住宅ローンの滞納が続くと督促状が届き、長引けば競売になる恐れがあります。支払いが難しい際はすぐに金融機関に連絡し、返済計画の見直しなどを相談するのが良いでしょう。このコラムでは、住宅ローンを滞納した際の対処法などをご紹介します。
住宅ローンを滞納したらどうなる?
さまざまな事情で住宅ローンを滞納してしまう場合があります。住宅ローンは1〜2回は支払いが遅れてもすぐに支払えば問題はありません。しかし、数ヵ月にわたり何も連絡せずに滞納した場合は督促状が届き、遅延損害金を請求されることになります。また、期限の利益を失い、全額を請求されることになりかねません。
ここでは、住宅ローンを滞納した場合に起こることをご紹介します。
督促が来る
住宅ローンを1〜2ヵ月ほど滞納すると、金融機関から督促を受けます。電話連絡がきたり、滞納している金額が記載された文書が届いたりします。この段階ではまだ厳しい取り立てというわけではなく、電話で事情を聞くような対応です。連絡が来た際に事情を話せば、リスケジュールの相談に乗ってくれるかもしれません。
遅延損害金がつく
住宅ローンを決められた期日に返済できない場合、遅延損害金が請求されます。遅延損害金は返済日の翌日より発生し、遅延している元金に対して所定の利率で計算されるものです。
契約内容により異なりますが一般的に、遅延損害金は1年を365日とする日割り計算により、1日ごとに発生します。遅延損害金はペナルティであるため、通常の金利よりも高めに設定されています。滞納することで、さらに負担が増えてしまいます。
期限の利益を喪失する
督促しても支払いがない場合、催告書が届きます。最初の督促よりも厳しい内容の通知です。まず、催告書には期限の利益を喪失するという文言が記載されています。
期限の利益とは、約束した返済日までにお金を返済すれば良いという権利をいいますが、滞納を続けることで、その権利を失い、期日までに滞納している住宅ローンの元金と金利、遅延損害金を支払う必要があります。つまり、期日までに支払わなければ、住宅ローンの残額を一括で支払わなくてはならなくなるのです。
滞納が続くと差し押さえ・競売される
ローンの残額を一括で支払えない場合、自宅が差し押さえられます。住宅ローンを組んだ際に自宅には担保権が設定されますが、その担保権に基づき差し押さえが行われ、最終的に競売にかけられることになります。ただし、金融機関によっては競売の開始前に任意売却を申し出れば競売は取り下げられ、競売よりも良い条件で自宅を売却することが可能です。
連帯保証人も責任を負う
住宅ローンを滞納した場合、契約者本人だけでなく連帯保証人にも請求されます。連帯保証人は、契約者と連帯して債務を返済する義務を負うためです。連帯保証人も支払いができない場合は自宅の競売が行われますが、競売後に残債がある場合、連帯保証人にも支払い義務が残ります。契約者本人が支払えない場合、連帯保証人が代わって支払わなければなりません。
信用情報に傷がつく場合も
住宅ローンを滞納すると、信用情報に事故情報が記録される場合があります。記録が残るのは一般的に返済が3ヵ月以上遅れた場合で、一度、信用情報に傷がつくと一定期間記録が残り、その間はクレジットなどの審査に通らなくなります。事故情報が登録されるのを避けるためには、少なくとも3ヵ月以上の滞納は避けなければなりません。
住宅ローンの滞納が許されるのは何日まで?
住宅ローンの支払いをうっかり忘れてしまう場合もあるでしょう。通常はすぐに支払うことでその後に影響は与えません。急な病気や失業など何らかの事情により2ヵ月以上の滞納をする場合、金融機関から催促の電話が増えてきます。また、督促状や催告書などいくつもの書類が届き始めるのもこの時期です。滞納が許されるのは長くても2ヵ月程度で、それ以上は許されないと考えて良いでしょう。支払えない見通しとなったら、早めに相談するなどの対応が必要です。
住宅ローンを滞納した場合に起こること
住宅ローンの滞納が2ヵ月以上続くと、さまざまな通知が届きます。まず、督促状など支払いを求める通知が届き、それに答えず滞納を続けると期限の利益喪失や差し押さえに関する通知などが順を追って送られてきます。最終的には競売開始決定の通知が届くことになるでしょう。
どのような通知書が届くのか、時期ごとにご説明します。
【約2ヵ月後】督促状や催告書が届く
住宅ローンの滞納から約2ヵ月ほどで届くのが督促状です。督促状には約束の支払期日に入金が確認できていないことや滞納している期間、金額、遅延損害金などが記載されています。
督促状が届いたあとも支払いをしない場合、催告書が届きます。督促状よりも厳しい文面の通知書です。分割払いをする権利である「期限の利益」を喪失する可能性があることや、このまま支払いがない状態が続くと競売される場合があることなどが記載されています。
【約3ヵ月後】期限の利益を失う
滞納したまま約3〜6ヵ月を過ぎたころに、期限の利益喪失通知が届きます。分割払いの権利がなくなったという通知です。これにより、ローン残債の一括払いを求められることになります。期限の利益喪失通知が届いたあとには、「代位弁済通知書」が届きます。代位弁済とは、ローンの支払いを保証する保証会社が契約者に代わり残額を一括で支払ったという通知です。
【約5ヵ月後】競売準備が行われる
代位弁済した保証会社は、金融機関に代わって住宅ローンの残額を請求してきます。一括返済ができない場合、そのまま競売に向けた準備が開始されます。裁判所に競売の申し立てが行われ、 申し立てが認められたあとに住宅の差し押さえが実施されるという流れです。
差し押さえにより財産を処分する権利が制限されるため、売却などはできなくなります。その後、裁判所による競売手続きが始まります。
【約6ヵ月後】競売開始決定通知書が届く
競売の手続きが開始されると、裁判所から「競売開始決定通知書」が届きます。競売にいたる理由や競売する不動産の詳細、滞納している金額などが記載されている文書です。差し押さえの情報は登記簿謄本に記載されるため、競売が公にされることになります。
その後、競売する物件の査定を行うため、裁判所の執行官が調査に訪れます。事前にその日時を知らせるための通知が届くことになるでしょう。
住宅ローンを滞納したときの4つの対処法
住宅ローンの支払いが難しくなった場合、滞納を長引かせずに早めの対処が必要です。支払えないからと放置せず、まずは金融機関に相談してみましょう。また、住宅ローンの借り換えなら、毎月の負担を減らせます。どうしても支払えないという場合には、競売になる前に売却を検討するのも良いでしょう。住宅ローンを滞納したときの対処法をご紹介します。
金融機関に相談する
住宅ローンを支払えない状況になったら、早めに金融機関に相談しましょう。支払い金額の変更や一定期間の猶予など、リスケジュールをしてもらえる可能性もあります。リスケジュールは、主に次のような方法での相談が可能です。
- 借入期間を延長する
- 返済額を一定期間減額する
- 元金の返済を据え置きする
毎月の返済額をずっと減らしたい場合は、借入期間を延長する方法があります。また、今後返済の目途がある場合、一定期間に限定した減額や元金の支払いをせずに利息のみを支払う元金の返済据え置きといった方法を相談することもできるかもしれません。
住宅ローンの借り換えを検討する
借入期間の延長ができず、毎月の負担を減らせない場合は住宅ローンの借り換えという方法もあります。現在よりも金利が安い住宅ローンを見つけ、借り換えることで月々の負担を減らせます。金利は変わらなくても、借入期間を長くできれば毎月の返済額を減らすことができるでしょう。借り換える場合は、滞納が長引く前に対応しなければなりません。3ヵ月以上滞納して信用情報に傷がついた場合、借り換えの審査に通らなくなります。
売却を検討する
リスケジュールが難しく、借り換えもうまくいかない場合は、売却して住宅ローンを返済することも考えなければなりません。住宅ローン返済中の場合でも、売却価格より住宅ローンの残債が少なければ売却が可能です。
住み慣れた我が家から離れたくないという方は、リースバックを検討してみてはいかがでしょうか。売却したあとも賃貸として家賃を支払い住み続けられるサービスです。売却代金で住宅ローンの返済ができ、将来は再度購入することも可能です。
金融機関の承諾を得て任意売却する
売却代金よりローンの残額が多い場合でも、金融機関の承諾を得ることで、任意売却をすることができます。競売にかけられると売却に自分の意思は反映されません。市場価格よりも安い価格で取引され、ローンの残債が残ってしまう場合もあります。また、競売においては強制退去を命じられることになり、すぐに明け渡さなければなりません。
任意売却であれば、市場価格に近い価格で売却が期待できます。明け渡しの際も要望を聞いてもらえる可能性が高いでしょう。セゾンファンデックスでは、任意売却の相談を受け付けているため、住宅ローンの返済に困っている方は早めに相談してみてはいかがでしょうか。
おわりに
住宅ローンの返済が難しくなった際は、早めの対処が必要です。滞納が長引くと督促状が届き、分割払いもできなくなります。最悪の場合は、競売にかけられ強制退去を命じられます。滞納が長引く前に、金融機関に相談するなど対策を行いましょう。売却を検討している方は、売却後も自宅に住み続けられるリースバックを一度検討してみてください。セゾンファンデックスのリースバックは最短即日で不動産の査定が可能ですので、まずは早めに問い合わせてみましょう。