家を現金化する方法には、いくつか種類があります。中には家を売った後でも自宅に住み続けられるリースバックなどがあります。この記事では、家を現金化する方法について、解説します。
家を現金化する4つの方法
家を現金化する主な方法として、以下の4つがあります。
- 不動産会社に直接売る
- 不動産会社を介して一般消費者に売る
- 不動産担保ローンを利用する
- リースバックを利用する
まずは、それぞれの方法について、内容、メリット・デメリットを把握しておきましょう。
不動産会社に直接売る
「家を買い取ってください」といって、不動産会社に直接買い取ってもらう方法です。不動産会社が買主となります。第三者は介在しません。最もシンプルな方法です。
不動産会社に直接買い取ってもらうため、一番簡単な方法ともいえます。広告を出したり不動産会社に仲介を依頼したりするわけでもありませんので、それらにかかる費用は必要ありません。
その反面、売却価格が相場より低くなる可能性があります。契約内容が不動産会社に有利なものである可能性もあります。
不動産会社を介して一般消費者に売る
「家を売ってください」といって、不動産会社に売却の依頼をする方法です。不動産会社は仲介業者として、買主を探します。通常、広告を出して、買主を募集することになります。
広く買主を募集するため、高く売れる可能性があります。仲介者として不動産会社が間に入るため、公平な取引も期待できます。ただし、現金化までに時間がかかります。買主がすぐに現れるとは限らないからです。仲介手数料が発生することも考慮しなければなりません。
不動産担保ローンを利用する
不動産担保ローンは、不動産を担保に金融機関からお金を借りる方法です。不動産を担保にするので不動産担保ローンといいます。借りたお金は、利息を付けて金融機関に返済していきます。
お金を借りるだけなので、家を手放さずに資金調達ができます。不動産を担保にしているため、無担保ローンに比べ融資額は大きく、金利は低く提供されているケースが多いです。
金融機関は、物件を査定したうえで個人の返済能力に基づき、融資額を決定します。売却に比べ、融資金額が低くなることが多いです。また、返済が滞れば、家を手放さなければならないというリスクもあります。
不動産担保ローンのひとつに「リバースモーゲージ」があります。リバースモーゲージの特徴は返済方法にあります。
一般的にリバースモーゲージは、最終的に家を売却し、得た資金をもとに元本返済を行う商品設計になっているため、返済期間中は利息のみを支払えば良く、家計に与える影響は小さいといえます。
リースバックを利用する
リースバックは、不動産をリースバック会社へ売却する方法です。この点は不動産会社が買い取るときと同じです。異なる点は、その不動産についてリースバック会社と賃貸借(リース)契約を結び、引き続きその不動産を利用できる点です。
リースバック会社に家を買い取ってもらうので、不動産仲介のように買い手を見つける手間がかかりません。広告費や仲介手数料も必要ありません。賃貸借契約を結ぶため、家を買い取ってもらった後も引き続き家に住み続けることができます。不動産会社に家を買い取ってもらう場合と同様、その金額は市場価格よりも低くなる可能性があります。
「家を現金化する4つの方法」メリットとデメリット比較まとめ表
家を現金化する4つの方法のメリット・デメリットを簡単にまとめると、下表のとおりです。
メリット | デメリット | |
不動産会社に直接売る | ・手間がかからない ・広告費 ・仲介手数料が不要 | ・売却価格が相場より低くなる可能性がある ・不動産会社が有利 |
不動産会社を介して売る | ・高く売れる可能性がある ・公平な取引が期待できる | ・現金化まで時間がかかる ・仲介手数料が必要 |
不動産担保ローン | ・家を手放さなくて良い ・無担保ローンに比べ、融資額は大きく、金利は低い | ・融資額は金融機関による ・売却に比べ、調達金額は低くなりがち ・返済が滞ると、家を手放さなければならない |
リースバック | ・手間がかからない ・広告費・仲介手数料が不要 ・売却後も不動産を利用できる | ・売却価格が相場より低くなる可能性がある ・家賃が発生する |
マンションか戸建てかで資産価値の評価ポイントに違いはある?
マンションか戸建てかで、資産価値の評価ポイントに違いがあります。ポイントをまとめると、下表のとおりです。
マンション | 戸建て |
・立地 ・築年数 ・構造 ・耐震性 ・間取り ・管理状況 | ・立地 ・構造 ・耐震性 ・間取り ・接道状況 ・再建築の可否 |
共通する点は、立地、築年数、構造・耐震性、間取りです。その他、マンションでは管理状況が加味され、戸建てでは、接道状況や再建築の可否が加味されるポイントです。
管理状況とは、マンションの修繕履歴に加え、長期修繕計画の有無や修繕積立金の残高も含みます。マンションは建て替えが容易ではないため、どのように維持管理をしていくかという点が評価ポイントとなります。
一方、戸建ての場合、建て替えを視野に入れます。建物を建てる場合には、建築基準法など法令上の制限をクリアする必要があります。場所によっては新たに建物を建てられないこともありますので、建て替えができるかどうかは評価ポイントとなります。
家を現金化した後でも住み続けられるリースバック・不動産担保ローン(リバースモーゲージ)
家を売却して現金化したら、通常、その家に住み続けることはできません。しかし、リースバックを利用した場合や、家を担保にお金を借りる不動産担保ローン(リバースモーゲージ)を利用した場合は、家に住み続けることができます。
リースバックとは
先述のとおり、リースバックは不動産を売却後、その不動産について賃貸借(リース)契約をし、引き続き利用できるというサービスです。リースバックを単独で見たときのメリット・デメリットは、以下のとおりです。
メリット | デメリット |
・売却しても、そのまま住み続けることが可能(引っ越し費用などは不要) ・代金の使い道は自由 ・固定資産税などの維持費が不要 ・再度購入可能 ・住宅ローンが残っていても利用可能 | ・自宅の名義が変わる ・家賃が発生する |
また、リースバックは、賃貸借契約を締結した後、そのリースバック会社独自のサービスを受けられるという特長もあります。
例えば、リースバックの代表的なものに「セゾンのリースバック」があります。このリースバックでは、「ご契約者様限定サービス」として、「セゾンのリースバックプレミアムサービス」「選べる5つの特典」「ご紹介サービス」があります。
不動産担保ローン(リバースモーゲージ)とは
先述のとおり、不動産担保ローン(リバースモーゲージ)は、不動産を担保にお金を借りるサービスです。不動産担保ローン(リバースモーゲージ)を単独で見たときのメリット・デメリットは、以下のとおりです。
メリット | デメリット |
・無担保に比べ低金利 ・無担保に比べ融資金額が大きい ・返済期間が長い | ・諸費用がかかる ・融資までに日数がかかる ・返済できない場合は不動産を失う ・抵当権が設定されていると利用できない |
ただし、一般的な不動産担保ローンとリバースモーゲージとでは、返済方法が異なります。
一般的な不動産担保ローンは、元本と利息を毎月返済します。最終的には完済し、不動産に設定された抵当権を消滅させます。
一方、一般的な、リバースモーゲージは、利息のみを毎月返済します。元本は、契約者が亡くなられた後または契約期間が終了した後、不動産を売却するか、相続人による一括返済などにより一括返済が必要です。
リースバックが向いている方、不動産担保ローン(リバースモーゲージ)が向いている方
リースバックが向いている方、不動産担保ローン(リバースモーゲージ)が向いている方はどんな方でしょうか。それぞれの商品の性質から、向いている方や目的を解説します。
リースバックが向いている方
リースバックは、以下のような方におすすめです。
・家に住み続けたい
・ローンを完済したい
・老後資金を確保したい
・相続資産の整理をしたい
リースバックでは、売却で得た資金の使い道に制限がありません。住宅ローンが残っていても利用できるため、住所ローンを完済する目的で利用することもできます。老後資金として利用しても構いません。
家を売却するため、相続資産の整理としても利用することができます。ちなみに、再度家を購入することもできます。
不動産担保ローンが向いている方
不動産担保ローンは、以下のような方におすすめです。
- 不動産を所有し続けたい
- 事業資金を確保したい
- 相続税の納税資金を確保したい
不動産担保ローンは、不動産を担保に融資を受けるため、返済に問題が無ければ、所有権に変更はありません。不動産を担保にしているため、融資金額が大きく、返済期間を長く設定することができます。所有権を引き続き保有し、まとまった資金が必要な場合は、不動産担保ローンを利用すると良いでしょう。
リバースモーゲージが向いている方
リバースモーゲージは、以下のような方におすすめです。
- 家に住み続けたい
- 老後資金を確保したい
- 相続資産の整理をしたい
リバースモーゲージは、基本的な仕組みは不動産担保ローンと同じです。所有権を変更することなく、まとまった資金を調達することができます。
リバースモーゲージが不動産担保ローンと異なるのは、毎月の返済が利息のみで済むことです。このため、家計への負担が少なくて済みます。このことから、老後資金を調達したい方にはおすすめです。
契約者が亡くなられた後、融資の元本は、不動産を売却することによって返済するか、もしくは相続人が一括返済するかどちらかとなります。売却を選んで相続資産の整理に利用することも可能です。
おわりに
本記事では、家を現金化する4つの方法について解説しました。利用目的や今後の人生設計、資金計画によって、どの方法が良いかはその方により異なります。
どの方法を選択するのがご自身にとって最も良いかは、本記事を参考にしてみてください。
選択する方法によって、現金化までにかかる時間は異なります。いずれにしても、現地調査、市場調査、訪問調査、査定(値付け)、審査など複数の工程があります。
ある程度時間がかかることは、考慮する必要があります。いつまでに現金が必要かのスケジュールを立てておき、必要に応じて、相手方にそのスケジュールを伝えるのが良いでしょう。