犬を飼うときに大きな不安要素となってしまうのが、犬の「無駄吠え」です。通りがかりの人や犬、訪問客に向かって、ひっきりなしに吠えられたら困ってしまいますよね。なぜ犬は無駄吠えをしてしまうのでしょうか。ここでは犬が吠える理由としつけの方法、吠えにくい犬の育て方についてご説明します。ご近所トラブルが心配な方、しつけげできるかどうか不安な方におすすめの記事です。
犬が「無駄吠え」する原因
犬の「無駄吠え」。犬にとっては「無駄」じゃない!?
「無駄吠え」という言葉からは、いかにも「意味もなく吠えている」という印象を受けますが、犬の立場からすると、「吠える必要性を感じたから吠えている」に過ぎません。これは身についた本能であり、習性なので、ただ吠えることを「ダメ」「やめなさい!」といったところで、なかなか治りません。ただ、犬が吠える理由を見極め原因を抑えることで、「吠えなくてもいい」ことを教えてあげる、または吠えることを予防することは可能です。まずは吠える理由からみていきましょう。
犬の無駄吠えの原因とは
犬が吠えるのには理由があります。主に以下の4つの理由が考えられますので、愛犬が吠えだしたら、これはなんのための「吠え」かを、まず考えてみるようにしましょう。対策としつけ方法については後述します。
要求があるから吠える 【要求吠え】
「お腹がすいたよ!」「おやつちょうだい」「遊んでほしいな」「散歩に行きたい!」などの要求を飼い主に伝えたくて吠えているケースです。ごはんや散歩の前に必ず吠える子もいます。このときに「はいはい、ちょっと待っててね~」などと返事をするべきではありません。反応をすれば、犬は「吠える」ことでのコミュニケーションが成功したとみなすからです。
警戒し、威嚇のために吠える 【威嚇吠え】
不安、恐怖、危機感を感じたときにも、犬は吠えることで、自分を守ろうとします。「怖いよ」「嫌だ」「あっちにいってよ」と訴えているのです。来客や宅配便、よその犬に威勢よく吠える犬の心情がこれにあたります。犬にとって自分の縄張りを守ることは、とても重要な意味をもちます。家や玄関先を「縄張り」と意識している犬にとって、家族以外の人間がくることを警戒するのは当然のことなのです。散歩中にすれ違う犬や人に対しても、不安を感じて吠えます。電話やインターフォンの音、生活音にも危機感を感じて吠えます。そんなときは、犬を安心させてあげるのが対処法となりますが、「大丈夫だよ、怖くないからね」とやさしく声をかけると、飼い主に「吠えたことを褒められた」と勘違いしてしまうこともあるので気をつけましょう。
うれしい、楽しいから吠える 【感情表現吠え】
犬は、「うれしい」「楽しい」という感情表現の際にも、吠えることがあります。「飼い主が返ってきた! うれしいな。」「ドッグランだ。楽しい♪」「おでかけに連れて行ってくれるの?」「ごはんだやったー!」などという気持ちです。こういったタイミングで怒ってしまうと、なぜ叱られているのかわからず、ストレスになってしまうこともあるので気をつけましょう。
本能から吠える 【遠吠え】
近所の犬の吠え越えや救急車のサイレンの音が聞こえてくると、「ワオーン」とよく響く大きな声をあげることがありますが、これは「遠吠え」です。「遠吠え」は、遠くにいる仲間とのコミュニケーションのために行う、犬の本能的な行為であり、完全にコントロールすることは困難です。吠えている犬をしかるよりは、犬の注意をそらすほうが賢明です。
体調不良から吠えている
飼い主としてもっとも注意しなければならないのは、体調不良で犬が吠えている(鳴いている)ケースです。日常的に吠えていると、無視してしまいそうですが、「苦しい」「痛い」「違和感がある」と訴えるために吠えているときは、一刻も早く気づいてあげたいものです。いつもとは吠え方や吠えるタイミングが違う、急に吠えやすくなった、などの場合にはよく様子を観察し、食欲がない、動きが普段と違うなど、不安要素を見つけたときは病院で診察してもらいましょう。
犬の「無駄吠え」防止に効くしつけ4つ
要求吠えには「無視」でしつけ
かわいい愛犬に「ワンワン」「キャンキャン」と催促されると、つい応えてあげたくなります。または、早く静かにしてもらいたくて「はいはい」と応えてしまいそうになります。しかし、この「要求吠え」に答えていると、愛犬の「要求吠え」はエスカレートしてしまうことがあります。「吠えれば要求が通る」ということを愛犬に学習させてはいけません。しつけとしては、吠えている間は、ご飯をあげたり、散歩に連れて行ったりはしません。静かに犬に「オスワリ」などの指示を出し、犬が吠えやんで指示に従ったら褒めてあげます。ごはんや散歩の時間を少し不規則にし、吠える前に飼い主の決めたタイミングで開始するのも効果があります。「犬に要求されてから応える」というパターンを極力なくしましょう。
警戒・威嚇吠えには「犬を落ち着かせる」工夫を
不安や警戒心から吠えている犬は、まず落ち着かせてあげることが肝心です。外からの訪問者やインターフォンなどの音に向かって吠える場合は、「ハウス」などの指示で犬を落ち着く場所に誘導します。
散歩時に吠える場合は、抱っこをしてなだめるのではなく、早めに道を変え気持ちを切り替えさせます。吠えている間は、なだめたりしかったりせずに、吠えやんだら褒めてあげます。吠える原因や機会を減らし、吠える習慣をつけさせないようにしましょう。後にも紹介しますが、警戒心の少ない犬の「社会化期」(生後4週~16週齢)と呼ばれる時期に、さまざまな人や犬、音に慣れさせることも重要なポイントとなります。
感情表現としての「吠え」には、「知らんぷり」で対応
喜んでハイテンションになっている愛犬はかわいいものですが、飼い主も一緒にハイテンションになってはいけません。愛犬に、喜びを「吠え」以外で表現する習慣を身に着けさせるためには、愛犬が吠えている間は飼い主は「知らんぷり」をするのがいいでしょう。愛犬が吠えている間は犬に背を向けたまま、反応しません。「オスワリ」などのコメントで犬を落ち着かせてもいいでしょう。犬が吠えやんだら、しっかり褒めてあげます。
「遠吠え」など本能による「吠え」には、「気をそらす」作戦
愛犬が「遠吠え」をはじめたら、愛犬の名前を呼び注意をこちらに向けさせましょう。吠えるのを止めたら褒めてあげます。「気をそらす」作戦を繰り返すことで、「遠吠え」の機会を減らし、習慣付かないようにするのです。
無駄吠えを防止するコツ4つ
吠えやすい性格であったとしても、訓練やしつけ次第では、無駄吠えの回数を減らせる可能性があります。そのために有効な手段を覚えておきましょう。
社会化トレーニングをする
子犬の頃から、家族以外の人間や他の犬との触れ合いを増やすことで、犬が恐怖や不安を感じるものを減らすことができます。特に生後4~16週齢は、子犬がさまざまな刺激に対し柔軟に対応できる時期です。この期間にさまざまな経験からを積ませましょう。お迎えまでブリーダーの元で暮らしている子犬は、この社会化トレーニングを積んでいるケースが多いです。
要求吠えに応じない、甘やかさない
ごはんや散歩の催促を受け入れると、犬は「要求」することを習慣にしてしまいます。賢い犬は、「吠えれば要求が通る」ということをすぐに学習します。その結果、要求があるときには吠えて知らせるという習慣がついてしまうのですまた、吠えていないときでも「甘やかしすぎ」は厳禁です。
物欲しそうにしている犬におやつや残ったご飯をあげる、おもちゃをもってきたらどんな時でも遊んであげる、いつもは禁止していることも時々見逃してやる、などを繰り返すことで、犬はどんどん甘えん坊になってしまいます。ワガママを聞いてくれる飼い主だと思われると、愛犬の「甘え」はエスカレートしていってしまうのです。
ドッグトレーナーを頼る
自分でしつけることが難しければ、ドッグトレーナーに相談するという手もあります。プロに頼れば効果的なしつけを行ってくれますし、日頃の接し方に関するアドバイスを受けられるでしょう。
無駄吠え防止グッズを利用する
言葉や態度でしつけようとしても、なかなか愛犬が吠えることを止めてくれない場合、無駄吠えを防止するグッズも市販されています。愛犬の反応を見ながら、試してみるのもいいでしょう。
威嚇吠えや遠吠えに効く 音の出るグッズ
音で愛犬の注意を引くことで、愛犬の「吠え」を停止させます。
無駄吠え防止スプレー
においに敏感な犬の注意を引き、「吠え」を止めさせます。愛犬が吠えたタイミングで「だめ」「いけない」などと注意しながら、スプレーすることで愛犬に「吠えるのはいけないこと」だと認識させます。
先輩飼い主に聞いた!愛犬は吠える?
犬の吠えに困っている方はどれくらいいるのでしょうか。「みんなのブリーダー」で子犬を迎え、実際に犬を飼っている先輩飼い主304人にアンケートを取り、聞いてみました。
たまに吠える、またはほとんど吠えない犬が多数派
「たまに吠える」という方が、133人で全体の43.8%と最も多く、ついで「ほとんど吠えない」という方が87人と全体の28.6%となりました。また、「しょっちゅう吠えて悩んでいる」と答えた方は、26人と全体の8.6%でした。愛犬の吠えに悩む人は一定数いるものの、悩むほどではない方、それほど吠えていないと感じている方が多数派のようです。また、愛犬はどんなときに吠えるのかも聞いてみました。「ほとんど吠えない」と答えた方を除いた、217人が回答してくれています。(複数回答可)
警戒吠えが最も多く、感情吠え・要求吠えのケースも
最も多かった回答が、「サイレンやインターホン、他の犬の鳴き声など外部の音や刺激に対して吠える」で、全体の40.6%、97人の方が該当しました。「よその犬や人に対して」吠えると答えた方も40%を超えて88人と多く、次いで「飼い主や家族が帰ってきたとき」と「何かをおねだりするとき」が全体の30%ほどの割合です。
「その他」の回答もご紹介します。
- 飼い主の気を引きたいとき (キャバリア/9ヵ月/オス)
- 遊んでいて興奮したときに吠える (ボストンテリア/5ヵ月/メス)
- 飼い主がいるのに姿が見えないとき (キャバリア/5ヵ月/オス)
- 家族が出かけるとき (トイプードル/7ヵ月/オス)
- 鏡に写った自分に吠える (アメリカンコッカースパニエル /11ヵ月/メス)
吠えないしつけをする人が多数。愛犬への理解を示す声も
「愛犬が吠えないようにしつけをしていますか」という問いには、全体の72.8%、217人が「している」と応えています。あとの27.2%、59人の飼い主さんは、「しつけをしていない」ようですが、それにはこんな理由がありました。
【愛犬が吠えても、特にしつけをしていない理由】
- 一回だけ、ワン、と吠えたら終わりなので (シーズー/7ヵ月/オス)
- とくに問題とする行動では無いので (チワプー/ 9ヵ月/オス)
- 環境因子が大きいと感じるから。吠えない環境作りをしようと思う (コーギー/1歳/オス)
- 自然のままがいいと思うから (柴犬/1歳/メス)
など、愛犬の行動に理解を示す意見が寄せられました。
「困るほどではないから」「どうすればいいかわからないから」という意見も多くみられました。
まとめ
いかがでしたか。犬の「吠え」には、なんらかの理由があることがわかりました。まずは理由を察する努力をしましょう。完全に「吠え」をなくすことは困難ですが、しつけやトレーニングを繰り返すことによって、愛犬が吠える回数を減らすチャンスは十分にあります。また、できる限り「吠え」のリスクを減らして犬を飼いたいという場合は、比較的吠えにくい犬種の中から犬選びをするというのもひとつの方法です。
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