長く住んでいる家に限らず、新築の家でもドアの建付けが悪いことがあります。本来はぴたりと閉まるように設計されているはずなのに、なぜドアの建付けが悪くなってしまうのでしょうか?この記事では、ドアの建付けが悪くなる原因を具体的に解説していきます。ドア自体に原因がある場合や、ドア以外の何かが原因の場合など、トラブル別の調整方法も紹介します。ドアの建付けが悪くて困っている方はぜひご一読ください。
ドアの建付けが悪くなる原因は?
ドアを開閉するときに、うまく閉まらなかったり、隙間ができてしまったり、不具合が生じることがあります。なぜドアの建付けが悪くなるのでしょうか?ここでは建付けが悪化する原因と、その原因によってどんな状況になるのかを解説します。
蝶番の種類によっては調整ビスのないものもあるので、今回紹介する調整方法が試せない場合があります。そんなときは、専門会社に修理を依頼しましょう。
ドア本体が傾いている
調整機能が付いている蝶番が使用されていると、建付けが悪くなる傾向があります。よくあるケースとしては、子どもがドアの取っ手にぶらさがったことで蝶番が緩み、ドアが傾いてしまうパターンです。子どもがいない家庭でも、日頃から強い力でドアを開閉すると、次第にドア本体が傾き、建付けが悪くなってしまうこともあります。
床の歪み
ドアや蝶番には問題がないのに建付けが悪いのは、床が歪んでいるのが一因だと考えられます。床が歪むのは、主にフローリングの反りや歪み、床を支える床束が正しく機能していないのが原因です。また、木造建築では木材が湿気を吸収し、ふくらんだり、反ったりしてしまうことから、床が歪むことがあります。床が歪めばドア枠も歪み、建付けが悪くなります。床の歪みが原因になっているときは、自力での調整は難しいので、専門会社に相談しましょう。
蝶番の緩み
ドアの建付けに異常を感じたときは、ドアの上下にある蝶番を点検してみましょう。蝶番とはドアとドア枠を固定し、開閉を促す部品です。一般的な蝶番は2枚の長方形の鉄板を組み合わせており、形が蝶に似ているため、「蝶番」と名付けられています。
ドアを開閉したときにギーギー、ガタガタと異常な音がする場合は、蝶番の緩みや潤滑油不足が考えられます。また障害物があるのにドアを無理やり閉じてしまうのも、蝶番が歪む原因です。無理な開閉を続けていると、蝶番の摩耗が進み故障しかねません。
ドア枠が直角でない
ドア枠が直角に作られていないと、ドアの建付けはうまくいきません。ドア枠自体に問題があるのは、施工会社の技術が不充分だったことが原因です。作業時に充分な確認を行わず工事を進めた結果、開閉がうまくいかなくなります。建付けの不調の原因がドア枠の場合も、自力での修理は難しいため、専門会社に修理を依頼しましょう。
床に対して壁が垂直になっていない
ごく稀なケースですが、施工会社のずさんな工事で建てられた家で、床に対して壁が垂直になっていないことがあります。壁が垂直になっていないと、ドアが自然に開いたり、閉まらなかったりします。構造上の大きな欠陥なので、施工会社に問い合わせ、早急に対応を依頼しましょう。
建物自体の傾き
古い家や構造に欠陥がある家では、建物自体が傾くことがあります。傾いた建物は当然ドアも歪み、正常に開閉するのは難しくなります。建物自体に欠陥があるかどうか見極めるには、ドアを閉めたときにできる隙間の具合に注目が必要です。上下の隙間が大きく違う場合には、ドアや部品ではなく、建物自体に問題がある可能性もあります。早めに住宅の専門家に相談し、指示を仰ぎましょう。
環境や経年劣化
ドアは毎日開閉するものなので、築年数や使い方によって劣化していくものです。また、高温多湿な日本では建材が影響を受けやすく、劣化が進むケースが少なくありません。どんなに丁寧に扱っていても、劣化します。ドアや蝶番などの部品を調整すれば改善することもありますが、劣化がひどいときには部品交換を検討しましょう。
トラブル別!ドアの建付け調整方法を伝授
前章ではドアの建付けが悪くなる原因を解説しました。では、それぞれの状態に対し、どんな調整方法があるのでしょうか。ここではドアの建付けを調整するのに必要な道具や、シチュエーションごとの調整方法を解説していきます。ご自宅のドアの状態を見ながら、どれに当てはまるかチェックしてみてください。
なお、持ち家であれば自力での修理も場合によって可能ですが、賃貸のアパートやマンションに住んでいる場合は、一度大家さんに相談しましょう。ドアの故障が自然に起きたものなら、一般的に自己負担の必要はありません。連絡をせずに修理を行い、かえって悪化させてしまった場合、修理費の一部を負担することになりかねないので注意しましょう。
ドアの建付けを調整する際に必要な道具
まず、ドアの建付け調整をする際に必要な基本的な道具を2種類紹介します。
・六角レンチ
六角レンチとは先端が正六角形のL字型の工具です。ボルトを緩めたり固定したりする工具で、「六角棒スパナ」「ヘックス」「ヘキサゴンレンチ」などの複数の呼び名があります。家具や自転車機具の取り付けに使われることがあるので、お持ちの方も多いでしょう。ドライバーだとねじを壊してしまう可能性がありますが、六角レンチはぴったりのサイズで使用するので、ねじを壊す心配がないのが魅力です。
・ドライバー
ドライバーとはプラスやマイナス型のねじを締めるための工具です。家庭でも広く使われており、使ったことのある人も多いのではないでしょうか。手に取りやすい工具ですが、ドアの建付けを調整する際には、ドライバーとねじのサイズを確認する必要があります。サイズの異なるドライバーを使うとねじを壊す可能性があるので、注意しましょう。
ドアが床に擦れる場合の調整方法
ドアを開閉するときに、ドアの下部が床に擦れる場合の調整方法を解説します。ドアが床に擦れるのは、ドアの位置が低過ぎることが考えられます。
ドアをドア枠に固定している蝶番を調整すると、開閉しやすくなります。種類にもよりますが、蝶番は上下調整ビスがあり、ビスを右に回すとドアの位置を上にあげられます。蝶番はドアの上下2か所に付いているので、どちらも調整が必要です。
通常、蝶番とは2枚の羽板を合わせた長方形のタイプが一般的ですが、ピボット蝶番と呼ばれる扉の取り付けに特化した蝶番があります。ピボット蝶番が使用されている場合は、下用の蝶番のみ調整しましょう。
ドアの上部が枠に擦れる場合の調整方法
ドアの上部が枠に擦れて閉まらない場合の調整方法を解説しましょう。上部が枠に擦れてしまうのは、ドアの位置が上寄りに固定されているのが原因です。蝶番を調整するとドアが開閉しやすくなります。上に上がり過ぎているドアを下げるには、種類にもよりますが、蝶番の上下調整ビスを左に回すと良いです。ピボット蝶番の場合は、下用の蝶番のみ調整すれば大丈夫です。
ドアが枠より前に出ている、枠に入り込んでいる場合の調整方法
ドアがドア枠よりも前に出ている、ドア枠に入り込んでしまっているときの調整方法を解説します。まずは、蝶番の中心にある固定ねじを六角レンチで緩めます。次に前後調節ねじを回転させましょう。ドア枠より前に出ている場合は後ろ側に、枠に入り込んでいる場合は前側に回転させます。扉を開け閉めして問題がなければ、最後に固定ねじをしっかり締め付けてください。
ドアと枠の間に隙間ができている、ぶつかる場合の調整方法
ドアを閉めると隙間ができてしまう、枠にぶつかる場合の調整方法を解説します。ここで紹介するのは3次元蝶番と呼ばれる上下・前後・左右に調整できるタイプの蝶番です。
ドアが前後に傾いているのが原因なので、蝶番を調整すると改善できる可能性があります。ドアを閉めたときに隙間ができるときは、ドアを取っ手側に移動させて調整を行います。
- 固定ねじを緩めます
- ドア本体が倒れないように押さえつつ、左右調節ねじを回転させます。ドアを取っ手側に移動される場合は取っ手側、蝶番側に移動させる場合は蝶番側に回転させます
- 最後に固定ねじをしっかりと締め、固定すれば終了です
以上、さまざまな状態に対しての調整方法を紹介しましたが、玄関ドアや外に通じるドアなどの不具合は防犯の観点から、専門会社に修理を依頼するのをおすすめします。
番外編!引き戸タイプの建付け調整方法もチェック
これまで押戸タイプの建付け調整方法を紹介してきましたが、番外編として引き戸タイプの建付け調整方法を紹介します。
引き戸のレールは寿命が短く、3〜4年が平均寿命といわれています。開閉するたびに異常な音がしたり、うまく開閉できなかったりするときは、部品の交換が必要です。ご自身では調整できない異常が出ているときは、専門会社に相談しましょう。
ドアを閉めた際に隙間がある
ドアを閉めた際に隙間ができるときは、ゴミやほこりなどの障害物が原因でないか疑ってみましょう。引き戸を外し、レールのくぼみに溜まったゴミやほこりを丁寧に拭き取ります。掃除をしても改善しない場合は、レールやローラーの不具合が考えられます。ローラーの高さを調整したり、調節ビスを左右に回したりすると、隙間の調整が可能です。もしも部品が破損している場合は、交換しましょう。
ドアの滑りが悪い
ドアの滑りが悪いときも、ゴミやほこりが原因になっていないか確認しましょう。まず引き戸を外し、レールに溜まったゴミやほこりを取り除きます。ローラーの高さ調整や調節ビスを左右に回転させることによって、ドアの滑りを改善できます。ふすまや障子などの引き戸はロウを塗ったり、戸を滑りやすくするテープを貼ったりすると滑りが良くなります。
レールの歪みやローラーの破損が原因になっているときは、部品を交換する必要があるので、専門会社に相談しましょう。
ソフトクローズがうまく機能しない
ソフトクローズとは、引き戸が閉まる直前に動作が緩やかになり、静かに閉まる機能のことです。ソフトクローズがうまく機能しないのは、以下のような原因が考えられます。
- 金具を受け止めるキャッチャーが作動していない
- 扉を閉める力が弱い、空気圧に押されている
- レールにゴミやほこりが溜まっている
- レールの端が浮き上がっている
- ガイドローラーが上レールと位置がずれている
ゴミが建付けを悪くする原因になっている場合は掃除を、建付け方に問題がある場合は調整ビスやレールを調整することで、ドアの建付けを改善できます。
ドアの建付け調整を行う際のコツと注意点
ドアの建付けを調整する際のコツと注意点を紹介します。ご自身でドアの建付けを調整するときは、2人以上で安全に考慮して行いましょう。
まずは何が原因なのか確認
ドアの建付け調整を行う前に、まず何が不具合の原因になっているのかを見極めるのが大切です。蝶番の問題なのか、ドア枠や建物自体に欠陥があるのかによって、調整方法は異なります。
原因を確認する方法としては、まずドアがどこの枠に当たっているのかを観察してみましょう。取っ手の下側が擦れている場合は、上側の蝶番のねじが緩んでいることが考えられます。上記で解説した調整方法を試し、それでも改善しなければ蝶番の交換を検討する必要があります。自力でも蝶番の交換は可能ですが、できればプロの力を借りるのがおすすめです。
電動ドリルは使用しないのがおすすめ
ねじを調整するときには、電動ドリルの方が便利だと思う人もいるでしょう。しかし、ドアの建付けを調整するときは、電動ドリルはおすすめしません。電動ドリルでは、ねじを壊してしまったり不具合を起こしたりする可能性があるためです。調整の際には六角レンチやドライバーなど、手動の工具の使用をおすすめします。
気が付いたら早めの調整を!
ドアの建付けに違和感を覚えたら、早めに調整することを心掛けましょう。良くない状態のまま使っていると、建付けが余計に悪くなり、ドアやドア枠、床などを傷付けることにもなりかねません。不具合が小さいうちに対応すれば、もし修理を依頼しても高額になることも少なく、簡単に済むことが多いでしょう。
セルフでの調整が難しい場合はプロにお願いする
ご自身で調整が難しいときや、調整してもうまくいかなかったときは、プロの力を借りましょう。「セゾンの住まいのリペアサービス」は、建付けの調整や壁の穴・傷の修理など幅広い分野の修繕に対応しています。ご相談・お見積りは年中無休で受け付けています。お電話でのお問い合わせはもちろん、Webからのお問い合わせは24時間可能です。
ドアの開閉の状況を見て、建付けの調整や蝶番の交換など適切に対応しています。作業前には必ず見積りを提案し、サービス内容と料金に了承を得た上で作業するので安心です。対応後、1年間の無料工事保証もあるので、より安心して依頼できるサービスとなっています。
おわりに
今回はドアの建付けが悪いときの原因や調整方法を解説しました。何が不調の原因か判断できれば、ご自身でも調整できる方法があります。ご自身で調整するときは、今回紹介した調整方法のコツや注意点に気を付けて取り組んでみてください。「自分で修理するのは難しい」「プロの力を借りたい」と思ったときは、ぜひ「セゾンの住まい小修繕」を検討してみてください。