トイレで水漏れする箇所は、給水管の接合部分・タンク内など、さまざまです。トイレの水漏れに対して、「修理会社に依頼しなければ解決できない」と思っている方もいるのではないでしょうか。
しかし、症状・原因によっては、トイレの水漏れをご自身で解決できる場合があります。この記事では、トイレの水漏れの症状と考えられる原因・ご自身でできる修理方法を紹介します。
トイレの水漏れの症状と考えられる原因
トイレの水漏れは、症状によって修理方法が異なります。修理する際は、どこが原因で水漏れをしているのかを最初に調べることが大切です。
水漏れの原因を突き止めずに修理をすると、異常のない場所をいじってしまう、不具合が出ている箇所を放置してしまったりするなど、適切な処置ができません。
ここからは、水漏れの症状と考えられる原因を7つ紹介します。
給水管の接続部分・止水栓から水漏れしている
トイレの水漏れは、給水管・止水栓で起こることがほとんどです。トイレの水は、壁や床にある止水栓に結合した給水管から供給します。トイレを長年使用し続けていると、給水管の接続部分・止水栓から水漏れすることがあります。
給水管の接続部分・止水栓から水漏れする際は、ナットの緩み・パッキンの劣化などが主な原因です。
- ナット:給水管の接続部分に付いている部品
- パッキン:ナットの内側に付いているゴム製の部品
ナットが緩んでいる場合は、スパナなどの工具を使い、増し締めすると水漏れを改善できます。パッキンが劣化している場合は、亀裂が入る・固くなるなどの特徴が見られます。新しいものと取り替えることで水漏れを防ぐことができるでしょう。
タンクの中で音がする
タンクの中で「ポタポタ」と音がする場合は、タンク内部での水漏れが疑われます。タンクの中での水漏れは、ボールタップもしくは浮き玉の故障が原因です。
- ボールタップ:給水管・手洗い管につながっている、給水量を調整する部品
- 浮き玉:ボールタップに水位を伝えるボール状の部品
ボールタップと浮き玉のどちらかが壊れていると、タンク内の水を適量に維持できず、水漏れが起こります。
タンク内の水漏れの原因を突き止める際は、浮き玉を持ち上げると調べることが可能です。浮き玉を持ち上げたときに水が止まれば浮き玉が、水が止まらなければボールタップが故障しているといえます。
ボールタップや浮き玉の修理は、部品を取り替えるだけで簡単に修理できます。ボールタップや浮き玉は、インターネットショップ・ホームセンターで購入が可能です。
タンクと便器の間から水漏れしている
タンクと便器の間から水漏れする場合は、密結パッキンの劣化が疑われます。密結パッキンとは、タンク下部にある排水口と便器の排水口の間に挟むゴム状の部品のことです。
密結パッキンを交換する際は、給水管をタンクから外したり、タンクと便器を分解したりする必要があります。ご自身で密結パッキンを交換することもできますが、便器・給水管を破損させてしまう・トイレを元通りに直せないなどのリスクがあるため、おすすめできません。
タンクと便器の間から水漏れしている場合は、無理せず専門会社に依頼しましょう。
便器内で水漏れしている
便器内で水漏れしている場合は、次のような原因が考えられます。
- フロートバルブの劣化
- 鎖が絡まっている
- オーバーフロー管の破損
フロートバルブは、水を流す際に使用するレバーにつながっているタンク内の栓の役割を果たしている部品です。
鎖は水を流す際に使用するレバーとフロートバルブをつないでいる部品のことをいいます。オーバーフロー管は、タンク内の余分な水を便器に放出する排水管のことです。
どの部品にも劣化や損傷が見られない場合は、鎖が絡まっていることが原因で水漏れしていることが考えられます。絡まった鎖を解くと、便器内の水漏れは解消されるでしょう。
フロートバルブの劣化・オーバーフロー管の破損が原因で水漏れしている場合は、各部品を新品に取り替えることで修理可能です。
便器本体から水漏れしている
便器本体から水漏れしている場合は、下記のような原因が疑われます。
- 便器のヒビ割れ
- 結露
ほとんどの便器は陶器でできており、強い衝撃が加わるとヒビ割れします。例えば、トイレに硬い物をぶつけた・掃除中にトイレを踏み台として使ったときなどは、便器にヒビが入ることもあります。
便器がヒビ割れした際は、水漏れを完全に防げないため、タンクも含めてトイレそのものを交換しましょう。実際に、トイレの便器を製造しているLIXILでは防水パテなどで応急処置をしたのちに、便器を交換することを推奨しています。
結露は壁や床にカビが繁殖する原因を作るため、水漏れ同様に防ぐことが大切です。特に冬場は、トイレと他の部屋の温度差で結露しやすくなります。
予防としては、トイレを換気する・他の部屋とトイレの温度差を少なくするなどの方法で防げます。また、結露を防ぐ機能を兼ね備えた、防露便器・防露タンクへ買い換えることも、結露を防ぐ方法として有効です。
便器と床の間から水漏れしている
便器と床の間から水漏れする場合は、次のような原因が挙げられます。
- トイレの設置不良
- フランジパテの劣化
- 結露
トイレの設置不良による水漏れは、トイレを設置した際に便器と排水管がうまく結合されていない場合に起こります。トイレを取り替えたり、新築のトイレを使ったりする際に起こりやすい水漏れとして知られています。
フランジパテとは、便器と排水管の結合部に使われている、水漏れを防ぐ役割がある部品です。フランジパテが劣化すると、水漏れを防ぐ機能がうまく働かず、便器と床の間から水漏れします。
便器の内側で結露が起こるのは、トイレの室内と便器の内側で温度差が生じるためです。便器の内側の結露は、湿度の高い梅雨・トイレの室内と便器の内側の温度差が出やすい冬場に起こりやすく、トイレを換気することで防げます。
便器と床の間からの水漏れは、目には見えない部分で起こっており、原因を目視で確認できません。絶対に水漏れしているとはいえないため、まずは結露の対策から取り組むことがおすすめです。
温水洗浄便座から水漏れしている
トイレの水漏れは便器やタンクだけでなく、温水洗浄便座が原因の場合もあります。温水洗浄便座の水漏れは、ノズル部分・操作パネルの下側・便座の脇などでよく見られます。
温水洗浄便座から水漏れする原因は、次のとおりです。
- トイレ本体と各部品をつなぐナットの緩み
- トイレ本体と各部品をつなぐパッキンの劣化
- 操作パネル・リモコンの故障
- ノズルの故障
- 給水フィルターの目詰まり
温水洗浄便座は電化製品で、水漏れする原因はさまざまです。電化製品の知識と排水管の修理方法のどちらも知っておく必要があるため、温水洗浄便座による水漏れをプロ以外が直すことは難しいでしょう。
ただし、ノズルの故障・給水フィルターの目詰まりであれば、取扱説明書をもとにご自身で修理できる可能性もあります。
自分でできる水漏れの修理
トイレの水漏れは、ご自身で修理できる場合もあります。下記は、ご自身でできる水漏れの修理の一例です。
- タンク内部の水漏れ
- 便器内の水漏れ
- 便器のヒビ割れの水漏れ(応急処置)
- 温水洗浄便座の水漏れ(ノズル交換)
基本的には、便器・タンクを取り外すなどの大掛かりな作業がなければ、ご自身で水漏れの修理ができます。ただし、時間が掛かってしまったり、修理のはずがトイレを壊してしまうなどリスクもあります。
自信がない方は専門会社に修理を依頼する方が、悩む時間も短く、確実な修理ができるためおすすめです。ここからは、ご自身でできる水漏れの修理方法を水漏れしている場所別に紹介します。
タンク内部の水漏れ修理の方法
タンク内部の水漏れは、ボールタップや浮き玉が故障することで起こります。ボールタップによる水漏れの修理は難しいものの、浮き玉が原因で発生する水漏れはご自身で対処できることもあります。
浮き玉の修理・調整手順は次のとおりです。
【浮き玉の修理・調整の手順】
- タンクの蓋を開ける
- 浮き玉を持ち上げて水面に浮くかを確認する
- オーバーフロー管の先端から3cm程度下、もしくは「WL」と書かれた線に水面があるかを確認する
- 標準の水位よりも上下している場合は、ボールタップ近くに付いている水位調節ねじを回して調整する
- 水を流して浮き玉が正常に動くか・標準の水位に達しているかを調べる
2で浮き玉が浮かない場合は、浮き玉が破損している可能性があります。浮き玉が破損している場合は、新品の浮き玉に取り替えてから、上記の手順で修理・調整をしましょう。
水位調節ねじを回す際は、時計回りで水位が上がり、反時計回りで水位が下がります。
便器内の水漏れ修理の方法
便器内の水漏れは、タンク内のフロートバルブ・鎖・オーバーフロー管に不備がある場合に起こります。フロートバルブ・鎖による便器内の水漏れは、ご自身で修理できる場合もあります。
フロートバルブと鎖を交換・修理する手順は次のとおりです。
【フロートバルブ・鎖の交換修理手順】
- 止水栓を止めた上で水を流すレバーを回して、タンクを空にする
- タンクの蓋を外す
- 古いフロートバルブと古い鎖をタンクから外す
- 新しい鎖を古い鎖と同じ長さに調整する
- 新しいフロートバルブと新しい鎖をタンクに取り付ける
- レバーを回した際にフロートバルブと鎖が正常に動くのかをチェックする
- 水が正常に流れるのかを確認する
フロートバルブと鎖の交換をする際は、鎖の長さ調整が大切です。鎖が長いと、レバーを回しても便器に水が流れない・フロートバルブが元に戻らないなどの不具合が起こります。
反対に鎖が短ければ、フロートバルブでタンクの排水口を塞げないことにつながります。
便器のヒビ割れの応急処置
便器のヒビ割れを応急処置する際は、防水パテやコーキングを使うことが一般的です。下記では、便器のヒビ割れを応急処置する手順を紹介します。
便器がヒビ割れた際にフランジパテを使用して使い続けることは、メーカーが推奨していません。そのため、水漏れを一時的に防ぐ応急処置をしたうえで、トイレを買い替えましょう。
【ヒビ割れの応急処置の手順】
- 便器をきれいに掃除する
- 防水パテもしくはコーキングを準備する
- ヒビ割れた部分に 2 を付ける
- 自然乾燥させる
便器のヒビ割れを応急処置すると、水漏れを防げます。しかし、防水パテやコーキングでひび割れを塞いでも、損傷した部分は脆い状態のままです。
いつ壊れてもおかしくない状態のため、ヒビ割れを修復したトイレの使用は極力控えて、新しいトイレへ早めに交換しましょう。
温水洗浄便座の水漏れの修理の方法
温水洗浄便座による水漏れは、電子部品の老朽化が原因で起こることがほとんどです。基本的には、メーカーへ修理に出す・新品に買い替えましょう。
ただし、ノズルからの水漏れであれば、新しいノズルに交換するだけでできるため、ご自身で修理することが可能です。ノズルは型番を調べて、メーカーの公式サイトで購入しましょう。
メーカーの純正品以外を取り付けると別の不具合が生じる恐れがあるため、他のメーカーのノズルは使用しないでください。
温水洗浄便座のノズルを交換する手順は、次のとおりです。
【ノズルの交換手順】
- 止水栓を閉めて温水洗浄便座のコンセントを抜く
- ノズルのツメを持って引っ張り出す
- ノズルを反時計回りに回して外す
- 新しいノズルを取り付けて収める
- 正常に動くのかを確認する
「掃除モード」がある温水洗浄便座の場合、コンセントを抜く必要はありません。ノズルには排泄物が付着している可能性があるため、作業する際はゴム手袋の着用をおすすめします。
トイレ水漏れ修理の料金相場
これまでトイレの水漏れの症状や原因、ご自身でできる修理方法をご紹介しました。しかし、ご自身で修理ができないような「原因が分からない」「自分でやるのは不安」という場合には、慌てずプロに依頼しましょう。
トイレ水漏れ修理料金相場表
トイレの水漏れを専門会社に依頼する場合、料金は専門会社によって大きく異なります。修理代の正確な見積もりは、トイレの故障状況によって異なるため、現地見積りになることが一般的です。
下記は、トイレの水漏れ修理を専門会社に依頼したときに掛かる、目安の修理費用です。
【トイレ水漏れ修理の料金表】
施工内容 | 修理費用(税込) |
パッキン・止水栓の交換・調整 | 約8,000円〜30,000円 |
タンク内の修理・交換 | 約7,000円〜30,000円 |
トイレタンク・タンクレバー交換 | 約5,000円〜50,000円 |
便器交換 | 約10,000円〜50,000円 |
温水洗浄便座の修理交換 | 約10,000円〜30,000円 |
修理費用は、基本工事費や出張作業料、部品の交換があれば部品代などが掛かり、依頼する会社によって大きく異なりますので注意が必要です。
こちらの表は全てを含めた料金のおおよその目安となっています。パッキン・タンクレバーなどの部品交換のみであれば、10,000円前後の修理費用で収まることがほとんどです。タンク・便器を交換する場合は、40,000円前後の修理費用が相場です。
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おわりに
トイレの水漏れは、主に部品などが劣化することで起こります。専門会社に依頼しなければ修理できない症状がある一方で、ご自身で簡単に直すことができる症状もあります。
専門会社にトイレの水漏れ修理を依頼する際は、本記事の相場を参考に、修理費用をあらかじめ知っておき、見積もりを取って費用を比べてみましょう。タンクや便器の交換など、大掛かりな作業が必要な場合は、修理費用が高くなる場合もあります。
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