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ものまねアスリート芸人のM高史さんに聞く|無理せず楽しむ、40代・50代・シニアから始めるランニング

M高史さん
赤木 一之 編集者

執筆者

編集者

赤木 一之

新宿タウン誌や新宿ゴールデン街ガイドブックの編集長を経て、フリーランスに。グルメやビューティー系、スポーツの取材から著名人のインタビューまで幅広いジャンルで活動。現在はアイドルWEBマガジンで女性アイドルの記事も執筆。

先日、40代の男友達から、「スポーツクラブのルームランナーを続けていたら屋外でも走りたくなったから一緒に走ろう!」という誘いを受けました。

健康維持のため、ランニングを始めたとのこと。ライターの私、赤木も来年40歳。かつて大学駅伝部に所属していたこともあっての誘いでしたが、ここ5年間は全く走っていないので身体がなまっています。始めるからには快適に走りたいし、続けたい。

そこで、改めてランニングを始めるメリットや心構え、準備について、ものまねアスリート芸人であり、各所でランニング講師も務める、M高史さんに指南いただくことに。みなさんも一緒に確認していきましょう!

ものまねアスリート芸人のM高史

M高史(えむ・たかし)さん

1984年東京都出身。世田谷高、駒澤大の陸上部を経て、大学卒業後は知的障がい者施設の支援員として約5年勤務。2011年12月より「ものまねアスリート芸人」に転身。公務員ランナーとして有名な川内優輝のそっくりさんなどで注目され、マラソン大会やイベントに多数出演。幼稚園、学校、障がい者施設、高齢者施設、企業への訪問やレッスンも行う。マラソンの自己ベストは2時間40分34秒。

所属事務所プロフィール

ランニングのメリット

大前提として、球技や水泳などと違い、「ランニングは道とシューズがあればいつでもどこでも始められる」と話す、M高史さん。どのスポーツよりも気軽に始められるランニング。その他のメリットとは?

心身共に元気に健康になれる

僕は、「M高史のラジオ」というラジオ番組を毎日配信していて、40代や50代を過ぎてからランニングを始めた方のお話もたくさん聞くのですが、運動不足だったり健康診断に引っかかったりで、身体の不調から始めたという方が多いです。

そして、走り始めた結果、少なからず体重が落ちたりお腹周りが細くなって、内面が変わったり自信がついてきたりしたという声をよく聞くので、「心身共に元気に健康になれる」というのが一番のメリットだと思います。

食事習慣を見直せばダイエットにもつながる

ダイエットのために走っても、消費した以上に食べてしまっては痩せるのが難しいですよね。例えば、10km走ったとしても、その日にラーメンとチャーハン、餃子を食べてビールを飲むとチャラになってしまいます(笑)。そのため、日頃の運動習慣に加えて食生活を見直すとより効果的です。お弁当を買う時は焼肉弁当よりも30品目のバランス弁当にするとか、翌朝走る場合は前日の飲み会の飲食の量をセーブするとか。

少しずつ食生活を変えていくことで、体重に変化が生まれると思います。走ることだけで無理に落とそうとせず、適切な運動と食生活を心掛け、長く続けるのがベストです。

シューズやウエアの選び方

シューズやウエアの選び方

街中で走っている方を見かけるものの、いざ自分が走り始めるとなるとどんなシューズやウエアを買って良いのやら。今のトレンドも踏まえ、M高史さんに教えていただきました。

テンションが上がるものを選ぶ

どのメーカーも機能もデザインも優れたシューズやウエアを出しているので、ご自身がテンションが上がるものを選びましょう!店頭やネットで探したり、コーディネートは、雑誌『ランナーズ』を見たり、ネットやインスタグラムで「ランニング」や「ランニングコーデ」で検索するとお洒落な方がたくさん出てきて参考になりますよ。

お洒落な方としては、セレクトショップ「BEAMS」社員でファッションランニングアドバイザーの牧野英明さんや、北海道マラソン優勝実績もあるマラソンランナーの吉田香織さんでしょうか。私服のような着こなしもできて、実力もある。僕はザ・ランニングのような服装なので、真逆ですが(笑)。

シューズは必ず試し履き

シューズを買う時は、通販ではなく店舗に行くことをおすすめします。メーカーによってサイズが違うので、その場で履いたり足踏みして、フィット感を確かめてください。一般的には、夕方以降の足がむくんでいる状態で試し履きするのがベターといわれていますが、購入が遅れて走り始めるのも遅れると、せっかくの「走ろう」というモチベーションが下がりかねないので、夕方以降に時間がとれない場合は、朝や昼に購入しても構いません。また、シューズと一緒にランニング用の靴下も購入しておきましょう。

フィット感を大切に

クッション性があるシューズは衝撃から守ってもらいやすくて良いのですが、靴擦れやケガ予防のためにもフィット感も大切にしてください。また、いまや主流となっている厚底カーボンシューズは反発力があって走りやすいですが、その恩恵を受けられるのは、1kmを3分〜4分前半で走れる方です。そうでない方は、最大限に機能を活かせないため、無理に厚底カーボンにする必要はありません。

とはいえ、以前、ホノルルマラソンを約8時間かけて笑顔で完走した70歳後半の男性の方は、大迫傑選手や設楽悠太選手といったトップ選手にあやかって厚底カーボンを履いていたので、テンションが上がるならそれもありです。

ウエアは夏は通気性、冬は防寒

暑い時季のウエアは、通気性のある蒸れない格好を優先してください。予算があれば、キャップやサングラスもあるといいです。これから寒くなる時季は厚着し過ぎると動きづらくなるので、薄手のウインドブレーカーや、ロングタイツのうえにハーフパンツを組み合わせたり、アームウォーマーやレッグウォーマーで防寒対策をするのもおすすめです。

スマホを持って走るという方は、ランニングポーチやバッグ、アームバンド、ポケット付きパンツもチェックしておきましょう。

走る時に気をつけること

走る時に気を付けること

シューズとウエアがそろったら、ランニングの開始です。準備運動から走るペース、食事まで、M高史さんが心掛けていることをご紹介します。

運動不足の方はウォーキングから

いきなり走るのは不安だったり、日頃から歩く距離も少なく運動不足だったりする方は、ウォーキングから始めてみましょう。ただ、飽きてしまうこともあるので、万歩計やアプリで歩数や距離など目標になりやすい数字を決めたり、「ポケモンGO」のようにゲーム感覚で歩くのもありです。階段を使ったり山登りをするのも、ランニングの基礎作りになります。

走る前後のストレッチでケガ予防

どのスポーツでも運動前後のストレッチは基本です。手前味噌で恐縮ですが、僕がおすすめしている準備運動は、オリジナル体操「ジャパササイズ」です。ぜひ確認してみてください。

最近、スマホを見たり長時間のデスクワークで首・肩・腰が張り、走る時に腰が落ちてしまっている方をよく見かけます。その姿勢が癖になると、本来、上半身や腿の力も必要なところ、主にふくらはぎの力で地面を蹴るような走りになり、膝下を痛めてしまいます。それを予防するためにも重要になってくるのが、上半身の動的ストレッチ。そこに注目して考案したのが「ジャパササイズ」です。走る前はこの動的ストレッチで少し息が上がるくらいのウォーミングアップを、走り終わったあとはゆっくりストレッチをして筋肉を伸ばしてほぐしましょう。

走り始めと終わりはスローペース

準備運動が終わったら、いよいよランニングのスタートです。ここで気を付けないといけないのは、前半と後半はスローペースで走ることです。30分走るとしたら、最初の5分はゆっくり走り始めて、間の20分は程良いペースで。最後の5分はまたゆっくり走ってクールダウンしてください。

パソコンで例えると、電源を入れて起動するまで少し時間が必要で、電源を切る時も、いきなり切ってしまうと故障につながります。時々、走り終わるタイミングでダッシュをして、そのまま急ブレーキで走り終わる方を見かけますが、それは起動中にいきなり電源を切るのと同じで、ケガにつながるので注意してくださいね。

ランニング前後の食事

走る前には必ず水分を摂りましょう。食べてすぐ走ると腹痛になるので、食事は最低でも2時間は空けたいところ。ですが、家庭や仕事の都合で食後1時間や30分程度で走り出す場合は、うどんやおにぎり、バナナ、カステラ、スムージー、エネルギー系のゼリーなど消化が良く軽いものを食べましょう。

ランニング後の食事は、炭水化物やタンパク質に加え、ミネラルやビタミンも意識して摂ってください。例えば、牛丼にはサラダをつけたり、飲み会では揚げ物ばかりでなく、枝豆やだし巻き卵、冷奴をつけたり、バランス良く栄養補給しましょう。

長く続けるためのコツ

長く続けるためのコツ

始めたはいいけれど、心配になるのが三日坊主で辞めてしまうこと…。M高史さんのアドバイスをもとに、習慣化できるようにしていきましょう。

無理や無茶をしないこと

ランニングを辞めてしまう方の多くは、毎日10km走ろうとか、決めたことをこなそうとする真面目な方が多いです。また、走るペースを速くしすぎて疲労がたまったり、足を痛めても走り続けて悪化したり、無茶をして走れなくなって辞めるパターンも多いので、無理をしないのが一番大切です。

ランニングの頻度、曜日や時間帯は、自分の生活スタイルに合わせて決めて、朝が苦手であれば夜走っても良いですし、週1でも問題ありません。雨が降ったり、調子が良くない時は休んでもいいので、走ろうと決めたプランの大体8割できたらオッケーです。健康のために走るので、自分の身体に真摯に向き合いましょう。

ランナー専用のSNSを活用

SNSに走った場所の写真や距離を投稿すると、練習日誌のような記録にもなるし、「いいね!」がつくとモチベーションにもなります。フェイスブックやインスタグラムも良いですが、最近の定番は、ランニング専門の計測・SNSアプリ(無料)「Runtrip(ラントリップ)」(iPhone版Android版)の「jounal(ジャーナル)」というSNS機能。「いいね!」の表示が「ナイスラン!」になっていたり、ランナー同士のつながりも広がり、楽しくランニングを続けられます。

ランニングスポットに行く

自宅周辺も良いですが、時には場所を変えて走るのも気分転換になりますし、他のランナーもいて刺激になります。僕のおすすめは、「ランニングステーション(通称ランステ)」がある場所か、「クロカンコース」がある場所の2つ。

「ランステ」は、ランナーのためのロッカーやシャワーを完備した施設のことで、都内には、「ランナーの聖地」と呼ばれる皇居周辺をはじめ、代々木公園、駒沢公園、多摩川のコース周辺にあります。

「クロカンコース」は、芝生や小道など適度な起伏があるクロスカントリー風のコースのこと。代々木公園の外周や多摩川の河川敷の芝生の上、世田谷の砧(きぬた)公園、三鷹の野川公園など、自然に囲まれて清々しい気持ちで走れます。

大会に参加する

ランニングが続く方の共通点は大会に出ること。大会に向けて練習するので、自然と走る習慣が身に付きます。最初はどんどんタイムが縮まって続きやすいと思いますが、ストイックになりすぎて怪我をしないよう気をつけることが大事です。遠方の大会へ参加すると、旅行と組み合わせられるので、楽しみも増えてモチベーションも上がりやすいです。

おわりに

M高史さんによるアドバイスはいかがでしたか? 私も大学卒業後は趣味程度で走っていたのについ走るペースを上げて足を痛めてそのまま離脱していたので、無理せず再開してみようという気持ちになってきました。あと、お腹周りが気になる……。これから涼しくなる時季、みなさんも一緒にランニングを始めてみませんか。

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