自由気ままに過ごす姿が可愛らしい猫。新たな猫を迎えて、先住猫に遊び相手を作ってあげたいと願う方もいるでしょう。しかしいざ迎え入れてみると、先住猫が威嚇してなかなか仲良くなれないこともよくあります。ここでは、先住猫が威嚇する理由や引き合わせる時の注意点、部屋作りのポイントなどを解説します。これから新たな猫を迎え入れる方、すでに迎え入れて先住猫の威嚇に悩んでいる方はご一読ください。
先住猫の新入り猫への威嚇について
先住猫が威嚇する理由や期間などを見ていきましょう。
先住猫が新入り猫に威嚇をするのはなぜ?
まず知っておきたいのが、猫は単独行動でも楽しく生きていける生き物であることです。群れることを好む犬とは違い、猫は必ずしも仲間を必要としているわけではないのです。
また、猫は自分のテリトリー内を生活の拠点としており、縄張りに侵入者がいれば強く警戒します。新入り猫が来たことで、安心できる場所が奪われてしまうかもと大きな不安を感じるのです。その結果、新入り猫の存在をすぐに受け入れられずに、ストレスを感じて威嚇してしまうことがあります。
猫の威嚇のパターン
猫が威嚇をする時の鳴き声は、大きく分けて3種類あります。毛を逆立てて「シャー」「フーッ」「グゥー」と鳴くのは、拒絶心の表れ。甲高い声で「ウワーオ」「アオー」と鳴く時は恐怖やパニック状態であること、「ウーウー」は敵対心があることを表します。
威嚇する際は頭を低くし、背中を丸めて毛を逆立てた姿勢になります。この姿勢をするのは、自分の身体を相手に大きく見せるため、そして防衛の姿勢を取るためです。耳を後ろに反らせている時は、「これ以上近くに来ると攻撃するぞ」という怒りをアピールしています。
また、尻尾の状態も猫の気持ちを表しています。先が垂れた尻尾が表しているのは、「もう我慢できない、攻撃するぞ」のサインです。他には、身体をさらに大きく見せるために尻尾を膨らませて左右に振ったり、恐怖心がある時は尻尾をお腹の下に入れたりすることもあります。
威嚇する際、新入り猫に引っかいたり噛み付いたりなどの行動を取ってしまうこともあります。そのため、新たな猫を迎え入れる時は、双方のストレスを軽減するためにさまざまな配慮が必要です。
先住猫の威嚇はいつまで続く?
先住猫の威嚇期間は、一般的に1~2週間程度であるといわれています。ただし、これはあくまでも目安です。お互いの性格によっては、猫同士で折り合いを付けるのに1ヵ月近い期間を要することもあるでしょう。
先住猫と新入り猫を引き合わせる時は、どちらのストレスもできるだけ小さくするため、様子を見ながら1~2週間程度かけて慣らしてあげることが大切です。相手を警戒することなくすれ違っているか、同じ部屋の中で安心して眠れているかなど、それぞれの様子を良く観察しましょう。
これらの他、遊びをしかける様子が見られることも、先住猫と新入り猫が慣れてきたサインであると捉えて良いでしょう。
先住猫と新入り猫を引き合わせる際の手順や注意点
猫を新しく迎え入れる時は、先住猫と新入り猫の両方に気を配り、打ち解けるのを気長に待つ必要があります。重要なのは、段階的に慣らしていってあげることです。飼い主が心得ておくべき手順と注意すべきポイントを以下にまとめました。
まずは新入り猫を隔離
新入り猫を家に迎えたら、まずは3~4日間、別の部屋で過ごさせましょう。先住猫は、新入り猫の姿が見えなくても、気配や匂いなどで存在に気付きます。その間にやっておきたいのが、それぞれが使った毛布やおもちゃなどを与えることです。対面する前にお互いの匂いに慣れさせておくと、極度に驚かせてしまうことを防止できるでしょう。
引き合わせる前に、家の匂いを付けておくことも重要です。そういった意味でも、対面させる前に新入り猫を家の中で生活させることが大切なのです。
ケージ越しに対面させる
隔離された状態でお互いの存在を認識させたら、次はケージ越しの対面です。なぜこのステップを踏むのかというと、今後の関係性をこじらせないため。初対面で追いかけられたりケンカに発展したりといったことがあると、その後の関係性に響く可能性もあります。
隔離部屋の中で新入り猫をケージに入れて、先住猫を招き入れてみましょう。威嚇行動が見られる場合は短時間のみで切り上げ、別のタイミングで対面させます。慣れてきたら、少しずつ対面時間を増やしていきましょう。
このときに大切なのが、新入り猫のストレスにも配慮することです。先住猫と直接目が合わないようにするためにケージを少し高めの位置に置いたり、丸見えにならないようにケージを布で覆ったりなどの工夫をしてあげましょう。
ケージ越しに食事を摂らせる
先住猫の威嚇が見られなくなってきたら、ケージ越しにお互いが見えている状況で食事を与えます。最初はお互いに緊張してしまい、食べるほどの余裕がないかもしれませんが、繰り返していくうちに少しずつ慣れてくるでしょう。その距離でお互いに食事を食べられるようになったら、徐々に距離を縮めていきます。
ケージ越しの食事ができるようになったら、今度はケージをそのまま先住猫のテリトリーに持っていって双方を対面させましょう。1日に複数回、短時間から始めて徐々に時間を長くしていきます。隔離部屋でのケージ越し対面で慣れていたとしても、先住猫が再び威嚇することもあるかもしれません。隔離部屋での食事のときと同様、ケージ越しにおやつを与えるなど工夫してあげると、少しずつ慣れていくでしょう。
直接対面させる
先住猫のテリトリー内で食事ができるようになってきたら、いよいよ直接対面させます。まずは部屋のドア越しに1時間から始めてみましょう。その状態でも普段どおりの生活ができるようになったらドアの開放時間を増やし、落ち着いていれば自由に過ごさせます。
先住猫が再び威嚇をしたらどうする?
ケガをするほど激しいケンカをしない限りは、威嚇し始めても見守ります。流血するほどの激しいケンカが起こった際は、ご自身の安全を確保したうえで別々の部屋に移して落ち着かせましょう。
組み合わせ別の相性
先住猫と新入り猫の相性の良し悪しは、対面しないことには分かりません。しかし、一般論として以下の組み合わせ別の相性はあるので、対面する際の参考にすると良いでしょう。
成猫×子猫
基本的には年齢差が大きくない方がうまくいくと考えられていますが、先住猫が成猫で新入り猫が子猫の場合は、仲良くなれることが多いといわれています。子猫は環境への適応力が高く、新しい環境の中で先住猫と早く仲良くやっていける可能性が充分にあるためです。
また、成猫は、相手が子猫だと面倒を見てくれる傾向にあります。子猫の世話をしてくれるのはメスだけだと思われがちですが、オスが世話をしてくれるケースも少なくありません。ただし、先住猫が去勢手術をしていないオスの場合は、子猫を襲ってしまう可能性もあるため注意が必要です。
成猫(メス)×成猫(メス)
メスの猫は、テリトリー意識がそれほど強くないといわれています。そのため、先住猫と新入り猫が両方ともメスの場合は、仲良くなれる可能性が高いでしょう。
成猫(オス)×成猫(メス)
一般的には、異性同士の方がうまく生活していきやすいとされています。先住猫がオスの場合、あとから入ってきたのがメスであれば比較的受け入れやすいでしょう。ただし、不妊手術をしていない場合は妊娠する可能性もあります。そのため新入り猫を迎え入れる前には、不妊手術を受けさせましょう。
成猫(オス)×成猫(オス)
オス同士は、トラブルが起こることの多い組み合わせです。テリトリー意識が強いため、ケンカをすることもあります。気が弱い猫の場合は、大きなストレスを感じることもあります。ただし、お互いの性格によっては良い遊び相手になることもあるため、必ずしも相性が悪いとはいえません。
高齢猫×子猫
先住猫がのんびり過ごすことを好む高齢猫の場合、子猫を迎えると疲れてしまう可能性があります。環境の変化がストレスになってしまうこともあるため、できれば先住猫が7~8歳までに新入り猫を迎えるのが理想的です。
しかし、さまざまな理由でどうしても新たな猫を迎えたい場合もあるでしょう。高齢猫がいる家に新入りを迎える際は、本来ならある程度の年齢に達した成猫がおすすめです。しかし、どうしても子猫を迎え入れたいという時は、穏やかな性格の子を選んであげるとうまくいくことがあります。
年齢差や性格なども考慮して、どのような猫を迎えるのかを検討しましょう。
先住猫が新入り猫を受け入れたサインとは?
先住猫が新入り猫と一緒に寝ている、毛づくろいをし合っている、遊びをしかけるなどの様子があれば、関係性が作られているといえるでしょう。また、先住猫が新入り猫と同じ部屋の中で普段と同じように穏やかに過ごせている、相手を警戒せずにすれ違うなども、受け入れたサインのひとつです。
しかし、先住猫の威嚇が続く、ケンカばかりしているという場合は、ストレスが溜まって体調を崩してしまうこともあります。嘔吐や下痢、体重減少などの症状がある場合は注意が必要です。場合によっては、ストレスで毛づくろいをし過ぎてしまい、毛がハゲてしまうこともあります。どちらかが体調に支障をきたしている時は、まず獣医師に相談しましょう。
先住猫が新入り猫を受け入れることができずに同居するのが困難な場合は、新しい里親を探す必要性も出てくるかもしれません。
猫を多頭飼いするうえでの部屋作りのコツ
新たな猫を迎える時は、引き合わせ方だけでなく部屋の作り方にもポイントがあることをご存知でしょうか。ここからは、猫を多頭飼いする時に必要な部屋作りの方法を見ていきましょう。
猫同士の距離が保てるスペースを用意する
「遊び相手を作ってあげたい」という気持ちで猫の多頭飼いをする飼い主もいますが、前述のように猫は必ずしも遊び相手を必要としているわけではありません。
一般的に、猫はプライバシーを大切にしている動物であり、コアエリア(自分だけのお気に入りの場所)で過ごす時間が必要です。コアエリアが確保できないと、猫の心身に良くない影響を与えてしまう可能性もあるため、まずは部屋の広さ相応の数しか飼わないことが求められます。
猫を飼育できる数の上限の目安は「自由に出入り可能な部屋の数-1」です。具体的には、1LDKのマンションやアパートなら1~2匹、2LDKなら多くても3~4匹程度に留めるのが基本となります。先住猫の縄張りが侵されないように配慮してあげましょう。
キャットタワーを設置する
キャットタワーを設置してあげると、猫の生活空間が格段に広くなります。猫にとって高いところは、危険をいち早く察知できる安心の場所です。不安を感じることなくくつろげるため、快適性が高まるでしょう。
また「高いところに登りたい」という猫の本能からくる欲求を満たすこともできるので、ストレスの発散にもつながります。よじ登ったりジャンプしたりして運動不足を解消できることも、キャットタワーのメリットです。
トイレの数を増やす
次に工夫してあげたいのがトイレの数です。トイレの数は「猫の数+1」を目安にしましょう。飼い主が仕事などで長時間留守になると、その間はトイレ掃除をしてあげられません。しかし、自分専用のトイレの他に予備のトイレがひとつあれば、快適に生活できるでしょう。
トイレの設置場所も、工夫したいポイントです。デリケートな猫は、排泄中に飼い主や他の猫が近くをとおると途中でやめてしまうことがあります。飼い主やご家族がよくとおる廊下や玄関などを避けて、安心して排泄できるところに設置してあげてください。
多頭飼いを快適にするためにはリフォームも有効
部屋作りの一環として、家をリフォームするのもおすすめです。複数のペットが同じ家の中で快適に暮らせるようになるでしょう。また、消臭機能のあるフロアにしたり、耐久性の高いクロスにしたりすることで、手入れも楽になります。
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おわりに
新入り猫を迎える時に、ほとんどの飼い主が悩むのが先住猫の威嚇です。自分の居場所が誰かに奪われるかもしれないと危機感を感じた先住猫が、ストレスを感じるのは当然のことです。
双方の引き合わせ方に失敗してしまうと、その後の関係性にもひびが入る可能性があります。引き合わせ方や家作りのポイントを押さえて、先住猫にとっても新入り猫にとっても負担が少なくなるように工夫してあげましょう。