毛虫に刺されるのが怖くてガーデニングやアウトドアなどを思いっきり楽しめない、という方は多いのではないでしょうか。毛虫に刺されてしまうと、痛みや痒み、湿疹などが現れ、日常生活に支障をきたしてしまうこともあります。そこでこのコラムでは、毛虫に刺された時の対処法や、毛虫に刺されないための対策をご紹介します。毛虫に悩まされている方は、ぜひ参考にしてください。
毛虫に刺されると起こる「毛虫皮膚炎」とは?
毛虫皮膚炎とは、毛虫の有毒な毛に触れることで皮膚に炎症が起こる、接触皮膚炎のひとつです。直接毛に触るだけではなく、毛が付着している木の枝や葉に触ったり、風に飛ばされた毛に触れたりしても炎症を起こすことがあります。毛虫の死骸や抜け殻などにも有毒な毛が付着しており、それらに触れるだけでも皮膚炎を起こすことがあるため注意が必要です。
毛に触れた直後は、ほとんど自覚症状は起こらず、違和感を覚える程度ですが、数時間後からピリピリした痒みや湿疹などの症状が現れます。
毛虫皮膚炎が発生するのは4~10月にかけてで、中でも孵化のタイミングとなる5~6月、8~9月には毛虫が多く発生し、被害が増加するので注意が必要です。
毛虫皮膚炎の主な症状
毛虫皮膚炎を引き起こす毛には、「毒針毛(どくしんもう)」と「毒棘(どくきょう)」の2種類のタイプがあり、症状はそれぞれ異なります。それぞれ詳しく解説しましょう。
毒針毛|数時間後から強い痒みに襲われる
毛虫の身体を覆っている毛に毒があるのが「毒針毛」タイプの毛虫で、主な種類はドクガ、チャドクガ、モンシロドクガなどのドクガ類の幼虫です。1匹当たり長さ0.1~0.2mmの針状の小さな毒針毛が数十~数百万本密集しています。
毒針毛が刺さるのは、毛虫に直接触れた時だけではありません。風などの軽微な刺激で抜け落ちた毒針毛は、皮膚や衣服に付着することがあります。そして、その付着部分を手などでこすったり触ったりし、毒針毛が皮膚に刺さってしまうことも。
毒針毛が刺さると、数時間から1~2日経過した後に、強い痒みや赤みを伴う発疹が現れます。これは、毒針毛の毒成分に対して、皮膚がアレルギー反応を引き起こすことによるものです。
毒棘|患部に激しい痛みを感じる
毒棘は棘のようなもので、代表的なものにイラガ、アオイガラ、ヒロヘリアオイラガなどのイラガ類が挙げられます。毒棘は毒針毛のように、自然と抜け落ちることがありません。
毒棘に触れると皮膚に刺さり、そこから毒液が注入されます。そのため、刺された瞬間に激しい赤みや痛み、腫れを伴う皮膚炎を発症します。これは、毒棘が持つ毒成分によるアレルギー反応及び化学的刺激によって引き起こされているのです。
イラガの幼虫は、サクラやナシ、カキノキ、クリなどの木を好みます。また、イラガの幼虫は、7~10月頃に現れるのが特徴です。
毛虫皮膚炎の多くはチャドクガの幼虫が原因
毛虫皮膚炎の中でも特に多いのが、チャドクガの幼虫の毒針毛によるものです。チャドクガは、主にお茶の木に発生することから、その名前が付けられました。
チャドクガは、ツバキやサザンカなどの木の周辺に生息しています。これらの樹木は公園や庭など、身近なところに植えられていることが多いため、被害も発生しやすくなっています。
チャドクガの幼虫の全身には、長さ0.1~0.2mm程度の毒針毛が、およそ500,000本密集しています。庭仕事や公園を散歩している最中に、うっかりこの毛に触れると、皮膚炎を発症してしまうので気を付けなければいけません。また、前述したとおり、この毒針毛は風などの刺激でも抜け落ちるので、毛虫が発生している木の風下にいるだけで皮膚炎を発症することがあります。
チャドクガは年に2回孵化します。幼虫が発生する4~6月及び8~10月頃は、特に皮膚炎にかかりやすい時期といえるでしょう。ただし、チャドクガは卵から成虫までずっと毒針毛を持っています。また、脱皮した後の抜け殻に触れても皮膚炎が発症することもあります。つまり、チャドクガによる皮膚炎には、一年中気を付ける必要があります。
毛虫に刺された時の対処法や注意点
いくら気をつけていても、毛虫に刺されてしまうことはあります。ここからは、もし毛虫に刺されたらどうすれば良いか、対処法をご紹介します。
患部を掻かない
毛虫に刺されて痒みがあるからといって、患部を掻いてはいけません。刺された部分をこすったり掻いたりしてしまうと、刺さった毒毛が他の部分へと移動してしまい、症状が広がってしまいます。
また、あまりにも強く掻きむしってしまうと、色素沈着を起こすリスクもあります。もし、痒みや腫れ、赤みが出てきた場合には、ひどい場合には患部を冷やすと良いでしょう。毒は、50℃以上になると無毒化するので、患部に熱い蒸しタオルを押し当てることも有効です。
粘着テープで残りの毛を除去する
毛虫に刺されたことが明らかな場合は、まず付着した毒毛をできる限り早く取り除くようにしましょう。
刺された部分を素手で触れないように気を付けながら、ガムテープなど粘着力のあるテープを貼ったりはがしたりして毒毛を除去します。毒毛が目に見える場合は、ピンセットなどを使って取り除いても良いでしょう。
石鹸と流水で洗い流す
毒毛を除去したら、泡立てた石鹸でしっかり洗って、勢い良く流水で洗い流してください。シャワーで洗うのも効果的です。石鹸でしっかり洗い流すことで、皮膚炎の症状も最小限に抑えることができます。
着ていた衣服や帽子から二次被害が発生することも考えられるので、他の服に着替えをしましょう。このとき、脱いだ服は他の衣類とは分けておきます。
衣類にもガムテープを貼ったりはがしたりして毒毛を取り除いてから洗濯しましょう。前述したとおり、毒は50℃以上の熱で無毒化するので、50℃程度のお湯を使って洗濯するようにしましょう。毒毛は1回では取り切れない可能性が高いので、数回洗っておくと安心です。
市販のステロイド薬を塗る
最後に、市販のステロイド塗り薬をしっかりと塗って治療します。このとき、ステロイドの強さが充分にあるものを選んで塗ってください。
中学生以上の場合は、「ストロング」ランクのステロイド塗り薬を使用しましょう。幼児から小学生が毛虫に刺された場合は、「マイルド」ランクを選びます。2歳未満の小さな子どもが刺された場合は、「ウィーク」ランクのステロイドを選ぶと良いでしょう。
ただし、小さな子どもや赤ちゃんは、大人に比べると症状が強く出る可能性が高いので、症状を良く観察しましょう。気になることがあればすぐに病院を受診するようにしてください。
病院へ行くタイミングは?
ステロイド剤を5~6日程度使用しているにもかかわらず症状が改善されない、もしくは日に日に悪化している場合は、病院を受診してください。また、子どもや赤ちゃんの場合は、症状が強く出たり、我慢できずに患部を掻いてしまったりする可能性があるので、毛虫に刺されたら早めに受診するようにしましょう。
稀に、重篤なアレルギーを発症してしまうことがあります。もし毛虫に刺された後に吐き気や頭痛、めまいなどの全身症状が現れたり、患部とは離れている個所にも蕁麻疹のような発疹が現れたりした場合は、速やかに病院を受診しましょう。
また、目に毒毛が入ってしまったかも、という場合はすぐに眼科を受診して、目に入った毒毛を除去しましょう。
毛虫に刺されないための予防策は?
毛虫に刺されないためには、毛虫に近付かないことが一番です。公園に出掛けたりガーデニングをしたりする場合には、ツバキやサザンカなどの木に毛虫が発生していないかしっかり確認し、もし発生していたら近付かないようにしましょう。
また、毛虫が発生している場所の風下に行くと、抜け落ちた毒針毛が飛来してきて、皮膚炎を発症してしまう場合があります。できるだけ風下にも行かないようにしてください。この他の有効な予防策についてもいくつかご紹介します。
毛虫の発生時期を知っておく
毛虫の発生時期をしっかりと覚えておくことが大切です。先ほど解説したとおり、被害が最も多いチャドクガが多く発生するのは、4~6月および8~10月。また、イラガ類が多く発生するのが、7~11月にかけてです。
ちょうど気候も良く、アウトドアに最適な時期ではありますが、なるべくツバキやサザンカの木には近付かない、やむを得ず公園などに行く場合は、毛虫がいることを想定して動く、ということを心掛けるだけでも充分な対策になるでしょう。
洗濯物は室内干しにする
毒針毛は、風などの些細な刺激でも抜け落ちます。飛来した毒針毛が洗濯物に付着し、気づかずにその衣類を着て毒針毛が刺さり、毛虫皮膚炎を発症したというケースも少なくありません。家の近くにサザンカやツバキなど、チャドクガが発生しやすい木がある場合は、幼虫が発生しやすい時期の洗濯物や布団を室内干しに変えるのもひとつの方法です。
ガーデニングの際は肌の露出を控える
ガーデニングや緑が多い場所でのレジャーの最中、知らないうちに毛虫に触れてしまったり毒針毛が飛んできて肌に付着してしまったりすることで、毛虫皮膚炎を発症してしまうことがあります。毛虫の幼虫が発生しやすい時期は、極力肌の露出を控えるようにしましょう。
毒針毛が付着しにくいツルっとした素材の長袖や長ズボンの他、軍手、帽子、スカーフなどを着用しておくと安心です。また、庭で作業をする際はメガネやマスクも着けておくと良いでしょう。
庭木の手入れは専門会社にお願いする
庭木をしっかり手入れしておくことも、毛虫皮膚炎の予防には効果的です。とはいえ、毛虫が苦手で近付きたくない、という方も少なくないでしょう。また、毛虫が大量発生してしている場合は、手入れをしている最中に刺されてしまう可能性もあり、ご自身で駆除するのは非常に困難なため、そういった場合はプロに依頼することをおすすめします。
しかし中には手入れをきちんとしてくれなかったり、法外な料金を請求したりするところもあるので注意が必要です。適正な料金できっちりと要望に応え、丁寧な仕事をしてくれるところを選ぶのが大切です。
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おわりに
毛虫皮膚炎は痛みや痒みが酷いだけでなく、放っておくと症状が広がってしまったり、なかなか完治しなかったりすることがあります。まずは毛虫皮膚炎の発生原因や症状をしっかりと理解しましょう。毛虫皮膚炎を発症してしまった場合の正しい対処法を確認しておけば、刺されてしまった際も冷静に判断できます。また、毛虫皮膚炎を予防する方法を知っておくことも大切です。まずは毛虫に刺されないために、ご自身でできる対策をしっかりと講じておきましょう。