親が老人ホームに入居し、あるいは亡くなったことにより、実家が空き家になってしまうケースは多いですね。空き家になった実家を売却する場合、相続する場合、相続後に売却する場合などの税金はどうなるかについて、解説していきます。
日本最大級の解体工事一括見積サイト「クラッソーネ」は解体工事の契約実績14,000件超を誇ります。近くの優良な解体業者を比較して、最安値を実現!最大6社の厳選紹介!完全無料でお見積りを承ります!
- 信頼できる業者の選定⇒厳格な審査を通過した全国1,800社超の解体業者から、安全性と確かな技術力を持つ業者に工事をお任せいただけます。
- 費用と時間の削減⇒複数の業者からの見積りを一括で比較でき、最適な価格と工期を選ぶことで費用と時間の削減が可能です。
- 専門的なサポート⇒ご相談や疑問点に対して専門スタッフがいつでもサポートしてくれます。ご利用いただいたお客様からも「とても満足した」という声も多い!
空き家になった実家を売却した場合、3,000万円特別控除は使えるか?
親が老人ホームに入居して実家が空き家になった。また、帰ってくることもあるだろうと、実家はそのままにしておいたけれども、もうとても帰ってくることはできない。そのようなケースは非常に多いのではないでしょうか。
実家を空き家のままにしておくのは物騒だし、リフォームして貸すにはお金がかかり過ぎる。今後、誰も住む予定はないので、もう売却した方が良いのではないか、と考えることもあると思います。
もちろん、親の自宅ですから売却するのは親であるため、親の判断能力がなければ売却することはできません。もし売却するのであれば、判断能力があるうちに行う必要があります。
そこで、自宅を売却した場合には居住用財産の3,000万円特別控除という規定がありますが、この特別控除を使うことができるのでしょうか?生活の本拠地はすでに老人ホームに移ってしまっていますから、空き家になった自宅は居住の用には供していません。
この特別控除が使えるかどうかは、住まなくなってからどのくらい経っているかによって決まってきます。住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月末までに売却すれば、現状は住んでいなくても3,000万円特別控除の適用を受けることができます。
例えば、2020年5月10日に老人ホームに移った場合、3年を経過するのは2023年5月9日です。その年の12月末までということですから、2023年12月末までに売却をすれば、3,000万円特別控除の適用を受けることができる、ということになります。
なお、住まなくなった後、たとえ賃貸に出していたとしても、上記期限までに売却すれば3,000万円特別控除の適用を受けることができます。
譲渡所得税の計算はどうなるか?
(1)譲渡所得の計算方法
●譲渡所得 = 譲渡収入 - 取得費 - 譲渡費用
<譲渡収入>
売買契約書に記載された売買金額です。固定資産税の精算金などがあれば、それも含んだ金額となります。
<取得費>
取得費 = 取得時の取得価額 + 取得時の諸経費
・相続により取得した場合には、被相続人の取得時期、取得価額を引き継ぎます
・増改築等を行った費用も取得費に含めることができます
・建物については、減価償却費相当額を控除します
・取得価額が不明な場合には、譲渡収入の5%を取得費とします(概算取得費)
・実際の取得価額が概算取得費よりも低い場合は、概算取得費を使うことができます
・諸経費には、仲介手数料、印紙代、登録免許税、不動産取得税、登記費用、立退き料などが含まれます
<譲渡費用>
譲渡費用とは、その不動産を売るために直接かかった費用であり、仲介手数料、測量費、売買契約書の印紙代、建物を取り壊して土地を売るときの取壊し費用などが該当します。建物内の残置物撤去費用は、原則譲渡費用になりませんが、状況によっては譲渡費用となる場合もあります。
※居住用財産の3,000万円特別控除は、上記譲渡所得から、3,000万円を限度として控除することができます。
(2)譲渡所得税の計算方法
●譲渡所得税 = 譲渡所得 × 税率※
※税率
①短期 : 所有期間 5年未満 39%(所得税30%、住民税9%)
②長期 : 所有期間 5年以上 20%(所得税15%、住民税5%)
③超長期: 所有期間 10年以上 14%(所得税10%、住民税4%)
なお、復興特別所得税が別途、所得税の2.1%分上乗せされます。
超長期の軽減税率は、譲渡所得が6,000万円以下の部分にのみ適用され、それを超える部分は20%となります。
また、超長期の軽減税率と居住用財産の3,000万円特別控除は、併用することができます。
売却した場合と、売却しなかった場合、相続税に与える影響は?
(1)空き家になった実家を売却した場合
実家を売却するわけですから、財産としては土地建物がなくなり、現預金が増えることになります。その後、その現預金を特に使わなければ、そのまま相続税の課税対象となってきます。
この場合、土地建物で持っているよりも評価額は高くなり、結果として相続税も高くなります。現預金は、そのままの額が相続税の対象となりますが、土地建物は次のように評価され、時価よりも低くなるからです。
<土地>
都市部では道路に付けられた「路線価」により評価します。この路線価は公示価格の8割を目安に付けられているため、時価よりも低くなることが一般的です。
<建物>
固定資産税評価額により評価します。この固定資産税評価額も、実際の建築費よりも低くなることが一般的です。
したがって、実家を売却した場合には、相続税が高くなることが多いため、売却で得た現預金の有効活用や、相続税対策などを考えておくことも必要と思われます。
(2)空き家になった実家を売却しないで相続した場合
土地建物として相続することになりますので、上記のとおり売却した場合よりも相続税は低くなることが多いでしょう。
また、相続税の計算において小規模宅地等の特例の適用を受けられる場合もあります。さらに、相続後に売却した場合は、空き家を譲渡した場合の3,000万円特別控除の適用を受けられる可能性もあります。
空き家でも小規模宅地等の特例を受けられるの?
居住用宅地(自宅の土地)で一定要件を満たす場合には、相続税の計算において、宅地の評価額から330㎡まで80%評価減をすることができる特例があります。これを小規模宅地等の特例といいます。
親が住んでいた居住用宅地で、この特例の適用を受けられるのは次の者です。
①配偶者が相続する
②同居親族が相続して、相続税の申告期限まで、継続所有、継続居住する
③家なき子が相続して、相続税の申告期限まで、継続所有する
今回取り上げているのは、親がひとりで住んでいて、その後老人ホームに入居したケースです。したがって、上記のうち①の配偶者はいません。また、②の同居親族もいないことになります。可能性があるのは、③の家なき子が相続した場合です。
家なき子とは、被相続人の配偶者がいない場合で、かつ、同居する相続人もいない場合に、
次のいずれにも、あてはまる相続人です。
①相続開始前3年間に、「自己または自己の配偶者」「自己の3親等内親族」「特別な関係にある法人」が所有する家屋に、住んだことがないこと
②相続開始時において居住している家屋を、過去に所有したことがないこと
上記のような相続人がいた場合には、小規模宅地等の特例を使うことができます。
老人ホームに入居して空き家になっていても、居住用宅地といえるか?
小規模宅地等の特例は、居住用宅地である場合に、適用を受けることができます。老人ホームに入居している場合に、空き家になっている実家は居住用宅地といえるのでしょうか。
これについては、2014年1月に改正になり、老人ホームに入居して自宅が空き家になった場合でも、次の要件を満たすことにより、居住用宅地と認められるようになっています。
①介護が必要なため入居したものであること
相続の直前において、要介護または要支援の認定を受けていること
②自宅が他の者に貸付けられていないこと
事業の用に供する、生計を一にする親族以外の者が居住していないこと
空き家を譲渡した場合の3,000万円特別控除とは
この特例は、相続後に空き家となってしまった土地建物を譲渡した場合に、譲渡所得から3,000万円を控除することができる特例です。今回のケースのように、親が老人ホームに入居して空き家になり、それを相続した後、売却した場合も、要件を満たすことによりこの特例の適用を受けることができます。
この特例の適用を受けるための要件は、以下のとおりです。
①相続開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること
②昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること(旧耐震基準)
③耐震工事をして、現状の耐震基準に適合した上で、譲渡するか、
または、家屋を全部取壊して、更地として譲渡すること
④相続開始の直前において、被相続人が1人で居住していた家屋が対象
老人ホームに入居していた場合も適用可能
⑤相続後、事業用、貸付用、居住用他、何にも供してはいけない
⑥区分所有の建物は対象外
⑦譲渡価額が1億円以下であること
なお、本特例は複数人で相続した場合でも、要件を満たしていれば、それぞれが3,000万円特別控除を適用することが可能となっています。
また、家なき子が相続した場合の小規模宅地等の特例を受けたうえで、空き家の譲渡をし上記要件を満たしている場合は、この3,000万円特別控除の特例との併用も可能です。
ただし、小規模宅地等の特例は、相続税の申告期限まで継続所有していることが要件ですので、それを越えてから売却する必要があります。
相続税申告・相続対策のご相談は、東京メトロポリタン税理士法人へ