畳にはフローリングにはない特有の香りや踏み心地などの良さがあり、取り入れている方も多いでしょう。日本文化のひとつである畳ですが、間違った方法で掃除をすると畳を傷めてしまうため、正しい方法で掃除をすることがポイントです。
このコラムでは、畳掃除のポイントや基本的な掃除方法、畳掃除の注意点、畳をキレイに保つコツなどを紹介します。畳を長持ちさせたい方、清潔に保ちたい方は、ぜひ参考にしてください。
まずは畳の性質を知ろう!
畳は日本固有の文化であり、日本の風土や気候に最適な床材です。畳特有の踏み心地や香りを気に入っている方も多いでしょう。畳には、天然素材のイグサが使われています。
イグサには、温度と湿度を適度に保つ性質があり、他にも室内の臭いや水分、有害物質を吸収する役割があります。フローリングにはない特徴を持つ畳の掃除をする前に、まずは畳の性質について詳しく理解していきましょう。
ホコリが溜まりやすい
畳は一定方向にイグサを編み込んで作られています。きつく締め付けながら作られているものの、細かい隙間がどうしてもできてしまうため、ホコリが溜まりやすくなってしまうのです。フローリングと同様に、大きいホコリが溜まることもあるので、畳掃除ではホコリを取り除く必要があります。
吸湿しやすい
イグサは、スポンジのように湿気を吸収し、空気を含む湿気を吸ったり吐いたりと呼吸をしています。
そのため、ジメジメする時期は湿気を吸い取り、反対に乾燥する時期は吸収した水分を放出して、湿度を快適に保つ役割を担っています。しかし湿度が高過ぎると、たくさんの湿気を吸収し続けることになるのです。
放置するとカビが発生する
吸湿する働きを持つ畳を掃除しないまま放置すると、カビが発生する原因になります。近年の住宅は昔と比べて気密性が高く、畳が放出する水分が家の外に出されにくいのが特徴です。
そのため、湿度が保たれカビが発生しやすい環境になっていると考えられます。梅雨などの湿度が高い時期は、乾燥させるように意識しましょう。
畳掃除の3つのポイント
畳はデリケートな素材でできているため、扱い方に注意が必要です。ここでは、畳を傷めない掃除のポイントを3つ紹介します。
ほうきや掃除機は畳の目に沿ってかける
畳掃除をするときは、畳の繊維の向きである「目」に沿ってほうきや掃除機で大きなごみを取り除きましょう。
目に逆らって掃除をすると、畳が傷付いたり、隙間にごみが入り込んで、汚れが溜まったりすることがあります。隙間に詰まったごみは、ほうきでかき出すのがおすすめです。
掃除機は1畳につき40~60秒程度の時間をかける
畳の隙間に入り込んだごみは、軽く掃除機をかけただけでは取り除けません。畳掃除では、1畳当たり40~60秒ほどゆっくり時間をかけて掃除機をかけましょう。
全体をムラなく掃除できるように、一定のスピードを保ちながら満遍なく掃除機を動かすのがポイントです。ほうきの場合は、小刻みに掃いてごみをかき出しましょう。
最後に乾拭きを行う
ほうきや掃除機でごみを取り除いたら、最後に乾拭きを行って、畳表面の皮脂汚れなどを落とします。畳のイグサには、湿気を調節する働きがありますが、湿度には強くありません。
急激に湿度が高くなると、カビが発生しやすくなります。基本的には乾拭きのみで、汚れが落ちない場合はかたく絞った雑巾で水拭きし、その後乾いた雑巾で拭きましょう。
基本的な畳掃除のやり方
キレイな畳を保つためには、こまめな掃除が大切です。ここでは、「ほうき」「掃除機」「フローリングワイパー」を使った、基本的な畳掃除方法を紹介します。
ほうきを使った掃除のやり方
細かい目のある畳には、掃除機よりもほうきの方が、隙間に入り込んだごみを取り除きやすいです。ほうきを使った掃除方法を見ていきましょう。
準備するもの
掃除に必要なアイテムは3点です。
- 室内用ほうき
- 乾いた雑巾
- ちりとりまたは掃除機
掃除の手順
ほうきを使った掃除の手順を紹介します。
- 畳の目に沿って、ほうきで掃きます。
- ほうきで取り除けなかったごみを、雑巾でかき出すように乾拭きしましょう。
- 集まったごみをちりとりや掃除機で回収します。
畳の目に沿って、ほうきを小刻みに動かしましょう。
掃除機を使った掃除のやり方
室内用ほうきがない方は、掃除機を使いましょう。「畳モード」のある掃除機は、畳が傷みにくくなるので設定しましょう。
準備するもの
掃除に必要なアイテムは2点です。
- 掃除機
- 乾いた雑巾
掃除の手順
掃除機を使った掃除の手順を紹介します。
- 畳の目に沿って、掃除機をかけます。
- 取りきれなかったごみをかき出すように、雑巾で乾拭きしましょう。
- 集まったごみを掃除機で吸い取ります。
畳のへりは布製になっていて傷みやすいので、掃除機をかけないようにしましょう。
フローリングワイパーを使った掃除のやり方
ほうきや掃除機を使ってゆっくり掃除する時間がないという方は、フローリングワイパーを使った手軽な畳掃除もおすすめです。
準備するもの
掃除に必要なアイテムは2点です。
- フローリングワイパー
- ドライシート
掃除の手順
フローリングワイパーでの掃除の手順を紹介します。
- ドライシートをフローリングワイパーに装着し、畳の目に沿ってかけます。
- 換気をして、舞い上がったホコリを外に出します。
畳の目に入り込んだ小さなごみや、付着した皮脂汚れなどは取りきれません。ほうき・掃除機を使った掃除や雑巾の乾拭きなども定期的に行いましょう。
畳掃除を行う時の注意点
畳掃除では、間違った掃除方法をすると傷みにつながる恐れがあります。ここでは、畳掃除を行う際の4つの注意点を見ていきましょう。
重曹やセスキ炭酸ソーダを使わない
住まいのさまざまな掃除で大活躍の重曹やセスキ炭酸ソーダですが、畳掃除には使えません。
アルカリ性の重曹とセスキ炭酸ソーダは、天然素材のイグサを黄色に変色させてしまいます。また、成分が畳に残ってしまうと、黒いシミになる可能性があります。
お掃除ロボットを使わない
自動で掃除をしてくれるお掃除ロボットは、畳の目に沿って動いてくれないため、畳掃除にはおすすめできません。
畳の目に逆らってランダムに掃除機をかけると畳を傷めてしまうため、なるべくほうきや掃除機を使って掃除をしましょう。
カビ取り剤や漂白剤を使わない
畳にカビや汚れが付いても、カビ取り剤や漂白剤は使わないようにしましょう。漂白作用が強過ぎて、畳を変色させる恐れがあるからです。
粘着式カーペットクリーナーを使わない
粘着式カーペットクリーナーは、コロコロ転がすだけで小さなごみを簡単にキャッチしてくれる便利な掃除アイテムですが、畳掃除には使えません。
粘着力が強いため、イグサが毛羽立ったり、ほつれたりするのです。畳のホコリは、ほうきや掃除機を使って掃除しましょう。
畳の汚れがひどい場合の掃除方法は?
畳は天然素材でできているため、フローリングよりもトラブルが起こりやすいです。ここでは、畳に液体をこぼしたり、ダニやカビが発生したりしたときの掃除方法をご紹介します。
調味料や飲み物をこぼしてしまった場合
畳に調味料や飲み物をこぼしてしまったときは、塩を使って汚れを取りましょう。こぼれた液体を乾いたタオルやティッシュですぐに拭き取り、汚れた部分に塩を振りかけます。
塩が湿ってくるまで放置し、畳の目に沿って歯ブラシで優しくこすります。掃除機で塩を吸い取り、固く絞った雑巾で拭き取って終了です。シミになる前に、素早く対応しましょう。
畳にダニが発生した場合
イグサでできている畳は湿気を吸収しやすいため、ダニが好む環境のひとつです。ただし、ダニは乾燥と高温に弱く、乾燥した環境下では死滅するといわれています。
畳にダニが発生したら、畳を乾燥させることがポイントです。畳を取り外して畳の表と裏に生息するダニをほうきなどでよく払い落とし、風通しと日当たりの良い場所で干して乾燥させましょう。
畳にカビが発生した場合
湿気を吸収しやすい畳は、掃除を怠るとカビが生えやすくなります。畳にカビが発生したときは、消毒用エタノールを使って落としましょう。
カビが発生した部分に消毒用エタノールを吹きかけ、20分ほど放置します。その後、乾いたタオルでスプレーした部分の水気を拭き取り、しっかり乾燥させましょう。
畳が日焼けした場合
日当たりの良い和室では、畳が日焼けしてしまう可能性があります。日焼けによって色が変わってしまった場合は、クエン酸またはお酢で対応しましょう。
酸性の性質を持つクエン酸やお酢には、畳の変色を戻す効果が期待できます。クエン酸またはお酢をぬるま湯で10倍に薄めて、畳の上を水拭きしましょう。最後に乾いたタオルでしっかり水気を取って終了です。
畳の凹みを治す方法
畳の上に重いものを置いて凹んでしまったという経験をした方は多いのではないでしょうか。畳の凹みは、アイロンで直せます。イグサに水分と熱を与えることで、繊維が元に戻ろうとする性質を利用します。
凹んだ畳の上に、水で濡らしてかたく絞った雑巾を当て、その上からアイロンをかけましょう。最後に乾いた雑巾で、しっかり乾拭きをして終了です。スチームアイロンなら濡れた雑巾は不要で、凹みにスチームを当てるだけで元に戻ります。
畳のキレイを保つコツは?
畳をキレイに保つためには日々の掃除が大切ですが、畳を汚さないように扱うこともポイントです。ここでは、キレイに保つための6つのコツを紹介します。和室がある方は、ぜひ実践してみてください。
畳をこまめに掃除する
畳をキレイに保つために、毎日もしくは2日に1回の目安でこまめに掃除をしましょう。畳の上にごみを溜めないことで、ダニの発生などを回避します。さらに畳をこまめに見ていると、汚れやシミに早く気づいて、対処できる場合もあります。
畳を天日干しする
ダニやカビから畳を守るためには、天日干しで畳を乾燥させることが大切です。天気の良い日に畳を取り出して、日当たりの良い場所で湿気を乾燥させましょう。
天日干しの頻度が高いと畳が日焼けしてしまう恐れがあるため、半年から1年に一度を目安に天日干しするのがおすすめです。
畳に重いものを置かない
畳の上にタンスやベッドなどの重い家具を置いたままにしておくと、畳が凹んで湿気やホコリが溜まりやすくなります。汚れやカビの原因にもなりやすくなるため、畳の上にはなるべく物を置かず、掃除しやすい状態にしておきましょう。
畳に布団を敷いたままにしない
畳に布団を敷いたままにしていると畳の呼吸を妨げ、カビやダニが発生しやすくなります。畳の上に直接布団を敷きっぱなしにせず、使わないときには片付けるようにしましょう。
また、布団の上げ下ろしでホコリが舞って畳の上に溜まる原因にもなるので、こまめな掃除が大切です。
カーペットを敷く場合は防湿シートの上に敷く
畳の上にカーペットを敷く場合は、防湿シートを間に挟んで敷きましょう。布団の敷きっぱなしと同様に、湿気がこもってカビやダニが発生する原因になります。
畳は湿気がこもりやすいため、防湿シートを活用してカビ・ダニ対策を行いましょう。
部屋の湿度と温度を調整する
エアコンや除湿機を使って、部屋の湿度と温度を調整しましょう。湿気が多いとイグサが湿気を吸収して、カビやダニが発生しやすくなります。
部屋の中に湿気がこもらないように、部屋の湿度と温度を整えるのがポイントです。
畳掃除を簡単にできる掃除アイテム
畳掃除が便利になる掃除アイテムを紹介します。気軽に畳掃除をしたい方、キレイな状態の畳を保ちたい方におすすめです。
畳用掃除シート
畳用掃除シートは、気になる汚れを見つけたときにサッと拭き掃除ができる便利な掃除アイテムです。掃除機では取りきれないような、ホコリや汚れを取り除き、皮脂汚れまで拭き取ることができます。
掃除機やほうきで掃除した後にシートで拭くと、汚れが落ちてさっぱりします。だだし、畳は湿気に弱く、毎日使うと畳を傷める可能性があるため、汚れが目立つときだけ使うようにしましょう。
畳掃除用ブラシ
畳掃除用ブラシは、畳の汚れをしっかり落としたいときに重宝する掃除アイテムです。極細のブラシ部分で軽くこするだけで、畳の目の奥に詰まった汚れをかき出せます。通常の掃除ブラシよりも手軽に畳掃除ができるため、広い畳を効率良く掃除したい方におすすめです。
マイクロファイバークロス
マイクロファイバークロスは、極細の合成繊維で織られた布です。布には無数の細かい穴が空いていて、この穴のおかげで吸水性に優れ、絞るとすぐに乾燥するため、拭き掃除に便利なアイテムになっています。
細い凹凸に極細の合成繊維が入り込んで、汚れをしっかりかき出し、素材も傷付けないので、畳の拭き掃除に安心です。畳以外にも、鏡や窓、家具家電、シンクなど、さまざまな掃除で活躍するマイクロファイバークロスは、何枚か持っていると便利でしょう。
おわりに
畳に使われている天然素材のイグサは、デリケートで湿気を吸収しやすい性質があります。畳を傷めないためにも、掃除の際はほうきや掃除機を畳の目に沿ってかけて、日常的な掃除では乾いた雑巾で汚れを拭き取るようにしましょう。
また、畳に湿気がこもると、ダニやカビの発生にもつながります。畳の上にはなるべくものを置かず、年に1~2回は天日干しをして乾燥させることが、畳をキレイに長持ちさせる秘訣です。今回紹介した掃除方法や畳の使い方のコツをぜひ参考にしてみてください。