東京商工リサーチの「2020年『倒産企業の財務データ分析』調査」によると、倒産した企業のうち53.2%が最終赤字だったようです。裏を返せば、残りの46.8%は黒字倒産ということになります。
倒産の原因は、業績(黒字決算、赤字決算)ではなく資金繰りです。そのため、資金繰りは中小企業経営者が最も頭を悩ませる問題です。資金繰りが苦しいときに、会社ができる対処法を解説します。
資金繰りとは
資金繰りの「資金」とは、お金のことです。例えば、運転資金は経営するうえで必要となるさまざまな費用を賄うためのお金のことをいい、設備資金は設備投資をするためのお金のことをいいます。資金繰りとは、このようなお金のやり繰りのことです。
資金と似た言葉で「資産」というものがあります。資産とは、お金を含めた財産のことをいいます。財産には、現金、預貯金、不動産(土地、建物)、設備などの有形の物だけでなく、売掛金、前払い金、営業権、商標権などの無形の物も含まれます。
会社を経営していくうえでは、利益を出す(黒字決算)ことはもちろんですが、資金繰りを上手に行うことも重要です。
資金繰りがうまくいかないと、支払わなければいけないお金を支払うことができなくなり、倒産につながってしまいます。会計上では利益が出ているにもかかわらず倒産するという黒字倒産は、資金繰りが上手くいかなかった結果なのです。
資金繰りが悪化する原因
資金繰りが悪化するということは、お金が足りなくなるということです。お金が足りなくなる原因はさまざまですが、おおよそ以下のようなことが考えられます。
- 過剰な設備投資
- 過剰な仕入れ・製造
- 経費の無駄遣い
- 売上金回収の遅れ
- 返済金増加
設備投資は、事業を立ち上げたり、売り上げを上げたりするために必要なものです。とはいえ、設備投資にはお金がかかります。
設備投資は、金額が大きくなることが多く、その資金を回収するためには時間がかかります。過剰な設備投資をした場合、資金の回収に時間がかかるばかりか、資金が回収できないおそれもあります。
商品や製品を販売する場合、それらを仕入れたり製造したりする必要があります。そこにも当然費用がかかります。商品や製品を販売することで、その費用(資金)を回収するのですが、過剰な仕入れや製造をした場合、資金を回収できないおそれがあります。
経費の無駄遣いが資金繰りを悪化させるのは、想像に難くありません。無駄遣いとは、そもそも必要のないものにお金を使ってしまったということです。これは、先の過剰な設備投資などと違い、資金の回収を見込むことができません。資金繰りが悪化するのは当然の結果です。
商品やサービスが売れると、その金額が売り上げとして計上されます。その代金(売上金)を費用の支払いなどに回すわけですが、この代金の回収が遅れた場合も、資金繰りは悪化します。
運転資金や設備投資などを借入金で賄う場合もあります。借入金の返済には、元金だけでなく利息の支払いが伴います。借入金が増加すれば、毎月の返済金も増加するため、資金繰りが悪化する原因となります。
このように、資金繰りが悪化する原因はさまざまです。しかし、根本的な原因は、そもそも資金繰りの管理をしていないことにあるのかもしれません。
資金繰り改善のためにすべきこと
資金繰りを改善するためには、資金の流れを把握する必要があります。まずは手元の資金(今いくらあるのか)を把握しましょう。その上で、費用を支払う時期と売上金を回収する時期を把握します。
費用を支払う時期が売上金を回収する時期よりも早い場合は、注意しなければなりません。費用の支払いを手元の資金で行わなければならず、売上金を回収してからでは遅いからです。
売上金をきちんと回収することも、資金繰りの改善につながります。当然のことのように思われますが、取引先から支払いの延期をお願いされると、それを受け入れてしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、売上金の回収については、会社の存続にかかわることです。この重要性は、いくら強調してもし過ぎることはありません。
経費を削減することも、資金繰りの改善につながります。無駄な経費がないか、一度確認してみるのも良いでしょう。ただし、ご自身で判断がつかない場合もあります。
その時は、ほかの役員、従業員の意見も聞いてみると良いでしょう。「無駄ではないか」と言われた際には、削減できないか検討する必要があります。
融資を受けることでも、資金繰りが改善することがあります。ただし、融資を受けて資金繰りが改善するのは、返済の目途が立つ場合に限ります。返済の目途が立っていないにもかかわらず融資を受けると、資金繰りはますます悪化してしまいますので注意が必要です。
融資以外の資金調達で資金繰りを改善
資金調達をすれば、一時的な資金繰りの課題をクリアすることができます。融資を受ける場合などがそうです。それ以外には「アセットファイナンス」があります。
アセットファイナンスとは、アセット(資産)によるファイナンス(資金調達)、つまり、保有する資産によって資金調達をすることをいいます。有価証券、売掛債権、不動産、設備などの資産を売却することによって資金調達を行います。
アセットファイナンスのひとつに、「リースバック」があります。リースバックとは、自宅、事務所、店舗などの不動産を売却することによって資金調達をする方法です。
ただし、売却した不動産を完全に手放すわけではありません。
リースバックの仕組みを、事務所を例に解説します。まず、事務所の土地・建物をリースバック運営会社に売却します。
その後、売却した事務所の土地・建物において、リースバック運営会社と賃貸借契約を締結します。賃貸借契約を結ぶことで事務所を使い続けられるという点が、「事務所の売却」と「リースバック」の違いです。
リースバックのメリットは、以下のとおりです。
- 貸借対照表の改善につながる
- まとまった資金が得られる
- 資金の使い道が自由
- 事務所を使い続けられる
- 事務所の維持費(固定資産税、修繕費など)が不要になる
- 引っ越しをする必要がない
- 将来的に再度購入することができる
リースバックのデメリットは、以下のとおりです。
- 事務所の名義が変わる
- 賃料が発生する
リースバックの需要は近年増えており、取り扱っている会社も多くあります。数あるリースバック運営会社の中で、おすすめなのは「セゾンのリースバック」です。セゾンのリースバックが選ばれている理由は、以下のとおりです。
- クレディセゾングループの信頼性
- 手続きが簡単で早い(最短で2週間)
- 現金の受け取りが一括
- 融資のような企業審査は不要
- 賃料や初期費用は比較的低額
おわりに
資金繰りは、会社の存続の鍵を握る重要な要素です。例え決算が黒字であっても(会計上利益が出ていても)、資金繰りがうまくいかず、倒産する会社は多くあります。倒産する会社の約半数が「黒字倒産」であることからも、そのことが伺えます。
資金繰りが悪化する原因として、「過剰な設備投資」「過剰な仕入れ・製造」「経費の無駄遣い」「売上金回収の遅れ」「返済金増加」などがあります。これは、資金繰りの管理をしていないことにより発生する原因とも考えられます。
資金繰りを改善する方法として「お金の流れを把握する」「売上金を回収する」「経費を削減する」「融資を受ける」などがあります。
融資を受けるということは資金調達をするということです。資金調達をすることで、一時的には資金繰りの課題をクリアできます。融資以外の資金調達の手段としてアセットファイナンスがあり、その1つとして「リースバック」を挙げました。
リースバックとは、事務所などの不動産を売却することによって資金調達をする方法です。通常の売却と違うのは、売却した不動産をそのまま利用できるということです。
リースバックの需要は、近年、増えてきており、リースバックを取り扱っている会社も多くあります。その中で、本記事では「セゾンのリースバック」をおすすめしています。
会社の資金繰りが悪化してきて「なんとか改善したい」と思われているのであれば、「セゾンのリースバック」も検討してみてはいかがでしょうか。