顔立ちや肌の変化と若い頃に覚えたメイク法とのミスマッチなどで、残念メイクになってしまいがちな大人世代。そんなお悩みをクリアするメイクやスキンケアをYouTubeで発信し、人気を誇っているのがSHOKOさんです。
年齢を経た肌の悩みをカバーしながら、若々しく仕上げるメイクとは? また2023年のメイクトレンドを取り入れるには? そのポイントを、教えていただきました。
関西で美容師としてキャリアをスタート。阪神淡路大震災を機に東京へ拠点を移し、ファッション誌などで活躍するヘアメイクアップアーティストに。10年所属した事務所独立後にがんと闘病。「元気で美しくないと幸せでない」と、日本ストレッチ協会トレーナー、アンチエイジングアドバイザーなどの資格を取得し、40〜50代の女性向けに美容メソッドを伝える講座を開講。母との同居・介護を機にYouTubeチャンネルを開設し、人気に。著書に『1秒で惹きつける人になる』(KADOKAWA刊)。
メイクを変えて、たるまない「上がり顔」をつくる!
――40〜50代は、30代の頃とはメイク方法を変えるべき、とSHOKOさんはよくお話しされています。それはなぜでしょう?
個人差はありますが、40〜50代になると肌はたるんだりくすんだりします。30代の頃と同じように眉を描きチークを入れても、少しずつ位置が下がってバランスが崩れているんです。
そのために必要なのが、たるみ感のない顔をつくるメイク方法。ベースや眉、チークなどで下がった部分をカバーして、今の顔に向き合ってメイクすることが大切です。特に大事なのがベース。肌がキレイなら、それだけで若く見えますから。
――ただ、それまでのメイクを変えるのって、勇気がいりますよね?
だから新しい方法を試すのは、夜にメイクを落とす前がおすすめ。朝、慣れないメイクにトライして失敗すると、1日気分が下がりますよね(笑)。でも、眉の描き方やアイメイクなど、夜に何度か練習してから取り入れるようにすると、失敗しづらいはずです。
トレンドを2割取り入れるのが、おしゃれなオトナ流
――一方で、年齢を重ねると最初に覚えたメイク方法のまま「昭和感」のあるメイクになってしまう方もいらっしゃいますよね。上手にトレンドを取り入れるという意味でもメイクを変えるのは大事な気がしますが、その取り入れ方が難しいです……。
確かに、トレンドは若い世代をターゲットにすることが多いので、そのまま取り入れると「イタい」印象になる恐れもあります。ただ、全くトレンドを意識しないと「古い顔」になってしまうんですよね。
だから「トレンドは2割取り入れる」というのが、大人世代にはおすすめです。そして、すべてのパーツで肌なじみ感を丁寧につくること。濃く強いメイクより、やさしく上品に仕上げる方が大人の素敵さが際立つし、小ジワなどのアラも目立たなくなるんです。
――では、2023年春のメイクトレンドは、どのようなものでしょう?
ここ数年はトレンドも多様化して「自分らしさ」を大事にするメイクが主流です。中でも注目なのは、トータルのバランスがとれた「調和感」のあるメイク。
アイテムとしては、カラーアイライン、ふわっと内側から上気したような肌をつくるチーク、マットなリップに挑戦してみて。それらをバランス良く使って「媚びない強さ」のあるイメージを目指しましょう。
SHOKOさんの大人メイク講座、スタート!
①大人メイクにはベースが最重要。濡らしたスポンジで丁寧に叩き込んで。
私が「美の三角ゾーン」と呼んでいる、目の下を底辺・頬中央を頂点とした逆三角形のエリア。ここが美しく仕上がっていると、ベースメイクのクオリティがぐんと上がります。ぜひ、意識してみてください。
\使用アイテム/
ベースメイク STEP1
ファンデーションの前に、パープルのベースカラー(アイテムA)を仕込みます。黄ぐすみしがちな大人肌に、透明感をプラスしてくれるのがパープルです。指で塗り広げないよう、トントンとその場で軽くタッチして、少量をしっかりなじませて。
年齢とともに薄くなりがちな目の下の皮膚に厚みを出すようなイメージで、少しずつ重ねていきます。コンシーラーを使うと、どうしてもシワっぽくなりますが、このベースならうるおいをキープしながらクマを飛ばすことができますよ。
ベースメイク STEP2
ポイントメイクアイテムはプチプラでも良いのですが、大人世代になったらファンデーション(アイテムB)にはお金をかけるべき。アラのカバーやツヤ感など、仕上がりが全然違います。
こちらも「美の三角ゾーン」に少量乗せたあと、濡らしてしっかり絞ったスポンジで細かく叩き込みます。強く叩くとベースカラーごと取れてしまうので、やさしいタッチで!目の下のクマや、ゴルゴラインと呼ばれる斜めのシワが隠れるよう何度かしっかり重ねると、頬が上がって顔全体が引き上がった印象に見えるはず。
ベースメイク STEP3
三角ゾーン以外のエリアは、スポンジに残った分をなじませる程度で充分。赤みのあるところだけ、しっかり重ねてスポンジで周りになじませます。
ベースメイク STEP4
\使用アイテム/
パウダーでも透明感をプラスします。ただ、顔全体に使うのはNG。パウダーはテカリを抑えるためのもので乾燥してしまうので、眉と小鼻だけでOK。小鼻部分は小さめブラシでくるくるっと塗り込むようにつけると、毛穴をカバーできます。
②眉は髪色に合わせる、は昔の常識。眉色は明るく、服に合わせる!
唇に濃い色を使う場合はリップメイクから、目元を強くするなら目から……と、主役にするパーツから進めるのが良いのですが、調和をテーマに仕上げる今回の場合は、眉からメイクするとバランスが取れます。
色はヘアカラーに合わせる、というのが以前の常識でしたが、今は髪が暗めでも眉はブラウン系の明るい色で抜け感を出すのがマストです。眉マスカラは、イエロー系の服ならイエローブラウン、ピンク系の服ならピンクブラウン、という感じでトーンを合わせると、トレンドの「調和感」が出せるはず。
太く平行気味の眉トレンドは続くと思います。ただ、大人世代はたるみを引き上げるため、平行にしすぎず、眉山を作ることが大切。
\使用アイテム/
眉メイク STEP1
ブラシに薄めブラウンのシャドウ(アイテムE)をとって、眉山の下側に、ブラシをトントンと地肌につけるようにスタンプのように置きましょう。そこから眉頭に向かって眉の下側へ色を乗せていきます。
眉メイク STEP2
眉の上側は、眉山の位置を目尻の真上に決めて、自眉のラインから眉山までがつながるようにパウダーを乗せます。眉毛が欠けたところはペンシル(アイテムD)で毛を書き足すように埋めて。
眉メイク STEP3
その後、明るめブラウンの眉マスカラ(アイテムC)で眉尻から眉頭側へ一度毛を逆立てるように塗った後、毛流れに沿って斜めに引き上げるように色を乗せて仕上げます。
③目元は色を重ねてグラデにし、強めカラーのラインをなじませる
\使用アイテム/
カラーライナーはここ数シーズンのトレンドですが、濃いめピンクは今季の注目カラー(アイテムF、G)。大人世代に似合う色なので、ぜひ取り入れてほしいです。
アイメイク STEP1
シャドウは基本のブラウン系の中でも、暗すぎないなじみカラーが揃うこのパレット(アイテムI)を。
指に1の色をとって、アイホール全体になじませたら、眉側まで少しだけ広めにぼかします。
アイメイク STEP2
その後、ピンクのペンシルライナー(アイテムF)を上まつ毛の上側ギリギリに入れ、目尻は引き上げすぎずに数ミリ長く。その上に、ピンクのリキッドライナー(アイテムG)を黒目から目尻側だけ重ねます。
アイメイク STEP3
上まぶた目尻側にモーヴ色(アイテムIの3)、上まぶたのキワに濃いめブラウン(アイテムIの4)のシャドウを乗せると、グラデーションになって、ピンクのラインが浮かずになじみます。ラインが多少ガタガタになっても、このシャドウとなじませれば大丈夫!
アイメイク STEP4
目の下は、シャドウ2色(アイテムIの3、4)を混ぜて細くアンダーシャドウを入れ、上の目尻につなげるように入れると、目元がきゅっと引き上がってたるみ感の解消に。
最後に、ブラウンのマスカラ(アイテムH)を目尻側まつ毛に多めに塗って、リフトアップ効果をキープしましょう。
④リップはハーフマットがトレンド。大人にぴったりな乾かないタイプも豊富
この春はハーフマット(ツヤ感を適度に抑えた半透明の仕上がり)なリップカラーが豊富。しっかり色が出るのにうるおい感が残る質感なので、大人世代にぴったりです。
リップカラーについては、ちょっと濃い色にもトライしてほしいですね。その場合は目元のピンクをなくすなど、強くするポイントを絞ってバランスを取ると、まとまりますよ。
\使用アイテム/
リップメイク STEP1
スティックから直塗りしたら、上下の唇で「んぱっ」と塗り広げる感じに。それを3回くらい繰り返してしっかり色をなじませます。
⑤チークは「頬の中心」ではなく「目の下」に入れて顔を引き上げる
チーク以外のメイクを仕上げ、服やヘアスタイルまで整えた後に、全身のバランスを見ながら最後にチークを入れましょう。全身で調和の取れたメイクに仕上げられます。
また、服の色に合わせることで、オレンジ系にするかピンク系にするか選びやすく、血色の強さも服の色の濃さに合わせて調整できます。
\使用アイテム/
チークメイク STEP1
メイクの基本でよくいわれるのは、笑った時に一番盛り上がる位置にチークを、ですよね。でも実は、大人世代になるにつれ、笑っても頬が上がらない方が多いんです。
だから、パウダーチーク(アイテムK)をなじませたブラシを目尻から指の幅2本分のところに乗せて、その周りにふわっとなじませると、顔の重心が上がります。
チークメイク STEP2
さらに、その上の目尻から斜め上に向かってハイライト(アイテムJ)をすっと薄く入れることで、さらに顔が引き上がります。
\完成です!/
年々下がった印象になってくる顔も、パーツごとに上向きのポイントをつくることで、たるみのない印象に。ご紹介した注目アイテムの中から、自分にとって新鮮なものを2割くらい取り入れれば、無理なく今っぽさのある顔になれるはずですよ。
※メイクアイテムは全て税込み価格です。
(取材・執筆協力=江尻亜由子 イラスト=かざまりさ 撮影=栃久保誠 編集=ノオト)