初詣というとおみくじを思い浮かべる人は多いでしょう。運試しに引く人もいれば、新年を占うために引く人も多いでしょう。ただ、大吉や大凶の良し悪しは分かるとしても、それ以外の運勢がどのくらい良いのか知る人は少ないかもしれません。また、おみくじの『本文』が何かを知っている人はほとんどいないでしょう。知っているようで知らないおみくじを大解説します!
1. おみくじの由来
おみくじのルーツは中国にあり、日本が南北朝時代~室町時代のころ『天竺霊籤(てんじくれいせん)』という籤(くじ)が伝えられたことに始まります。籤は易占いが簡略化したもので、字が読めなくても理解できるよう絵が描かれていて、分かりやすさが重視されていたといいます。
『天竺霊籤』は江戸時代に有名なお坊さんになぞらえた『元三大師御籤(がんざんだいしみくじ)』として大流行します。また、それを真似てさまざまな寺院が独自にくじを作り、全国的におみくじの文化が広がりました。
戦後はお寺よりも神社が中心となって和歌を入れた和風おみくじを作り、より分かりやすく馴染みやすい内容になり、現在に伝えられています。
そんなおみくじで一番気になるのは「どんな運勢を引き当てたか?」でしょう。運勢が良い順から詳しく見ていきます。
1-1.大吉
最も良い運勢です。初詣に引いたなら、その年は勢いがあり何事も好展開に恵まれるでしょう。また、好調であるがゆえに、調子に乗れば思わぬつまずきがあるかもしれません。運気の良さは味方に付けても、謙虚さと慎重さを忘れないことが大切です。
1-2.吉
二番目に良い運勢です。大吉に比べると幸運の波は大きくありませんが、アップダウンが少なく穏やかに過ごせるでしょう。平和的で安定した状態が期待できます。
1-3.中吉
吉の半分(中ほど)をあらわす運勢です。本人の努力が報われやすく、頑張れば頑張るほど幸せを掴めるでしょう。棚ボタ的なラッキーを待つより、自ら行動することを大切に。
1-4.小吉
中吉よりは劣るものの末吉よりは良い運勢です。小さな幸せがいくつも散りばめられるので、些細な喜びや楽しみに気付けるかどうかが重要です。努力や工夫を怠ると停滞感が漂いやすくなるので気を付けて。
1-5.末吉
風のない海が静かに凪ぐような運勢です。淡々としているので、本人の頑張りで物事が左右するでしょう。現状は特にプラスもなくマイナスもないゼロ地点です。自らを鼓舞させることを大切に。
1-6.凶
不運に見舞われやすい運勢です。ただ、トラブルは注意によって回避できるので何事も慎重に。それまでとは違う考え方・行動を心掛けるといいでしょう。
1-7.大凶
不運に遭いやすい運勢です。新しい挑戦や大きな決断には向いていないので、普段より控えめに過ごすといいでしょう。ただ、今が底辺と考えるとさらに落ちることはなく、「やるしかない」と奮起できる時期でもあります。
2. おみくじに書かれている内容を大解説
おみくじには和歌や漢詩の紹介がありますが、昔ながらの言葉遣いで分かりづらく読み飛ばす人も多いかもしれません。でも、実はこの和歌や漢詩こそおみくじの本文なのです。
この世で最初に歌を詠んだのは神様であり、スサノオノミコトが「八雲立つ出雲八重垣妻籠みに八重垣つくるその八重垣を」と詠んだのが歌の起源といわれます。神様は詩歌によってお告げをするため、おみくじに書かれた歌は大吉や凶といった運勢の説明です。
和歌や漢詩はできるだけ読んだ方がいいですし、意味を理解することで何がどう良いのか、あるいは気を付けるべきポイントが分かります。そして、おみくじには詩歌による説明のほか、ジャンル別に運勢を伝えています。どんな内容があるのか詳しく見ていきましょう。
2-1.願望
願いが叶うかどうかを見ます。具体的な願望がある人はもっとも気になる項目になるでしょう。特に願うことがない場合は、「これから自分は何を求めたらいいだろう?」と考えるきっかけになるはずです。
2-2.待ち人
「待ち人」というと運命の人と捉えるかもしれませんが、待ち人とは「キーパーソン・人生を良い方向に導いてくれる人」を指します。あるいは、生き方を好転するきっかけになる出来事・物をあらわすこともあります。
2-3.失せ物
なくした物・落し物が見つかるかをあらわします。また、物に限らず自分が求めている状態・人にめぐり会えるかどうかも見ることができます。
2-4.縁談
結婚相手や婚姻につながる出会いが分かります。ご自身が既婚で子どもが適齢期を迎えている場合、「娘の縁談は?」「息子は結婚できるの?」という不安に対する答えが見つかるでしょう。
2-5.恋愛
学生さんや独身世代は気になるでしょうが、実は40代以上も「気になる」という人が多い項目です。パートナーとの夫婦関係と解釈すると良さそうです。
2-6.商売・事業
家業を持っていたり、個人事業主として仕事をしていたりすると見逃せない項目でしょう。会社や役所など組織に属する人も今後の仕事運として活用できます。
2-7.争事
人間関係の揉め事、トラブルがどうなるのかを見ます。自分は有利か、あるいは不利なのか、どうすれば問題が解決するのかが分かるでしょう。
2-8.相場
株や投資に関する金運をあらわします。大胆になったほうがいいのか、慎重でいた方がいいのか。売買はどちらが好調かを暗示します。
2-9.病気・病
健康運です。元気でいるための心掛けや、病気になりやすいかどうか、すでに調子が悪い場合は治癒までどれくらいかかるかも分かります。
2-10. 転居
引越しや移住など建物に関する運をあらわします。マイホーム購入・リフォーム・子ども家族との同居が気になるときは要チェックでしょう。
2-11.旅行
旅行運です。出発のタイミング、旅行先で気を付けたいこと、遠出した場合にどんな幸運をつかめるかが分かります。
2-12.学問・学業
試験・勉強についてあらわします。仕事で生かせる資格やスキルアップについて見るほか、子どもの受験、学校での成績として見ることもできます。
3. おみくじの“有効期限”は?
初詣に引いたおみくじなら「元日からの一年間」が有効期限です。短文で書かれた運勢を一年間に当てはめるのは難しいかもしれませんが、心掛けとしてつねに気に掛けておくと幸運をつかみやすくなり不運が回避できるでしょう。また、実現したい願いがある場合は、「願い事が叶うまで」がおみくじの有効期限になります。
有効期限がすぎたおみくじは神社に返納するか、塩で清めてから処分します。神社には古いお札などを収める古札収所が必ずあるので、感謝とともにお返しするのがマナーです。
4. 引いたおみくじ、結ぶor結ばない
大前提としておみくじは参拝後に引くものであり、神社を訪れたらまずは神様にご挨拶しましょう。参拝前におみくじを引くのはマナー違反です。そして、引いたおみくじをどうするかについては、実は決まったルールがありません。境内に結ぶための場所をわざわざ設ける神社もあります。
ただ、おみくじには新年をより良く過ごすためのお告げが書かれているので、持ち帰って必要なときに読み返すのがベストといえます。
4-1.凶や大凶が出たらどうすればいい?
凶も大凶も運勢としては良くありませんし、「このままいけば不運に見舞われる」という暗示になります。ただ、あくまで「このままいけば」なので、不運の訪れが予想できるなら回避することもできるでしょう。おみくじを詳しく読み解くことで何を用心すればいいのか、注意事項は何かを把握できるはずです。
5. おみくじで新年を良い一年に!
おみくじを単なる運試しと思うか、新年をより良くするための指針にするかで、その後の過ごし方は変わるでしょう。おみくじの本文となる詩歌を理解し、これから一年がどんな運気に包まれるか知ることで行動が違ってきます。
たかがおみくじ、されどおみくじ。
大切なのは信じるかどうかではなく、幸せになるために活用できるものは全部使うという考え方です。あまり良くない運勢を引き当てたときは、おみくじを読み込んで徹底的に不運を避けるといいでしょう。また、大吉を引いたなら、何に集中して取り組めば充実した一年になるかが分かるはずです。おみくじの結果が良くても悪くても、どう活用するかで新年の幸福度は変わるのです。