日々の運動不足を自覚し、何か始めるきっかけを求めている女性たちに今、心からおすすめしたいのが、趣味のひとつとして始める『健康空手』です。
なぜ大人の女性に空手がおすすめなのか
意識して街を見渡すと『空手』という看板、意外と多く見つけられることにお気づきですか?
私たち女性にとって、あまり身近とはいえない空手ですが、子どもにやらせたい習い事としては、時代が進んでもなお、長年上位ランキングをキープし続けています。
子どもに習わせて良かったおすすめの習い事「スポーツ編」
- 1.スイミング
- 2.野球
- 3.サッカー(その他球技)
- 4.バレエ
- 5.空手・武道
参照元:【2022年版】子どもの習い事人気ランキング!(子供の習い事図鑑)子どもの習い事人気ランキング変化推移一覧
『空手』を習うことによるメリット
- 礼儀礼節が身につく
- 心身ともに強くなる
- 人の痛みを知ることができる
- 自分の身を護れるようになる
- 自信が身につく
などが、主なメリットとして挙げられています。(私が実際に道場にて指導していた頃の生徒の方々からのヒアリング結果です)。これをみると、大人になり問題を抱えやすい私たちにも、実は得られるものが多くある気がしませんか?小さな不満の積み重ねや、頭から離れない心配ごと、周りに振り回されイライラ・クヨクヨ、そんな悩みを抱えながら、懸命に生きている女性にたくさん出逢います。
困りごとのない世界の実現は困難ですが、何かの時に動じない心身を手に入れることは、空手を通して楽しみながら少しの努力で可能です。
心身健康のための空手のポイントは「心技体」(しんぎたい)
空手は正しくは『空手道』といわれ、「道」のつく武道です。武道では「心技体」の3要素がバランス良く整った時に本来持つ力が発揮されるといわれ、「心技体」を極めることこそが稽古の目的だとされています。
心技体
心 精神力、モチベーション
技 能力、技術
体 健康、体力
こう表すと、私たちの人生においてもビジネスシーンにおいても、この「心技体」が備わることでそれらが充実し、またこの中の一要素でも大きく損なえば、バランスが崩れやすいことも頷けますね。
《心 + 技 + 体》
ではなく
《心 × 技 × 体》
となり、私たちの日常を支えてくれます。
それはどういうことか?説明していきますね。
技を磨くと生活が好転する
空手という言葉で想像できる『突き』や『蹴り』といったアクションは、身体を躍動させ、パワーとスピードによって爽快に決まります。
動きに慣れてくると、だんだんとコツがわかってきますが、そのやり方は様々あり、『基本』や『型』といわれる自身の動きを磨くやり方や、パートナーが構えるミットに向かって打ち込むやり方などがあります。どの方法も、そのスピード感や反動、音などから上達を確認できます。
初心者の女性は「あいつの顔を的に重ねて思いっきりやってやる!」なんて言われる方がおられます。もちろん、それも否定はいたしませんが、あまり美しくありません。
『ムカつくアイツを思い浮かべてスッキリ爽快!』なんて格闘技ジムのコピーを見てガッカリしたこともあります。(もちろん、素晴らしい格闘技ジムもたくさんあります!)
スポーツとしての格闘技ではなく、武道としての空手の中では、練習のことを『稽古』と呼び、稽古は他者との比較競争に視点を置かず、自分を内観し他者を敬いながら、自己成長を基準としています。現状のご自身を感じ、受け入れつつ、技を磨き、一歩の進化を喜ぶことで、その先のモチベーションが湧き出てきます。稽古に行くためにルーズな時間が有効に転じたり、活動量が増えるので夜更かしせずに早寝早起きになったり、技を磨くことで生活面が好転したりするきっかけにもなります。
空手で心が磨かれる理由
「丹田」(たんでん)ってご存じでしょうか?
氣の源といわれる丹田は、おへそから指4本下辺りに位置し、心身の安定を得る土台であり、より力の乗った良い技の源でもあります。「丹田」が整っている状態は、空手の上達を支えるものでありますが、それ以上の利点として、私たち女性を悩ませるさまざまな困難や不安に動じない強さをもたらします。ですから、稽古を重ねることで、悩みを悩みと受け取らない強さが手に入り、心がリセットされ明るく晴れていくのです。
健康的ダイエットに最適な空手
女性の永遠の課題である美。いつまでもかっこいい、しなやかな身体でいるためには、『有酸素運動』×『筋トレ』+ストレッチの3要素が大切です。実は、空手にはこれらが見事に含まれています。
まず有酸素運動についてですが、空手で最も大切にされている『基本稽古』というものがあります。一番初めに教わり、続けている限り実践し続ける基軸です。
この基本稽古は、例えば真っ直ぐにみぞおちを狙う中段突きや、代表的な回し蹴りなど、整列した状態で、緩急や動静などに意識を持ち反復練習します。技のたびに気合いの掛け声を腹の奥からしっかりと出すことで、肋骨を可動させインナーマッスルを育てます。全身を使った反復動作は、有酸素運動となり、運動効果を底上げします。
次に筋トレですが、空手において重要視するのが下半身の安定です。その安定した土台を作るために「前屈立ち」や「騎馬立ち」といったさまざまな立ち方が存在します。これらはまずご自身の身体を崩れないように支えつつ、アクティブな動きを繰り出すために下半身の筋肉を活躍させるのです。
太もも、ヒップ、下腹部等の立ち方に関わる筋肉は個々が大きく、全身の約70%を占めます。足腰を強化することは大きなエネルギー消費となります。筋力アップしていくことで、一時的に痩せること以上に魅力的な、太りにくい身体を手に入れることが叶うのです。
美しい蹴りのため、疲れを残さないため、そしてゴツい筋肉を育てないためにも、日々ストレッチも大切にプラスしてくださいね。食へと向かうストレス衝動を、空手によって健康的に解消していくこともダイエットへつながります。
「心技体」が整うと自己肯定感まで引き上がる
そもそも多くの方は、空手の技や型などの練習方法を知りませんので、常に未知の体験の連続です。頭で理解し身体へ神経伝達が成されるまで、繰り返し小さなチャレンジを続けることが大切であり、楽しみながら上達するために必要なことです。
思い返してみてください。大人になってから、できないことや知らないことへの挑戦機会が失われている気がしませんか?それは、失敗や恥ずかしさを味わうことからご自身を守る知恵がついてしまったためです。
空手を始めるということが、自分の安心安全な変化のないゾーンから、一歩踏み出すという勇気ある行動であり、稽古の中で新たな課題に挑むこともまたその延長となります。空手の良いところは、白帯で始めて黒帯を目指す過程が体系化されているところです。そこがストレス解消やダイエット目的のみのスポーツとの大きな違いでもあります。
小さな目標を掲げてそれを達成していくことによって、身体や技が変わり、喜びと共に自信が芽生えます。「心技体」がバランスよく底上げされていくことによって楽しさを生み出し、ご自身を認める肯定感へと確実につながるのです。
空手を始めるためにまずするべきこと
空手に興味をお持ちになったら、目についた道場に飛び込む前に少し調べていただきたいことがあります。
通いやすい道場を探す
空手道場は時代の変化に沿ってオンラインレッスンを行うところも出てきたようですが、やはり臨場感を持ってリアルで道場へ通うことをおすすめいたします。
空手にはオリンピックで採用された技を当てない流派、型のみを行う流派、フルコンタクトルールといって直接打撃で組手を行う流派などがあり、一言に空手と言ってもその中身はまったく異なるものがあります。型は安全でフルコンタクトの組手は危険なものと決めつける必要もありません。現在は、趣味の習い事として通いやすいレディースコースや、ライトコースなどのプログラムのある道場も増えています。通える距離、興味のある流派、継続可能な時間帯の稽古枠があるかなどを、まずはオンライン検索してみてください。
見学と体験に申し込む
どこの道場も、その多くは見学や体験入会などを実施しています。楽しんで通えそうな空間であるか、先生に違和感や不信感は感じないかなど、ご自身でご体感の上、納得の上で選んでください。
趣味として楽しむために無理のない目標を作る
これまで何千人という方々へ空手指導を行ってきた経験から、ポイントとしてお伝えできることは『無理をしない』ということです。努力をしないということではありません。
始めてすぐ、夢中になり意気込んでやり過ぎてしまって、どこかで急ブレーキがかかってしまい、せっかく始めたのに続けられなくなってしまう方は意外とたくさんおられます。
そして『慣れるまでは特にマイペースを貫く』ということも大切にしてください。普段から運動習慣のない身体に対し、急に刺激を与え過ぎれば当然疲弊しますし、しなくてもいいケガにもつながります。普段あまり感じない部位に心地いい筋肉痛を味わえたなら、それを素晴らしいチャレンジの証として受け取ってください。
ご自身のその行動に悦び褒め讃えるくらいの、穏やかなスタンスで取り組んでいただくことで、健康のための趣味として始める空手が、あなたの日常をひとつ明るく照らすことでしょう。さぁ、道着の帯をピシッと締めて、心と身体のスイッチON、まずは体験から始めてみましょう。