不動産投資とは、マンションやアパート、戸建てなどの不動産を購入し第三者に貸し出すことで賃貸収入を得る資産運用です。賃借人がいれば毎月一定額の収入が得られるため、ミドルリスク・ミドルリターンの資産運用といわれています。
また、審査基準が住宅ローンとは異なるため、50代からでもスタートすることができます。このコラムでは、不動産投資を始めたい方に向けて、不動産投資のメリットやデメリット、年収による融資額などについて詳しくお伝えしていきます。
50代からでも不動産投資は始められる?
不動産投資とは、マンションやアパート、戸建てなどの不動産を購入し第三者に貸し出すことで賃貸収入を得る資産運用です。家賃収入だけではなく、不動産が値上がりしたときに売却すれば、差額分の利益を得ることも可能です。
家などの不動産を購入するときにはローンを組むことがほとんどのため、「年齢を重ねてから始めるのは無理」と思われがち。しかし不動産投資の場合は、本人の年齢や収入だけではなく購入する物件の不動産価値も加味してローンが組まれるため、50代からでも始められる可能性は充分にあります。
50代から不動産投資を始めるメリット・デメリット
50代からでも不動産投資を始めることは可能です。ここでは、50代から始めるメリットとデメリットについて見ていきましょう。
メリット
50代から不動産投資を始める主なメリットは、次の5つです。
時間や資金を有効的に活用できる
50代になると、マイホームのローンや子どもの教育資金などが、ひと段落する方が増えてきます。仕事の収入が増える方もいるため、資金面での余裕も生まれやすいでしょう。
また、プライベートでも時間に余裕が生まれやすい年代です。時間に余裕があると、不動産投資を行ううえでの情報収集もしやすくなります。このように時間や資金に余裕があることは、不動産投資を始めるメリットといえるでしょう。
資金計画が具体的に立てやすい
50代になると、退職金はどのくらいもらえるか、住宅ローンはいくら残っているかなどの具体的な収支が見えてきます。老後資金もどのくらい必要で、いくら不足しそうかなど、より現実的な数字で把握しやすいでしょう。
こうした具体的な資金計画が分かると、どの程度の物件を購入し、毎月いくらの収入を得たいのかも明確になってきます。そのため、「必要以上の物件を購入してしまった」といった後悔も防ぎやすいでしょう。
ミドルリスク・ミドルリターンでバランスが良い
不動産投資は資産運用の中でも、ミドルリスク・ミドルリターンといわれています。購入したマンションなどに賃借人が入れば毎月一定額の収入があり、入居期間中はほぼ変動することがないためです。
一方、株式投資やFXは値動きの上下幅が大きいため、短期間で高額投資を行うと元本割れなどのリスクがあります。もちろん、不動産投資もリスクがまったくないわけではありませんが、株式投資やFXに比べるとバランスがとりやすい資産運用といえるかもしれません。
相続税の対策になる
将来的な視点で見ると、不動産投資は相続税の対策にもなります。例えば、5,000万円を現金で相続した場合には、額面がそのまま課税対象となります。それに対して不動産の場合は、同じく5,000万円で購入した物件であっても課税評価額は低くなることが多いため、相続税が安くすむ可能性があるのです。
50代で相続について考えるのは早いようにも思えますが、亡くなる直前に不動産を購入すると、相続税対策とみなされて追徴課税が必要なケースも発生しています。50代のうちから不動産投資をしておけば、相続が必要になったときでも焦らずに対応していけるでしょう。
生命保険の代わりになる効果も
不動産投資でローンを組むためには、団体信用生命保険に加入することが原則です。この保険に加入していれば、ローンが完済されないうちに死亡もしくは高度障害など不測の事態が発生したときでも、配偶者や子どもにその責務は引き継がれません。
残ったローンも保険金が充当され、物件は家族に残すことができます。この物件から、家族は家賃収入や売却益を得られる可能性があるため、生命保険の代わりにもなるのです。資産運用と生命保険を兼ねて不動産投資をしてみるのも1つの手でしょう。
デメリット
50代から不動産投資を始める主なデメリットは、次の3つです。
長期間でのローンが組みにくい
一般的に、ローンの完済年齢は80歳未満に設定されています。そのため、50代になると35年や45年といった長期ローンが組めないことがほとんどでしょう。
借入期間が短くなると、毎月の返済額は当然高くなります。返済について家賃収入だけで賄いきれない可能性もあり、それだけの返済ができるか資力は問われるでしょう。このように、ローンを組む際には年齢が影響してくるため、無理をしすぎない返済計画を立てることが大切です。
物件選びの失敗をリカバリーしにくくなる
50代の不動産投資は、物件選びでの失敗をリカバリーしにくくなります。例えば、30代40代であれば、多少の失敗があったとしても本業の収入でリカバリーできる可能性があります。しかし、50代になり退職が近づいてくると、本業での収入が途絶えることも考えなければなりません。
そのため、30代40代の方以上に、きちんと黒字化していける物件なのかを見極める必要があります。収入から諸経費を引いたキャッシュフローをきちんと計算し、現実的な投資を行うことが大切です。
健康状態によってローンの審査が厳しいことも
50代になると、加齢やこれまでの生活習慣の積み重ねから、健康状態が悪くなる方も増えてきます。健康状態が悪いと、団体信用生命保険に加入できない場合があります。
不動産投資ローンを提供している金融機関では、借入の際は、団体信用生命保険の加入を必須にしている場合が多いです。加入できない場合には、不動産投資ローンを利用することはできず、全て自己資金で賄う必要が出てきてしまいます。
融資基準には物件の資産価値・担保評価も大切
不動産投資を始めるときには、資産価値が落ちない不動産を選ぶことも大切です。ここからは、資産価値が落ちにくい不動産の特徴について見ていきましょう。
眺望や日当たり
眺めや日当たりが良いことは、住宅用不動産の資産価値を維持する一助となります。窓が南や西にある物件は日当たりも良く、人気が高い物件です。一方、東や北に近づくと採光が取りにくいため、人気が下がりやすいでしょう。
とはいえ、あまり好まれない方角であっても、富士山や東京スカイツリーが見えるなどの付加価値があると資産価値は落ちにくいといわれています。
交通・生活の利便性
交通アクセスや生活利便性の高い場所にある不動産は、資産価値が著しく落ちることがありません。快速や急行などが止まり、複数路線が乗り入れる駅から、徒歩10分圏内にあるようなマンションは資産価値が維持しやすいのです。
また、スーパーや病院といった、日常生活に欠かせない施設が身近にあるエリアは生活利便性が高いといえます。物件を購入する際は、こうした周辺環境も確認しておくことが大切です。
安全性
日々の生活を送るうえで、治安が良く安全性が高い場所に住みたいと考える方は多いものです。そのため、犯罪発生率が低いエリアは資産価値も維持しやすくなります。
また、自然災害における安全性が確保されていることも、チェックしたいポイントです。ハザードマップなどを確認しながら、洪水などのリスクが低いエリアを選ぶことも大切でしょう。
独自性・将来性
春になると桜の名所となるスポットがある、緑が豊かで公園が多いなど、そのエリアならではの独自性があることは不動産の資産価値が落ちにくいポイントです。こうした独自性を好む方も集まりやすいため、空室を避けることにもつながりやすいでしょう。
また、都市開発が進行しているエリアなどは、将来性に期待できます。現状ではパッとしない場所であっても、将来性に期待できる場合であれば、検討する余地があるでしょう。
エリアの人口
不動産は需要と供給のバランスで、資産価値が変動します。そのため、人口が減らないエリアの物件は資産価値が下がりにくく、場合によっては上昇も期待できます。日本で人口が増え続けているのは東京23区です。そのため、東京23区は投資向きのエリアといえるでしょう。
今の年収でいくら借りられるか?融資の基準とは
不動産投資用のローンは、各金融機関が定める基準によって審査が行われます。ここからは、融資の基準や金額について見ていきましょう。
年収700万円が1つの基準
不動産投資は、まとまった資金が必要となるため、融資を受けるにも一定の年収が必要といわれています。その1つの基準が、年収700万円です。この金額以上かどうかで、金融機関の信用度が変わってくるといいます。
また、融資額の目安は、年収の7〜10倍。年収700万円であれば、4,900万円〜7,000万円ほどが融資の目安です。もちろん、年収700万円以上であれば必ず融資を受けられるというわけではありませんが、不動産投資をする際の基準として覚えておくと良いでしょう。
都市銀行は年収1,000万円以上が目安に
融資の基準は、金融機関ごとに異なります。特に厳しい基準なのが、都市銀行です。これらの金融機関で融資を受けるためには、最低でも年収1,000万円以上が必要といわれています。
年収1,000万円であれば、7,000万円〜1億円ほどが融資額の目安となります。また、低い金利で融資割合を大きくしてもらえるなど、より良い条件で融資を受けられる可能性も高いでしょう。
年収500万円でも不動産投資は可能
年収が高いほど不動産投資では有利といわれますが、実際は年収500万円でも始めることは可能です。また、頭金として自己資金があると、融資が受けやすくなるでしょう。年収500万円であれば、3,500万円〜5,000万円ほどの融資が目安となります。
年収300万円~400万円は自己資金を貯めてから
さまざまな条件をクリアする必要はありますが、年収300万円〜400万円でも不動産投資を始めることは可能です。例えば、年収400万円で勤め先が上場企業か、それに準ずる(資本金1億円以上など)企業規模であれば融資を受けられる可能性もあります。その場合、2,100万円~4,000万円ほどの融資を受けられることがあるでしょう。
また、年収300万円の場合は、物件価格の50%を自己資金で賄うことができれば融資を受けられる可能性があります。仮に1,000万円の物件を購入したいときには、まず500万円の自己資金を用意することから始めてみましょう。
不動産投資の融資を受けられる金融機関
不動産投資ローンは一般的な住宅ローンよりも、審査基準が厳しくなります。これは、大家業という事業を営むため、それに耐えうる経済的信用の有無を、それぞれの金融機関が独自の基準で判断していくからです。
ここからは、不動産投資の融資が受けられる金融機関にはどのようなところがあるのか、それぞれの特徴と合わせて見ていきましょう。
都市銀行
都市銀行では、金利1%〜3%前後で不動産投資への融資を行っています。全国各地に支店があるため、どのエリアの物件でも対象となりやすいことが特徴です。
ただし、融資の基準はかなり厳しいもの。自己資金が十分にあるか、過去3年ほどの年収額など、条件を満たさなければ審査に通らないことがほとんどです。また、築浅や駅近など、購入物件の事業性にも確実性が求められます。
地方銀行
地方銀行は、本店がある県と隣接する地域に限定して、融資を行うところが多く見られます。都市銀行と比べると、審査基準がやや緩やかになることが多いといわれています。
金利は各行によって変わりますが、1%半ば〜4%半ばが相場です。銀行によって、融資条件が異なります。事前に融資条件を確認しておきましょう。
信用金庫や信用組合
信用金庫や信用組合は、融資エリアが限定的です。市内や区内といった、狭い範囲に設定されています。口座を開設できる方も限られており、融資エリアに住んでいる、または勤務している方に限定していることも特徴です。
金利はそれぞれの金融機関によっても異なりますが、2%〜3%が相場がです。地方銀行同様、購入したい物件が融資エリアのものかどうかを事前に確認しましょう。
ノンバンク
銀行以外で融資を受けられる機関をノンバンクと呼びます。クレジットカード会社や信販会社などが、ノンバンクに該当します。不動産投資の融資は、こうした企業から受けることも可能です。
金利の相場は、1%後半〜5%とやや高めに設定されていることが多いです。
セゾンファンデックスでは、お申込み対象を70歳以下としているため、50代からでも利用できます。銀行以外での不動産投資ローンをお考えの方や、すでに複数の借り入れがある方でも、ぜひお気軽にご相談ください。
日本政策金融公庫
日本政策金融公庫は、財務省管轄の金融機関です。他の金融機関は属性や物件などが審査の基準となりますが、日本政策金融公庫では事業性を重視することが特徴です。ただ、融資に対する交渉は不動産業者などに代行してもらえず、本人主体で行動する必要があります。
金利は固定のみで、1%〜2%ほどと低く設定されています。審査基準が他とは異なります。
50代から不動産投資を始めるポイント
ここまで見てきてお分かりのように、50代からでも不動産投資を始める方法はあります。実際にスタートする際は、次のポイントに注意しましょう。
家計のバランスを考えた無理のない運用を目指す
不動産投資を活用し資産運用をすることは、老後資金を得る1つの手段です。一方で、先の利益を追求しすぎて、目の前の生活が圧迫されては本末転倒といえます。そのため、家計のバランスを考えて、無理のない運用を目指すことが大切です。
まずは、目的に見合った規模の物件を選ぶこと。不要な固定費や保険を見直したり、退職金などの自己資金を用いて毎月のローン金額を下げたりすることで、収支バランスを整えながら運用していきましょう。
健康状態に十分注意する
先にもお伝えしたように、健康状態によっては、団体信用生命保険への加入ができないこともあります。例えば、糖尿病や高血圧症などの持病や病歴がある方は、団体信用生命保険に入れない可能性があるでしょう。そのため、健康状態にも十分注意することが大切です。
おわりに
不動産投資は、50代からでも始められる資産運用方法です。ミドルリスク・ミドルリターンのバランスが良い運用方法のため、老後資金を得る1つの手段としても活用できるでしょう。ただし、どの資産運用にもいえることですが、今の生活が圧迫されるような運用方法はあまり望ましくありません。家計のバランスを考えながら、無理のない資産運用を行っていきましょう。