気温が急に上がったり下がったりする季節の変わり目には、体調を崩しやすくなる方が多いでしょう。どれだけ睡眠を取っても眠気が取れず、1日中身体が重くてだるさが続くなど。
日中と朝晩の気温差が激しくなる季節の変わり目では、心や身体の調子が悪くなるケースも少なくありません。では、なぜ季節の変わり目に体調不良を起こしてしまうのでしょうか。
今回のコラムでは、季節の変わり目に体調を崩しやすくなる原因と対策、健康に過ごすための1日のスケジュールについて解説します。
季節の変わり目に体調不良になる原因とは?
季節の変わり目となる春や秋の季節には、寒暖差や気圧の変動により、体調不良を引き起こすことが多くなります。ここでは季節の変わり目の体調不良の原因として、以下の5つを解説します。
- 朝晩の寒暖差や冷暖房
- 気象病・天気痛
- 日照時間の変化
- 花粉症・秋バテ
- 自律神経の乱れ
それぞれ詳しくご紹介しましょう。
朝晩の寒暖差や冷暖房
日中は気温が上がるものの朝晩は急激に冷え込むなど、激しい寒暖差によって体調が悪くなるケースは少なくありません。
人の身体には、周りの気温に合わせて体温調節を行う機能がありますが、気温差が激しいと体温調節のために多くのエネルギーを消費します。そのため疲労感やだるさを感じやすくなり、体調不良の原因となるのです。
それと同様に、冷暖房が効いた室内と屋外との気温差が激しい場合にも、体調不良を起こしやすくなります。
わかりやすいのが夏バテの症状で、10度以上もの気温差に対応するために多くのエネルギーを消費し、不調が発生してしまいます。
体温調節の機能がうまく働かなくなれば、熱中症などの重い症状にもつながることがあります。
気象病・天気痛
気圧の変化による頭痛など、季節の変わり目の体調不良を「気象病」または「天気痛」と呼ぶことがあります。たとえば春の季節には、激しく低気圧・高気圧が入れ替わることにより体調不良を引き起こすことも多いです。
台風が多い秋の季節にも、気圧の変動により頭痛などの症状を引き起こすことがあります。気象病や天気痛の原因として、気圧変動や気温差による自律神経の乱れが影響しているとされています。
自律神経が乱れることで引き起こされる体調不良については後述します。
日照時間の変化
季節が入れ替わる時期には、日照時間が長くなったり短くなったりして、生活リズムに影響を及ぼす可能性が高まります。日照時間が長くなる春の季節には、朝早く目が覚めてしまって寝不足に陥ってしまうことがあります。
秋の季節には日照時間が短くなり、「冬季うつ」と呼ばれる気分の落ち込みにつながることもあるため注意が必要です。
花粉症・秋バテ
気温が上昇してくる春の季節には、花粉症が悪化することで体調不良につながるケースも多いです。花粉症は免疫機能が過剰に働いている状態のことを指すため、エネルギーが消耗して疲労を感じやすくなることもあります。
花粉症対策の薬を飲むことで、副作用による眠気に襲われて調子が悪いと感じることもあるでしょう。
一方で秋の季節には、夏の胃腸疲れや食欲不振が影響して、体力が落ちる「秋バテ」を起こしてしまうことがあります。秋バテは、特に胃腸が弱い方に起こりやすく、夏の暑い時期に冷たいものを食べ過ぎた影響が出てくることをいいます。
常に冷房の効いた部屋で過ごし、入浴はシャワーだけで済ませるなど、身体が冷えやすい生活習慣を送っていることも秋バテの原因となります。
自律神経の乱れ
季節の変わり目の体調不良の原因として、自律神経の乱れが大きな要因として挙げられます。自律神経のバランスが乱れると、身体の体温調節機能などがうまく働かなくなり、気象病や天気痛を引き起こす結果となります。
また、自律神経は胃腸との関係も深いため、胃腸の調子が悪い原因に自律神経の乱れが挙げられることもあります。
このように、季節の変わり目の体調不良には、自律神経が大きく関わっているため、正常な自律神経を維持することが心と身体の調子を整えるために必要なのです。
季節の変わり目は「自律神経」の不調に要注意!
自律神経という言葉は、近年では多くのメディアで取り上げられるようになりました。しかし自律神経の働きや、バランスが乱れてしまう理由についてよく理解できていない方も多いかもしれません。ここでは季節の変わり目の体調不良を抑えるための、自律神経の整え方について紹介します。
自律神経とは?
自律神経とは、私たちの身体が正常に働くための司令塔を担っている神経のことを指します。身体を活発にさせる「交感神経」と、リラックスさせる「副交感神経」の2種類があり、常にこの2つがバランスを取りながら活動しています。
例えば、仕事で集中力を必要とする場面では交感神経が優位となって身体を緊張させ、睡眠を取るときには副交感神経が優位となって身体を弛緩させるよう働きます。
自律神経が正常に働いていると、朝から昼にかけて交感神経が優位となって身体をアクティブに活動させ、夕方から夜にかけて副交感神経が優位となってリラックスモードに入ります。
しかし季節の変わり目で身体のエネルギーを消耗してしまうと、自律神経のバランスが乱れてしまい、1日中眠くなったり頭痛が続いたりしてしまうのです。
自律神経の働きが低下する理由
自律神経のバランスが崩れるとさまざまな悪影響を及ぼしますが、その原因として挙げられるのが精神的・身体的なストレスや生活習慣の乱れです。
仕事のプレッシャーや将来の悩み、怪我や病気などがストレスとなって、自律神経のバランスが乱れてしまうことがあります。
また、昼夜逆転した不規則な生活や睡眠不足によっても、自律神経の働きが弱まってしまいます。その他にも、「自律神経失調症」や「更年期障害」によって自律神経が乱れ、季節の変わり目に体調不良を起こすケースもあります。
そのため普段からストレスとうまく付き合う方法を学んだり、ライフスタイルを見直したりすることが重要になります。
加齢によって自律神経が乱れることも
自律神経の働きは、加齢によって弱まることも分かっています。10代や20代の頃と比べて、40代や50代になると自律神経のパワーが低下してしまい、季節の変わり目に体調不良を起こす可能性が高まる傾向にあります。
若い頃のように自律神経のパワーを取り戻すことは難しいですが、加齢による影響を遅らせて、自律神経の働きを保つことは可能です。そのためには、規則正しい生活や充分な休息などを心掛けることが大切になります。
季節の変わり目の体調不良を防ぐ対策方法
自律神経の働きを整え、季節の変わり目の体調不良を防ぐための対策には、以下の3つの方法が挙げられます。
- 1日3回のバランスの取れた食事
- 規則正しい生活リズムで睡眠時間を確保
- 軽めの運動を取り入れる
それぞれ詳しく解説していきましょう。
1日3回のバランスの取れた食事
季節の変わり目の体調不良を防ぐためには、1日3回のバランスの良い食事を取ることが基本です。中でも朝食を抜いてしまうと、就寝中に下がった体温を上げることができず、朝からだるさを感じてしまう原因となります。
また、栄養バランスの良い食事で腸内環境を整えることで、自律神経の働きも正常になります。暑さが残る時期には冷たいものを選んでしまいがちですが、冷たい食べ物や飲み物に偏っていると栄養バランスも崩れてしまうため注意しましょう。
規則正しい生活リズムで睡眠時間を確保
自律神経のバランスを整えるためには、規則正しい生活リズムを送り、夜には質の高い睡眠をたっぷりとることが重要です。副交感神経の働きが優位になることで、就寝中も心や身体をリラックスさせることができます。
そのため副交感神経の働きを高めるために、夜寝る前にはブルーライトを浴びる機会を減らし、激しい運動などの脳を興奮させるアクティビティは避けることが大切です。
不眠症については『【医師監修】不眠症を改善する方法!症状や原因、改善するための対策について紹介!』で詳しく解説しています。
軽めの運動を取り入れる
普段から軽い運動を取り入れておくと、自律神経が安定して体調を崩しにくくなります。特に散歩や水泳といった運動が効果的で、ゆっくりと身体を動かすことで身体の基礎代謝を上げ、汗を流して気分も改善させるメリットもあります。
仲間と一緒に取り組むことでコミュニケーションの機会も増え、日頃のストレスを解消できるメリットもあります。
季節の変わり目でも健康に過ごせる1日のスケジュール
最後に、季節の変わり目の体調不良を防ぎ、自律神経を正常に保つための1日のスケジュール例についてご紹介しましょう。
- 起床後は日光を浴びて水分補給を
- 昼休憩では20分程度の昼寝がおすすめ
- 夕方の運動は自律神経を整える効果も
- 入浴は40度程度の湯船に浸かる
- 就寝時はエアコンで快適温度を保つ
時系列順にこちらの5つのポイントを解説しますので、ぜひ今日から取り入れてみてください。
起床後は日光を浴びて水分補給を
朝起床したタイミングでは、まずはコップ1杯程度の水を飲み、睡眠中に失われた水分を補給しましょう。カーテンを閉め切ったままにするのではなく、日差しを浴びて体内時計をリセットすることも自律神経を整える上で重要です。
昼休憩では20分程度の昼寝がおすすめ
仕事や家事の休憩時間には、20分程度の昼寝を取り入れてリフレッシュしましょう。食後の眠くなるタイミングで昼寝しておくことにより、午前中の疲れをリセットして午後からも高いパフォーマンスで活動できるようになります。
夕方の運動は自律神経を整える効果も
日が沈む頃に軽い運動を取り入れるようにすると、副交感神経が優位になり、夜リラックスして過ごしやすくなるメリットがあります。ただし、筋トレやランニングなどの激しい運動は、自律神経に負担をかけてしまうため避けた方が良いでしょう。
入浴は40度程度の湯船に浸かる
就寝前の入浴では、シャワーだけで済ませることなく、37〜40度くらいのぬるめのお湯にしっかりと浸かることが大切です。10〜15分程度ゆっくりと湯船に入ることで、副交感神経の働きを高めて睡眠の質も高めてくれます。
就寝時はエアコンで快適温度を保つ
季節の変わり目でも、暑さが残っていたり寒くて寝付けなかったりする場合には、エアコンをつけっぱなしにして快適な温度を保ちましょう。良質な睡眠を助ける枕やマットレスなど、寝具にこだわるのもおすすめです。
おわりに
季節の変わり目の体調不良は、気温差や気圧の変動、自律神経の乱れなどによって起こるケースが多くなります。特に自律神経のバランスが崩れると心身に悪影響を与えるため、栄養バランスの取れた食事や充分な睡眠時間、軽い運動などを取り入れることが大切です。
また、朝は起きてすぐに日光を浴びたり、昼の休憩時には20分程度の昼寝を取り入れたりする方法も効果的なので、今回紹介した対策をぜひ実践してみてください。