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一般健康診断とは?内容と検査項目及び当日の流れも具体的に解説!

セゾンのくらし大研究 編集部

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一般健康診断とは、定期健診・一般健診とも呼ばれ、自身の健康維持と病変の早期発見を目的に行われる健康診断です。

診察項目は10~15項目ほどあり、なかには「毎年受けているけど、この項目なんだろう?」「人間ドックとどう違うんだろう?」と疑問に思っている方もいるかもしれません。

たしかに、検査項目のなかにはアルファベットの羅列だらけのものなど、何だか分かりづらいものも多数あります。

そこでこのコラムでは、一般健康診断の検査項目について、検査内容とそこで診ている疾患について解説します。特に診察項目で悪い判定が出たものがある方は、よくチェックしてください。

一般健康診断とは?

一般健康診断とは、国が事業者に対し、労働者へ年に一度の定期健康診断への受診を義務付けている健康診断です。(労働安全衛生法健康状態の維持と、早期の病変の発見を目的に行われ、検査項目には、身体計測、血液検査、胸部X線、心電図などがあります。

雇入れ時にも、年に一回の健康診断の受診(もしくは健康診断結果の提出)が必要です。追加費用を払えば、婦人科検診、腹部エコーなどのオプションも受けられます。

一般健康診断と人間ドックの違い

自身の健康を検査するには、健康診断の他に人間ドックもあります。その違いは、簡単に説明すると、健康診断は定期的に基本の項目を受診するもので、人間ドックは任意で更に詳しく調べる検査です費用・時間を比較すると次の通りです。

 受診頻度検査項目費用時間
一般健康診断年に一度/必須10~15項目無料 or 低額1時間程度  
人間ドック任意50~100項目高額(30,000~200,000円)1~2日

人間ドックの特徴は、とにかく受診できる検査項目が多く、自覚症状のない病気だけではなく、「将来的に発症する恐れがある疾患」の早期発見にも役立ちます。

人間ドックならではの検査項目には、MRI(頭部)・CT(胸部・腹部など)、超音波(甲状腺・前立腺など)があります

費用は高額ですが、かなり詳しく調べられるため、例えば40歳以上など健康に不安が出てきたタイミングで受診してみると、思わぬ病変に気付けるかもしれません。

また、一般健康診断は、企業勤めの場合、年に一回定期健康診断への受診が必要とされていますが、個人事業主の方も、任意で市区町村や各病院で健康診断を受けることが出来ます。

年に一回定期的に検査することで、自身の健康状態の変化に気づけるため、欠かさず受けるようにしましょう。

一般健康診断の内容と検査項目

労働安全衛生法第43条では、企業の労働者が受けるべき検査項目を定めています。以下より、それぞれの検査項目内容と、どのような疾患を見ているのか、詳しく見ていきましょう。

診察

医師と面談し、聴診・問診を行います。

身体測定

身長・体重を測定、BMIも算出します。腹囲は35歳と40歳以上は必須検査になります。

眼科検査

左右それぞれの視力を測定します。眼鏡・コンタクトの方は、着用した状態で検査します。

聴力検査

左右それぞれの聴力を測定します。

尿検査

尿蛋白・尿糖を測定し、腎機能障害や糖尿病のリスクを検査しています。

尿蛋白腎臓がたんぱく質を吸収出来ているか検査。検出の場合、腎機能障害、尿路の感染症、結石などが考えられる。
尿糖尿にブドウ糖が出ていないか検査。検出の場合、腎性尿糖か糖尿病が考えられる。

血液検査(肝機能検査)

血液検査のなかでも、主に肝機能に影響がないかを調べている項目です。必須で測定される以下3つの項目は、それぞれ主に肝臓で働く酵素であり、この酵素が臓器の破壊・炎症などで血液中に流れ出ていないかを検査します。

GOT肝臓や骨格筋、心筋などに存在する酵素。数値が高い場合、心筋梗塞や、肝臓・筋肉・赤血球の病変が考えられる。
GPT肝細胞の酵素。数値が高い場合、肝機能障害(脂肪肝・肝硬変・アルコール性肝障害)が考えられる。
γ‐GTP肝臓の解毒作用が正常に機能しているか検査。数値が高い場合、肝障害やアルコール性肝障害が考えられる。

血液検査(脂質検査)

血液中のコレステロールと中性脂肪を計測している項目です。過食、運動不足などにより増える数値で、これらが高いことで動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞などのさまざまな病変を察知することができます。

コレステロール値が高くなる原因としては脂肪の多い肉や脂っこいものの食べ過ぎ、一方中性脂肪は甘いお菓子の食べ過ぎ、お酒の飲み過ぎなどです。

HDLコレステロール善玉コレステロールとも呼ばれ、動脈に付着している余計なコレステロールを回収する役割がある。数値が低いと、動脈硬化などを起こしやすくなる。
LDLコレステロール悪玉コレステロールと呼ばれ、多いと動脈をふさぎ、動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞などを起こしやすくなる。
総コレステロール血液中に含まれるすべてのコレステロールを測定した総量。
中性脂肪食事で摂取され、皮下脂肪や内臓脂肪としてストックされている脂肪量を測定します。数値が高い場合、動脈硬化、肥満症になる危険性がある。

血液検査(糖尿病検査)

空腹時の血糖値(グルコース)を計測しています。グルコースとは、ブドウ糖のことで、炭水化物や脂肪質な肉類に多く含まれており、脳を動かすエネルギーになります。

しかし摂取しすぎると、血糖値を下げるインスリンの分泌が鈍ってしまい、糖尿病のリスクが高まります。

糖尿病かどうかは、尿検査の尿糖とこの血液検査の血糖値両方のデータを見ることで診断できます。両方異常値の場合は、糖尿病の可能性があり、一方、尿糖だけが高い場合は、腎臓の損傷により、糖が流れ出ている可能性が考えられます。

血液検査(一般血液検査)

白血球・赤血球の数値を測定しています。これらに異常があると、白血病、貧血、多血症などの血液に関する病気である可能性があります。

白血球からだの免疫機能の役割があり、細菌やウイルスが侵入したり、骨髄に異常が起きたりすると、数値が上がる。数値が異常に高いと、白血病の可能性がある。
赤血球酸素を全身に運ぶ役割をしており、これが多いと多血症、少ないと貧血の可能性がある。
ヘモグロビン赤血球のなかに含まれており、赤血球のなかでもっとも酸素運搬機能を示す数値。赤血球が正常値でもヘモグロビンが低いと貧血になりやすい。
ヘマトクリット値血液中の赤血球の容積のことで、少ないと貧血の可能性がある。

循環器系検査

血圧・心電図での検査です。血圧は上が140mmHg、下が90mmHg以上で高血圧と診断されます。高血圧になると、心筋梗塞・脳卒中などのリスクが高まります。

心電図では、電極を体に張り付け(胸に6ヵ所、両手首・両足首に各1ヵ所)、心拍の波形を検査します。心拍の波形に異常が見つかると、不整脈・心房細動と診断されたり、将来心筋梗塞や心不全、心筋症といった重大な病気を起こす可能性があります。

呼吸器系検査

胸部X線(レントゲン)により、肺や気管支などの呼吸器を主に確認します。これにより、肺がんや肺炎、肺結核が見つけられる可能性があります。

一般健康診断にかかる時間と当日の流れ

健康診断の所要時間は、受診項目数にもよりますが、30分〜1時間ほどで終了します。当日の健康診断の流れは、以下のとおりです。

受付

健診予約時間になったら、健診センターに訪問。受付で、受診票、持参した尿検査を提出します。

更衣・手荷物をロッカーへしまう

受付でロッカーの案内をされるので、手荷物をしまいましょう。健診着に着替える必要がある方、健診着が準備されている健診センターの場合は、ここで着替えをします。

診察で邪魔になるため、時計・アクセサリー類は外してロッカーにしまうといいでしょう。

検査

血液検査、レントゲン、心電図、身体計測等の項目を呼ばれた順に受けます。検査の順番は、健診先によって様々です。

診察

健診の最後に、医師から内科診察を受けて健診終了になります。当日の持ち物を忘れずに準備し、注意事項をよく読んでから当日健診に向かうようにしましょう。

特定業務従事者の健康診断に関して

一般健康診断のなかには、年に一回行われる定期健康診断(安衛則第44条)の他に、以下のような特定業務従事者に対する健康診断の規定があります。

  • 特定業務従事者の健康診断(安衛則第45条) 6月以内ごとに1回
  • 海外派遣労働者の健康診断(安衛則第45条の2) 海外派遣前と帰国後

どのような規定なのか、以下から詳しく説明します。

特定業務従事者の健康診断(労働安全衛生規則 第45条)

次のような特定業務につく労働者は、配置替えの際および6ヵ月以内ごとに1回、定期健康診断と同じ項目を受診する必要があります。

  • 深夜業
  • 放射線、X線、病原体、有害物質による汚染のリスクが高い業務
  • 著しく暑熱、寒冷など異常環境下での業務 など

海外派遣労働者の健康診断(労働安全衛生規則 第45条の2)

海外に6ヵ月以上派遣される労働者は、その赴任前および赴任後に健康診断の受診が義務づけられています。

上記特定業務に就く方は、発病のリスクが通常よりも高いため、頻度を増やすなどの別途規定が設けられています。

健康診断前日の過ごし方に関して

検査項目で正しい数値を計測するためには、前日の過ごし方が非常に重要です。健康診断は、体の内部の状態を数値化して以上を検査するもののため、例えば前日に暴飲暴食をすれば、それが数値として現れてしまいます。

健康診断前に主に注意すべきポイントには、次のようなものがあります。

  • 午前中の診察の場合は、前日21時までに消化に良い食事をとる
  • 前日・当日は、禁煙・禁酒
  • 前日は、早めに就寝する(疲労をためない)

具体的にどういった点に注意すればよいのか、以下から詳しく説明します。

健康診断の食事の注意点

特に注意すべきなのが、前日・当日の「食事」です。食事のルールを守らないと、最悪の場合、受信できない項目が出てきますので、注意してください。

健康診断前は、血液検査で異常値が出ないようにするため、食事をとっていい時間の制限があります。

午前中に検診がある方前日21時まで(朝食は抜く)
午後に検診がある方当日朝8時まで

また、食事内容も脂っこいもの、糖分が多いものを避け、消化に良いものを食べるようにしましょう。アルコールも前日・当日はNGです。

健康診断前にとってよい、おすすめのメニューには以下のようなものがあります。

健康診断前のおすすめ食事メニュー食パン(ジャム・バター無し)素うどん野菜スープ(野菜は小さく刻む)鶏ささみサラダ(ノンオイルドレッシングなら可)豆腐焼き魚(白身)バナナ・リンゴ など

胃カメラ・バリウム(胃透視)の受診がある方は、消化に悪いものは食べ無いよう特に注意してください。万が一消化に悪いものを食べてしまい、胃に内容物が残っていると後日検査になる可能性があります。乳製品は、胃の粘膜に残りやすく、検査を阻害する可能性があるためNGです。

健康診断の前日の過ごし方をさらに詳しく知りたい方はこちらを参考にしてみてください。

健康診断の際の服装

健康診断では、脱衣が必要な受診項目がありますが、服装によってその着脱の手間を最低限に抑えることができます。

着用すると不便な服装には以下のようなものがあります。

レントゲン✕ ブラジャー(ワイヤー・アジャスター)
✕ ワイシャツ(ボタン)
✕ その他、刺繍・付属・プリント付の服
✕ ブラトップ(着用可の場合もある)
心電図✕ パンティストッキング
△ スキニーパンツ
△ 袖がまくりづらいもの
聴診△ ワンピース
△ ブラトップ
△ タートルネック

上記で✕のものは、診察で脱ぐ必要があります。△のものは、診察で不便なので避けた方が良いです。当日は、上は大き目のTシャツ、下はゆったり目のパンツもしくはスカートに靴下、が診察がスムーズに進みやすいおすすめの服装です。

健康診断の服装をさらに詳しく知りたい方はこちらを参考にしてみてください。

健康診断前のその他の注意点

健康診断では、他にも、服薬・タバコ・睡眠に注意点があります。

服薬は、高血圧・心臓疾患・精神安定剤など、健康維持に欠かせない薬は、検診先に申告したうえで摂取して問題ありません。しかし、薬はなるべくとらない方が良いので、サプリメント・花粉症薬などは前日・当日は控えた方が良いでしょう。

また、血圧が上がってしまうためタバコは吸わないこと、また疲労がたまって血液検査・尿検査に影響が出ないよう夜はしっかり睡眠をとることも大切です。

睡眠だけではなく、ジョギングやトレーニングなどで激しい運動をしないようにも注意してください。

おわりに

一般健康診断は、労働者の健康維持のため、国が事業者に対して、年に一回の受診を義務付けているもので、基本的に無料もしくは低額で受診できます。受診の必須項目には、身体計測や血液検査、尿検査などがあり、大体30分~1時間ほどで終わります。

これらを定期的に受診することで、自身の健康状態を把握すると共に、成人病などの病変を早期に発見するのに役立つでしょう。前日準備も万全に行うことで、より正確な数値を測定し、今後の健康維持に役立ててください。

最近では、脳の異常を早期発見できる検査も進んでいます。脳の病気(脳血管疾患)は、日本人の死因として多い危険な病気といわれています。罹患し死に至らないケースでも、その後、介護が必要になるケースが多いです。自覚症状がない場合でも、定期的な脳のチェックで早期発見し対策することの重要性が増しています

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