羽毛布団を購入してから今まで、洗濯をしたことはあるでしょうか。羽毛が潰れてしまいそうなイメージから、一度も洗ったことがないご家庭もあるかもしれません。しかし、羽毛布団は天日干しをするだけでは不充分です。
このコラムでは、ご家庭で羽毛布団が洗えるのか見分ける方法や、洗い方のポイントを紹介していきます。羽毛布団を洗ったことがない方やこれまでクリーニングに出していたという方は、ぜひ参考にしてください。
羽毛布団は洗う必要がある?ない?
羽毛布団は、寝ている間に汗や皮脂などが付着し汚れているため、洗濯をする必要があります。見た目は汚れていなくても、羽毛部分に皮脂や汗が染み込んでいたり、ホコリ、さらにはダニも入り込んでいる可能性があります。
このような汚れは、天日干しやカバーの洗濯だけでは取り除けません。放っておくと、皮脂や汗により羽根同士がくっ付いて、羽毛布団のふわふわとした膨らみがなくなってしまいます。保湿性も低下し、羽毛布団が持つ良さがなくなってしまうでしょう。
また、羽毛布団の臭いが気になっている場合は、雑菌が繁殖していることも考えられます。羽毛布団を清潔に、そして羽毛布団の良さを生かすためには定期的に洗う必要があるのです。
羽毛布団が洗えるか洗えないかの違いを見分けるポイント
まずは、羽毛布団が洗えるかどうか見分けるポイントを紹介していきます。
洗濯表示の確認
洗濯表示を確認すると、洗える羽毛布団かどうかが分かります。洗濯表示は2016年に改正されているので、旧マークと新マークの両方を紹介していきましょう。
洗濯機で洗えるマーク
洗濯機で洗えるマークは、新マークの場合、洗濯桶の中に数字が書いてあります。数字は水の温度を表しており、例えば40と書いてあれば40度以下のお湯で洗うことができます。洗濯桶の下にアンダーバーが1本引かれている場合は、洗濯機で弱い処理が可能、2本引かれている場合は非常に弱い処理が可能という意味です。旧マークは洗濯機の中に水の温度が書かれています。弱い処理が必要な場合は、洗濯機の中に「弱」と書かれているため分かりやすいでしょう。
手洗いできるマーク
手洗いができる新マークは、洗濯桶の中に手が描かれているものです。数字は書かれていませんが、40度の水温を上限に手洗いをすることが可能です。旧マークは洗濯桶に「手洗イ」と数字の「30」が書かれています。旧マークでは、30度の水温を上限に弱い手洗いができます。
自宅では洗濯できないマーク
自宅で洗濯できないマークは、新旧マークともに洗濯桶に大きくバツと書かれたものです。丸の中に「ドライ」「P」「F」と書かれたものはドライクリーニングができるため、クリーニング店で洗ってもらうことが可能です。
羽毛布団の製法
キルティング加工のされた羽毛布団であれば、家庭でも洗うことができます。キルティング加工のされた羽毛布団とは、表と裏の布の間に羽毛を入れて縫い付け、膨らみを持たせたものです。キルティング加工のされていない羽毛布団だと、洗濯したときに中の羽毛が偏って形が崩れてしまいます。しかし、キルティング加工がされていれば羽毛が偏る心配もなく、家庭でも洗濯ができます。ただし、キルティング素材だからと安心せずに、洗濯表示を確認しましょう。
側生地や中の素材が洗濯に対応しているか
側生地がシルクや真綿の羽毛布団は、水に弱いので洗うことができません。ノンキルト加工の羽毛布団も、水に濡れると接着剤が落ちやすいため洗濯に対応していません。洗うことができるものでも、正しい取り扱いをしないと生地の肌触りが損なわれたり、シワになってしまったりすることがあるため気を付けましょう。
家庭で羽毛布団を洗濯するときの注意点
ここからは、羽毛布団を家庭で洗濯する際に、失敗しないためのポイントを5つ見ていきましょう。
天気予報をチェック
羽毛布団を洗濯する場合は、まず天気予報をチェックしましょう。当日の天気だけ確認するのではなく、翌々日の天気予報までチェックし、晴れが続くことを確認してください。羽毛布団を完全に乾かすには、夏場であれば1日半~2日、春であれば丸2日は掛かります。
他の季節であればもう少し掛かるかもしれません。そのため、乾かすのに3日は見ておくと安心です。表面が乾いていても中の羽毛が乾き切っていない場合があるため、中までしっかりと乾かしましょう。生乾きの状態だと、羽毛の傷みやカビの原因にもつながります。
「天気予報をチェックせずに洗濯を始めてしまった」「天気が続く日がなかなかないけれど洗濯をしたい」という方は、コインランドリーの乾燥機能を使うのもひとつの方法です。ただし、長時間使用すると羽毛が傷みやすくなるため、ある程度乾かしてから使用するようにしましょう。
前処理をする
洗濯する前に、羽毛布団に付いた汚れやホコリを軽く落としましょう。物干し竿やベランダに羽毛布団を掛けて、布団叩きなどで軽く叩く方法がおすすめです。汚れが目立つようであれば、水で薄めたおしゃれ着用洗剤をスポンジに染み込ませ、汗や皮脂などの汚れが目立つ箇所になじませましょう。
洗濯ネットを使用する
羽毛布団を洗濯する場合は、布団が破れて中の羽毛が出てこないように、洗濯ネットを使用しましょう。洗濯ネットに入れるときは、丸めてぎゅうぎゅうに押し込むのではなく、小さく折り畳んでから入れるようにします。
折り畳むときのコツは、縦に三つ折りをし、空気を抜くように端からくるくる巻いてコンパクトにすると洗濯ネットに入れやすくなります。
中性洗剤を使用する
洗剤は中性洗剤を使うようにしましょう。羽毛の羽根はタンパク質でできているため、アルカリ洗剤を使用するとタンパク質を溶かしてしまう可能性が考えられます。さらに羽毛に必要な油分も落としてしまい、羽毛のふんわり感がなくなってしまうことも考えられます。
そのため、アルカリ洗剤ではなく中性洗剤を使用するようにしましょう。酸素系漂白剤もアルカリ性が強いので使用できません。
柔軟剤は使用しない
羽毛のふんわり感を出すために柔軟剤を使用したくなるかもしれませんが、羽毛布団を洗うときに柔軟剤は使用しません。羽毛には油分が備わっており、羽毛の油分による撥水効果でふんわり感が生まれています。一方で、柔軟剤は繊維に油膜を張り、滑りを良くしてふんわり感を出しています。
もとから油分を持っている羽毛に、柔軟剤でさらにコーティングしてしまうと、羽毛の持つ撥水力を低下させ、羽毛特有のふんわり感がなくなってしまうのです。香り付けに使いたいという方は、羽毛布団ではなくシーツに柔軟剤を使用しましょう。
家庭で羽毛布団を洗濯する方法
ここでは、洗濯機の種類ごとの洗濯方法や手洗いの方法を紹介していきます。どの洗濯方法でも、中性洗剤と羽毛布団が入る大きさの洗濯ネットを用意しておきましょう。ただし、洗濯機によっては羽毛布団が洗えないこともあるため、まずはご家庭の洗濯機の取扱説明書を確認しましょう。
縦型洗濯機を使用する場合
縦型洗濯機を使用する場合は、まずは洗濯槽に水を溜めて洗剤を溶かしましょう。手で羽毛布団を水の中に沈めて、浮いてこないように水をしっかりと吸い込ませます。「大物洗いコース」や「布団コース」など、ご家庭の洗濯機に合わせて洗濯コースを選んで洗濯を開始します。
ドラム式洗濯機を使用する場合
ドラム式洗濯機で洗う場合は、洗濯ネットに入れた羽毛布団を先に洗濯機に入れます。ドラム式洗濯機は、構造上最初に水を溜めなくても羽毛布団を水の中に沈めることができるので、わざわざ手で沈める必要がありません。
ドラム式洗濯機によっては、脱水ができなくなるという理由から洗濯ネットの使用ができない場合もあるので、取扱説明書をよく確認しましょう。縦型洗濯機と同様、「大物洗いコース」や「布団コース」など、布団に適したコースを選んで洗濯をしましょう。
浴槽で手洗いする場合
浴槽で羽毛布団を洗うときは、浴槽に15~20cm程度の水を張り、キャップ1杯程度の液体洗剤を入れてよく溶かしましょう。羽毛布団を折りたたみ、くるくる丸めて空気を逃がしたら水につけます。羽毛布団全体を、手で押しながら優しく洗っていきます。全体が洗えたら、汚れた水を捨てて、水を入れ替えてすすぎをしましょう。
すすぎをするときも、手で優しく押しながら全体の洗剤を落としていきます。すすぎが終わったら浴槽から水を抜いて、布団を丸めながら脱水をしましょう。洗い終えた羽毛布団をたたみ、バスタブに掛けて1時間ほど放置して水を切りましょう。
羽毛布団をふっくらとした仕上がりにするための干し方
羽毛布団をふっくらと仕上げるために、洗濯した後の干し方と日頃の手入れをするときの干し方を紹介していきます。
風通しの良い場所で陰干し
まずは、洗濯した後の干し方を紹介します。洗濯をして脱水まで終わったら、風通しの良い場所で陰干をしましょう。早く乾かすために直接日光の当たる場所に干したくなるかもしれませんが、布団が傷む場合があるので陰干がおすすめです。
干すときに、物干し竿を2本使って羽毛布団がM字になるよう干すと乾きやすくなります。物干し竿に掛けたら、全体の形を整え、偏った羽毛を両手でほぐしましょう。乾くまでに数回羽毛をほぐすと、ふっくらと仕上がります。
羽毛布団を干す時間帯もポイント
羽毛布団を干すために最適な時間帯があります。それは、湿度の低い11~17時の間です。特に夏場は湿度が高いため、17時以降も干し続けると湿気を吸い始めてしまいます。干す日の天気も大切ですが、時間帯や湿度も考慮しましょう。
よりふかふかに仕上げたいなら一昼夜干しがおすすめ
なかなか洗濯ができないけれど布団をふかふかに仕上げたいという場合は、前日の夜から次の日の夜まで干す一昼夜干しがおすすめです。布団を干すのにおすすめの時間帯として湿気の少ない11~17時であると解説しましたが、一昼夜干しは湿気を利用します。あえて夜間から干して湿気を含ませ、日中に乾燥させることで、繊維が膨らみふかふかになると考えられています。
羽毛布団を洗うタイミングの目安
羽毛布団はどのくらいの頻度で洗えば良いのでしょうか。ここでは、羽毛布団を洗うタイミングの目安を見ていきましょう。
5年に1度
羽毛布団は、5年に1度を目安に洗濯をするようにしましょう。「そんなに洗わなくて大丈夫なの?」と心配になる方もいるかもしれません。羽毛布団を頻繁に洗ってしまうと羽毛のかさが減り保湿性が下がったり、側生地に穴が空いて中身の羽毛が飛び出してきたりする可能性があります。ただし汚れが気になる場合は、2~3年に1度洗濯をするようにしましょう。
ふんわり感がないとき
布団を干してもふんわり感が戻らないときは、羽毛が汚れて膨らみにくくなっている可能性があります。汚れることで湿気を放湿できず、ボリュームがなくなってしまうのです。ふんわり感が戻らないときは、洗濯をするタイミングといえるでしょう。
臭いが気になるとき
羽毛布団の臭いが気になるときも、洗濯をするタイミングの目安になります。軽い臭いであれば、手で押さえながら羽毛布団の空気を抜いて陰干をすることで臭いが取れる場合もあります。しかし獣臭がするときは、細菌が繁殖している恐れがあるため、洗濯をしましょう。
どうしても羽毛布団が自宅で洗濯できないときは
ここまでは、ご家庭でできる羽毛布団の洗濯方法を紹介してきましたが、羽毛布団の素材や洗濯機の容量によってはご家庭で洗濯できないケースもあります。そんなときは専門店に依頼をするのがおすすめです。ここでは、それぞれの方法とメリットを紹介していきます。
コインランドリーを活用
洗濯機で洗える羽毛布団なのに、家庭にある洗濯機の容量が合わずに洗濯することができない、という方はコインランドリーを利用するのがおすすめです。ただし、乾燥機が使えるかどうか、乾燥機の表示を確認しましょう。
クリーニング店へ持ち込む
家庭やコインランドリーで洗濯をするのが不安な場合は、洗濯のプロであるクリーニング店に持ち込むと良いでしょう。クリーニング店に持って行けば、洗える羽毛布団であるか洗濯表示や生地を確認して判断してもらえるため、誤って羽毛布団をダメにしてしまうこともありません。
クリーニング店では業務用の洗濯機で洗うため、家庭の洗濯機より洗浄力に優れ、生地を傷めることなく汚れや臭いを取り除くことができます。
宅配クリーニングに依頼
羽毛布団は大きいため、コインランドリーやクリーニング店へ持ち運ぶのは大変です。車を持っていたとしても、足腰を痛めている方は車まで持ち運ぶのも一苦労でしょう。そんなときは、宅配クリーニングの利用をおすすめします。依頼をすれば自宅まで取りに来てくれ、クリーニングが完了したら届けてもらえるため便利です。
くらしのセゾンの「宅配クリーニング」サービスでは、入会金や月額料もなく、使いたいときに気軽に利用することが可能です。羽毛布団だと大きさがあるので、送料が高くなるイメージもありますが、全国送料無料なので安心です。また、追加料金なしでダニよけ加工ができます。自宅にいながら手間なく羽毛布団を清潔に保てます。
おわりに
羽毛布団はご家庭で洗濯できるものもあります。今回紹介した洗濯のポイントに気を付けながら、ご家庭で羽毛布団の洗濯に挑戦してみてください。難しい方には宅配クリーニングサービスがおすすめです。毎日快適な眠りにつくためにも、定期的に洗濯をして羽毛布団を清潔に保ちましょう。