過ごしやすい春秋、明るい光に満ちた夏。キャンプには、その時期ならではの楽しみ方がありますね。実は、キャンプ中級〜上級者が好むのは、案外冬キャンプだったりします。
その理由は…女性を悩ますイヤ〜な虫がほとんどいません。お肌の大敵、紫外線が少なめで、気温が低いから汗だくにもならず、メイク崩れもさほど気にしなくて大丈夫。そして、空気が澄んでいるから、美しい夕焼けや星空が見られます。さらに、キャンプ場が比較的空いていて、予約が取りやすいことも挙げられます。
1.冬の女性ソロキャンプに必要な装備は
こんないいこと尽くめの冬の女性ソロキャンプ、防寒対策をしっかりしておけば、初心者女性ソロキャンパーでも充分楽しむことができます。今回はその具体的なテクニックと魅力をいくつかご紹介します。
2.頭から足先まで、とにかく暖かい服装を!
キャンプ中は屋外で過ごすことが多いですから、身体を冷やさないよう、ダウンジャケットなどのしっかりしたアウターを着ましょう。毛糸やボア素材の帽子、しっかりした手袋も忘れずに。シニア女性の大敵、お腹や腰の冷えをガードする巻きスカートなどを用意すると、気温によって容易に着脱ができて便利です。
火の粉に強い難燃加工のブランケットなら、焚き火の前で使用できます。チェアに敷いたり、テント内で寒さを感じたときなど、シュラフの上からかけることもできます。
キャンプシューズもできるだけ暖かいものを。中綿入りで防水仕様のブーツがおすすめです。
3.まさかの悪天候時にはコテージが安心
冬キャンプ成功の秘訣は、場所選びが大きく関わります。ビギナー女性は、天候が悪化したときなどに逃げ込めるコテージやバンガロー併設のキャンプ場を予約するといいでしょう。標高が高いところは低気温や降雪の心配があり、海岸のすぐ近くは強風の影響を受けます。なるべく平地に近いロケーションのキャンプ場を選んでください。
最近流行のサウナ施設があるところなら、冷えた身体を温め、さらに「ととのう」感覚も味わえます。
4.冬ソロキャンプ向きのテントは?
冬キャンプ向きのテントは、T/C素材と呼ばれるコットンとポリエステル混紡のものが冷気を遮断する能力が高く、暖かです。
テントの裾に「スカート」と呼ばれる布が付いているモデルなら、さらに暖か。スカートが地面からの隙間風を防いでくれます。
キャンプ場に着いたら、できるだけ風の影響を受けにくい場所にテントを張りましょう。木が茂った垣根の側などが冬キャンプ向きです。テントの入口はなるべく南側を向けると太陽の光が温かく、北風が入り込むのを防げます。
5.お湯を沸かして身体の中から暖を取ろう
テント設営が済んだら、バーナーをセットし、まずお湯をたっぷり沸かして保温ポットに入れておきましょう。温かい飲み物を摂れば身体の内側から温まります。日が暮れるのが早い冬季、食事の準備をするのにも、沸かしたお湯があれば手早く進められます。
コーヒータイムや調理に使うソロ向きのバーナーですが、燃料によって大きく3種に分けられます。「CB(カセットボンベ)缶」、「OD(アウトドア)缶」、そして「ホワイトガソリン」です。
冬のソロキャンプに向くのは、比較的低温でも容易に着火する「OD缶ガス」使用、そして気温が低くても気化しやすい「ホワイトガソリン」使用のバーナーです。「CB缶」は気温が5℃を下回る場合はガスが気化しにくく着火が難しいので、避けた方がいいでしょう。
6.手先のガードも忘れずに
寒さで手先がかじかむと、作業中に思わぬ事故のもとにもなります。防水・保温機能のあるグローブを使用しましょう。
おすすめは、透湿防水性能を備えたポリウレタン製の防寒グローブです。内側はフカフカのボア素材で温かく、湿度を逃すので作業中にムレることもありません。
指先は滑り止め加工で、冷たい水での炊事作業も快適にこなせます。ホームセンターやネット通販等で手に入ります。
7.冬ソロにおすすめの焚き火用具
目の前に明るく燃える小さな焚き火があるだけで、身体も心もほっこりしますね。ソロキャンプで効率的に暖を取るために、「焚き火リフレクター」「焚き火陣幕」がおすすめです。
金属製の「焚き火リフレクター」は、焚き火の向こう側に立てるだけで冷たい風を遮断し、温熱と光を反射するのでとても暖かです。
布製の「焚き火陣幕」は、小さくたためて持ち運びが簡単です。比較的大型なので、ソロテント入口前に展開すれば、プライバシーを守る役目も果たします。
冬のアウター、フリース素材やダウンジャケットなどは、ナイロンやポリエステル素材が多く、焚き火の火の粉で穴が開いてしまいがち。そんなとき重宝なのは、熱に強い綿素材の「焚き火ポンチョ」です。アウターの上からサッと羽織るだけで火の粉や風よけになります。
8.夜間、テントの中の寒さ対策
冬キャンプの寒さがもっとも堪えるのは夜です。就寝時の保温対策をしっかりしておきましょう。
テントの床を保温する
就寝時、一番熱を奪われるのは地面から。下側をしっかり断熱してください。テントの床には起毛素材やキルティングのシートを敷きましょう。裏側が銀色のアルミ蒸着タイプなら断熱性能が高いです。
9.シュラフ周りの冷え対策
最も重要なのは、シュラフの暖かさです。シュラフには、「使用下限温度(リミット)」と、「快適使用温度(コンフォート)」が定められています。冷えを感じやすい方は、「快適使用温度」の方を参考にしてください。
筆者の冬用シュラフの「快適使用温度」はマイナス6℃です。実際に寝てみたときの体感として、快適使用温度に5℃足し、マイナス1℃程度までなら暖かく休めました。冬キャンプの行き先の最低気温を調べ、それに合わせて「快適使用温度に5℃足した」シュラフを選んで購入すれば、寒い思いをしなくて済みます。
シュラフは背中側の保温が大事!
暖かく寝るテクニックとして、体重でシュラフが押し潰されがちな背中側の保温を手厚くしましょう。
テントにシートを敷いたら、その上にコット(組立式簡易ベッド)を置いて、寝床を地面から離します。コットとシュラフの間に断熱性能の高いシュラフマットを敷き、その上にシュラフを広げてください。テントの床とコットの間の空間に荷物を詰めると、さらに断熱になります。
テントシューズで足先ぬくぬく
足先が冷えると、なかなか寝付けないものですね。そんなシニア女性には、ダウンや中綿のたっぷり詰まったテントシューズを履いて寝るのが有効です。
電熱ベストの力を借りるのもアリ
今夜はかなり冷えそうだな…。そんなときは裏ワザとして、モバイルバッテリーで発熱する「電熱ベスト」を着て休むことにしています。就寝中もっとも冷えるのは明け方の日の出前です。筆者が使用している電熱ベストは、20,000ミリアンペアのモバイルバッテリーを接続し、温熱が約8時間持続するモデルです。購入の際は、温熱の持続時間やモバイルバッテリーの必要スペックを確認してください。
最高のパフォーマンス「湯たんぽ」
暖かく休むために、昔ながらの湯たんぽをおすすめします。火傷しない程度のお湯を入れ、必ず厚手のカバーをかけてください。就寝1時間ほど前にシュラフに入れておき、寝るときは低温やけど防止のため身体から離しましょう。朝、湯たんぽに残っているぬるま湯は洗顔などに使えて一石二鳥です。
電源サイトを予約するのも手
キャンプ場によっては、「電源サイト」といって、1,000W程度の電気器具が使えるコンセントを備えていたり、予約時に頼めばコードリールで電源を引いてくれるところがあります。これを上手に利用しましょう。
ヒーターやホットカーペットが使える!
300W〜600W程度の小型のセラミックヒーターやホットカーペットを持参すれば、ソロテント内なら充分暖かです。電気の熱なら一酸化炭素中毒の危険もありません。
持っていて損はない「ポータブル電源」
電源サイトがなくても、クルマならポータブルバッテリーを持ち込んで快適に過ごせます。出力は500W以上の機種を選ぶといいでしょう。低温の電気敷毛布程度ならひと晩大丈夫です。ポータブルバッテリーはまさかのときの防災用品としても揃えておく価値があります。
夜空を見上げて自分の時間を楽しもう!
キーンと冷えた空気、見上げればキラキラの星空が楽しめます。自分のためだけに熾した焚き火に当たりながら、熱燗やホットミルクをすする。子どもの時以来じっくり見る暇もなかった夜空を好きなだけ眺める。そうした贅沢なひとり時間を、冬の女性ソロキャンプで思う存分堪能してください。
サーペントTCテント提供:株式会社UJack
撮影協力:UJackむつざわオートキャンプ場