ものづくり補助金とは、生産性向上に向けて革新的なサービスや試作品の開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資を支援する補助金です。しかし、交付は事業終了後であるなど注意点もあります。今回はものづくり補助金の概要とつなぎ資金の調達方法について解説します。
ものづくり補助金とは
コロナ禍で業況が厳しい中、補助金に注目している方もいらっしゃるはずです。そんな補助金のなかで注目を集めているものの一つがものづくり補助金です。まずはものづくり補助金の概要について説明していきます。
ものづくり補助金とは
ものづくり補助金とは、正式名称を「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」という補助金です。中小企業や個人事業主、フリーランスといった小規模事業者が行う革新的サービスや試作品の開発、生産プロセスに必要な設備投資等を資金面から支援するものになります。
ものづくり補助金には一般型とグローバル型という2つの大きな枠組みがあります。一般型は主に国内で事業を行う場合に利用され、グローバル型は海外展開を狙う場合に利用されます。さらに一般型の場合は通常枠や回復型賃上げ・雇用拡大枠など目的に応じてさらに細かい枠組みが用意されています。
ものづくり補助金の申請要件
ものづくり補助金を申請するには少なくとも下記の3点を満たす必要があります。また、下記以外にも申請する枠組みに応じた要件を満たす必要もあります。そのため、実際にものづくり補助金を申請する場合は必ず申請要件を確認しましょう。
・資本金と従業員数が業種に応じた上限の範囲内であること
・対象外となる事業形態でないこと
・以下を満たす3年から5年の事業計画の策定と実施をすること
①付加価値額について年3%以上増加
②給与支給総額について年1.5%以上増加
③事業場内最低賃金が地域別最低賃金を30円以上上回る
ものづくり補助金の補助上限額と補助率
ものづくり補助金には補助上限額と補助率という概念があります。補助上限額は支給される金額の上限額で、補助率とは使ったお金のうち補助される割合です。補助上限額は申請する枠組みに応じて100万円から3,000万円という上限額が設定されています。また、補助率も申請する枠組みなどに応じて2分の1から3分の2と設定されています。
仮に補助上限額3,000万円で補助率3分の2の枠組みで申請する場合、補助金を上限額で受け取るためには、4,500万円、補助金の対象となる事業に支出する必要があるということになります。
ものづくり補助金のスケジュール
ものづくり補助金は通年で公募されていますが、応募期間を約2ヵ月、審査期間を約1ヵ月、というのを1つのセットとして、6月・9月・12月・3月の四半期ごとに採択発表が行われています。審査が終わると、交付決定を受け交付申請を行い、そこから最大10ヵ月の間に、補助対象の事業を実施するというスケジュールとなります。
参考までに令和4年度のスケジュールの場合、9月1日~10月24日17時までが応募期間となり、12月中旬頃に審査結果が出され、そこで採択がされていれば交付申請を行い、2023年2月頃から最大10ヵ月間、補助対象となる事業を実施するという流れになります。
なお、実際に補助金を受け取れるのは事業の実施完了後に完了報告と補助金の請求をした後となります。
参照元:全国中小企業団体中央会「ものづくり・商業・サービス補助金 公募要領 概要版(pdf))」
ものづくり補助金の採択事例
ものづくり補助金は補助金を受けながら事業を成長させることができるとはいえ、実際にどのように活用していけば良いのかイメージが湧かないなど悩む部分もあると思います。そんなときは、ものづくり補助金のWEBサイトの「採択結果」にて採択事例を確認することで疑問を解決できます。今回は一般型とグローバル型に分けてどのような事業者が採択されているか紹介します。
ものづくり補助金(一般型)
第10次公募で一般型として採択された例には次のようなものがあります。
・工業用ビデオスコープ導入による新たな調査方法の開発
・ポストコロナに対応する東川産熟成ドライ野菜の製造と販売
・EC注文取込・手配システム、物流システム導入によるDXの推進
・写真を商品に「刺繍」する、笑顔を贈るベビー用品サイトの構築
・EVの普及等による銅需要拡大に対応する銅リサイクル事業進出計画
・歩行型VRデバイス専用ゲームコンテンツの開発による販売数増加・販路拡大
・受注・生産管理のオンライン化で業務改善と顧客サービスの向上
・表面処理の洗浄工程の自動化による不良率の低減と生産性向上計画
・展示会オーダーシステム導入による営業活動・業務プロセスの改善
・緑茶の製造工程を取り入れたオリーブ茶の開発
・急速冷凍機等の導入による商品開発を行い、新分野開拓と顧客開拓を目指す計画
・工作機械カバー加工工程のボトルネック解消による生産性向上・短納期化の実現
・省スペース型小規模処理用生ごみ処理機の開発
参照元:全国中小企業団体中央会「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 第10次締切 採択案件一覧 一般型(pdf)」
ものづくり補助金(グローバル展開型)
第10次公募でグローバル展開型として採択された例には次のようなものがあります。
・疑似インターネット環境をアフリカに提供するシステム開発
・12歳以下子ども向けSNSアプリのグローバル仕様化・海外展開事業
・タイ子会社と連携し顧客満足度向上に向けた生産体制構築の取組み
・電気自動車のブレーキディスク部品の品質向上及び生産性の効率化
・高精度検査機器の導入による競争力強化で新規化学製品の輸出拡大
・海外現地法⼈を活⽤したハウスビルダー向け⾰新的サービスの開発計画
参照元:全国中小企業団体中央会「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 第10次締切 採択案件一覧 一般グローバル展開型(pdf)」
ものづくり補助金利用の際の注意点
ものづくり補助金を利用する際には交付までに時間がかかることと、補助対象の費用に制限があるという点について注意すべき必要があります。この2つの注意点について順に説明します。
交付までに時間がかかる
ものづくり補助金における1番の注意点に、実際に補助金が交付されるまでかなりの時間を要するというものがあります。多くの方がイメージされる補助金は、申請後さほど時間をおかずに受け取れるというものでしょう。実際そういう補助金もあります。
しかし、ものづくり補助金については別であり、交付がされるまでに時間がかかります。先払いではなく、実際に経費を支出して対象となる事業を実施し完了の報告と補助金の確定検査を受けてからの補助金交付となります。
最初の申請から起算すると補助金を受け取れるまで軽く1年以上かかるということも珍しくありませんし、補助金を使って行いたい事業の実施完了からすぐに手続きをしたとしても、そこから2~3ヵ月程度はかかることが多いです。途中、手続きに不備などがあればさらに時間を要することもあります。
補助対象費用には制限がある
ものづくり補助金は革新的サービスの開発や試作品開発、生産プロセスに必要な設備投資等に使う費用が補助金の対象になるとはいえ、関連する費用でも一定範囲の費用については補助金の対象外となることがあります。
例えば、文房具といった事務用品などの消耗品代や飲食代、接待費、公租公課や事業にかかる自社の人件費、事務用のパソコンやスマートフォンなど、今回ものづくり補助金で実施する事業外での使用が可能な機器にかかる費用は対象外となります。
つまり、明確に実施したい事業に直結し、それのみに使える費用が対象となり、間接的に必要となる費用やほかの目的に利用できるような費用は対象外ということになります。
補助金交付までのつなぎ融資なら「POファイナンス」
ものづくり補助金は交付されるまでに期間が空くため資金繰りの状況によっては資金調達が必要なこともあるでしょう。つなぎ資金の調達方法はさまざまありますが、最短2週間での資金調達が可能となるセゾンファンデックスの補助金つなぎ融資(POファイナンス)をおすすめいたします。
補助金が交付されるまでのつなぎ資金として利用できる「POファイナンス」の特徴とメリットを紹介します。
「POファイナンス(補助金対応)」の特徴とは
「POファイナンス(補助金対応)」とは、電子記録債権化が可能な補助金について、Tranzax株式会社が提供するPOファイナンスシステムを利用して電子記録債権化後、それを担保として融資を受ける仕組みです。
「POファイナンス(補助金対応)」は補助金の交付決定を受けたらその情報を電子債権化するため、補助金の交付まで時間がかかる点や、補助金を受けてもつなぎ資金がなければ事業の実施ができないという事業者の悩みを解決することができるシステムになっています。
「POファイナンス(補助金対応)」のメリット
「POファイナンス(補助金対応)」のメリットは何より迅速な資金調達が実現できるという点にあります。審査結果は最短2週間で出るため、ほかの金融機関で融資を受けるよりも早期の資金調達が実現できます。
さらに、一度に大きな金額を調達できるというのも「POファイナンス(補助金対応)」の大きなメリットです。融資上限額は補助金の交付決定額となるため、大きな金額での資金調達も容易です。交付される補助金は直接セゾンファンデックスに振り込みされるため、融資とはいえ返済の手間がなく事業に専念できるというメリットもあります。
それに加え、提携しているTranzax株式会社は国から指定を受けている事業者であるため安全性も高く、安心して利用することができるというのも大きなメリットです。
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おわりに
ものづくり補助金は最大3,000万円の補助金を受けながら新しいサービスを生み出し、業務の効率化を実現できる素晴らしい補助金制度です。しかし、交付まで時間を要し、つなぎ資金について課題となりやすい補助金でもあります。
もし、ものづくり補助金をはじめ各種補助金を利用したいが、つなぎ資金についてお悩みという状況でしたら、ぜひ、迅速な資金調達が完了するセゾンファンデックスの補助金つなぎ融資(POファイナンス)のご利用について検討してみてください。