マイホーム購入の際に考える住宅ローン。人生でもっとも大きな買い物となるため、借入金額の決定や返済計画は慎重に行う必要があります。特にこれまでお金を借りたことがないという方は、返済方法や金利などもきちんと理解しておきましょう。
住宅ローンの基本から、具体的な借入金額シミュレーションまでを説明します。これからマイホームを購入するという方は押さえておきたい必見の内容です。
この記事のまとめ
住宅ローンは、ご自身の状況によって借りられる金額や返済金額は大きく変わってきます。金利や返済方法の仕組みを理解したうえで、まずは年収をもとに各金額をシミュレーションすると良いでしょう。
年収から算出した借入可能金額や返済金額とは別に、年齢や家族構成、医療費に加え、老後資金や教育費といったほかの支出も考える必要があります。また、住宅購入費のすべてが住宅ローンでまかなえるわけではなく、頭金となる自己資金も必要です。住宅ローン+自己資金+その他の家計支出のバランスを考えながら、無理のない返済計画を立て、夢のマイホームを手に入れて下さい。
住宅ローンの基本をおさらい
まずは、住宅ローンの基本情報を見ていきましょう。返済方法や金利の種類についてまとめました。
住宅ローンとは?
住宅ローンとは、マイホームを建てたり購入したりする際に金融機関から借りるお金です。一度で全額を支払えれば良いのですが、数千万円もの金額を一括で支払える方はなかなかいないでしょう。
そこでほとんどの方は住宅ローンを使ってお金を借り、月々返済していくことになるのです。基本的には、住宅購入価格から頭金を引いた部分を住宅ローンでまかないます。
返済方法は2種類
住宅ローンの返済方法は「元利均等返済」と「元金均等返済」の2種類があります。毎月の返済額が異なるため、どちらを選ぶのかも住宅ローンを選ぶ際のポイントです。それぞれどのような返済方法か見てみましょう。
- 元利均等返済
元金と利息を合わせた毎月の返済額が一定に保たれる返済方法です。毎月、返済額に占める元金、利息の割合がそれぞれ変化していきます。メリットは、返済額が変動しないため返済計画を立てやすい点です。デメリットは、返済初期は元金が占める割合が少ないため利息総額が多くなり、総返済額が増えてしまう点が挙げられます。
- 元金均等返済
毎月同額の元金に利息を加えた金額を返済する方法です。残高が減ると利息は減るため利息は毎月減っていき、返済額も月を追うごとに減ります。メリットは、毎月一定額を返済できるため総返済額が元利均等返済よりも少なく済む点です。デメリットは、返済初期は元金が多いため利息が多く、返済額も多い点が挙げられます。
条件によって返済額は変わる
返済額は、返済方法だけでなくさまざまな条件によっても変わってきます。いくら借りるかで金利は変わりますし、返済年数によっても毎月の返済額は変動するものです。
一般的には住宅ローンの最長返済年数は35年ですが、返済年数が短いほど総返済額は抑えられるため、無理のない範囲で返済年数を計画しましょう。また、ボーナス時のみ返済額を変更することもできます。
家計に余裕のあるタイミングで返済予定額よりも多く支払う「繰上返済」を行うと、返済期間の短縮や月々の返済額の減額にもつなげられるでしょう。
参照元:三菱UFJ銀行
自己資金も必要
マイホームを購入するには、一定の自己資金も必要です。これは、住宅購入資金の頭金に相当します。住宅購入費全体の25%を目安とするのがおすすめです。
資金に余裕のある方は頭金が多いほど住宅ローンが減らせるため、頭金の額は多いほうが良いように考える方もいらっしゃいますが、注意が必要です。マイホーム購入以外にかかる引越し費用や家具家電の購入費用、子どもの養育費なども含めて考えると、頭金を多くするとほかの費用が不足するリスクを伴います。
住宅購入費全体の25%を目安に、家計に余裕のある自己資金を用意しましょう。
金利の種類をチェック
住宅ローンには金利が伴いますが、その種類は次の2つです。それぞれの特徴やメリット・デメリットを見てみましょう。借りたお金に加えて返済する額に直接かかわってくるため、どの金利を選ぶかは大変重要です。
固定金利
「固定金利」とは、市場の金利動向に影響されることなく金利が一定しているのが特徴です。メリットは、返済額が変動しないため返済計画が立てやすい点でしょう。
市場の金利が低い時に固定金利で借り入れると金利上昇のリスクも減らすことが可能です。デメリットは、市場の金利が下降してしまった時に金利が固定されてしまっているため、総返済額が割高になってしまう点が挙げられます。
変動金利
「変動金利」とは、金融情勢の変化に伴い金利が変動するのが特徴です。金利は半年ごとに見直され、返済額は5年ごとに変更されるケースが一般的になっています。
メリットは、適用される金利が下降すると総返済額が減らせる点です。デメリットは、適用される金利が上昇すると総返済額も増額してしまう点が挙げられます。借り入れ時に返済額が確定していないため、返済計画も立てにくいでしょう。
参照元:一般社団法人 全国銀行協会
ミックス
「ミックス」とは、固定金利と変動金利を組み合わせるタイプの金利です。固定金利で5年、10年など金利を固定する期間を定め、その期間が終わると変動金利、または改めて固定金利を選択できるという特徴があります。
メリットは、自由度が高い点と、固定金利の期間は返済額が変動しない点です。適用金利が低いと返済額も抑えられます。
デメリットは、固定期間が終わった時点で新たに金利が決まるため、この時点で市場金利が上昇していると返済額が増えてしまう可能性がある点です。また、変動金利単独の場合と同じく、借り入れ時に返済額が確定しないため、返済計画を立てにくい傾向にあります。
住宅ローンは年収の何倍が目安?物件の種類ごとにチェック
ここでは、年収から考える住宅ローンの目安を見ていきましょう。物件の種類によっても年収の何倍が目安かは変わってきます。
年収倍率を考えてみよう
住宅ローンは、一般的には年収の5~7倍程度が目安といわれています。これは、住宅金融支援機構が行った「2021年度 フラット35利用者調査」から見て取ることが可能です。ただし、購入物件の種類でも変わりますし、金利や返済期間などでも変わってくるため、あくまでもひとつの目安として考えましょう。
参照元:住宅金融支援機構
物件ごとの年収倍率
続いて、物件ごとの年収倍率を具体的に見てみます。マイホームとして考えられる物件をまとめました。
【年収倍率(融資区分別・全国)】
- 土地付注文住宅:7.5倍
- マンション:7.2倍
- 建売住宅:7.0倍
- 注文住宅:6.8倍
- 中古マンション:5.8倍
- 中古戸建:5.7倍
引用元:住宅金融支援機構
購入物件により費用が異なるため差はありますが、年収の5~7倍程度であることが分かります。中古戸建が5.7倍、土地付注文住宅が7.5倍で、物件の違いで約1.8倍分もの差が出ています。ご自身が目指す物件はどれになるか絞って考えることも大切です。
なお、同じ物件であっても地域によって費用は異なります。例えば土地付注文住宅の場合、全国平均は7.5倍ですが、首都圏では7.8倍というデータがあります。都会は年収倍率が高い傾向にあるため、物件の種類にこだわりたいのであれば、地方で検討するといった方法も考えましょう。
住宅ローンはいくら借りられる?年収別シミュレーション
住宅ローンに影響する条件は複数あるため、いくら借りられるか、正直わかりづらいものです。
ここでは目安の表や計算方法をご紹介します。年収に合わせた借入金額や返済額シミュレーションの参考にして下さい。
年収別に住宅ローン総額をシミュレーション
まずは、年収別に住宅ローンの総額をシミュレーションしてみます。年収の5倍を借り入れる場合の、年収と借入金の目安は次のとおりです。
年収 | 借入額目安 |
400万円 | 2,000万円 |
500万円 | 2,500万円 |
600万円 | 3,000万円 |
700万円 | 3,500万円 |
年収の5倍ではあまり借りられないと考える方もいますが、実際には利子も加わり総返済額は年収の5倍以上になるため、これらを踏まえた借入金額を考えることが大切です。
また、年収の5~7倍のシミュレーションを行ってみた時点で、購入希望物件の費用と借入額目安の差があまりにも大きい場合は、自己資金も踏まえたうえで物件の種類や立地などを考え直す必要があるかもしれません。
マイホーム購入はまだ先で、いずれ将来は購入したいという場合は、この差をどのように埋めていくか考える必要があります。
年収別に年間返済額をシミュレーション
借入金額を考えるときには、年間返済額も目安にしてみましょう。返済負担率は年収の20~25%程度に収めるのが理想といわれています。年収ごとの年間返済額の目安は次のとおりです。
年収 | 年間返済額の目安 (返済負担率20~25%の場合) |
400万円 | 80万~100万円 |
500万円 | 100万~125万円 |
600万円 | 120万~150万円 |
700万円 | 140万~175万円 |
年間返済額を12で割ると1ヵ月当たりの返済額が分かるため、返済計画がよりイメージしやすくなります。
例えば年収400万円で年間返済額が800,000円の場合は、800,000円÷12ヵ月=約66,000円です。月々の他の支出にこの金額が加わることを考えていくと、実際に住宅ローンの返済が始まったときに負担が大きいのか、それとも余裕があるのか分かりやすいでしょう。
シミュレーターを使用してみよう
年収別に借入金額や返済額の目安を見てきましたが、実際には個々の状況により借入可能金額は異なります。金融機関などのWEBサイトに設けられているシミュレーターを利用すると便利なので、活用してみて下さい。
ご自身の年収や借入期間などを入力するだけで、簡単に目安金額を知ることができます。
住宅ローンの借入金額を決める際の注意点
住宅ローンの借入金額を決める際には、いくつかの注意点があります。ここではおもな3つをご紹介します。
借りられる金額と返済できる金額は異なる
「借りられる金額=返済できる金額」ではないことを念頭に借入金額を決めましょう。年収の5~7倍が借入金額の目安のひとつ、返済負担率は年収の20~25%程度とご紹介してきましたが、年収だけで安易に借入金額を決めないようにして下さい。
シミュレーターなどでわかる「借りられる金額」はあくまで目安となっており、個々の状況によっては返済できない額である可能性もあります。特に、住宅ローン以外にマイカーローンや教育ローンなど、ほかのローンをすでに組んでいるか、貯蓄がどの程度あるかなどによっても返済のしやすさは変わってくるのです。
年収が同じでも家庭によって適正な借入金額は異なる
住宅ローンのひとつの目安となるのは年収ですが、例え年収が同じでも家庭によって適正な借入金額は異なります。年齢が若ければ若いほど勤続年数は長く、今後の収入見込みは増額するでしょう。
また、家族が増える予定があれば住宅ローン以外の支出も考えなければなりません。老後資金や教育費、万が一の医療費など、さまざまな支出を長期的な視点で考えて借入金額を決めることが重要です。
住宅ローンの金利も考慮する
住宅ローンに限らず、ローンでは必ず金利を考えて計画を立てましょう。今回ご紹介した固定金利・変動金利・ミックスはそれぞれメリットとデメリットがあることもお伝えしました。ご家庭によってどれが合うかは異なるため、条件をよく確認して決めていきましょう。
まだ全国的にも新規受付件数が少ないですが、近年増えてきている「フラット35(保証型)」という住宅ローンは注目したいローンのひとつです。「セゾンのフラット35(保証型)」であれば頭金の割合によって金利が優遇され、保証人不要で固定金利となっています。
万が一ご自身が返済できなくなった場合、「フラット35(保証型)」は住宅金融支援機構が金融機関に保険金を支払う仕組みとなっているのが特徴です。
なお、多くの住宅ローンで加入が求められる「団体信用生命保険(通称:団信)」は、セゾンのフラット35(保証型)では任意加入です。金利は団信の加入するプランによっては0.1~0.24%上乗せされるものもあります。
しかし、がんやほかの疾病の保障プランも選べるため、内容が合えば加入するメリットは大きいでしょう。住宅ローンと合わせて万が一に備えられるため、住宅ローン検討の際に家計全体を見直し、保険についても考えてみるのも良いのではないでしょうか。
詳しいローンの内容や保険の詳細などは、セゾンのフラット35(保証型)WEBサイトをチェックしてみて下さい。
また、セゾンの住宅ローンサイトでは次の3つの試算方法でプランごとにシミュレーションできるようになっています。こちらもぜひ活用して下さい。
- 借入額から毎月の返済額を試算する
- 現在の年収から借入可能額を試算する
- 毎月の返済額から借入可能額を試算する
シミュレーションはこちら:セゾンのフラット35
おわりに
住宅ローンは長期に渡り払い続けるローンとなるため、慎重に内容を検討しなければなりません。金利は社会情勢の影響も大きく受けるため先行き不透明な部分もありますが、ほかの条件なども踏まえてできるだけ家計にリスクの少ない住宅ローンを選ぶようにしましょう。
住宅ローンのサイトには、金利タイプや家族構成によっておすすめの内容や、実際選択した住宅ローンがどうだったか口コミが掲載されている場合もあります。悩んだ場合は、このような情報を参考にしてみるのも良いかもしれません。