マンションも共用部分以外であればリフォームは可能です。どの程度の費用がかかるのか、箇所ごと、間取りごとにご紹介します。
また、施工会社に依頼するときに押さえておきたいポイントについても解説します。ぜひ参考にしてください。
1.マンションでリフォームできる範囲
戸建て住宅とは異なり、マンションはリフォーム工事を実施する際に制限を受けます。例えばメインエントランスやエレベーターなどのほかの住民と共同で利用する施設は、個人の一存でリフォームすることはできません。
また、ほかの住民と共同で利用しない部分、自分だけ、あるいは家族だけが使用する部分であっても、箇所によってはリフォームできないことがあります。
1-1.共用部分はリフォームできない
ほかの世帯の住民と共同で利用する「共用部分」は、メインエントランスやエレベーターだけではありません。利用が個人に限られている部分も共用部分に該当し、リフォームできない箇所があります。
例えば、玄関ドアの外側(通路やポーチに面している側)やベランダ、窓枠、窓ガラスなども共用部分に該当します。そのほかにも、天井や床、壁(コンクリート)などの建物躯体も共用部分に該当します。
ただし、共用部分であっても管理組合と相談したうえであれば、リフォームができることもあります。リフォームしたいときは、自己判断するのではなく、まずは管理組合に問い合わせてみましょう。
1-2.専有部分は基本的にはリフォームできる
区分所有するマンションの室内などの専有部分は、基本的にはリフォームできます。例えば、壁(コンクリート)は共用部分なので壊すことはできませんが、壁に張られた壁紙はリフォームで交換することが可能です。
また、玄関ドアも外側は共用部分となるため変更することは難しいでしょう。しかし、内側であればリフォームできることもあります。
窓も同様です。窓枠や窓ガラスのリフォームは難しいですが、内窓を取り付けて断熱性を高めることは許可が下りる可能性があります。
ただし、マンションによってリフォームの基準が異なるため、いずれのリフォームを実施する場合も管理会社や管理組合に問い合わせ、許可を得てから始めるようにしましょう。
1-3.間取り変更はマンション構造上の制限を受ける
間取りを変更する大がかりなリフォーム工事も、場合によっては許可が下りる可能性があります。間取り変更が可能かどうかは、管理規約にもよりますが、マンション構造上の理由で制限を受けることもあるので事前に確認しましょう。
マンションは材料によって、RC造(鉄筋コンクリート造)、SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)、S造(鉄骨造)の3つに分類されます。
また、材料の組み立て方によって次の2つに分けられます。
- ラーメン構造(RC造/SRC造/S造)
- 壁式構造(RC造のみ)
ラーメン構造とは、梁や柱で建物を支える構造です。マンションの多くはラーメン構造で造られていますが、この場合は居住空間内の壁は建物を支えていないため、個々の住宅で撤去できることがあります。間取り全体を変えるスケルトンリフォームなども、ラーメン構造の場合は実現可能です。
一方、壁式構造は、壁で建物を支える構造です。壁を撤去すると建物自体が崩れる可能性があるため、間取りの変更やスケルトンリフォームなどは難しいでしょう。
お住まいのマンションがどちらの構造か分からないときは、管理会社や管理組合などに相談し、疑問を解消しておきましょう。
2.【箇所別】リフォーム費用の相場と時期目安、工期
リフォーム工事の費用は、どの箇所をリフォームするかによって変わります。平均的な費用相場と工期の目安、また、リフォームが必要になる時期の目安について見ていきましょう。
2-1.浴室、トイレなどの水回り
工事場所 | 費用目安 | 工期目安 | リフォーム時期の目安 |
キッチン | 50万~150万円 | 1日~2週間 | 約20年 |
トイレ | 15万~50万円 | 1日~2日 | 約10年 |
洗面所 | 10万~50万円 | 1日~3日 | 約20年 |
浴室 | 50万~150万円 | 1日~1週間 | 約15年 |
水回りのリフォームは、設備全体を交換する形で進めることが一般的です。例えば浴室であれば、ユニットバス全体を交換するため、浴槽や床、壁、天井もまとめて新しくなります。
リフォームする時期が重なったときは、複数個所まとめてリフォームを行うと、セット割引が適用されて、別々に工事をするよりも費用を抑えられる可能性があります。施工会社によっても割引制度が異なるため、まずは相談してみましょう。
水道設備の移動を伴う場合は、工事費用がさらに高額になります。トイレや手洗い場所を増やす、キッチンの位置を変更するときなど、事前に水道設備工事にどの程度の費用がかかるのか問い合わせておきましょう。
2-2.フローリングや壁紙の張り替え
工事場所 | 費用目安 | 工期目安 | リフォーム時期の目安 |
フローリング張り替え | 6畳程度で6万~18万円 | 1日~3日 | 10~20年 |
壁紙張り替え | 6畳程度で3万~8万円 | 1日~2日 | 約10年 |
フローリングの張り替え時期の目安は10〜20年とされていますが、日当たりが良い部屋やメンテナンスがあまりできていない場合などには、経年劣化が進んでいるためリフォームのタイミングが早まるといわれています。
また、壁紙も同様です。一般的には10年程度で張り替え時期が訪れますが、キッチンや洗面所などの水回りや、室内で喫煙する場合などには、同様に経年劣化が進んでいるためリフォームのタイミングが早まるといわれています。
なお、フローリングの張り替えには、新しい床材を重ねて張る「重ね張り」と、既存の床材をはがしてから新しい床材を張る「張り替え」の2つの方法があります。
重ね張りは工期も短期で費用も比較的安価ですが、張り替えは時間がかかり、なおかつ撤去費用と処分費用が加算されるため、重ね張りに比べ高額になることがあります。注意しましょう。
2-3.和室・洋室を変更する
工事場所 | 費用目安 | 工期目安 | リフォーム時期の目安 |
和室を洋室にする | 25万~60万円 | 2日~4週間 | ー |
畳をフローリングにする | 10万~25万円 | 2日~3日 | ー |
和室から洋室に変更したい、あるいは畳をフローリングに変更したいというリフォームの場合は、上記が目安です。
床部分を変更するだけなら2〜3日で完成しますが、土壁にするなどの造作にこだわる場合や間取り変更などを伴う場合には、4週間程度かかることもあります。こだわる分、費用が高額になる傾向にあるため、前もって予算を立ててから施工会社に依頼するようにしましょう。
2-4.間取り変更
工事場所 | 費用目安 | 工期目安 | リフォーム時期の目安 |
間仕切り壁の撤去 | 1箇所あたり7万~23万円 | 3日~5日 | ー |
間仕切り壁の設置 | 1箇所あたり8万~25万円 | 4日~6日 | ー |
リビングの拡張 | 40万~90万円 | 3日~5日 | ー |
ラーメン構造の場合は、壁の撤去を伴うリフォームも可能です。子どもに個室を用意するときや、書斎や仕事部屋を作りたいときなどには、間仕切り壁の設置工事も検討できるでしょう。
3.【間取り別】リフォーム費用の平均相場
居住スペース全体をリフォームするときは、間取りによっても費用相場が変わります。平均的な相場について見ていきましょう。
3-1.4LDK
4LDKのマンションの壁紙張り替えや水回りの交換などを行う場合、リフォーム費用の目安は約200万〜230万円です。
間仕切り壁を撤去してスケルトンリフォームを実施するときには、設備や資材のグレード、マンションの広さにもよりますが、800万〜2,000万円ほどかかることもあります。
3-2.3LDK
3LDKのマンションも、どこをリフォームするか、設備や資材はどの程度のグレードにするかによってリフォーム費用が変わります。間取り変更を伴わないなら180~220万円となり、300万円以下に抑えることができるでしょう。
一方、間仕切り壁を撤去してスケルトンリフォームを実施する場合は、600万円以上が目安となります。
3-3.2LDK
2LDKのマンションも、広さやリフォーム箇所、設備や資材のグレードによって費用が大きく変わります。
3LDKのマンションと同じく、間取り変更を伴わない場合であれば160~210万円程度で、300万円以下でリフォーム工事を実施できるでしょう。
一方、スケルトンリフォームを実施する場合の費用目安は550万円以上が目安となります。
3-4.1LDK
1LDKのマンションの壁紙や床、水回りなどを全体的にリフォームする場合、費用目安は150万〜200万円となります。スケルトンリフォームを実施する場合の費用目安は300万円以上が目安となります。
4.リフォームを依頼するときのポイント
リフォームは工事箇所が増えれば増えるほど、資材や設備のグレードが高くなるほど、費用が高額になります。計画を立てずに施工会社に工事を依頼すると、あれもこれもリフォームしたくなり、予想以上に高額になってしまうこともあるでしょう。
計画的かつ予算内でリフォームを実施するためにも、次のポイントに留意することが必要です。
- いくつかの施工会社から見積もりを取る
- リフォームの優先順位を決めておく
- 大がかりな工事のときは仮住まい費用も必要
- リフォームに利用できる補助金・助成金を確認する
- 減税措置を受ける
それぞれのポイントについて、詳しく解説します。
4-1.いくつかの施工会社から見積もりを取る
施工会社1社からのみ見積もりを取ると、費用目安や割高感、割安感を把握できません。リフォーム工事を実施するときは、複数の施工会社から見積もりを取り、費用感を把握してから納得できる施工会社に依頼するようにしましょう。
4-1-1.施工事例を参考に好みに合う施工会社を選ぶと満足度が高い
施工会社を選ぶとき、費用だけでなく、施工会社の今までの施工事例を写真などで見せてもらい、デザインや仕上がりの雰囲気が好みに合うかも確認しましょう。
4-2.リフォームの優先順位を決めておく
複数の箇所をリフォームするときは、優先順位を決めておきましょう。不具合があり、絶対にリフォームしなくてはいけない箇所、リフォームはするけれどもデザインなどにこだわりがない箇所、デザインや素材にもこだわりたい箇所など、予め優先順位付けしておきましょう。
4-3.大がかりな工事のときは仮住まい費用も必要
スケルトンリフォームを実施する場合など、大がかりな工事のときは、仮住まいの費用も必要になります。
また、部分リフォームであっても水回りが長期間使用できないときなどは、生活に支障をきたすため、仮住まいが必要になるでしょう。ウィークリーマンションやホテルなど、予算や期間に合わせて準備しておきましょう。
4-4.リフォームに利用できる補助金・助成金を確認する
国や自治体がリフォームを行う個人に対して、その費用の一部を支援する制度があります。事前によく制度の内容を確認しておきましょう。
4-5.減税措置を受ける
省エネ性能を向上させるリフォーム、バリアフリーリフォームなど、一定の条件を満たす工事に関しては、所得税などの減税措置を受けられることがあります。ただし、確定申告をする必要があるなどの条件があるため、リフォーム工事を依頼する施工会社にも相談し、適切に手続きを行うようにしましょう。
参考:省エネ改修工事をした場合(住宅特定改修特別税額控除)|国税庁
4-5-1.住宅ローンとリフォームローンでは適用制度が異なる
返済期間が10年以上の住宅ローンを利用して工事を行う場合に、住宅ローン減税制度が適用されることがあります。リフォームで返済期間10年以上の住宅ローンを利用するときも、条件を満たせば適用されるため忘れずに手続きをしましょう。
また、返済期間が5年以上のリフォームローンを利用してリフォームを実施する場合には、リフォームローン減税制度が適用されることがあります。住宅ローン減税とは控除額や条件が異なるだけでなく、適用期間などが変更されることもあるため、住宅リフォーム推進協議会のホームページで事前に確認しておきましょう。
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おわりに
マンションをリフォームするときは、原則として専有部分のみ工事が可能です。しかし、共用部分であっても管理組合の了承を得れば工事が可能になることや、反対に専有部分でも許可が得られないこともあります。
リフォームを検討しているときは、大まかな計画を立てて管理組合に相談し、許可を得てから工事を進めていくようにしましょう。