見た人に季節感や癒しを与えてくれるのが庭木です。庭木を健康的に美しく維持するためは、季節ごとに剪定をして枝葉を整えることが大切です。この記事では、樹木別に適切な剪定時期を詳しく解説します。ご自身で剪定を行うコツから、専門会社に頼む際の費用相場も紹介しますので、自宅の庭木が生い茂ってきたのが気になるという方や、所有するアパート・マンションの庭木をしっかりメンテナンスしたいという方は、ご一読ください。
庭木を剪定する目的は?
庭木を剪定する理由は主に2つあります。まずは目的をしっかり理解しておきましょう。
病気の発生や害虫を予防するため
剪定の目的の1つ目は、庭木を健康な状態に保つことです。庭木を剪定せずに放っておくと枝葉が茂り過ぎてしまい、幹の方まで日の光が当たらず、風通しも悪くなってしまいます。それによって害虫が隠れやすくなったり、病気が発生したりすることにつながるのです。
また、大切に育てた庭木の枝が枯れる・生育が悪くなるだけでなく、毒を持った害虫に触れてかぶれるなどの皮膚トラブルを起こすことも考えられます。アパートやマンションの場合、入居者からのクレームになる可能性もあるでしょう。
適切に庭木を剪定することは、日当たりや風通しが良くなり、枝枯れや害虫による被害を予防する効果があります。
美しい景観を維持するため
住宅のシンボルとして、または庭のおしゃれな目隠しとしての役目も果たす庭木。美しさを保つことで、花や実を付けたり紅葉したりと季節の移ろいを楽しむこともできます。
しかし剪定を怠ると、日が当たりやすい上の方の葉ばかりが伸びて形が悪くなったり、まわりの庭木の生育を邪魔してしまったりと、その役目を果たせなくなってしまいます。生垣として庭木を植えている場合、隣家や公道に枝が飛び出て周囲への迷惑にもなるでしょう。アパートやマンションで庭木が整っていなければ、現在の入居者からの不満はもちろん、建物の印象が悪くなり新しい入居者が決まりづらくなるという可能性も考えられます。
常に庭木を整えておくことで美しい景観を維持でき、同時に住宅の印象アップにもつながります。そのためにも適切な時期に正しい方法で剪定を行う必要があるのです。次項からは、庭木の剪定時期についてチェックしていきましょう。
庭木の剪定時期は主に2つ
庭木の剪定時期は、樹木の種別によって細かく異なります。剪定は大きく分けると、冬季から春季に行う「基本剪定」と夏季に行う「軽剪定」という2つがあります。基本の剪定時期について知っていきましょう。
冬から春頃にかけて行う基本剪定
基本剪定は、不要な枝や葉を大胆に切って庭木の骨格を美しく整える剪定です。大きく生長し過ぎた木を小さく整えて、周りの樹木を圧迫しないようにしたり、庭を広く明るい雰囲気にしたりといった目的で行います。
時期は、新芽が出る前、冬から春にかけて行うのが一般的です。植物が活動し始める本格的な春に備えるために、樹木の休眠中に行います。
夏前後に行う軽剪定
軽剪定は、伸び過ぎた枝や不要な枝葉を、その名のとおり軽く整えて日当たりや風通しを良くすることが目的の剪定です。前述したように、害虫や病気から木を守る効果があります。
時期は枝葉が大きく生長する夏前後に行うのが一般的ですが、基本剪定に比べて樹木への負担が少ないため、季節に関わらず枝葉の伸び具合が気になったときに行いましょう。
基本剪定・軽剪定ともに、樹木の種類によって適切な時期が若干前後します。次項からは植物別の剪定時期について解説していきます。
樹木別!剪定時期の目安
剪定は、樹木の種類ごとに行うのに最適な時期があります。寒さに強いか弱いか、生長の時期はいつ頃かなどによっても剪定時期は変わります。
ここからは、常緑広葉樹・常緑針葉樹・落葉広葉樹という代表的な樹木の種類別に、おすすめの基本剪定時期と軽剪定時期を紹介します。家の庭木の種類と状態をチェックし、剪定する際の目安にしてください。
常緑広葉樹
1年を通して落葉せず、広く平たい葉を持つのが常緑広葉樹です。秋冬に一気に葉が落ちるということがなく、通年で葉の生え変わりを繰り返すという特徴があります。シンボルツリーとして用いられることの多い品種です。
常緑広葉樹の代表例
シマトネリコ・ジョウリョクヤマボウシ・キョウチクトウ・アオキ・クロガネモチなど
基本剪定時期
3月〜6月の暖かい時期が適しています。花芽が付いた部分を剪定すると、その年の花数が少なくなったり、咲かなかったりする可能性があります。新芽が出る前の3月下旬〜4月下旬か、葉が出揃う5月下旬〜6月に行うと良いでしょう。木の状態をしっかり確認してから剪定を行ってください。寒さに弱いため、気温が低くなる11月〜2月に剪定を行うのはNGです。夏の暑い時期に基本剪定をすると生長しづらくなりますが、小さく育てたい場合はあえて暑い時期に行うのも良いでしょう。
軽剪定時期
夏に伸びた枝を軽くカットするのは、気温が下がり始める前の9月〜10月頃が良いでしょう。
常緑針葉樹
マツ類やスギ類に代表される針のように細くとがった葉を持つのが常緑針葉樹です。常緑広葉樹と同様に一度に葉を落とすことがなく、年間を通して葉が生え変わります。気温の低い地域に自生することが多く、寒さに強いという特徴を持ちます。
常緑針葉樹の代表例
ヒマラヤスギ・カラマツ・クロマツ・モミ・ドイツトウヒ・ヒノキなど
基本剪定時期
3月〜4月の新芽が出始める春先が基本剪定に適しています。寒さに強い常緑針葉樹は冬でも剪定可能ですが、新芽が生長する前に行うことで、美しいシルエットに生長させることが可能です。
軽剪定時期
9月〜11月頃までの、本格的に寒くなる前の時期が軽剪定に適しています。常緑針葉樹は生垣に使用されることが多いです。形をきれいに保ちたい場合は夏に軽剪定を行ってもかまいません。
落葉広葉樹
広葉樹の中でも、秋から冬にかけて一気に葉を落とし、春に花や芽を出すのが落葉広葉樹です。四季の移ろいを感じられる植物であり、モミジやサクラがこれに含まれます。夏の生長期には庭に日陰を作り、冬は日の光を取り入れられる緑陰樹としてよく植えられています。
落葉広葉樹の代表例
ハナミズキ・サルスベリ・ブルーベリー・ムクゲ・ドウダンツツジ・モミジ・サクラなど
基本剪定時期
寒い時期に休眠する落葉広葉樹は、12月〜2月頃基本剪定を行うと負担が少ないでしょう。葉がなくなるためカットするべき枝の見分けがつきやすく、害虫による傷みを見つけやすいというメリットもあります。大きく生長する4月〜5月、7月〜8月は、木を傷めて樹液が流れ出てしまう恐れがあるため避けたほうが良い時期です。
軽剪定時期
軽剪定については、枝葉が伸びてきたらその都度行ってかまいません。しかし、7月〜8月の夏の生長期は木への負担が大きいため避けたほうが安心です。
剪定する時期については、木の種類だけでなく新芽が出ているかどうかなどの生育サイクルもチェックすることが大切です。次項からはご自身で剪定する際の方法について見ていきましょう。
自分でも庭木の剪定はできる!基本的なやり方は?
ここからは、ご自身で庭木の剪定をする際に知っておきたい基本的なやり方やコツをご紹介します。ただ枝をカットするだけでは、木の健康を保つことになりません。カットすべき枝の見分け方やカット方法を詳しく記しますので、頭に入れておきましょう。
カットする枝はどれ?
剪定の際は、木の生長を妨げる枝を見分ける必要があります。どの木にも共通するカットするべき枝のことを「忌み枝(いみえだ)」といい、下記の種類があります。
枯れ枝
枯れてしまっている枝のことで、枝の先だけ枯れている場合は、変色している部分のみカットします。全体が枯れている場合は枝自体をカットしましょう。
ひこばえ
木の根元から生えている若い枝のことをいい、木の養分を取ってしまうためにカットする必要があります。果樹など品種によってはひこばえを残した方が良い場合があるので注意しましょう。
徒長枝(とちょうし)
枝の途中から上向きに生える細い枝のことで、他の枝よりも養分を多くとる性質があります。カットすることで養分を他の枝に行き渡らせたり、木の見た目にまとまりを持たせたりすることができます。
逆さ枝
本来伸びる方向とは逆向きの幹側に伸びる枝です。枝葉が内側で混み合い、風通しや見た目が悪くなります。
垂れ枝
下方向に向かって伸びた枝です。他の枝と交差して形が悪くなってしまうためカットします。
その他にも、全体のバランスが悪くなる枝や、風通しや日当たりに影響を及ぼす枝があればカットしましょう。
枝をカットする際のコツは?
木の太さや高さに合わせて、剪定ばさみや剪定のこぎり、高枝切りばさみを準備してカットしましょう。よく切れる刃物を使用することが大切です。
カットの際は下記の4つのコツを押さえておきましょう。
外芽と枝葉は残す
枝の幹側に向かって生えている新芽は「内芽」、幹に対して外側に向かって生えている新芽は「外芽」と呼ばれています。内芽を残すと芽が伸びたときに木が不自然な形状になってしまうため、外芽を残して内芽が生えている部分をカットするようにします。芽に近い部分をカットすると芽が傷むため、外芽の上5〜10cmほどの位置にはさみを入れて、芽の向きに合わせて斜めにカットしましょう。
枝が太い場合は2ヵ所に切れ込みを入れる
太い枝をカットする場合、上から一度に切り落とそうとすると重みで折れてしまうため、2ヵ所に切れ込みを入れてからカットしましょう。まずは枝の根元から20cmほどの位置に下から枝半分くらいの切り込みを入れます。その後、その切り込みから少し離れた位置に上から枝半分くらいの切り込みを入れ、切り込みを入れた2ヵ所をカット。最後に20cmほど残した枝の根元をカットしましょう。
上からカットする
自然に生えている木のバランスは、下に向かうほどボリュームが大きくなっているものです。剪定を行う際、手の届きやすい下の部分のみしっかりカットして、手が届きにくい上部はカットできていないケースがみられますが、そうするとバランスが悪くなってしまいます。下からカットすると上部をさらに短くカットしなければならないため、全体が短くなり過ぎてしまう可能性もあります。木の上部から少しずつカットしていくようにしましょう。
全体のバランスをチェックしながらカットする
木は左右対称のバランスよりも、幹から互い違いに枝が伸びているようにカットすると美しいとされています。剪定を一気に行うのではなく、少しカットするたびに離れたところからバランスをチェックするのが失敗しないコツです。また、1本だけを見るのではなく、他の庭木とのバランスも意識してみましょう。
庭木の剪定はプロに任せるのもアリ!
庭木の剪定はご自身で行うことも可能ですが、前述のとおり注意すべきポイントが多くあり、美しくメンテナンスするためには専門的な知識や技術が必要です。また、アパートやマンションで庭木の本数が多い場合もご自身だけで行うのは難しいでしょう。失敗して見栄えや状態が悪くならないか心配、剪定のための時間がとれないという方は、庭木の剪定に長けたプロにお願いする手もあります。
ここからは、プロに依頼した際の気になる費用相場やおすすめの剪定サービスを紹介します。
庭木の剪定をプロにお願いした際の相場は?
庭木剪定の料金体系は、主に「日当制・時給制」と「単価制」に分かれています。
日当制・時給制の場合は、職人さん1人につき、1日または1時間いくらという料金体系です。料金は地域によってさまざまで、都会であるほど高くなる傾向にありますが、職人1人につき下記の相場が一般的です。
〈日当制〉
1日当たり15,000円~30,000円
〈時給制〉
1時間当たり2,000円~3,000円
単価制の場合は、庭木1本あたりいくら、生垣または植え込み1mあたりいくらという料金体系です。木の高さや面積によって料金が決まり、作業中に出たゴミの処理についても別料金が掛かる場合があるため、事前に見積もりをしっかりとっておくことが大切です。
おすすめの庭木の剪定サービス
庭木の剪定をプロに依頼する場合は、信頼できる専門会社かしっかりチェックして選びたいものです。
セゾンの庭木のお手入れサービスでは、長年経験のある造園業のプロが対応します。事前の相談も無料で気軽にでき、費用も事前見積りで安心です。庭木剪定の他にも、除草や消毒、芝刈り、新たな樹木の植栽など、幅広く対応が可能であり、住み心地の良い環境を提供します。庭木の剪定などでお困り事があれば、ぜひお問い合わせください。
おわりに
庭木の剪定をする時期や方法は樹木の種類ごとに細かく異なります。庭木の種類に応じて適切な剪定方法を知り、庭木の健康状態を良好に保ちましょう。季節に合わせた剪定によって日当たりや風通しを良くすることで、害虫や病気の発生を防ぐことが可能です。ご自身で剪定を行う場合は、切るべき枝や切り方、全体のバランスに配慮することが大切です。庭木は住まいの印象を決めるほどの大きな存在ですので、不安なときは専門会社に依頼することもご検討ください。