お年玉の平均金額は学年によって差があるのが実情です。子どもにいくら渡せばいいか迷ったときは、一般的な相場や金額の決め方を参考にすると良いでしょう。このコラムではお年玉の平均金額や渡すとき・もらうときのマナー、よくある疑問について解説します。
お年玉の基礎知識
そもそもお年玉は、「御歳魂(おとしだま)」という習慣に由来するものです。御歳魂はお正月飾りの一つである鏡餅のことで、昔は歳神様に供えた鏡餅を家長が子どもに分配していました。
鏡餅は歳神様の生命とも考えられており、家族みんなに分け与えることで「一年を無事に過ごせますように」という願いが込められています。その後、子どもに分配するものが餅から品物・お金に変化し、今のお年玉という形として定着しました。
「お年玉を誰にあげるか」「何歳からあげるべきか」に迷ったときは、お年玉に関する一般の方のアンケートを参考にするのがおすすめです。また、お年玉の形式はさまざまなため、お金に限らずプレゼントをあげるのも良いでしょう。
ここでは、お年玉をあげる相手や年齢に関する調査結果や、お年玉の形式について解説します。
お年玉をあげる相手&年齢
お年玉をあげる相手や年齢の一般的な目安が知りたい場合は、住信SBIネット銀行が実施したアンケートを参考にしてみましょう。まずはお年玉をあげる相手について、「お年玉に関する意識調査 2021」の結果をご紹介します。
お年玉をあげる相手 | 割合(2020年) | 割合(2021年) |
甥・姪 | 61.3% | 58.6% |
自分の子ども | 42.6% | 43.6% |
甥・姪以外の親戚の子ども | 20.0% | 18.0% |
孫 | 16.9% | 17.7% |
親 | 11.2% | 11.3% |
兄弟 | 2.6% | 3.5% |
配偶者(夫・妻) | 2.8% | 2.4% |
その他 | 5.0% | 4.6% |
2020年と2021年の結果に大きな差はなく、お年玉をあげる相手は「甥・姪」が全体のおよそ6割を占めています。2位以降は「自分の子ども」「甥・姪以外の親戚の子ども」という回答が続くなか、親や兄弟にお年玉をあげるという回答も見られました。
続いて、お年玉をあげ始める年齢について「お年玉に関する意識調査 2020」の結果を確認してみましょう。
あげ始める年齢 | 甥・姪 | 自分の子ども |
0歳 | 32.3% | 18.6% |
1歳 | 11.9% | 9.5% |
2歳 | 3.1% | 4.3% |
3歳 | 12.9% | 15.3% |
4歳 | 4.6% | 6.4% |
5歳 | 6.4% | 8.3% |
小学生 | 21.8% | 29.6% |
中学生 | 2.6% | 2.6% |
高校生以上 | 4.3% | 5.3% |
甥・姪にお年玉をあげ始める年齢は、上から順に「0歳(32.3%)」「小学生(21.8%)」「3歳(12.9%)」という結果でした。一方、自分の子どもにあげる場合は「小学生(29.6%)」「0歳(18.6%)」「3歳(15.3%)」という順番です。い
ずれの場合も、生まれて初めてお正月を迎える0歳のタイミングや、小学生になってからを基準にしているケースが多いと考えられます。
お年玉の形式はさまざま。お金ではなくプレゼントをあげることも
お年玉をあげる際は、さまざまな形式からあげる相手に合うものを選ぶと良いでしょう。よくあるお年玉の形式には以下が挙げられます。
- 現金
- キャッシュレス決済の残高
- 図書券などの金券
- 本やおもちゃなど
お年玉は現金をポチ袋に入れて手渡すのが一般的ですが、キャッシュレス決済の残高なら遠方に住んでいても送りやすいというメリットがあります。「子どもにもっと本を読んでもらいたい」などの願いを込めて、現金よりも使い道が限定される金券を渡すのも一つの手です。
または、本やおもちゃなどの子どもが喜ぶ品物をお年玉としてプレゼントするという選択肢もあります。あげる相手がまだ幼くてお金の価値がわからない場合は、お金よりもプレゼントの方が好まれることもあるでしょう。
お年玉の平均相場と金額の決め方
渡す相手やあげ始める年齢とともに悩ましいのが、「お年玉の金額をいくらにするか」でしょう。一般的には、渡す相手の年齢・学年に応じて金額を決めるケースが多いです。
または、年齢に一定の金額を乗じて計算したり、毎月のお小遣いから金額を決めたりすることもあります。お年玉の平均相場や金額の考え方を詳しく見ていきましょう。
【年齢(学年)別】お年玉の平均相場
上述した住信SBIネット銀行の調査では、年齢(学年)別のお年玉の平均相場も確認できます。まずは小学生以下の結果をご紹介します。
【未就学児】
- 1位……1,000円以内
- 2位……1,001円から3,000円
- 3位……3,001円から5,000円
【小学生(低学年)】
- 1位……1,001円から3,000円
- 2位……3,001円から5,000円
- 3位……5,001円から10,000円
【小学生(高学年)】
- 1位……3,001円から5,000円
- 2位……5,001円から10,000円
- 3位……1,001円から3,000円
小学生未満に渡す金額は「1,000円以下」と回答する方が多く見られ、小学校低学年や高学年と年齢が上がるにつれて平均的な金額も大きくなります。続いて、中学生以上の結果を見てみましょう。
【中学生】
- 1位……5,001円から10,000円
- 2位……3,001円から5,000円
- 3位……10,001円から30,000円
【高校生】
- 1位……5,001円から10,000円
- 2位……10,001円から30,000円
- 3位……3,001円から5,000円
【大学生・専門学校生等】
- 1位……5,001円から10,000円
- 2位……10,001円から30,000円
- 3位……3,001円から5,000円
調査結果を見ると、中学生以上の平均相場は「5,001円から10,000円」が最も多く、続いて、「3,001円から5,000円」でした。高校生以上は「5,001円から10,000円」となっています。
出典:住信SBIネット銀行「お年玉に関する意識調査 2021」
お年玉の金額の決め方
お年玉の金額の決め方には、主に3つのパターンがあります。
- 学年×1,000円(※小学生の場合)
- 渡す相手の年齢×500円
- 1ヵ月のお小遣いを目安にする
小学生に渡す場合は、学年に1,000円を乗じるというシンプルな計算式で求められるでしょう。例として、小学校1年生なら1,000円(1×1,000円)、小学校6年生なら6,000円(6×1,000円)です。
ただし、4,000円のように4がつく数字は忌み数のため、3,000円や5,000円など4がつかない金額にすることが大切です。または、渡す相手の年齢の数字に500円を乗じる方法もあります。
例えば、3歳であれば1,500円(3×500円)、10歳であれば5,000円(10×5,000円)です。
そのほか、相手が普段もらっているお小遣いの金額から考える方法もあります。具体的な金額を基準にできるため、自分の子どもに渡す金額に迷った際にも有効な方法でしょう。
また、金額を考えるうえではお年玉と贈与税の関係について理解しておくことが大切です。お年玉には贈与税が課されないのが基本ですが、年間で110万円以上の金額を受け取ると贈与税の課税対象となります。
例えば、お年玉やお年玉以外に受け取ったお金の合計が150万円なら、40万円分に対して課税されます。金額によっては贈与税の対象となり、確定申告や納税の義務が発生する点には注意が必要です。
お年玉を渡すときのマナー5つ
お年玉を渡す際には、知っておくべきマナーが5つあります。
- 新札やきれいな硬貨を用意する
- 金額を忌み数(4・9)にしない
- 目上の方の子どもにはお年賀を渡す
- ポチ袋を用意する
- 喪中の際は渡し方に配慮する
お年玉は家族の幸せを願うという厳かな習慣から生まれたものです。たとえ渡す相手が子どもでも、きちんとしたマナーを心がけることが大切でしょう。ここでは、お年玉を渡すときのマナーについて解説します。
新札やきれいな硬貨を用意する
お年玉の金額を決めたら、新札やきれいな硬貨を準備しておきましょう。銀行に立ち寄る時間がないなら、折り目がついていないピン札や、なるべく汚れやしわがないお札を用意するのが無難です。
新札を用意できないときは、新札を持ち合わせていないことについて謝罪の言葉を添えると丁寧です。ポチ袋やのし袋にお金を入れる際は、お札や硬貨の表裏を間違えないように気をつけましょう。
それぞれの表面は、お札は肖像が描かれている面、硬貨は金額が漢数字で書かれている面です。なお、お札の肖像が逆さまにならないように、お札を入れる向きにも注意してください。
金額を忌み数(4・9)にしない
お年玉の金額を決める際は、4や9がつく忌み数は避けましょう。4は「死」をイメージさせる数字、9は「苦」につながる数字と考えられています。お年玉は慶事のマナーに沿って行うのが基本のため、このような縁起の悪い数字は不向きです。
忌み数とあわせて、相手が困らない金額にすることも大切です。高額なお年玉をあげると、もらった子どもの親が恐縮してしまい、「お返しをしなければ」と気を遣わせてしまう可能性が高いでしょう。
双方の親同士で金額について話し合うか、平均相場からお年玉の金額を決めるのが無難です。
目上の方の子どもにはお年賀を渡す
お年玉は家長から子どもに分け与えるという習慣に基づいており、目上の方から目下の方に渡すものと考えられています。そのため、目上の方の子どもに対してお年玉をあげると、相手を目下扱いしているという意味になりかねません。
目上の方の子どもにお年玉をあげる際は、お年玉ではなくお年賀として届けるのが基本です。例えば、現金の代わりに金券やギフトカードをあげたり、お菓子を持参したりする方法があります。
ポチ袋を用意する
お年玉を現金で渡すのはマナーに反する行為です。渡す相手ごとにポチ袋を用意し、表面にはあげる子どもの名前を、裏面には自分の名前を書きましょう。名前と一緒に一言メッセージを添えるのがおすすめです。
お正月は想定外の来客があることも考えられるため、ポチ袋を必要な数よりも余分に用意しておくと安心でしょう。どうしてもポチ袋を用意できないときは、手持ちの紙や封筒に包んでも構いません。
喪中の際は渡し方に配慮する
あげる相手が喪中の場合でも、お年玉を渡すことに問題はないとされています。ただし、あげる際は喪中であることを考慮し、渡し方に配慮しなければいけません。
例えば、お年玉を入れるポチ袋を選ぶ際は、お正月を連想させる華やかなデザインは避けたほうが良いでしょう。通常のお正月とは異なることを子どもに伝えるために、お年玉ではなく「玩具代」や「書籍代」として渡す方法もあります。
子どもに教えておくべきお年玉のもらい方のマナー3つ
お年玉はもらう側にも適切なマナーがあるため、前もって子どもに教えておく必要があるでしょう。子どもに伝えるべきマナーとして、以下の3つが挙げられます。
お年玉は子どもに礼節やお金の使い方を教える機会でもあります。お年玉をもらう時期を迎える前に、子どもに教えておくべきもらい方のマナーを確認しておきましょう。
- お礼を忘れない
- すぐにポチ袋を開けない
- もらったお年玉を無駄遣いしない
お礼を忘れない
お年玉をもらった際の振る舞い方として、お礼の言葉を忘れないように徹底させましょう。親がお年玉を預かった場合は、電話や手紙で感謝を伝えるように促すことが大切です。
特に子どもが幼いうちは、「ありがとうございます」とお礼を言う前にお年玉を受け取ってしまうことがあります。子どもがマナー違反をしてしまったら、まずは親が子どもの非礼について謝罪します。
そして、お礼の大切さを子どもに教えたうえで、感謝と謝罪の言葉を伝えるように教えましょう。
すぐにポチ袋を開けない
お年玉をもらってすぐにポチ袋を開けてはいけないと教えることも大切です。子どもはお年玉に興味津々のため、すぐにポチ袋を開けてしまうこともあるでしょう。しかし、もらった相手の前でポチ袋の中身を確認するのはマナー違反に当たります。
まずはお礼を述べるように徹底し、ポチ袋を目の前で開けないように言い聞かせておくのが賢明です。また、ポチ袋を受け取る際は、片手でなく両手で受け取ると教えておきましょう。
もらったお年玉を無駄遣いしない
もらったお年玉を無駄遣いしないように、子どものマネーリテラシーを養うことも肝要です。子どもにとってお年玉は、いわば臨時収入です。お小遣いよりも高額なお金を手にすることで、つい浪費してしまうケースは珍しくないでしょう。
無駄遣いから学べることもありますが、親としては賢いお金の使い方を教えておきたいところです。例えば、子どもと一緒に以下のプロセスに沿ってお金の使い道を考え、お金を賢く使える道筋を作ってあげるといいでしょう。
- 欲しいものをリストにまとめて見える化する
- 欲しいものに優先順位をつける
- 優先順位が高いものから買うものを検討し、購入する
- 余ったお金は貯蓄に回し、お年玉をすべて使い切らないようにする
お年玉のよくある疑問3つ
お年玉には一般的な考え方はあるものの、特にルールが確立されているわけではありません。そのため、お年玉をあげる相手や金額などの悩みは尽きないと考えられます。とはいえ、あまりにも常識から外れた振る舞いをすると、失礼なイメージをもたれてしまうでしょう。
そこで、ここではお年玉のよくある疑問を3つご紹介します。マナーを守ってお年玉を渡せるように、疑問を解決しておきましょう。
親にお年玉を渡してもいい?
お年玉は目上の方から目下の方に渡すものという性質があるため、子どもから親にお年玉を渡すのはマナー違反に当たります。ただし、お正月という機会に日頃の感謝を伝えたいという方は少なくありません。上述した住信SBIネット銀行の調査でも、親にお年玉をあげる方は一定数います。
礼儀を守ったうえで感謝を伝えるなら、お年玉ではなくお年賀として贈ると良いでしょう。お年賀の金額に決まりはないため、自らが適切だと思う金額で構いません。金銭的な贈り物以外に、感謝の言葉やプレゼントを贈るのもおすすめです。
我が子と親戚の子どもにあげる金額は同じにすべき?
自分の子どもと親戚の子どもの年齢が同じ場合は、お年玉の金額を揃えるのが無難でしょう。前もって親同士で話し合い、金額を決めておくと安心です。ただし、各家庭でお金の渡し方のルールは異なるため、柔軟に対応することも大切です。
例えば、子どもに毎月のお小遣いを渡しておらず、お年玉としてまとまった金額を渡している場合、親戚の子どもと同じ金額では不足すると考えられます。
このようなケースでは、自分の子どもと親戚の子どもが同席する場面では同じ金額を渡しておき、あとから不足分を追加で渡すと良いでしょう。
お正月に会わない子どもにもあげるべき?
お正月に会わない子どもに対するお年玉について正解はなく、渡したいと思った場合はあとからお年玉をあげても構いません。お正月の間に会えないなら、お年玉ではなくお小遣いとして渡すのも一つの手です。
特に昨今は、新型コロナウイルスの影響で親族の集まりを控えるケースも増えているでしょう。お正月に会わない子どもにお年玉として渡したい場合は、現金書留や銀行振り込みを利用する方法もあります。または、現金ではなく子どもが欲しがっているものをプレゼントとして郵送するのも良いでしょう。
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お年玉の金額は平均相場を参考にしよう
お年玉の平均相場は子どもの年齢によって差があります。小学生未満には1,000円以下、小学生には3,000円前後をあげるケースが多い一方で、中学生以上では5,000円〜10,000円程度がボリュームゾーンとなっています。
金額の決め方に迷ってしまったら、あげる相手の年齢や学年に一定の数字を乗じて計算するのも一つの手です。お年玉をあげる際のマナーなどを押さえたうえで、あげる相手に適した金額を検討してみましょう。