株式投資とは、株式の売買差益を得られるメリットがあるだけではなく、銘柄によっては「配当金」がもらえたり「株主優待」があったりと、株式を持つことによる特典を得られるものがあります。
『株式投資は魅力的だけどなかなか始める勇気がでない…』と思っている人は少なくないと思いますが、配当金や株主優待を目的として小額から株式投資を始めている方も多くいます。
では「配当金」と「株主優待」とは一体何なのか・・・
今回のコラムでは、株式投資を始める前に押さえておきたい「配当金」と「株主優待」のきほんについて解説していきますので、ぜひこの機会に理解を深めていただければと思います。
1. 株の仕組みとは
株の仕組みとは、株式会社が事業資金を調達するためのひとつの方法として株式を発行し、人々がその企業の成長や将来性に“期待”をして購入することで、資金を出した人は「株主」となります。株主はその会社の所有者の1人として、利益の一部を配当金という形で分配されたり、株主優待がもらえたりします。
また、企業の業績が良好で株式を購入した時よりも価値が上がった際に、その株式を売却して利益を得ることも可能です。株式の発行は、企業にとっても出資者にとってもお互いにメリットのある仕組みなのです。
株式投資の基本についてはこちらのコラムで詳しく解説をしていますので、ぜひ合わせてご覧ください。
2. 「配当金」とは?
配当金とは、企業が得た利益の一部を株主に支払うもので、株数に応じた配当金(お金)を受け取ることができます。
しかし、利益が出たからといって必ず支払われるものではなく、配当金の金額も銘柄ごとによって異なります。また、配当金が支払われる時期も銘柄によって異なり、年に1回のみ配当が支払われる企業から半期毎、四半期毎などさまざまです。
配当金は企業の判断で分配されるため、企業に利益があっても分配されないケースや、利益がない場合でも分配されるケースもあります。
株価に対する1年間の配当金の割合のことを『配当利回り』といい、以下の計算式から導き出せます。
【配当利回り(%)= 1株当たりの年間配当金の合計額 ÷ 株価 × 100】
例えば、1株あたり35円の年間配当金で株価が1000円だった場合は3.5%の配当利回りとなります。
2-1. 配当金の種類
もらえる配当金には以下の種類があります。
<剰余金の配当>
剰余金の配当とは、決算によって確定する財務状況を踏まえて、株主総会の承認を得て分配される配当(期末配当)のことで、一般的に決算月の2〜3ヵ月後に受取れることが多いです。
<中間配当>
中間配当とは、一事業年度中の決算期以外(期末配当とは別)に株主に分配される配当のことをいいます。中間配当は半期(3月決算の場合は9月に中間配当)、もしくは四半期配当(3月、6月、9月、12月など)を行う企業もあります。
剰余金の配当と中間配当の時期は企業によって異なるため注意が必要です。
2-2. 配当金の受け取り方法
配当金の受け取り方には以下の4種類の方法があります。
<株式数比例配分方式(配当金自動受取サービス)>
保有する株式数に応じて、配当金が証券口座に入金される方式です。複数の証券会社で同じ銘柄を保有している場合、株式数に応じてそれぞれの口座に振り込まれます。NISA口座で保有する株式の配当金を非課税で受け取る場合にはこの方法を選ぶ必要があります。
<配当金領収証方式>
自宅に届いた「配当金領収証」を郵便局や銀行で現金に引き換える方式です。配当金を現金で得ることができますが、引き換えを忘れてしまう可能性があるため、受け取りに行く暇がない人は避けた方がいいかもしれません。
<個別銘柄指定方式>
銘柄ごとに配当金を振り込んでもらう口座を指定する方法です。
<登録配当金受領口座方式>
保管振替機構(ほふり)の残高に応じた配当金が、金融機関の口座に入金される方式です。複数の証券会社に口座を所持していても、ひとつの金融口座にすべての配当金が振り込まれます。
3. 「株主優待」とは?
株主優待は、企業が株主に対して企業の優待券や、割引券、食料品やオリジナルグッズなどの特典を提供する制度のことをいいます。
企業側は、出資してくれていることへの感謝の気持ちを「株主優待」という形でプレゼントします。株主に自社の製品やサービスのPR、そしてファンになってもらうことが最大のメリットですが、株主優待をきっかけに自社株式を知ってもらう、安定した株主を確保したいという目的もあります。
株主優待は、保有している株式数に応じて、優待の条件や貰える商品が変わるなど企業によって内容は異なります。
3-1. 株主優待の内容
優待内容は、カタログギフトや映画招待券、食料品メーカーであれば自社製品の詰め合わせを優待として実施する会社が多く、「自社サービス」を優待とする会社では、自社工場の見学会を実施したり、小売業では店舗で使える割引券や持ち株数に応じて買い物額からのキャッシュバックなどを行うこともあります。
そのほか、自然保護や植林などといった社会貢献活動への寄付など、各企業には趣向を凝らした株主優待があります。
最近では、株主優待を目的にその企業の株を取得する人も増えているため、優待内容に力を入れている会社も少なくありません。優待に関する情報は色々なサイトで公開されているため、是非調べてみてください。
4. 注意するべきポイント
4-1. 「配当金」・「株主優待」をもらえる条件
配当金や株主優待を受け取る権利を得るためには、一定の期日までに株を保有している必要があります。
株は市場での購入日(約定日)と、実際にお客様に株券の受渡しが行われる日(受渡日)が異なります。配当金や株主優待を受け取るためには、株主名簿に名前が記載されていないといけないのですが、その株主名簿に記載されるまでに2〜3営業日かかります。
そのため、「権利確定日(受渡日)」の3日前である、「権利付最終日(約定日)」には株式を取得していなければなりません。
「権利落ち日」とは、権利付最終日の翌日を指します。権利付最終日までに取得した株を権利落ち日に売却しても、株式名簿には名前が記載されるため、配当金・株主優待は受け取ることができます。
ただ、権利落ち日に株を取得した場合はまだ名簿に名前が記載されていないため、配当金・株主優待は受け取ることができないので注意が必要です。
なお、権利付最終日当日に株を買っても名簿の記載に間に合うため問題はありませんが、権利付最終日は多くの投資家が買い付けるタイミングでもあるため株価が上昇しやすい傾向にあります。そのため、権利付最終日直前や当日よりは、余裕を持って取得しておいた方がいいでしょう。
4-2. 企業の業績によって内容が変更される可能性がある
株主優待も配当金も、会社の業績が良いからこそ行われるものです。業績が悪ければ、株主優待の縮小や廃止、配当金の減配や無配も起こり得ます。さらに、それらの影響で株価が下がってしまう可能性もあります。
株式の購入前にはその会社や業界の将来性などをしっかり調べることを忘れずに行いましょう。
また、株主優待の中には、利用期間が限られていたり、一定期間に申し込まないとサービスが受けられなかったりするものもあるため、株主優待を受けとったら必ずチェックしましょう。
おわりに
いかがでしたでしょうか?
今回は、株式投資を始める前に押さえておくべき「配当金」と「株主優待」のきほんについてお届けしました。
元本が保証されている普通預金とは違い、株式投資の場合は買値以上の価格で売れる保証はなく、配当利回りも会社の業績によって変わる可能性があります。そのため、株式を購入する際には余剰資金で購入するのがオススメです。
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