小学生に留守番をさせるのは、親や家族にとって心配なものです。しかし、子どもだけにならないように「小学校の下校時刻に合わせて仕事を切り上げる」「毎日のように祖父母の家で預かる」というのは負担が大きく、現実的ではないかもしれません。
そこで今回は、小学生が安全に留守番をするために、環境整備やルール作りのポイントをまとめました。安全強化を叶えられるサービスも紹介しています。わが子や孫の留守番でお悩みの方は、解決策を探ってみませんか。
小学生の留守番はいつからOK?
小学生がひとりで留守番をできるのはいつからでしょうか。保護者へのアンケートや放課後児童クラブの実態から見ていきましょう。
「いつからOK」という決まりはない
具体的に「何年生からひとりで留守番をさせてOK」という決まりはありません。子どもの年齢ではなく、発達状況や防犯意識をどれだけ持てているかで見極める必要があります。
しかし、他の家庭ではいつから留守番をさせているのか、気になる方は多いのではないでしょうか。ALSOKが、2020年に実施した「小学生のお留守番実態調査」の結果を見てみましょう。同調査は、小学生の子どもを持つ保護者を対象に行われ、初めて子どもひとりで留守番をさせた学年は「小学1年生」が最多で、約21%でした。次いで、3年生(約19%)、2年生(約17%)と続きます。
参照元:ALSOK|【ALSOKニュース】【アンケート】小学生のお留守番実態調査|2020年3月13日
実際は小学4年生がターニングポイント
ALSOKの調査で、小学1年生から留守番を始めている家庭が多いことがわかりました。しかし、実際に留守番デビューのターニングポイントとなるのは、小学4年生からといえるでしょう。その理由は、放課後児童クラブ(学童保育)にあります。
放課後児童クラブとは、小学生が放課後を過ごす居場所のことです。保護者が就労や疾病などのため、日中不在となる家庭の子どもに対し、放課後の安全と健全な育成を目的に子どもの預かりを実施しています。放課後児童クラブは、学校の空き教室や児童館などに設置されています。
ここで注目したいのが、放課後児童クラブの利用可能学年です。基本的に放課後児童クラブは小学6年生まで利用できますが、施設によって「小学3年生まで」といった制限が設けられています。実際に厚生労働省が2016年に行った調査によると、放課後児童クラブの登録児童は、小学1~3年生までが全体の約84%を占めました。
このように、放課後児童クラブを利用しなくなるケースが多い小学4年生が、留守番デビューを検討する時期となるのです。
小学生が安全に留守番するには
小学生がひとりで留守番をしている最中は、不審者の侵入だけでなく、不慮の事故も心配です。安全を確保するには、家の中の環境整備とルール作りが大切になってきます。
家の中の環境を見直す
まずは、小学生がひとりで留守番をするのに適した環境を整えてましょう。次の4つのポイントを参考に、家の中を見直してみましょう。
不審者の侵入を防ぐ「施錠」
留守番中、不審者が侵入して来ないように隅々まで施錠します。玄関や勝手口はもちろん、ベランダ・小窓なども見落とさないでください。季節によっては過ごしにくい室温になりますが、窓を開けずに空調で調整する方が防犯上良いでしょう。
また、施錠の仕方を子どもと一緒に確認しましょう。窓はあらかじめ施錠できても、帰宅時は子ども自身で玄関の施錠やチェーンロックをしなければなりません。併せて、誰かが訪ねてきてもドアを開けないよう子どもに伝えておきます。
転落を防ぐ「ベランダの対策」
ベランダからの転落は、死亡してしまう事態になりかねません。転落事故を防ぐために、ベランダへつながる入り口や窓をしっかりと施錠してください。加えて、ベランダには、エアコンの室外機や踏み台など、足場となり得るものを置かないことも大切です。ベランダだけでなく、身を乗り出せる窓にも注意を払いましょう。
転落対策をするとともに、子どもと「ベランダに出ない」「登って身を乗り出さない」といったルールを作り確認しましょう。
溺水や窒息などを防ぐ「浴室・洗面所の対策」
浴室や洗面所は、子どもにとって危険が多い場所です。まず、浴槽の水は抜いておきましょう。水が貯まった浴槽で遊ぶと、溺れる危険性があります。
洗濯機も要注意です。洗濯槽の中に入って蓋を閉めると、窒息のリスクがあります。特にドラム式の洗濯機は子どもが入りやすい構造のため、チャイルドロックを活用して、しっかりと対策すると良いでしょう。
また、洗剤や漂白剤の管理を見直しましょう。誤飲・目に洗剤が入るといった事故を防ぐために、子どもの手の届かないところや、鍵付きの棚などに保管してください。
火事やケガを防ぐ「キッチンの対策」
火元や刃物があるキッチンも、危険なエリアです。火事やケガを防ぐために、あらかじめ対策をしておかなければなりません。具体的には、「ガスコンロの元栓を閉めておく」「電気ポットのお湯を捨てておく」「包丁やキッチンバサミなどの刃物はしまっておく」などの対策が挙げられます。
留守番中に食事が必要な場合は、子どもだけで料理をさせないようにしましょう。食事の用意が大変であれば、お弁当を用意しておくのも良いでしょう。
子どもとルールを作る
続いて、留守番中のルール作りについてポイントをお伝えします。次にご紹介する、6つを参考にしてみてください。
いざルールを作るとなると、ついつい「こうしてほしい」という大人の要望が先行してしまうかもしれません。大人が一方的にルールを決めるのではなく、ポイントを押さえながら子どもと一緒に作っていきましょう。
何かあったらすぐ連絡を入れてもらうようにする
万が一何かあったときは、すぐ親や祖父母に連絡する約束をしましょう。連絡先は、複数用意しておきます。いくつかあれば「お母さんにつながらなかったから、おじいちゃんに連絡してみよう」という行動につながります。また、仕事中を想定して勤務先の番号も教えておくと、より安心です。
ただし、電話番号を教えるだけでは万全な対策とはいえません。いざというときにすぐ動けるよう、実際に電話をかけて状況を伝える練習をしておきましょう。お互いの顔が確認できるので、ビデオ通話の練習もおすすめです。電話番号や伝え方は紙にまとめて書いておき、子どもが見やすい位置に貼りましょう。
来客や電話があっても出ない
留守番中に来客や電話があっても「出ない」ことを徹底してください。相手が不審者だった場合に、大人が不在だと悟られてしまうことを防ぎましょう。「インターホンでも応答せず、居留守を使う」「電話を留守番設定にしておく」などの対応を伝えておきます。何度も訪ねてきて不安であれば、大人に連絡するというルールも追加しましょう。
また、大人が不在中に友達を家に招き入れるのも、おすすめできません。遊んでいるときにケガをするなど、子どもだけでは対応できない事態が起こる可能性もあります。同様に「留守番中の友達の家に遊びに行かない」というルールも必要かもしれません。
危険な場所で遊ばない
ベランダや浴室、キッチンなど「危険が多い場所では遊ばない」というルールを作りましょう。先に紹介したように、各エリアの対策は重要です。しかし、それだけでは不安が残ります。対策を万全に施したうえで、危険な場所に立ち入らない約束も加えてください。
とはいえ、禁止されても興味本位で遊びたくなってしまうこともあるかもしれません。「火遊びすると火事になってしまう」「ベランダから下を覗くと落ちてしまう」など、どのような行動をすると、どういったことが起こるのかを子どもと話し合い、留守番中の過ごし方を確認しましょう。
外出先は決められた場所だけ
帰宅後の外出は、行って良い場所を決めておきます。学校の校庭や近所の公園、通っている塾など、場所を絞ることで行動範囲をある程度把握できます。友達が多く集まる場所なら、子どもは安心して過ごせるでしょう。
帰宅時に「ただいま」と声に出す
例え家に誰も居なくても、帰宅したら「ただいま」と声に出すと良いでしょう。「ただいま」と言いながら家に入ることで、周囲に家の中には大人がいると思わせることができます。
「ただいま」と言いながら家に入り、玄関の鍵を閉めるまでがスムーズに行えるように、一連の動作は練習をしておきましょう。
鍵は見えないようにしまっておく
家の鍵を持ち歩く際は、しまう約束をしましょう。周囲から鍵が見えたまま持ち歩くと「あの子どもの家は大人が不在」という想像がつきやすいからです。そのため、「家に着くまでランドセルの中にしまっておく」「キーケースに入れる」など、鍵が人目につかない対策を講じましょう。
小学生の留守番を成功させるポイント
ここまでで、小学生が安全に留守番をするための環境整備やルール作りについてご紹介しました。しかし、環境を整えてルールを作ったからといって、いきなり留守番ができるわけではありません。留守番を成功に導くために、さらに4つのポイントをご紹介します。
短い時間から練習する
初めから長時間、ひとりで留守番をさせるのではなく、短い時間から練習します。まずは、ごみ捨てや近所へ買い物に行く間など、短時間の留守番からチャレンジしてみましょう。慣れてきたら、放課後児童クラブから帰って保護者が帰宅するまでの20~30分というように、徐々に時間を延ばしていきます。
留守番中には、実際に子ども自身で鍵をかけたり、保護者に電話をしたりという練習をしてください。まとまった時間、ひとりで留守番ができることを目指し、練習を重ねていきましょう。
子どもが安心できる配慮をする
慣れるまでは、ひとりでの留守番は子どもにとって心細いものです。そのため、子どもが安心して留守番できる配慮が必要です。
「もう少しで仕事が終わるからね」「あと10分で家に着くよ」といった連絡を入れると、子どもの安心につながります。また、お腹が空くと不安になりやすいため、おやつや飲み物を準備しておきましょう。ALSOKが実施した子どもの留守番に関する意識調査でも、保護者が心掛けている配慮として「こまめに連絡を入れる」「おやつを用意しておく」などの回答が多く見られます。
また、帰宅後は子どもと一緒に過ごすことを意識しましょう。話を聞いたりスキンシップをとったりと、子どもの不安を受け止め、満足できる時間を設けると良いでしょう。
ひとりでも退屈しないように工夫する
ただひとりで待っているだけでは、退屈になってしまうでしょう。留守番中に、子どもがひとりでも楽しく待てる工夫が必要です。
例えば、留守番中は「好きなテレビ番組を見ても良い」「ゲームが自由にできる」「ひとり遊び用のおもちゃを準備する」などの工夫をしている家庭もあります。
無理はさせない
子どもが留守番を嫌がるにもかかわらず「早くひとりで留守番できるようになってもらいたいから」と、無理をさせるのはおすすめしません。子どもの気持ちを受け止めながら、進めていきましょう。
もし、ひとりでの留守番を嫌がるようであれば、キッズシッターや自治体のファミリーサポートなどの利用も検討してみてください。見守りの体制が整えば、子どもだけでなく保護者も安心です。キッズシッターなどの詳細は、次でご紹介します。
対策してもやっぱり心配なときは外部の力を借りよう
いくら対策や工夫をしても、小学生の留守番に対する不安は消えないものですよね。しかしながら、子どもに留守番をしてもらわなければ仕事が成り立たないケースもあるでしょう。そんなときは、外部の力を借りるのも有効な手段です。
ここからは、小学生が留守番をするときに、強い味方となってくれるサービスを紹介します。
キッズシッターを利用する
キッズシッターとは、保護者に代わって専門スタッフが子どもを見守るサービスです。キッズシッターのサービス内容は、以下が挙げられます。
- 自宅に訪問し留守番の見守り
- 下校の付き添い
- 習い事の送迎
- 留守番中の子どもから目を離さない範囲で家事代行 など
子どもはひとりで留守番をせずに済み、保護者の要望にも応えてくれるサービスといえるでしょう。
自治体のファミリーサポートを活用する
ファミリーサポートとは、地域の子育てを相互援助する活動です。利用するには会員登録をします。「子育ての援助をしてほしい」依頼会員と、「子育てを援助したい」提供会員をファミリーサポートセンターがマッチングし、子どもの預かりや見守りなどを行っています。放課後の小学生の預かりも、活動の一環です。地域の相互援助活動であることから、子どもを預かるのは自治体が実施する講習を受けた一般の方です。
なお、ファミリーサポートの利用方法や料金は自治体によって異なるため、利用前にお住まいの自治体に問い合わせてみましょう。
見守りサービスを導入する
留守番中の子どもの様子を知りたい方は、見守りサービスの導入を検討してみてください。見守りサービスは、次のような内容が挙げられます。
- 自宅にセンサーやカメラを設置
- 子どもの様子をスマホで確認できる
- 玄関ドアのスマートロック など
スマホで留守番を見守るなら、くらしのセゾンの見守りサービスがおすすめです。見守りカメラをはじめ、ドアの開閉センサーやGPS機器と組み合わせて設置できるため、安心につながります。固定のプランがないため、臨機応変に対応できるのも魅力です。
ホームセキュリティを導入する
ホームセキュリティと聞くと、防犯対策の強化をイメージするかもしれません。しかし、プランの中には、子どもの留守番の見守りに特化したサービスが展開されています。具体的なサービス内容は、以下のとおりです。
- 不審者の侵入や火災などの監視
- 非常ボタンを押すと緊急対処員が自宅に駆けつける
- 子どもの帰宅を保護者のスマホに通知 など
「Secual(セキュアル)」なら、自宅にシールやマグネットを貼り付けるだけで簡単に設置が可能です。操作もスマホのアプリで手軽にできます。月額使用料が1,078円とリーズナブルな料金設定も見逃せません。
長期休みにはイベントや夏期講習などに参加する
小学生の留守番で壁となるのが、夏休みや冬休みなどの長期休暇です。長期休暇は、どうしても留守番させる時間が長くなってしまいます。そこでポイントになるのが、いかにひとりで過ごす時間を少なくするかです。
例えば、夏休み限定の体験イベントや塾の夏期講習に参加するといった方法があります。自治体によっては、放課後児童クラブが長期休暇中のみ利用できる場合もあります。このようなイベントや夏期講習などに参加し、ひとりで留守番させる時間を極力減らすこともおすすめです。
おわりに
小学生の留守番は、小学1年生から始めている家庭が多いことがわかりました。しかし、実際には子どもの発達状況と防犯意識の見極めが肝心です。また、安全に留守番させるには、環境整備やルール作りが鍵を握ります。時には外部の力を借りる検討もしなければならないでしょう。子どもだけでなく大人も安心できるよう、今回紹介したポイントを参考に、安心安全な留守番を目指しましょう。