「インデックスファンドへの挑戦を考えているけど、具体的にどのようなものかイメージできない」といった疑問をお持ちの方は多いのではないでしょうか。インデックスファンドは、低いコストで資産を少しずつ増やしていける金融商品なので、投資に詳しくない方が初めての資産運用として挑戦するには適しているでしょう。
インデックスファンドは、注意点や銘柄の選び方も理解していないと、思わぬところで損をするリスクがあります。このコラムではインデックスファンドの特徴から銘柄の選び方まで解説していきます。
インデックスファンドの概要
将来を見据えて、コツコツと資産を形成していきたいと考える方も多いでしょう。ここでは、インデックスファンドの基礎について解説していきます。しかし、インデックスファンド以外にも投資信託の種類はあるため、どう違うのかを明らかにして投資に臨みましょう。
インデックスファンドとは
インデックスファンドとは、市場全体の動きを表すインデックスと連動した値動きを目指して運用される投資信託の一種です。インデックスの指標となっているのは、次のような株価指数です。
- 日経平均株価
- TOPIX
- S&P500
- NYダウなど
投資信託は、さまざまな投資家から集めたお金を一つにまとめて運用会社が投資を行い、発生した損益を投資家で分け合う金融商品を指します。大勢から資金を募っているため、少額から投資を始められる点が特徴です。
さらにインデックスファンドは、株価指数と同じ値動きを目指して運用するため、自動的に購入されていきます。株式のようにご自身で銘柄を買う必要はないため、忙しくて株価を頻繁にチェックできない方におすすめです。インデックスファンドを買うには、証券会社等の口座が必要なため、投資したい銘柄を扱っているネット証券などを探して利用しましょう。
アクティブファンドとの違い
投資信託には、インデックスファンドと対となる存在の「アクティブファンド」もあります。アクティブファンドは、株価指数を上回った利益を獲得するために、運用のプロであるファンドマネージャーが銘柄の情報や企業活動をよくリサーチしたうえで運用していきます。そのためアクティブファンドは、インデックスファンドよりもリターンが膨らむチャンスを秘めた投資方法です。ただし、リターンが株価指数よりも下回るリスクがあるため注意する必要があります。
また、アクティブファンドは、ファンドマネージャーが銘柄選びのために手間をかけるので、投資信託を保有することで保有期間中にかかるコスト「信託報酬」がインデックスファンドに比べ高いです。「低コストでリスクを抑える安定した投資を行うならインデックスファンド」、一方で「株価指数以上のリターンを期待するならアクティブファンド」のように、目的に応じてどちらで投資すべきか選択しましょう。
インデックスファンドが人気な6つの理由
多くの投資家がインデックスファンドを買うのは、購入すべきメリットがあるためです。ここでは、投資信託のなかでインデックスファンドに人気が集まる理由について解説していきます。
値動きがシンプルで分かりやすい
値動きがシンプルで分かりやすいので、投資初心者でも市場の動きを勉強できます。インデックスファンドは、TOPIXやS&P500のような特定の株価指数との連動を目指しています。購入したインデックスファンドと同じ動きをしている指数を確認することで、投資した資産がどのように動いているのか簡単に把握できるしょう。
1本購入すれば市場全体に分散投資できる
インデックスファンドを1本購入すると、そのまま分散投資につながります。通常なら、分散投資にチャレンジするには、複数の銘柄を購入しなければなりません。例えば、S&P500は米国に上場している主要企業の500銘柄で構成されており、そのすべてに個人で投資をするには、資金も購入する時間も足りないでしょう。しかし、インデックスファンド1本に投資すれば、少額でもS&P500の500銘柄に資金を投じるのと同じ効果になるのです。
インデックスファンドによる分散投資で、株価の暴落が起きた時のリスクを回避できるため、資産を安定して運用していくには優れています。
少額から始められる
インデックスファンドは、ネット証券などでは、月100円などの少額から運用できます。投資信託とは異なり株式投資において、日本株を購入する際は、米国株などとは異なり単元株制度を導入しているため、基本的に100株単位で株式を買う必要があります。
例えば、多くの家庭に良質な家具やインテリアを提供するニトリホールディングスなどの有名企業に投資しようとすると、数百万円単位でお金が必要です。一方で、投資信託であれば、購入したい日本株が銘柄として組み込まれているファンドを選ぶことで、少額で投資することができ、加えて間接的に、その企業の株の恩恵を受けることもできるでしょう。
投資初心者がいきなり出費するには大きすぎる金額であり、手を出しにくい株式もあります。投資信託のような少額投資なら負担が減るため、少ない資金でも投資に挑戦できるでしょう。
誰でも手間をかけずに運用できる
インデックスファンドは、どのような株を購入すれば株価指数と同じように連動するか、運用会社が判断して購入してくれるため、購入すべき銘柄を決めるためにご自身で調べる必要はありません。株式のように、株価の値動きに敏感になってリアルタイムで売買する必要がなく、忙しいサラリーマンや主婦の方でも挑戦しやすいでしょう。
さらにインデックスファンドでは、購入時点と売却時点の差額で利益を得る、株式投資のような運用方法にも対応しています。「安い時に買って高い時に売る」というシンプルな考え方で、売買益を得られるのです。
しかし、リターンを得られるのと同時に、株価が下がっている時にインデックスファンドを売っても、損にしかなりません。運用中、元本よりも価値が下がるリスクもあるため、投資初心者ならインデックスファンドを継続的に保有し続ける方法がおすすめです。
運用にかかるコストが安い
投資信託は、保有している期間中に「信託報酬」という運用にかかるコストを負担する必要があります。アクティブファンドでは、有望な投資先をプロが調べるためのコストが必要であるため、信託報酬が高くなる傾向にあります。一方、インデックスファンドは、株価指数に連動するファンドであり、アクティブファンドに比べ企業分析等の手間等が掛からないなど運用コストを抑えることができるため、アクティブファンドよりも信託報酬が安いです。
つみたてNISAでも購入できる
インデックスファンドは、つみたてNISAでの購入にも対応しています。つみたてNISAでインデックスファンドを買うと、年間400,000円までの非課税投資枠におさまっていれば、投資で得た利益に税金がかかりません。一方、一般口座で購入すると、発生する利益に約20%の税金がかかるため、つみたて NISAで購入した方が利益を最大化できます。
インデックスファンドで知っておくべき3つの注意点
インデックスファンドは、初心者でも挑戦しやすい投資方法です。しかし、株式などの金融商品と同様に、コストやリスクは存在しています。ここでは、インデックスファンドで知っておくべき注意点を解説しますので、利益を最大化するためにもぜひ押さえておきましょう。
固定費として信託報酬がかかる
インデックスファンドに限らず、投資信託には預けたお金を実際に運用するための、信託報酬という固定費がかかります。信託報酬が高く成長性が低いインデックスファンドに投資すると、利益が出にくい可能性があるため注意しましょう。
インデックスファンドは「どの株式を購入すれば株価指数と同じように連動するのか」を自動的に判断して購入してくれるため、ファンドマネージャーのような人的コストがアクティブファンドに比べおさえられています。なかには信託報酬がほとんどかからないインデックス
ファンドも存在するため、銘柄ごとの情報をよく調べたうえで購入を決めましょう。
なお、信託報酬は毎日計算されています。信託報酬が控除されたあとの時価が日々の基準価額とされています。
短期的に大きな利益を期待できない
インデックスファンドは、分散投資でインデックスと同じ値動きを目指す手法であるため、大きなリターンは狙いにくい投資方法です。長期的に時間をかけて得られる複利効果により資産が増えていく仕組みです。そのため、インデックスファンドの購入を始めたばかりでは、資産が増えている実感が湧かない方もいるでしょう。インデックスファンドは、10年、20年と長期的に投資資金を積み立てていくことが大切です。短期的に大きな利益を得たい方にはあまり向いていないでしょう。
市場の状況によっては低迷する時期がある
インデックスファンドによる投資信託で、株価指数の動きに連動した安定的な運用を期待できるといっても、実績が低迷する時期は存在します。例えば2000年代における10年間はほとんど増えずに低迷していた過去もありました。
さらに、突発的な株価の大暴落が起きて、マイナスになる可能性もあり得るでしょう。しかしマイナスになったことに焦り、見切りをつけて売るのではなく、インデックスファンドを根気よく保有し続けることが大切です。
インデックスファンドは、市場全体の動きに連動しているため、再び景気が良くなって利益を生み出すことを期待できるからです。もちろん、投資をする以上はマイナスになることも覚悟しておく必要があるでしょう。数年で利益が出たとしてもすぐに売ってしまわず、この先10年、20年後も上がると信じて保有し続けるのがインデックスファンドです。
インデックスファンドの損しない選び方2選
インデックスファンドの投資運用は、長期的に考える必要があるため、リスクを加味して投資先を選ぶことが大切です。資産が順調に増えていく銘柄を選ぶことが求められるため、ここでは損しないインデックスファンドの選び方を解説していきます。
コストが低い商品を選択する
どのインデックスファンドを買うか悩んだとき、信託報酬のパーセンテージが低い銘柄を選ぶに越したことはありません。信託報酬は、購入手数料などと同じように必ずかかる固定費であるため、高いとその分利益は減ります。信託報酬や購入手数料は、長期的に投資すると積み重なって大きな差になるため、コストの低いインデックスファンドを選択しましょう。
純資産額が大きい商品を選択する
純資産額は、その投資信託にどれだけ資金が集まっているかを表しています。純資産額の多さが、インデックスファンドの優劣を決めているというわけではありません。しかし純資産額が多いということは、それだけ多くの投資家が購入していることを示しています。
購入を迷っているインデックスファンドの純資産額を比較し、投資先を決める材料として活用するのも選択する目安の一つになるでしょう。各証券会社の投資信託の商品ページで、過去の運用成績をチャートとして確認できます。一方で、あまりに純資産額が少ない投資信託を選択すると、解散する可能性もあるため注意が必要です。
おわりに
インデックスファンドとは、日経平均株価などの株価指数に連動することを目指して運用される投資信託です。ファンドマネージャーが銘柄を選ぶのではなく、株価指数と同じ動きをするよう自動的に購入されるため、投資初心者でもどの銘柄を買うべきか悩む必要がなく、チャレンジしやすいメリットがあります。さらにインデックスファンドは、資金が少ない方でも少額から始められるため、興味を持った方はぜひ運用を検討してみましょう。