この記事では、中学生ができる自由研究のテーマの探し方や実例について詳しく解説します。自由研究の代表的なカテゴリーは、「実験・観察・工作・調べ学習」の4タイプです。記事前半では、カテゴリー別のテーマの探し方や簡単な実例を紹介していきます。記事後半では、面白いテーマの実例や過去の優秀テーマなども紹介するのでぜひ参考にしてみてください。
中学生の自由研究のテーマの探し方
まずは、中学生向けの自由研究のテーマの探し方について解説します。テーマの探し方はさまざまありますが、はじめに好きなカテゴリーを決めて、その中から自由研究のテーマを探す方法がおすすめです。
実験でテーマを探す
理科が好きな中学生には、実験の自由研究がおすすめです。実験は、子どもの知的好奇心を刺激し、科学への興味を高めたり、面白さを発見したりするきっかけにもなります。実験の中でも、家庭にありそうな身近な素材でできるものを選べば、準備のための時間も短縮できるのでおすすめです。
観察でテーマを探す
夏休みにまとまった時間を作れそうな中学生には、観察の自由研究がおすすめです。自然や生き物、または身近な素材を使用したものなどのテーマを選んで、じっくりと観察をすることで新しい発見があるはずです。特に好きなものをテーマに選べば、飽きることなく楽しみながら自由研究ができるでしょう。
工作でテーマを探す
もの作りが得意な中学生には、工作の自由研究がおすすめです。段ボールやペットボトルなど家庭で出る廃材を材料にしてリサイクルを学びながら工作をしても良いですし、遊べるおもちゃの工作やユニークな食べ物を手作りするような工作を選んでも良いでしょう。
調べ学習でテーマを探す
知らないことや学校では習わないことを調べてみたい中学生には、調べ学習の自由研究がおすすめです。例えば、自分の興味のあることや好きなことに特化してテーマを選べば、より好きなものを極めることができるでしょう。しっかり時間を掛けて調べ学習を完成させても良いですが、図鑑などの書籍やインターネットなどを活用すれば、短時間で完成させることも可能です。
【自由研究・中学生編】 手軽にできる4選
ここでは、中学生が手軽に取り組めるおすすめの自由研究を紹介します。中には、10分程度で終わる 自由研究もあるので、短時間で仕上げたい中学生に最適です。
【実験】水に卵を浮かせる
水に卵を浮かせる実験は、食塩を使用して行います。
【用意するもの】
- 生卵(割らずに殻ごと使用)
- 食塩 150g
- 水 400mL
- 計量カップ(※500mL以上のもの)
- プラスチックカップ
- スプーン
- 量り
【実験の手順】
- まず、プラスチックカップの中に食塩を150gを用意しておきます。
- 計量カップの中に400mlのお水を入れます。
- (2)の水の中に生卵を入れ、沈むのを確認しましょう。
- (3)に(1)の食塩を少量ずつ加えていき、よくかき混ぜます。
- 沈んでいた生卵が浮かんできたら食塩を加えるのをやめましょう。
- 最後に残った食塩の重さを量ったらOKです。
すべての実験が終わり、何gの食塩で卵が浮いたのかを自由研究としてまとめたら完成です。
【観察】石鹸を電子レンジで加熱してみる
石鹸を電子レンジで加熱してみる観察の自由研究は、石鹸の変化に注目です。
【用意するもの】
- 石鹸(小さいサイズ)
- 耐熱皿
- 電子レンジ
【観察の手順】
- 石鹸が大き過ぎると熱が上がり過ぎる恐れがあるので、小さめの石鹸を用意しましょう。大きいものしかない場合は、小さくカットしておきます。
- 耐熱皿に(1)の石鹸を乗せて、10秒ずつ電子レンジでチンして、石鹸の変化を記録します。
- 粗熱が冷めたら、最後に手でほぐして粉石鹸にしてもOKです。
電子レンジで石鹸を加熱すると、水分を含んでいる石鹸が膨らむので、その変化を観察する自由研究です。元の状態と過熱後の写真を撮っておくと、変化がより分かりやすくなります。
【工作】ペットボトルで夕焼けを作る
ペットボトルで夕焼けを作る工作は、懐中電灯を使用して作ります。
【用意するもの】
- ペットボトル(※1.5Lのサイズ)
- 牛乳 少量
- 水
- 懐中電灯(※または、LEDライト)
【工作の手順】
- 1.5Lのペットボトルの中に、9割程度の分量で水を入れる。
- (1)の中に少量の牛乳を加えて、よく混ぜましょう。
- 部屋の電気を消して暗くします。
- (2)のペットボトルに懐中電灯の光を当てましょう。
(4)の工程で、懐中電灯の角度を変えていくことで、青白→黄色→オレンジ色と光の色の変化を楽しめます。水に混ぜる牛乳の量を変えたり、ペットボトルの本数を変えてみたりして違いを観察してみるのもおすすめです。
【調べ学習】昔と今の暮らしを比較
昔と今の暮らしを比較する調べ学習は、90歳くらいのお年寄りに昔の暮らしについてのエピソードを教えていただきます。
【用意するもの】
- ノート(※またはヒアリングシート)
- 筆記用具
- カメラやビデオカメラ
- ICレコーダー(※録音機器)
- 昔の写真
- スケッチブック
【調べ学習の手順】
事前にお話を聞く方に「昔の写真を用意して欲しい」とお願いしておきましょう。写真があれば、より昔の暮らしをイメージしやすくなるためです。また、お話を聞く前に、写真撮影・ビデオ撮影・音声録音などをしても良いのか、確認しておくと安心です。許可をいただけるようなら、調べ学習の自由研究を発表する際の資料として、活用させてもらいましょう。
- お年寄りに会いに行き、昔の暮らしについてインタビューしてお話を聞きます。
- 聞いたお話の内容は、用意したノートにメモしておきます。
- 帰宅後、ノートにメモした内容をまとめれば完成です。
写真がない場合や撮影や録音も難しい場合には、用意したスケッチブックにその場でイラストを描いてもらう対応でも良いでしょう。また、90歳くらいのお年寄りが近くにいない場合は、ご自身のおじいちゃんやおばあちゃんなどにインタビューをすることもおすすめです。
【自由研究・中学生編】人とかぶらない!面白い4選
ここでは、中学生でもできる人とかぶらない、面白い自由研究を紹介していきます。
【実験】塩と氷でアイスクリームを作る
塩と氷を使ってアイスクリームを作る実験の自由研究です。
【用意するもの】
- 牛乳 100mL
- 練乳 大さじ1
- 塩 200g
- 氷 300g以上
- ※あれば かき氷シロップ 25mL
- ジップ付き袋 Mサイズ
- スーパーの袋(またはジップ付き袋Lサイズ) 2枚
【実験の手順】
- 牛乳と練乳をジップ付き袋のMサイズに入れる。(かき氷シロップがあればこのタイミングで加えます)
- (1)の練乳が溶けるまで袋をよく揉み込み、平らにしておきます。
- スーパーの袋を2重にして、塩と氷を入れます。
- (3)に(2)の平らにした袋を入れ、氷で挟むようにします。
- (4)のスーパーの袋の口をしっかり握り、3分間激しく振ります。
- 最後に(5)をタオルに包んで3分程度待てばアイスの完成です!
氷単品よりも塩を加えることで、さらに温度が下がる「凝固点降下」という現象が起こり、アイスができる仕組みです。ビニール袋を手に持って振る際は、かなり冷たくなるので気になる場合は軍手などを使用しましょう。
【観察】微生物を培養
密封容器に粉寒天・砂糖・片栗粉を入れて、発酵食品を加えることで微生物を培養することができます。その変化を観察する自由研究です。
【用意するもの】
- 密封容器 小さなサイズ2~3個(シャーレやビーカーだとより良いです)
- 鍋
- 粉寒天
- 砂糖 10g
- 片栗粉 2.5g
- お湯 500mL
- 発酵食品(納豆・味噌・ヨーグルト・塩麹・ドライイーストなど)
- 綿棒や爪楊枝
- 消毒用のアルコール
【観察の手順】
<微生物を培養するための培地作り>
- まず、使用する容器などには、消毒用のアルコールを塗布して拭いておきましょう。
- 鍋に粉寒天・砂糖・片栗粉を入れてからお湯を入れ、焦げないようにゆっくり混ぜます。(お湯の量は使用している粉寒天の商品説明に書かれている指定の分量に従いましょう)
- お湯が沸騰したら、火を止めて少し冷まします。
- 冷めてきたら、固まってしまう前に密封容器の1〜2cmくらいのところまで(3)を注ぎましょう。
- (4)が自然に固まるまで待ち、固まったタイミングで容器を逆さにして、1時間程度待ち余分な水分を取り除きます。
<微生物を培養する方法>
- 発酵食品を綿棒や爪楊枝で少し取って、<微生物を培養するための培地作り>の(5)で完成した寒天培地に軽くこすり付けます。
- 2〜3個用意した密封容器には、それぞれ発酵食品の種類を変えてこすり付けておきます。
- 各密封容器に蓋をして、容器ごとにラベリングしておきましょう。
- (3)の容器を、30〜37℃くらいの温かい場所に置いて発酵させます。
- 2〜3日が経過すると変化が表れてくるので、1週間程度変化していく様子を観察しましょう。
実はこの培養法は、約150年前に発見されたものです。微生物を培養することで、目に見えない生き物がいることを実感できます。培養することでどのような変化があったのか、発酵食品ごとにどんな違いがあったかなどをまとめてみましょう。
【工作】目の錯覚アート
図書館をはじめ書店にある書籍やインターネット上にある目の錯覚を利用した作品を参考に、トリックアート工作を行う自由研究です。
【用意するもの】
- 目の錯覚アートの書籍(インターネット上にある作品でもOK)
- 画用紙
- 色鉛筆
【工作の手順】
- 真似したい目の錯覚アートを書籍やインターネットからピックアップしましょう。
- (1)を参考に、画用紙に同じように描きます。
- 目の錯覚がどのように起きているのかをレポートします。
目の錯覚アートには様々な種類がありますが、色の錯覚を利用したものを作成する場合、画用紙と色鉛筆が基本的な道具となります。ただし、効果的な錯覚を生み出すには、正確な描画と色の配置が重要です。
例えば、同じ色でも周囲の色によって異なって見える「色の対比」や、直線が曲線に見える「幾何学的錯視」などを再現するには、慎重な計画と細かい作業が必要です。
完成度の高い作品を作るには、参考資料をよく研究し、下書きを丁寧に行い、色の選択と塗り方に注意を払いましょう。また、錯覚の仕組みについて理解を深めることで、よりオリジナリティのある作品を創作することができます。
【調べ学習】虫の動き方を調べる
シンプルに虫の動きを調べて行う、調べ学習の自由研究です。
【用意するもの】
- ダンゴムシまたはワラジムシ
- 厚紙の工作用紙
- ハサミ
- セロハンテープ
【調べ学習の手順】
- 工作用紙を使い、虫が通れる程度の道を作ります。(5~10cmの間隔でT字路を作るようにしましょう)
- (1)の工作用紙の道のスタート地点に虫を置き、どのような順路を進むのかを観察します。
ダンゴムシやワラジムシは、「交替性転向反応」という性質を持っているため、1つの角を曲がると方向を記憶し、反対方向に曲がります。条件を変えながら、どんな動きをするのか調べてみましょう。
【自由研究・中学生編】過去の優秀作品テーマ3選
最後に紹介するのは、中学生ができる過去の優秀作品テーマの内容です。厳選して、3つの実例を紹介します。
沼や川が綺麗か調査する自由研究
沼や川の自然な姿や、水の綺麗さや豊かな生き物などについて調べた自由研究です。
【用意するもの】
- 水質調査ができるパックテスト
- pH試験紙
- 透視度計(※自作)
- 顕微鏡
【自由研究の手順】
- 4か所の水辺の環境を「自然な姿」「豊かな生き物」「水の綺麗さ」「快適な水辺」「地域とのつながり」の5つの指標から評価し、順位付けをします。
- パックテストで水質調査をし、pH値をpH試験紙で調べ、透視度も自作の透視度計で測定します。
- 調査地点の水を採取したら、2〜3日置きに顕微鏡でプランクトンの量を観察したら完了です。
こちらの優秀作品の自由研究では、外出自粛中の生活排水が水質汚染の原因になっており、人の生活と自然環境の結び付きを表す結果となっていました。2年にわたり合計4回の調査を実施したそうです。
植物色素の蛍光色の違いを調べる自由研究
紫外線が当たると特有の蛍光色を示す植物色素があるため、その色の違いを検証する自由研究です。
【用意するもの】
- 紫キャベツ
- 水
- エタノール
- pH0~14の15段階の水溶液
- 紫外線(ブラックライト)
【自由研究の手順】
- 紫キャベツに含まれるアントシアニンを、水・エタノールそれぞれで抽出します。
- (1)の紫キャベツ液にpH0〜14の15段階の水溶液を滴下し、色の変化を観察します。
- さらに、(2)の液に紫外線(ブラックライト)を当てて、蛍光カラーを調べたら完了です。
水で抽出した紫キャベツ液の方が色の変化が大きく、紫外線に対して蛍光カラーを示したのはエタノールで抽出した紫キャベツ液だけになります。こちらの優秀作品は、他にも6パターンの異なる実験を行っていました。
トマトの皮が湯むきできる理由を調査した自由研究
トマトの皮はどうして湯むきをすることができるのかを追求した自由研究です。
【用意するもの】
- トマト
- お湯
- 顕微鏡
【自由研究の手順】
- トマトについて文献調査をして、栽培しているトマトも観察します。
- 湯むきの方法についても文献調査します。
- フレッシュトマトと湯むきしたトマトでどのような変化があるのか顕微鏡で観察します。
この自由研究では、湯むきしたトマトの細胞がフレッシュトマトと比較して小さくなることが観察されました。具体的には、顕微鏡観察の結果、湯むきトマトの細胞の直径が、フレッシュトマトの細胞と比べて約5分の1近く縮小していることが判明しました。この縮小は細胞の体積にも大きな影響を与え、概算では細胞の体積が元の約1%(0.2の3乗)にまで減少したと推定されます。これは皮の細胞だけでなく、トマトの実の部分の細胞にも同様の現象が見られました。この細胞サイズの劇的な変化が、湯むき後のトマトの質感や食感に影響を与えていると考えられます。
おわりに
今回は、中学生の自由研究について詳しく紹介していきました。テーマが決まらないとお悩みの場合は、まず代表的なカテゴリー「実験・観察・工作・調べ学習」の4タイプの中から、好きなカテゴリーを選ぶことをおすすめします。各カテゴリーで、簡単なものから面白いものだけでなく、優秀作品に選ばれるような本格的なものまで、自由研究のテーマはさまざまです。ぜひ、目的に応じた自由研究ができるように、今回の記事を参考にしてみてください。