ふるさと納税は寄付金分の税控除を受けられたり、魅力的な返礼品が貰えたりするなどメリットが多い制度です。
しかし、ふるさと納税の仕組みや目的を理解していないと損をするケースも少なくありません。場合によってはふるさと納税をしないほうがいいこともあるので注意が必要です。
この記事では、ふるさと納税のメリットやデメリット、得をする方・損をする方について解説します。ふるさと納税に興味がある方は、ぜひ参考にしてください。
ふるさと納税をしないほうがいい方5選
ふるさと納税は、2,000円の自己負担でさまざまな返礼品を受け取れるお得な制度です。しかし、以下に該当する方はふるさと納税をしないほうがいい可能性があります。
- 所得の少ない方
- 専業主婦や扶養の範囲で勤務している方
- 現在の生活資金を減らしたくない方
- 手続きや控除限度額の計算が面倒に感じる方
- 現在住んでいる自治体に貢献したい方
今後ふるさと納税を検討している方は、上記にあてはまっていないか確認してみてください。
所得の少ない方
ふるさと納税は2,000円の自己負担が必要な制度です。そのため返礼品に2,000円以上の価値がない場合は損をしてしまいます。
ふるさと納税の返礼品は、寄付額の3割以内と定められています。例えば寄付金が10,000円の場合、返礼品の上限額は3,000円相当です。そのため控除限度額が少額の場合、返礼品も自己負担額程度になる可能性があり、ふるさと納税をしてもあまりお得感がありません。
なお、ふるさと納税の控除限度額は、前年の課税所得額に応じて決められます。前年の収入が少ない方や所得控除の多い方は、控除限度額が少ない可能性があります。詳しくは総務省のサイトを参考にしてください。
参考:総務省「全額控除されるふるさと納税額(年間上限)の目安」
専業主婦や扶養の範囲で勤務している方
専業主婦の方や世帯主の扶養範囲内で仕事をしている方は、ふるさと納税をしてもメリットがありません。
ふるさと納税は住民税や所得税を前払いする制度ですが、専業主婦や扶養内で働いている方はそもそも税金が発生していません。納税義務がない状態でふるさと納税をしても、自己負担額以上のメリットが得られないため、損してしまいます。
「世帯主のふるさと納税が控除限度額に達したので、次は妻の名義で」と考えている方は、配偶者の控除限度額を忘れずに確認しましょう。
現在の生活資金を減らしたくない方
生活資金に余裕がなく、できるだけ支出を増やしたくないと感じている方は、ふるさと納税をするべきではありません。
ふるさと納税は税金を前払いする制度です。実際に税額控除されるのは、所得税は年末調整や確定申告時、住民税はふるさと納税をした年の翌年6月になります。つまり、ふるさと納税をした場合、実際に手元にお金が戻ってくるまでに半年から1年程度の期間がかかります。
そのため、現在の生活費をできるだけ減らしたくないという状況であれば、ふるさと納税は控えましょう。
手続きや控除限度額の計算が面倒に感じる方
ふるさと納税は返礼品を受け取れば終わりではなく、税控除を受ける手続きや正確な控除限度額の計算が必要です。そのため時間や手間をかけたくない方は、ふるさと納税をしない方がよいでしょう。
ふるさと納税で税控除を受けるには、確定申告かワンストップ特例のどちらかを利用しなければなりません。また、ふるさと納税は寄付額に制限があるため、正確な限度額の計算も必要です。
ふるさと納税を検討する際は、手続きや計算の手間も考慮しましょう。
現在住んでいる自治体に貢献したい方
ふるさと納税は、納税先を現在の居住地から他の自治体へ変更する制度です。自分が住んでいる自治体に税金を納めたい方は、ふるさと納税をするべきではありません。
例えば、現在の居住地域に生まれたときから住んでいて思い入れがある方や、納税を通じて貢献したい方は通常どおり納税しましょう。
なお、ふるさと納税で自分が住んでいる地域に納税しても、返礼品はもらえない点には注意が必要です。
ふるさと納税の仕組み
ふるさと納税は、生まれ故郷や応援したい自治体などに寄付できる制度です。地方と都市部の税収入格差を是正する目的で始まりました。
ふるさと納税を利用すると、寄付した自治体から「返礼品」と「寄附金受領証明書」が自宅に届きます。
その後、確定申告かワンストップ特例制度で税控除の手続きを行います。手続き完了後、一定の上限はありますが、寄付金のうち2,000円を差し引いた部分が所得税や住民税から控除されるのがふるさと納税の仕組みです。
ふるさと納税は、自分で寄付金の使い道を決めることができ、自治体から返礼品も受け取れるメリットがあります。
ふるさと納税のメリット4選
ふるさと納税の利用者は、年々増えています。その理由をメリットとともに見ていきましょう。
寄付金の一部が還付・控除される
ふるさと納税の大きなメリットが、寄付金の一部が税額控除される点です。上限金額内であれば、寄付金から2,000円を差し引いた全額が、所得税や住民税から還付・控除されます。
控除の上限金額は年収や家族構成などで異なるため、自身がいくら寄付できるのか知っておくと良いでしょう。下記のWEBサイトにて、控除限度額のシミュレーションが可能です。
返礼品が届く
ふるさと納税をすることで、自治体への寄付で返礼品を受け取れます。返礼品を楽しみにふるさと納税をしている方は多いでしょう。
各自治体は、寄付金額の30%以内に相当する地場産品を用意しているのが一般的です。
返礼品の例として、以下のものがあります。
- 食品(肉・海産物・野菜・果物など)
- 食事や温泉などの利用券
- 工芸品
- 地元企業の製品
- 日用品
ふるさと納税を利用して地域の名産品に触れることで、旅行気分も味わえるでしょう。
地域の応援ができる
ふるさと納税では、寄付する自治体を自由に選べます。ご自身が住んでいる地域や生まれ故郷以外でも、応援したい自治体に寄付が可能です。
例えば以下のような理由でも、ふるさと納税はできます。
- 旅行で訪れて気に入った
- これから住んでみたい
- 返礼品に魅力を感じた
- 災害が起きて少しでも復興に協力したい
ふるさと納税は、理由に関わらずさまざまな自治体を応援できる制度です。
クレジットカードのポイントが貯まる
ふるさと納税は、クレジットカードでの支払いも可能です。クレジットカードで支払うとポイントが貯まるため、さらにお得感を得られます。
例えば「セゾンのふるさと納税」では、クレディセゾンが発行するクレジットカードで寄付すると、永久不滅ポイントが貯まります。
もし、まだセゾンカードをお持ちでない方は、ナンバーレスクレジットカード「SAISON CARD Digital」がおすすめです。
SAISON CARD Digitalは、申込完了から最短5分でスマートフォンアプリ上にデジタルカードを発行します。そのためすぐにオンラインショッピングや実店舗での非接触決済に利用できます。
また、デジタルカードを発行後に郵送されるプラスチックカードは、カード情報(クレジットカード番号、有効期限、セキュリティコード)を一切表示していません。SAISON CARD Digitalは、セキュリティ面で安心できる国内初の完全ナンバーレスカードです。
ふるさと納税のデメリットや注意点7つ
ふるさと納税にはデメリットもあります。知らないと損をする可能性もあるので、デメリットも知ったうえで取り組みましょう。
控除限度額を超えた分は自己負担になる
ふるさと納税は、寄付金額のうち2,000円を引いた金額が控除される仕組みです。ただし控除額には上限があり、超過分は自己負担になるので注意しましょう。控除限度額は、主に以下の項目により決定されます。
- 年収
- 扶養家族
- 住宅ローンの有無
- 医療費控除や生命保険料控除などの所得控除
控除限度額を超えてしまった場合、控除の対象とはなりません。ふるさと納税をする前に自分の控除限度額を確認しておきましょう。
減税や節税のための仕組みではない
ふるさと納税は、減税や節税の仕組みではありません。支払った寄付金は、住民税や所得税の前払いとして扱われます。
例えばふるさと納税で40,000円支払った場合、住民税と所得税合わせて、寄付金額から2,000円を差し引いた38,000円が控除されます。
この38,000円は翌年に支払う住民税と所得税を前払いしたに過ぎず、支払い総額が減るわけではありません。
ふるさと納税は「税金を前払いして返礼品をもらう」制度であることを忘れないようにしましょう。
確定申告が必要になるケースがある
ふるさと納税には確定申告が不要になる「ワンストップ特例制度」があります。しかし条件によっては使用できず、確定申告が必要になるので注意が必要です。
ワンストップ特例制度の利用条件は、以下のとおりです。
- 寄付した団体が5自治体以内(ひとつの団体に複数回寄付したときは、1自治体として扱われる)
- 寄付した自治体へ必要書類を提出する
ふるさと納税で6自治体以上に寄付した場合や、ワンストップ特例制度の利用に必要な書類を提出しなかったケースでは、確定申告が必要になります。
また医療費控除や住宅ローン控除などを受けるために確定申告する場合もワンストップ特例制度は使えません。ふるさと納税の寄付として、寄付金控除も併せて確定申告が必要です。
出費が先になるため負担になる
ふるさと納税は税金の前払いにあたるため、一時的ではありますが出費が増えます。
そのためお金の余裕がないときに寄付をすると、家計の負担になる可能性があるので注意が必要です。ふるさと納税を検討する際は、家計の状況も考慮しましょう。
自己負担2,000円を必ず支払う
ふるさと納税は寄付金額に関わらず、2,000円の自己負担が必要です。
控除限度額によって返礼品の種類や量が制限されるので、2,000円の自己負担が損にならないように確認を忘れないようにしましょう。
限度額範囲内かどうかは翌年6月以降でしかわからない
ふるさと納税が控除限度額の範囲内に収まっているかどうかは、実際に控除されるときにならないとわかりません。
例えば住民税の場合、控除額は毎年6月頃に交付される「住民税決定通知書」に控除額が記載されています。
この通知書に記載されている控除額以上にふるさと納税をしている場合は、限度額を超えていることになります。
ふるさと納税の寄付が限度額を超えていても、翌年にならないとわからないので、事前のシミュレーションが大切です。
退職金は控除限度額の増加にならない
退職金の受け取りで大幅に所得が増えても、ふるさと納税の控除限度額は変わりません。
ふるさと納税の控除限度額は、前年の課税所得に応じて決められます。そのため退職金をもらうと、ふるさと納税の控除限度額が増えると考える方もいるかもしれません。
しかし、退職金にかかる住民税は原則退職する年に徴収されます。そのため、翌年の住民税を前払いする制度であるふるさと納税には関係ありません。さらに退職金には「退職所得控除」という大きな控除があるため、課税所得の増加は微々たるケースが多いです。
退職金は控除限度額の大幅な増加にはつながらないケースが多いので、注意しましょう。
ふるさと納税をしたほうがいい人3選
ふるさと納税は多くの方にとってお得な制度です。そのなかでもふるさと納税に向いている方を紹介します。
住民税や所得税を支払っている方
住民税や所得税を支払っている方は、納税額が大きいほど得をする可能性が高いです。ふるさと納税は、住民税や所得税の支払いを行っている方であれば誰でもできるのが魅力です。
住民税や所得税を納めている方は、下記のシミュレーションページでご自身の控除限度額を確認のうえふるさと納税をしてみましょう。
所得が高い方
所得が高い方はふるさと納税のメリットが大きくなります。ふるさと納税の控除限度額は、所得と比例して高くなるためです。控除限度額が大きくなれば受け取れる返礼品も増えるため、ふるさと納税をより有効活用できます。
なお、ニッセイ基礎研究所が行った「ふるさと納税をしない理由」の調査によると、ふるさと納税をした方の多くが高収入でした。
ふるさと納税のメリットは所得に比例して大きくなるため、積極的に利用を検討してみてください。
住宅ローン控除など他の控除と併せて考えられる方
ふるさと納税の控除限度額は、年収からさまざまな所得控除を差し引いて計算されます。そのため、自分に適用される控除を正確に把握できる方はふるさと納税に向いています。
特に確定申告する場合は注意が必要です。例えば住宅ローン減税は所得税を控除する制度ですが、ふるさと納税の寄付金額を確定申告すると、控除対象が所得税と住民税になります。計算の順番は、ふるさと納税が住宅ローン減税より優先されるため、控除しきれなかった住宅ローン減税は住民税の控除に回ります。
その際、住宅ローン減税の控除が上限を超えると控除額にロスがでてしまう可能性があるため注意が必要です。
このような複雑な控除の仕組みを理解している方であれば、損せずにふるさと納税を活用できるでしょう。
賢くふるさと納税を活用する方法5選
ふるさと納税は、賢く活用するとメリットが大きいこともあります。ここからは具体的な活用方法を見ていきましょう。
控除限度額を計算してシミュレーションしておく
ふるさと納税で控除限度額を超えた分は、すべて自己負担になります。このようなケースを回避するためにも、ふるさと納税前に控除限度額の確認が大切です。
「セゾンのふるさと納税」では、給与収入と家族構成を入力するだけで、寄付上限額の目安を簡単に計算できます。また医療費控除や住宅ローン控除など、他の控除を受けている場合の詳細な控除限度額も計算可能です。
ふるさと納税をする前に控除限度額を把握し、損しないように気をつけましょう。
ポイントも貯まるふるさと納税ポータルサイトを使う
ふるさと納税は、ポータルサイトを通じて寄付ができます。ポータルサイトを利用すると返礼品以外にポイントも付与されるため、通常のふるさと納税よりもお得です。
「セゾンのふるさと納税」は、返礼品と寄付金控除にプラスして、永久不滅ポイントが貯まります。
さらにポータルサイト内では随時キャンペーンも実施しています。ふるさと納税をする際は、多くのメリットがあるセゾンのふるさと納税を検討してみてください。
ワンストップ特例制度を活用する
ふるさと納税の寄付先が5自治体以内の場合、ワンストップ特例制度の活用がおすすめです。
ワンストップ特例制度は、確定申告しなくても寄付金控除を受けられるので、気軽にふるさと納税できます。
ワンストップ特例制度の利用には「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」とマイナンバーカードもしくは本人確認書類が必要です。なお必要書類は寄付した翌年の1月10日までに寄附先の自治体に送る必要があるので、忘れないようにしましょう。
仕組みを理解してからふるさと納税をする
ふるさと納税を賢く活用するためには、仕組みをしっかり理解することが大切です。理解せず控除限度額を超えてしまうと自己負担になったり、ワンストップ特例制度を受けられなかったりするので注意しましょう。
またふるさと納税の控除対象は本人名義分のみです。そのため夫の扶養に入っている妻が寄付をしても、税控除の対象外となります。損することのないように気を付けましょう。
住民税の控除額は翌年6月以降に確認する
ふるさと納税の控除額を確認できるのは、寄付の翌年6月以降です。自治体から交付される「住民税決定通知書」で確認できます。
住民税決定通知書は会社員であれば勤務先から、自営業の方は居住する自治体から年に一度発行されます。再発行は不可のため、受け取ったら無くさないようにしましょう。
なお、税控除額が違う場合は、お近くの税務署に相談してみてください。また、確定申告をしている方は、すでに所得税の還付を受けている金額も加えて計算することを忘れないようにしましょう。
2025年10月から実施されるふるさと納税の改正点
ふるさと納税をするとポイントが付与されるポータルサイトは多数あります。しかし2025年10月から、ふるさと納税に対するポイントの付与は禁止されることになりました。
現在ふるさと納税のポータルサイトでは、ポイント付与競争が加熱しています。しかし、ポイント付与に伴う自治体の手数料負担を重くみた政府は、ポイント付与の禁止を決定しました。
ポータルサイトでのポイント付与を期待しているのであれば、2025年10月までのふるさと納税がおすすめです。
ふるさと納税に関するQ&A
ここでは、ふるさと納税についてよくある質問を掲載しています。ご自身の疑問点が解消するケースもあるので、参考にしてみてください。
ふるさと納税は会社に迷惑がかかる?
ふるさと納税を利用しても、勤めている会社に迷惑はかかりません。
ふるさと納税は住民税・所得税の先払いになるため、会社に届け出が必要になると考えている方は少なくありません。しかしワンストップ特例制度を活用すれば、年末調整でもふるさと納税に関する記載は不要です。
返礼品がもらえないふるさと納税があるって本当?
クラウドファンディング型のふるさと納税には、返礼品がありません。
クラウドファンディングとは、プロジェクトを成功させるために資金を募る方法です。ふるさと納税では、コテージの建設やローカルメディアの構築など、さまざまなクラウドファンディングがあります。
クラウドファンディング型のふるさと納税は、寄付金の使い道が明確ですが、返礼品がないケースが一般的です。
おわりに
ふるさと納税は自分で選んだ自治体に寄付をすると、返礼品を受け取れる魅力的な制度です。ただしふるさと納税の仕組みをしっかり理解しないと損する可能性もあるため注意が必要です。
ふるさと納税をしないほうがいい方は、以下のとおりです。
- 所得が少ない
- 専業主婦や扶養内で働いている
- 生活資金を減らしたくない
- 手続きするのが面倒に感じる
- 現在住んでいる自治体に貢献したい
ふるさと納税を上手に利用するために、以下の点を気をつけてください。
- ふるさと納税前に控除限度額のシミュレーションをする
- ポイントが貯まるポータルサイトを利用する
- ワンストップ特例制度を利用する
自分はどれくらいの税控除を受けられるのか、いくら寄付ができるのかなど、ふるさと納税前にシミュレーションすることが大切です。ふるさと納税の目的や仕組みを理解して、賢く活用しましょう。
※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。