きがなめらかになったり、指が疲れにくくなったりすることで、色々な曲に挑戦しやすくなるでしょう。日常生活で気軽にできる指の運動としては、テレビを見ながらハンドグリップを握ったり、湯船の中でグーパー体操をしたりという方法があります。
2-5.人に聴いてもらう機会を作る
できるだけ早く上達したい場合は、人に聴いてもらう機会を作るのがおすすめです。人に聴いてもらうためには、最初から最後まで弾きとおすことが大切になるので、1曲ずつ真剣に練習することができます。また、人に聴いてもらう機会を作ることで、「下手な演奏を聴かせるわけにはいかない」と、緊張感が生まれます。家族や友人など、誰かを楽しませることを目標にすることで、やりがいを感じられ、高いモチベーションを維持しやすくなるでしょう。インターネットを活用すれば、ピアノの演奏を不特定多数の人に聴いてもらうことができます。
何も、最初から難しい曲に挑戦したり、華麗な手さばきを披露したりする必要はありません。初心者が上達する過程を見せることも、視聴者を楽しませる要素の一つになります。
3.気兼ねなくピアノの演奏をしたい!ほんの少し工夫するだけでできる防音対策
自分の好きな曲を弾いている瞬間は、とても心地よく、気持ちが良いものです。しかし、あまりに大きい音を出して生活すると、隣の部屋に音が漏れ、騒音問題に発展してしまうケースもあります。ピアノの音量は大体100デシベル(dB)あり、これは犬の鳴き声と同レベルの音量です。防音対策は必須ですが、趣味として定着もしていない段階で、「本格的な防音設備を整えるのは気が進まない」という場合もあります。
ここからは、気軽にできる簡易的な防音対策について紹介しましょう。
3-1.簡易的な防音対策
・ピアノを設置する場所を工夫する
音の伝わり方は、大きく分けると「空気伝搬音」と「固体伝搬音」があります。空気伝達音は、空気中を伝わって、耳に届く音のことです。音源が近いと、周囲にいる人は大きな音が聞こえるようになるので、隣の家のリビングとは離れた位置に設置するようにしましょう。一方の個体伝搬音は、床や壁、天井など個体や物体に振動を与えることで伝わる音です。ピアノは、ギターやフルートなどと違い、床や壁にくっつけて、演奏する楽器です。個体伝搬音(こたいでんぱんおん)を防ぐためには、隣家と接している壁や、リビングなどの日常生活上在室時間が長い部屋の真上に設置しないようにすることも大切です。
・ピアノの下に厚手の絨毯やカーペットを敷く
前述したように、ピアノは常に床と触れているため、建物自体に振動が響いてしまいます。床に伝わる個体伝搬音を対策するために役に立つのが、防音マットを敷くということです。防音マットを敷くことで、演奏時に生じる衝撃音を防止することができます。ピアノの防音対策のマットは、厚めの絨毯やカーペットでも代用することができます。少しでも音漏れを防ぎたいならば、なるべく厚手のものを敷くことが大切なので、2枚重ねて使うという方法もおすすめです。
・ピアノと壁の間にパネルを挟む
壁から伝わる音を対策するために効果的なのが、ピアノと壁の間に防音パネルを挟むという方法です。アップライトピアノは、音が後ろへ一番大きく出る構造となっているため、防音パネルを壁の間に挟むと、ピアノから出る反響音や、壁に伝わる音を軽減することができます。ピアノの音は窓から漏れる割合も高いので、防音カーテンでの対策も有効です。防音カーテンはカーテン本体の層を厚くすることで、防音効果を高めています。楽器による音が外に漏れないようにしたい場合は、「4重構造」以上のものがおすすめです。
3-2.ピアノを弾く時のエチケット
・演奏する時は窓やドアを閉める
窓やドアを開けっぱなしのままピアノを演奏してしまうと、音が筒抜けになってしまいます。そのため、ピアノを演奏する時は、窓やドアをしっかり閉めるのがエチケットです。窓は、外壁と比べると薄いので、音を通しやすいです。窓の隙間にテープを貼ったりするだけでも、ちょっとした防音対策になるでしょう。
・ピアノは弾くタイミングを意識する
生活リズムは人それぞれなので、一概なことは言えませんが、夕飯以降のくつろぐ時間帯や、就寝手前の時間帯は、周りに迷惑がかかりやすい時間帯です。夜20時〜21時以降は弾かないなどのルールを決めることで、周りに迷惑がかかりにくくなります。深夜だけでなく、早朝の練習も迷惑になりやすいので、注意しなければなりません。迷惑がかからないタイミングを意識しながら、練習時間を設定することが大切です。
・ヘッドフォンを使用する
ピアノは、大きく分けるとアコースティックピアノ(生ピアノ)と電子ピアノがあります。電子ピアノは文字通り電気製品のため、ボタン一つで音量の調整をしたり、別の楽器の音色に変えたりすることができるでしょう。また、電子ピアノは基本的にヘッドフォン端子を備えています。ヘッドフォンを接続すれば、家族やご近所にも迷惑がかかりづらく、夜間の練習も問題ありません。電子ピアノでも、本物のピアノに近い感覚で演奏できます。
予算を安く抑えたい方や、気軽に楽しみたい方に、電子ピアノがおすすめです。
・本格的にピアノを始めるならご近所さんへ一言挨拶を
音量調節ができる電子ピアノなら別ですが、ピアノは大きな音が出る楽器なので、演奏している時の音が近所の方の迷惑にならないように、留意しなければなりません。「今度、趣味でピアノを始めようと思っています」「楽器を演奏しているのですが、迷惑になっていませんか」と、普段からの声掛けや挨拶が、騒音トラブルを防止する上で重要です。
ご近所の方から「全然、音が漏れていませんよ」「あまり、気になりません。好きに演奏してください」といわれれば、思いっきりピアノの演奏を楽しむことができるでしょう。
おわりに
音楽は聴くだけで楽しい気分に浸り、リラックス効果を得たりすることができます。ただ、自身で演奏することで、音楽を聴くのと同様の効果を得ることができます。「楽器演奏はしたことがない」「楽譜も読めない」と、躊躇してしまう人もいるはずです。しかし、初めてのことに挑戦することでより一層脳が活性化されますし、楽器演奏に苦手意識を持っていた人が好きな曲を演奏できるようになったならば、喜びもひとしおでしょう。50・60代からピアノを始め、音楽と共に人生を歩き、毎日の健康と生活をサポートしてみてはいかがでしょうか。