2015年頃から、ブログやInstagramで話題となっていた梅宮アンナさんのオシャレな老眼鏡。人より早く老眼になったアンナさんは、現在老眼鏡のコレクションが10本ほどあるといいます。
相棒であるリーディンググラスを片手に、自身の老眼鏡ライフや歳を取ることについて、たくさんのお話を聞きました。
30代後半で突如始まった老眼。子どもの頃から目の悪さは折り紙つき
――アンナさんご自身が老眼だと気づいたのは、いつ、どんなときだったのですか?
老眼かもしれないと感じたのは、30代後半でした。飛行機の中で入国書類を書こうとしたときに、「アレ……? 文字が見えなくなってきたかも」と思ったのがきっかけです。
でも「すごくショック」というわけではなく、「あ、来たか」という感じで。というのも私、小学生の頃から眼科のお医者さんに言われていたんですよ。「梅宮さん、早く老眼になりますよ」って。
子どもの時にゲームばかりやっていたせいか、一気に目が悪くなっちゃったんです。メガネをかける期間が長かったおかげか、洋服を選ぶようなカジュアルな感覚で自分の顔に合ったメガネを選ぶようになりました。
母の兄妹がアメリカに住んでいるのもあり、子どもの頃から日本と海外を行き来していました。その時から、「日本で売っているメガネの真面目な感じがちょっと苦手。しかもなぜかすごく値段が高い」と感じていましたね。
フレームは1,000円の伊達メガネで充分。アンナ流・ラフで賢いメガネ術
――先ほど、日本のメガネは真面目なデザインが多く、かつ値段が高いという話がありました。最近は、昔に比べて安価なメガネ屋さんも増えましたが、アンナさんはオシャレなフレームを普段どのように見つけていますか?
使い捨てコンタクトレンズが主流になる30年ほど前までは、メガネを頻繁に作っていて。街角で売られている1,000円ぐらいの伊達メガネをメガネ屋さんに持ち込んで、度の入ったレンズを入れてもらう。そうやって作れば、ほぼレンズ代だけで済むんですよ。
――私はメガネ屋さんで40,000円も払ってメガネを作っていました……。
メガネなんて、何万円もかけて作るものじゃないですよ。視力は変わっていくものですし、メガネは生活に密着したものですから。最初からメガネ屋さんの言い値で、高い商品を買うのはちょっともったいないと思います。気に入ったフレームがあれば、1,000円の伊達メガネでも充分。
老眼鏡も同じですよ。街を歩いていて、出会い頭に可愛い老眼鏡が見つかったら、楽しいじゃないですか。雑貨屋さんで見つけてもいいですし、ファストファッションのお店などでお洋服を買うついでに探してもいいと思います。そうやっていつもと違う発想でお買い物するだけでも、ファッションのバリエーションが増えますしね。
――そもそもアンナさんは老眼鏡の度数をどうやって調べているのですか?
度数を調べるだけならば、100円ショップで充分だと思います。100円ショップの老眼鏡を試しにかけてみて、手持ちのスマホの画面の文字が見えるかどうかを確かめてみればいいんです。よく見えたのなら、それがちょうど良い度数なんですから。
100円ショップや雑貨屋さんで売っている老眼鏡の度数は、意外と細かいんですよ。一番低い度数は+1.00から。次に+1.25、+1.50、+2.00、+2.50、そして+3.00。どのお店でも、少なくとも3段階以上は度が分かれています。
――それくらいラフな感じで度を確かめれば良いんですね。
そうです。一般的なメガネはきちんと視力を測る必要がありますが、老眼鏡はそこまで神経質にならなくても良いと思います。
――ちなみに、外出する際は老眼鏡をどのように持ち歩いていますか?
サングラスのように、頭に老眼鏡を乗せるスタイルです。日常生活でしょっちゅう使うから。手放せないので、バッグにしまうことすら面倒くさいと思ってしまって。頭に乗せておけば、書類をすぐに確認できますし、携帯をすぐ見ることもできます。
安くて素敵なデザインに出会えれば、老眼鏡ライフはもっと楽しい
――アンナさんの老眼鏡コレクションを見せていただけますか?
今日は、10本あるうちの5本を持ってきました。多くは雑貨屋さんで買ったものです。レジの近くやカウンターに置いてあることが多いですね。
写真奥の紫のフレームはGINZA SIXの雑貨屋さんで買いました。手前右側にあるベロア素材でできた青のフレームも雑貨店、オリーブ色の縁は代官山の雑貨屋さんのもの。いずれも伊達メガネでなく、老眼鏡として売っていました。
水色のフレームと白とピンクのコンビは韓国で作りました。水色のものはフレームが2,000円、レンズはメガネ屋さんに持ち込んで3,000円で、しめて5,000円。白とピンクの老眼鏡はもっと安くて、フレームが1,000円、レンズが2,000円で合計3,000円でした。韓国のすごいところは、元々持っていた老眼鏡をお店に渡すだけで、同じ度数のレンズが短期間で出来上がるところですね。
どんなに高くても5,000円を超えないメガネ作りのおもしろさを知ってしまうと、老眼鏡生活が楽しくて仕方がなくなります。
――たくさんの選択肢がある中で、オシャレなフレームを選ぶコツを教えてください。
鉄則は、リーズナブルだけど安っぽく見えないフレームを選ぶこと。カッコ良くてもそれなりの値段だったら、掘り出し物を見つけた感覚にはなりませんから。
できれば、安くて可愛い老眼鏡をいくつか持っておいたほうが良いですよね。どこかに忘れてきてしまったり、何かの拍子に落として壊れてしまったり。そういったことも日常的に起きますし、視力は変動するもの、度は進んでいくものと考えたら、やっぱり安価であるに越したことはないですね。
メガネにつけるチェーンもいろいろな場所で買いますよ。海外のものはオシャレなものが多いから、向こうに行ったときに買うことが多いですね。日本でも素敵なチェーンが増えると、老眼鏡生活がより楽しくなるんじゃないかな。
――50〜60代の読者の方にオススメするとしたら、どの1本になりますか?
ちょっと真面目な印象のフレームならば、試しやすいですよね。このオリーブ色のフレームは1,200円とか1,300円とかじゃないかな。1,500円もしなかったと思います。
私はメガネをかけることで少しでも気分が上がるように、フレームをポップな色味にしたり、思いきって派手にしたりします。でも私のようにしなくても、メガネのバリエーションを多く持つことで、「今日はコレ」「明日はアレ」と、気分によってつけかえることもできますよね。オーソドックスなものを1本作って、そこから色味で冒険できると良いと思います。
若々しく見えるファッションは、日常生活にも学ぶ場がある
――老眼鏡生活が10年を超えたいま、アンナさんにはどんなふうに世界が見えていますか?
世の中にある多くの商品は、若い人向けに作られているなと感じます。あらゆる文字が小さすぎるんですよね。私なんて老眼鏡を忘れてスーパーに行くと、振り返ったときに値札が読めなくて、何の商品なのかがわからないんですから。
あとお仕事でお名刺をいただくときも、残念ながら小さな文字は全く読めない。もうお名刺の細かい文字、いらなくないですか?みたいな(笑)。その点、スマホは字が大きくできるから良いですよね。私のスマホは文字の表示設定を巨大にしすぎていて、よく人に笑われるんですけど。
――お話を聞いていると、ネガティブに捉えられがちな老眼鏡や歳を重ねていくことについて、アンナさんがポジティブに考えている様子が伝わってきます。
それはヨーロッパやアメリカのご年配の方々がすごく楽しく生きているのを、子どもの頃から間近で見てきたからですよ。手をつないで街を歩く80代ぐらいのおじいさん、おばあさんがいたり、そのくらいの年齢でも再婚したりしますから。
彼らには根本的に「人生を楽しもう」という思いがあって、若いときから健康に対する意識がものすごく高い。絶対に病気になりたくない、もっというと病院のお世話になりたくないという意識が人を若々しくさせているのだと思います。一方、日本は医療費が安い分、病院にかかることへ抵抗が持ちにくいですよね。
あと、歳を取ってもやるべきことを多くするのも、老後の生活を楽しくするコツのひとつかもしれません。
今年、娘の百々果が20歳になり、アメリカの大学へ進学することになりました。子どもや仕事を通じて海外と日本を行き来していると、「40歳を超えると日本のお洋服は難しい」と実感することがあります。日本の40代以降向けのお洋服は、明らかに色が地味だと思うんです。
だから、日本国内だけでなく、海外に目を向けてお洋服の視野を広くしています。わざわざ本を買って勉強しなくてもいいんです。今はスマホで何でも見られる時代ですよね。インターネットで「60代 海外の洋服 女性」と検索ワードに入れるだけでも、もうカッコいいスナップショットがたくさん出てきますから。私も海外の方のInstagramをたくさんフォローして、勉強しています。
あとは情報に頼らなくても、日常生活でも色味の勉強ができます。私が好きなのは、アメリカの洗剤や食べ物の配色。パッケージの意外な色の組み合わせが、お洋服やインテリアのコーディネートに応用できます。より明るい色味を選んで、シンプルな素材同士のスッキリしたコーディネートをすると、歳を重ねてもエネルギッシュに見えますよね。それはお洋服でも老眼鏡でも同じだと思います。
――最後になりますが、それでも、老眼鏡を使うことにどうしても抵抗がある方もいらっしゃいます。アンナさんはなんと声をかけますか?
ああ、いらっしゃいますよね。よく見えていないのに老眼鏡をかけずに、頑張ってしまう方。そういう方には「私の老眼鏡を貸しますよ」って言って差し上げたいですね。物がよく見える生活は、本当に楽しいですから。
(取材・執筆協力=横山由希路 撮影=塩谷哲平 編集=ノオト)