生まれてからの1年間で、赤ちゃんはお座りやハイハイなど目を見張るような発達を遂げます。この1年間は、体重や身長などの成長が著しい時期です。
ここでは、赤ちゃんの体重を比較したい方や、体重が増えない・増えすぎなどで悩む方に向けて、赤ちゃんの体重に関する情報をご紹介します。測り方だけでなく、比較の仕方、体重が増えない・増えすぎの原因などについて詳しくまとめているので、ぜひ参考にしてください。
1.赤ちゃんの体重の目安は?
赤ちゃんの体重は、男女で若干の違いがあるのをご存知ですか?ここでは、厚生労働省により行われた平成22年度の乳幼児身体発育調査の結果をもとにご説明します。
1-1.赤ちゃんの体重・身長の平均値
赤ちゃんの体重と身長の平均値を、月齢ごとに見てみましょう。
男の子の体重・身長
男の子の体重と身長の平均値は、以下のとおりです。
体重 | 身長 | |
出生時 | 2.98kg | 48.7cm |
生後1ヵ月~2ヵ月未満 | 4.78kg | 55.5cm |
生後2ヵ月~3ヵ月未満 | 5.83kg | 59.0cm |
生後3ヵ月~4ヵ月未満 | 6.63kg | 61.9cm |
生後4ヵ月~5ヵ月未満 | 7.22kg | 64.3cm |
生後5ヵ月~6ヵ月未満 | 7.67kg | 66.2cm |
生後6ヵ月~7ヵ月未満 | 8.01kg | 67.9cm |
生後7ヵ月~8ヵ月未満 | 8.30kg | 69.3cm |
生後8ヵ月~9ヵ月未満 | 8.53kg | 70.6cm |
生後9ヵ月~10ヵ月未満 | 8.73kg | 71.8cm |
生後10ヵ月~11ヵ月未満 | 8.91kg | 72.9cm |
生後11ヵ月~12ヵ月未満 | 9.09kg | 73.9cm |
出生時は体重2.98kg、身長48.7cmであるのに対して、1歳手前では体重9.09kg、身長73.9cmほどになります。
女の子の体重・身長
次に、女の子の体重と身長の平均値を見てみましょう。
体重 | 身長 | |
出生時 | 2.91kg | 48.3cm |
生後1ヵ月~2ヵ月未満 | 4.46kg | 54.5cm |
生後2ヵ月~3ヵ月未満 | 5.42kg | 57.8cm |
生後3ヵ月~4ヵ月未満 | 6.16kg | 60.6cm |
生後4ヵ月~5ヵ月未満 | 6.73kg | 62.9cm |
生後5ヵ月~6ヵ月未満 | 7.17kg | 64.8cm |
生後6ヵ月~7ヵ月未満 | 7.52kg | 66.4cm |
生後7ヵ月~8ヵ月未満 | 7.79kg | 67.9cm |
生後8ヵ月~9ヵ月未満 | 8.01kg | 69.1cm |
生後9ヵ月~10ヵ月未満 | 8.20kg | 70.3cm |
生後10ヵ月~11ヵ月未満 | 8.37kg | 71.3cm |
生後11ヵ月~12ヵ月未満 | 8.54kg | 72.3cm |
男の子と女の子の表を比較してみると、体重・身長ともに男の子の方が大きいことが分かります。
参照元:平成 22 年乳幼児身体発育調査報告書(概要) 資料1
1-2.体重の増え方のポイント
1歳未満は体重増加が著しい時期です。体重は、生後3〜4ヵ月で出生時の約2倍、1歳で約3倍に増えます。生後3〜4ヵ月までの体重増加率は、特に大きいといえるでしょう。
生後6ヵ月以降になると、離乳食が進むにつれて母乳やミルクの量が減ってきます。また、ズリバイやハイハイなど身体の動きも活発になってきます。そのため、この時期は体重の増加が緩やかになるのが特徴です。
2.赤ちゃんの体重の測り方は?
赤ちゃんの体重は、赤ちゃん用体重計だけでなく一般的な体重計でも測ることができます。測るときの注意点と、測り方をご紹介します。
2-1.赤ちゃんの体重を測るときの注意点
赤ちゃんの体重を測るときのポイントを見てみましょう。
- おしっこやうんちの後に測るのがおすすめです。
- 服を脱がせて裸にし、仰向けまたは座った姿勢で測りましょう。
- 計測前には、体重計が0の表示になっているかの確認が必要です。
- 赤ちゃんが動いている場合は、静止したタイミングで目盛りを読みます。
- 10g単位で測れる体重計で行うとなお良いでしょう。
上記のポイントに気を付けることで、赤ちゃんの体重を正確に測れます。
赤ちゃんの体重がしっかり増えているか気になって毎日測りたいという方もいらっしゃるでしょう。しかし、赤ちゃんの体重は、必ずしも毎日増えていなければならないというわけではありません。
日々の体重は、哺乳量や食事摂取量、排泄などのタイミングによっても前後するため、ある程度の期間が経過してどれだけ増えたのかを見ることが大切です。そのため、「赤ちゃんの体重増加が気になる」という方は、1〜2週間に1度程度を目安にして測定すると良いでしょう。
2-2.赤ちゃん用の体重計で測る場合
赤ちゃん用の体重計は、大人用と比べて目盛りが細かいため、体重をより正確に把握したい場合におすすめです。例えば、体重以外にも1回の授乳で飲めた母乳量を知るために使いたい場合は、赤ちゃん用の体重計が良いでしょう。赤ちゃん用の体重計の測り方は、以下のとおりです。
- 赤ちゃん用の体重計を平らな場所に置き、電源を入れます。
- 体重計の上にタオルを置き、タオルの重さが表示されたところで風袋ボタンを押します。
- 表示が0になったら、赤ちゃんをそっと乗せて目盛りを確認しましょう。
赤ちゃん用体重計の購入を迷っている方もいらっしゃると思います。そのようなときにはレンタルするのも一つの方法です。購入するよりも安く、使わなくなったときは返却できるからです。
他には、病院や子育て支援センターなどでも赤ちゃんの体重測定が可能です。
2-3.一般的な体重計で測る場合
次に、一般的な体重計で測る方法を見てみましょう。
- 赤ちゃんを抱っこして体重計に乗り、目盛りを確認します。
- 赤ちゃんを抱っこしない状態で体重を測ります。
- 1の体重から2の体重を引いて、赤ちゃんの体重を計算しましょう。
一般的な体重計は、赤ちゃん用の体重計と比べて目盛りが大きいため、実際の体重と多少前後することがあります。
3.赤ちゃんの体重を成長曲線やカウプ指数で見てみよう
赤ちゃんの体重は、市町村の定期健診の際にチェックしてもらえます。低月齢の赤ちゃんであれば、病院での1ヵ月健診や市町村による家庭訪問などの機会も。これらのタイミングでは、ただ体重を測るだけでなく、必要なアドバイスももらえるでしょう。
ご自宅で赤ちゃんの体重を比較したい場合には、成長曲線に当てはめたりカウプ指数を計算したりして比較する方法があります。ここでは、成長曲線とカウプ指数についてご説明します。
3-1.成長曲線
乳幼児の成長の様子を、体重と身長から知るためのグラフを成長曲線といいます。10年ごとに厚生労働省が実施している乳幼児身体発育調査の結果がもとになっているため、信頼性の高い指標です。
母子健康手帳にある乳幼児の身体発育曲線のページを見てみましょう。この曲線が成長曲線です。男の子用と女の子では月齢ごとの体重・身長が異なるため、成長曲線も男の子用と女の子用に分かれている点に注意しましょう。
成長曲線の横軸は月齢、縦軸は体重・身長、日本の乳幼児の94%が色分けされた範囲に入るとされています。このことから、実測値を点で記入したときにどちらも色分けされた範囲内にあれば、赤ちゃんの成長はそれほど心配ないといえるでしょう。
曲線の下限ギリギリだとしても、曲線に沿って増えていれば問題ありません。成長が横ばいになっていたり、曲線から大きく外れたりする場合は、成長のフォローが必要になることもあるため、定期健診で相談または、小児科を受診すると良いでしょう。
3-2.カウプ指数
カウプ指数は、乳幼児の肥満度を知ることができる指標です。カウプ指数の計算式は、「体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)」。生後3ヵ月〜1歳未満の標準体型は、カウプ指数16~18です。これ以上であれば太りぎみ、これ以下であればやせぎみと判断します。
体重9.0kg、身長73cmの場合を例に、カウプ指数を計算してみましょう。このときのカウプ指数は9.0÷0.73÷0.73で約16.9となるため、標準体型ということになります。
カウプ指数は、1歳以降にも使える指標です。ただし、標準体型の基準が15〜17になるため注意しましょう。カウプ指数を知りたいときは、自動計算ツールなどを活用するのもおすすめですよ。
4.赤ちゃんの1日当たりの体重増加を算出する計算方法は?
赤ちゃんの体重増加を1日当たりで計算する方法もあります。その前に、まずは期待される体重増加についてご説明しましょう。
4-1.期待される体重増加
1日当たりの体重増加の目安は、月齢ごとに異なります。
体重増加の目安 | |
生後0~3ヵ月 | 25~30g/日 |
生後3~6ヵ月 | 15~20g/日 |
生後6~12ヵ月 | 10~15g/日 |
体重増加は月齢が進むにつれて緩やかになるため、1日当たりの目安も少しずつ減ってきます。
参照元:国立保健医療科学院|乳幼児身体発育 評価マニュアル
4-2.1日当たりで体重計算する方法
1日当たりの体重増加を知りたい場合には、現在の体重と、その前に測ったときの体重が必要です。計算式は、「(最新の体重-前回測定した体重)÷(前回測定日からの日数)」です。
このときに注意したいのは、出生体重を用いないこと。生後数日間は、哺乳量と比べて汗や尿などにより出ていく水分量が多いため、体重が減る時期にあります。
退院後間もない時期に正確に測るためには、出生体重ではなく退院時体重を用いることが必要です。
低月齢の赤ちゃんは特に、母乳がしっかり出ているのか、赤ちゃんが母乳をうまく飲めているか心配される方も多いでしょう。そのような場合には、1週間ごとに体重を測って1日当たりの体重増加を計算してみるのがおすすめです。
実際に計算してみて1日当たりの体重増加が少ない場合には、母乳やミルクの量や回数、授乳時間が適切か考えたうえで、病院などと相談しながらミルクの補充なども検討してみましょう。
5.赤ちゃんの体重が増えないときに考えられること
赤ちゃんの体重が増えない理由は、栄養不足のほかにもいくつかあります。それぞれについて、詳しく見てみましょう。
5-1.栄養不足
赤ちゃんの体重が増えない理由の一つとして考えられるのが、栄養不足です。母乳で育てている場合は、ミルクで育てている場合と比べて体重増加が緩やかになる傾向があります。
低月齢の赤ちゃんの体重が増えない場合は、おっぱいを吸うことにまだ慣れていない、母乳量が安定していない可能性もあるでしょう。
母乳・ミルク不足が疑われるサイン
体重増加がいまいちな場合は、母乳・ミルク不足のサインがあるかどうかをチェックすることが大切。母乳・ミルク不足のサインは、以下のとおりです。
- 飲んだばかりなのにすぐ泣いてしまい機嫌が悪い。
- おっぱいや哺乳瓶を長い時間吸っており離すと泣く。
- 授乳間隔が1時間程度になってしまう。
- 尿が1日5回以下しか出ない。
- 便が2〜3日に1回程度と便秘気味である。
これらのサインと体重から総合的に判断したときに栄養不足が疑われる場合は、何らかの対策が必要になります。最終的には、病院などで総合的に判断してもらいアドバイスを受けることが大切です。
哺乳量を測ってみる方法も
母乳は、ミルクと比べて目に見えないため、飲めているのか飲めていないのかが分かりにくいと悩んでしまう方もいるでしょう。哺乳量を1度しっかりと知りたいという方におすすめなのが、赤ちゃんの体重から哺乳量を測る方法です。
哺乳量は、「飲んだあとの体重-飲む前の体重」で簡単に計算できます。目盛りの細かい赤ちゃん用の体重計を用いて、服を着せたまま授乳前後の体重を測ってみましょう。途中でオムツ交換をしてしまうと尿量の分が減ってしまうため、オムツは事前に交換しておき、飲んだあとの測定時までは交換しないようにします。
以下に生後半年までの赤ちゃんの哺乳量を表でまとめました。
哺乳量 | |
~生後半月 | 40~80g |
生後1~2ヵ月 | 80~120g |
生後2~3ヵ月 | 100~140g |
生後3~4ヵ月 | 120g~ |
生後5ヵ月 | 120~180g以上 |
生後6ヵ月 | 240g程度 |
哺乳量はもともとの体重や授乳間隔などにもよるため、あくまでも目安です。なお、離乳食が進んでからは、哺乳量だけを見るのではなく離乳食との兼ね合いも考慮する必要があります。
母乳・ミルク不足が疑われるときの対処法
母乳やミルクを飲み始めてすぐに眠ってしまっているという場合には、刺激をして起こして飲ませるのも良いでしょう。そうでない場合には、無理をせず適宜ミルクを使う、ミルクの量を増やすなどの対応が必要になることがあります。
判断に迷うときや不安なとき、栄養を増やしても体重がなかなか増加しないときは、病院や自治体の保健師に相談が必要です。
5-2.カロリー消費が多い
赤ちゃんの体重が増加しない理由は、栄養不足だけではありません。カロリー消費が多い場合にも、体重が増えにくくなります。カロリー消費が多くなるのは、運動量の多い赤ちゃん。
母乳やミルクをしっかり飲んでいて尿と便もしっかり出ており、さらに元気であれば、問題ないことが多いでしょう。
5-3.病気が隠れている場合も
なかには、病気により体重が増えない場合もあります。しっかり飲んでいるのになかなか体重が増えない場合には、以下の異常がないかもチェックしてみましょう。
- 機嫌は悪くないか。
- 泣き方に変化はないか。
- 呼吸や体温は正常か。
- 嘔吐していないか。
- 下痢はしていないか。
赤ちゃんの呼吸数の正常値は30〜60回、体温は36℃後半〜37℃前半です。呼吸については、呼吸数の他に、胸がへこむような呼吸をしていないか、唇の色が悪くなっていないかなども確認しましょう。
赤ちゃんはもともと嘔吐しやすい胃腸の構造になっているため、授乳後に母乳やミルクを戻してしまうことは珍しくありません。
しかし、噴水のように何度もくり返し吐いてしまう場合は、何らかの原因によって母乳やミルクがうまく流れていかないなどの可能性もあります。嘔吐をくり返すことで脱水状態となってしまうため、早めに小児科を受診しましょう。
6.赤ちゃんの体重が増えすぎたときに考えられること
赤ちゃんの体重が増えすぎているときは、母乳やミルクを飲みすぎていることがほとんどです。
6-1.母乳やミルクを多く飲んでいる
母乳やミルクの哺乳量が多いと、体重は大きく増加します。低月齢の赤ちゃんは特に、まだ運動がそれほどできないことも原因の一つであると考えられています。成長するにつれて、ズリバイ、ハイハイ、歩くなど活動量が増えてくれば、体重増加も緩やかになっていくでしょう。
体重が増えすぎている場合の対処法は、母乳の場合とミルクの場合で異なります。一般的に母乳は、赤ちゃんが欲しがるだけ与えて良いといわれています。ミルクの場合には、病院などで相談してアドバイスを受けるのがおすすめです。
6-2.病気との関連は?
体重が増えすぎている場合は、それほど病気について心配する必要はないでしょう。また、赤ちゃんのときに体重が重くても、将来肥満になるとはいえません。ただし、大きくなっても肥満が続いている場合は、生活習慣病につながる可能性があると考えられているので、栄養を食事から摂るようになったら気を付けてあげましょう。
おわりに
「他の子と比べて小さいのでは?」「うちの子太りすぎでは?」と、赤ちゃんの体重がどうしても気になるという方も多いでしょう。赤ちゃんの体重を知りたいときは、1〜2週間に1回程度、ご自宅で測って比較してみるのもおすすめです。そのなかで、心配なことがある場合には、かかりつけの小児科や市町村の子育て支援課などに早めに相談してみてください。