家にいると鼻がムズムズしたり、風邪でもないのにくしゃみが止まらなくなったり、まるで花粉症のような症状に一年中悩まされているという方もいるのではないでしょうか。そんな方は、家の中に潜むハウスダストが原因で、アレルギー症状が出ている可能性があります。
このコラムでは、ハウスダストアレルギーの症状や原因、対策方法などについてご紹介していきます。
ハウスダストアレルギーとは
まずは、ハウスダストアレルギーとは何か解説します。
そもそもハウスダストって何?
ハウスダストとは、家の中にある小さなチリやホコリのうち、目に見えにくい1mm以下のゴミのことです。
ハウスダストには、ダニの死骸やフン、細菌、カビ、花粉、洋服の繊維くずや人間の皮膚片、ペットの毛などさまざまなゴミが含まれます。
ハウスダストが原因でアレルギーを引き起こす
ハウスダストはとても小さく、空気中に舞い上がりやすい物質です。舞い上がったハウスダストを人間が吸い込むことで、くしゃみや鼻水、咳、鼻づまりなどといったさまざまなアレルギー症状を引き起こす可能性があります。
ハウスダストが原因で起こるアレルギー症状は、総称して「ハウスダストアレルギー」と呼ばれます。
ハウスダストアレルギーは花粉症とは違う!?
ハウスダストアレルギーは、家の中にあるチリやホコリを吸い込むことで発症するアレルギーのため、季節に関係なく症状が出るのが特徴です。
それに対し、花粉が原因で起こる花粉症は、スギやヒノキなどアレルギーの原因となる植物の花粉が飛散する時期のみ発症します。
そのため、ハウスダストアレルギーは「通年性アレルギー」、花粉症は「季節性アレルギー」とも呼ばれています。
ハウスダストは宙に舞いやすい
小さくて軽いハウスダストは、人が動くと宙に舞い上がります。そのため、出勤の支度をする朝の時間帯や帰宅後の夜の時間帯など、人の動きが活発なタイミングには注意が必要です。
また、朝起きた時にくしゃみや鼻水などの症状が出る現象をモーニングアタックといいます。
モーニングアタックは、就寝中に床に落ちていたハウスダストが起床した時の人の動きに合わせて再び空気中に舞い上がることで起こる現象です。
ハウスダストにより引き起こされるアレルギーの症状
ハウスダストアレルギーは、アレルギー性鼻炎やアレルギー性結膜炎、アトピー性皮膚炎、気管支喘息などの疾患を引き起こす恐れがあります。
ここでは、ハウスダストが原因で起こる疾患について、それぞれの症状とともにご紹介します。
くしゃみ、鼻水、鼻づまり
ハウスダストが原因で起こるアレルギー症状として代表的なのが、くしゃみや鼻水、鼻づまりといったアレルギー性鼻炎です。
一般的な風邪症状との区別が難しいですが、アレルギー性鼻炎はくしゃみが発作的に繰り返し出る傾向にあり、鼻水は透明でさらさらしているのが特徴です。
風邪のときのような黄色や緑色の鼻水はアレルギー性鼻炎では見られないため、風邪かアレルギーかを判断する材料のひとつとして鼻水をチェックするのも良いでしょう。
目のかゆみ、充血
ハウスダストが目の粘膜に触れることで、目がかゆくなったり充血したり、ゴロゴロとした違和感があったりとアレルギー性結膜炎の症状が出ることもあります。
症状には個人差があり、悪化すると角膜の周りが透明から赤紫色に変わって、結膜にゼリーのような目やにが出ることもあるため注意が必要です。
市販の目薬を使って症状を和らげる方法もありますが、症状がひどい時や不安な場合はできるだけ早く医療機関を受診するようにしましょう。
肌のかゆみ、湿疹、肌荒れ
顔や首など、洋服で覆われていない部分に直接ハウスダストが触れることで、肌のかゆみや蕁麻疹などの症状が現れるアトピー性皮膚炎や、肌荒れが起きる可能性があります。
アトピー性皮膚炎は、皮膚疾患を持っている方や、もともと肌が弱い方に特に起こりやすい疾患です。
また、ハウスダストが付着することで肌が不衛生な状態になると、吹き出物やニキビなどといった肌荒れにもつながります。
咳や痰
咳や痰などの症状が出る気管支喘息も、ハウスダストアレルギーの症状のひとつです。アレルゲンを吸い込むことで、気管支が腫れたり大量の痰が溜まったりします。
咳や痰以外に、呼吸音が「ゼーゼー」「ヒューヒュー」などといった喘鳴に変わるのも気管支喘息の特徴です。
特に大人は喘息が重症化しやすく、呼吸困難やチアノーゼなどといった症状につながりやすいといわれています。重篤な発作を起こさないためにも、正しい治療を受けたり生活環境を改善したりすることが大切です。
ハウスダストの主な原因
ハウスダストには、家の中にある物質と外から入ってくる物質があります。ここでは、ハウスダストアレルギーの主な原因について見ていきましょう。
布団やカーペットに生息するダニ
ハウスダストアレルギーの主な原因として挙げられるのがダニです。ダニは、食べこぼしや人間の皮膚片、フケなどをエサにして繁殖しています。
家の中には10〜20種類程度のダニが生息しているといわれており、その多くは0.3〜0.8mmほどの非常に小さな種類であるため、肉眼ではほとんど確認できません。
ダニは20〜30度くらいの温度と60〜80%程度の湿度を好み、布団やカーペットに多く生息しています。
そのため、忙しくてあまり部屋の換気ができていない方や、掃除できない期間が続いているという方は注意が必要です。
人やペットの毛、皮膚片、虫の死骸
ハウスダストには、人間やペットの抜け毛や皮膚片、ゴキブリや蛾などの虫の死骸やフンなども含まれます。つまり、部屋が汚いからといった理由でハウスダストアレルギーの症状が出る可能性もあるということです。
毛髪や虫の死骸などは、直接ハウスダストアレルギーを引き起こす原因物質であるだけでなく、家の中に生息するダニの栄養源にもなります。
空気中を漂うカビや細菌
空気中のカビや細菌も、ハウスダストアレルギーの原因のひとつです。
一般的な住居には、浴室やキッチン、家具の裏の壁やエアコンの内部などにおよそ360種類のカビがいるといわれています。これらのカビが空気中に胞子を飛ばし、アレルギー症状を引き起こす可能性もあります。
特に高気密住宅など、密閉度と湿度が高い住居はカビや細菌が繁殖しやすいので注意しましょう。
タバコの煙、排気ガス
ハウスダストには、チリやホコリだけでなくタバコの煙や土ボコリ、排気ガスなども含まれます。
家の中で発生するゴミに限らず、外から持ち込まれた物質や家の中に流れ込んできた物質も、家に入ればすべてハウスダストです。多種多様なアレルギー物質が混ざり合い、ハウスダストとして家の中に存在することでアレルギーの原因となるのです。
家の中でハウスダストが多い場所は?
ハウスダストは家の至る所にありますが、その多くが目視できないほど小さいため存在に気付きにくいのが特徴です。家具の上や床などといったホコリや汚れが目立ちやすい所に限らず、一見きれいな場所にもハウスダストは溜まっています。
例えば、ダニのエサとなる人間の髪やフケが落ちやすい寝室は、ハウスダストが存在しやすい場所のひとつです。
また、浴室や洗面所も湿度が高くカビが発生しやすい上、繊維クズを出すタオルを置いているケースが多くハウスダストが溜まりやすい場所であるといえます。
照明器具のように静電気が生じるところもハウスダストが吸い寄せられやすいため、布製や紙製のカバーはできるだけ避け、拭き掃除をしやすい環境に整えると良いでしょう。
ハウスダストを溜めない効果的な方法
次に、日常生活でできるハウスダストアレルギーの予防と対策をご紹介します。
こまめに掃除をする
ハウスダストアレルギーの予防には、原因となる物質をできるだけ排除することが大切です。ハウスダストが溜まりやすい場所を意識して、できるだけこまめに掃除をしましょう。
カーペットや絨毯などに付着したカビや花粉を取り除く時は、ハウスダストを撒き散らしにくい排気循環式の掃除機を使用するのがおすすめです。
また、カーペットやタオル、足拭きマットなど、人の肌が触れて湿気がこもりやすい布製品はダニやカビが繁殖しやすいアイテムなので、こまめに洗濯しましょう。
ダニは乾燥に弱いため、洗濯した後はよく乾かすと効果的です。
部屋を換気する
人の動きが盛んな時間帯や掃除をした時は、ハウスダストが空中に舞い上がる機会も増えます。
舞い上がったハウスダストが家の外へ逃げる通り道を作るため、花粉が飛散する時期や道路に面している場所以外は、窓やドアを開放して適度に換気を行いましょう。
また、ダニは高温多湿の場所を好み、気温25度、湿度75%程度の場所で最もよく繁殖するといわれているので、室温は20〜25度、湿度は50%以下に保つことが重要です。
押入れやクローゼットなどの湿度が高くなりやすい場所は、除湿剤を置いたり、風をとおしたりして乾燥を促しましょう。
空気清浄機を使う
床に落ちたホコリや家具に付いたチリなどは掃除機や拭き掃除などで取り除くことができますが、空中に舞っているハウスダストを掃除で除去するのは難しいです。
空気中に存在するハウスダスト対策としては、空気清浄機を使用するのが良いでしょう。ほとんどの空気清浄機には集塵フィルターが付いていますが、活性炭脱臭フィルターやHEPAフィルターなどの高性能フィルターが付いている製品を選ぶとより安心です。
空気清浄機をより効果的に使用するには、部屋の大きさに合わせたサイズを選びましょう。また、可能であれば寝室の枕元に設置し、24時間稼働させるのがおすすめです。
空気清浄機の機能が低下しないよう、定期的にフィルターの掃除や交換などのメンテナンスを行いましょう。
エアコン内部を掃除する
エアコンは室内の空気を取り込み排出する仕組みになっているため、空気と一緒にダニや花粉、ホコリなどといったハウスダストを部屋中に拡散してしまう恐れがあります。
特に冷房は、室内の暖かい空気を吸って冷やすので、温度差で結露が生じ、カビやダニの温床になりやすいです。
カビやダニの繁殖を防ぐためにも、定期的にエアコン内部の掃除を行いましょう。頻度としては、1ヵ月に1回程度を目安に行うのがおすすめです。
また、エアコンを運転し始めた時に臭いなと感じた時は、すでにエアコン内部にカビが生えてしまっている可能性があります。
久々にエアコンを動かす時や臭いに異変を感じた時は、まずエアコン内部のクリーニングを行ってから稼働させるようにしましょう。
寝具を清潔に保つ
人は1日に6〜8時間程度の時間を布団の上で過ごしています。人の肌に触れる時間が長い寝具を、毎日欠かさず洗濯しているという方は少ないのではないでしょうか。
ダニや繊維クズなどのハウスダストは、敷布団、かけ布団、毛布や枕、シーツなどさまざまな寝具で発生しやすいため注意が必要です。こまめな洗濯で寝具を清潔に保ち、天日干しでダニなどが繁殖しづらい環境作りを徹底しましょう。
布団の天日干しは、布団の湿度を下げ、ダニが増殖しにくい環境にすることはできますが、ダニを死滅させる効果は期待できません。
布団の天日干しだけではハウスダストを除去するのは難しいため、定期的に丸洗いするか布団用掃除機をかけるなどして念入りに対策を行いましょう。
湿気取りシートなどを活用してダニの発生を予防するのも効果的です。
くらしのセゾンの宅配クリーニングでは、衣類だけでなくかけ布団のクリーニングも利用できます。宅配のためご自身で店舗へ持ち込む手間がなく、衣類は無料で最長1年間の保管が可能、かけ布団はダニよけ加工や圧縮仕上げが無料でできます。忙しい方や、クリーニング店への持ち込みが難しい方はぜひご利用ください。
ハウスダストを掃除する際のポイントは?
続いて、ハウスダストの予防と対策をする時のポイントをお伝えしましょう。
モップ→掃除機の順番で掃除する
ハウスダストを掃除する時は、チリやゴミを空中に舞い上がらせないよう意識するのがポイントです。
いきなり掃除機をかけるのは避け、まずはハンディモップなどで照明や家具、壁、床といったように高い位置から低い位置へ、順番に掃除をしていきましょう。そのあとに掃除機をかけ、水拭きまでできればより効果的です。
ハウスダストは人の動きがない夜間に空中から床へゆっくりと落ちているため、掃除のタイミングは家族が動き出す前の朝一番の時間帯がおすすめです。
ハウスダストがこびりつく前に掃除する
最初はただ床に軽く乗っているだけだったハウスダストも、長期間放置することで床や家具にこびり付き、モップなどでは簡単に取れない頑固な汚れに変わります。
時間が経過したハウスダストを取り除くには、水拭きや洗剤拭きなどの手の込んだ掃除が必要です。ハウスダストは簡単に取り除けるうちに掃除をするのがポイントです。こまめな掃除で部屋を清潔に保ちましょう。
カーペットに絡まってしまったほこりやダニの死骸、ペットの毛など、家庭の掃除機では取り切れないハウスダストでお困りの方は、ハウスクリーニングもおすすめです。プロがカーペットの洗浄を行う床クリーニングのメニューもあり、床を清潔に保つことができます。
おわりに
ハウスダストは、アレルギー性鼻炎をはじめとしたさまざまな疾患を引き起こす原因になります。花粉症とは違い、アレルギーの原因となる物質があれば一年中症状が出ますが、こまめな掃除や部屋の換気などで症状を緩和させることも可能です。
症状や原因となる物質には個人差があるため、ご自身に合った方法で予防や対策を行いましょう。
寝具などの宅配クリーニングなど、定期的にプロによるクリーニングを依頼するのもおすすめです。
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