「いまの金利に不満がある」「将来の金利変動が心配」「住宅ローンの負担を軽減したい…」。そんな悩みや要望を解決する手段のひとつが住宅ローンの借り換えです。
当コラムでは住宅ローンを借り換える際にお得となるタイミングや、メリットやデメリット、注意点などを解説します。住宅ローンの借り換えを検討中の方は、ぜひ判断する際のヒントにしてください。
- 住宅ローンの借り換えで、現在の総返済額を減額できるケースがある。
- 借り換えは、固定金利期間の終了、変動金利の返済額が変わる、条件の良いローンがあるなどのタイミングや金利が1%以上低くなるなどのお得になる条件の両方を検討する。
- 手数料などの費用、住宅ローン控除の適用外になるケースがある、将来的な金利上昇は予測しにくい、といった点は気をつけておきたいポイント。
住宅ローンの借り換えって?
住宅ローンの借り換えとは、新しく住宅ローンを組んで返済中のローンを一括で返済することです。現在返済中の住宅ローンよりも低い金利のローンに借り換えることで、月々の返済額とともに返済総額を圧縮できる可能性があります。
住宅ローンの借り換えを検討する際は、金利だけでなく元金の残高や返済期間の残年数を考慮することも重要です。一般的には、金利差が大きく、元金が多く、返済期間の残りが長いほど減らせる利息が多くなり、総返済額が減るといわれています。
借り換えでメリットがあるといわれている条件がこちらです。
<住宅ローン借り換えに適した条件>
- 金利差が1%以上ある
- ローン残高が1,000万円以上ある
- 残年数が10年以上ある
このような条件であれば、住宅ローンの借り換えで総返済額を抑えることができる可能性が高まります。
住宅ローンを借り換える際は、必要な出費も計算し、金利差でそれ以上の額を圧縮できるようなら、借り換えの価値があると考えて良いでしょう。必要な出費としては、事務手数料や保証料などがあります。
お得を感じられる住宅ローンの借り換え方法は、個々の状況によりケースバイケースです。固定金利より利率の低い変動金利へ変更する、タイミングを計って金利上昇の不安がある変動金利から固定金利に変更する、などの方法があります。
住宅ローンを借り換えるメリット・デメリット
住宅ローンの借り換えにはさまざまなメリットがあります。想定しておきたいデメリットとともにご紹介しましょう。
住宅ローン借り換えのメリット
住宅ローンの借り換えには3つのメリットがあります。金利を低くおさえられる他、団体信用保険の見直しや返済プラン変更のタイミングとしても絶好の機会です。
金利が低いプランを選べる
住宅ローンの借り換えによる代表的なメリットとして、現在組んでいる住宅ローンよりも低い金利のプランを選べる点が挙げられます。元金や返済期間なども考慮して低金利の住宅ローンへ借り換えることで、手数料などの出費がかさんでも総返済額を減らすことが可能です。
一般的に、固定金利でローンを組むよりも変動金利でローンを組んだほうが低金利であることはご存知の方が多いでしょう。さらに現在は超低金利の状態が続いているため、かつて組んだ固定金利の住宅ローンから、いまの変動金利の住宅ローンに借り換える方法で総返済額を減らしている方が多い傾向にあります。
現在すでに変動金利で住宅ローンを組んでいる方も、場合によっては借り換えでさらに金利を下げることが可能です。例えば契約時に条件が合わず基準金利に近い金利で住宅ローンを組んでいる方などは、借り換えを検討してみても良いでしょう。
住宅ローンの借り換えは審査や手続きが一から必要です。そのため「現在のローンで金利プランを変更したほうが良いのでは?」と考える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、金融機関によっては固定金利から変動金利へのプラン変更は受け付けていない場合があります。借り換えならこうした制約を気にせず、より有利な条件を選べる可能性があることを覚えておきましょう。
団体信用生命保険が見直せる
住宅ローンの借り換えで団体信用生命保険(団信)の見直しができる点もメリットです。団体信用生命保険は住宅ローンに特化した保険で、契約者に万が一のことがあった場合にローンの支払いを肩代わりし、家族の暮らしを保障します。
これまでの団体信用保険は、契約者が高度障害状態となった場合や死亡した場合に保障が適用されるプランが一般的でした。しかし、近年では「がん団信」や「介護保障団信」といった保険や、特約が充実した保険が登場しています。がん・脳卒中・心筋梗塞の3大疾病や、所定の身体障害状態、要介護状態、就業不能状態なども保障してくれるものがあります。
団体信用保険は住宅ローンを組むタイミングでしか加入できないため、住宅ローンの借り換えは見直しの良いチャンスでしょう。現在の住宅ローンを借り入れた当時よりも守備範囲が広い団信に変更したいときにも、住宅ローンの借り換えはおすすめです。ちなみに、団体信用生命保険の加入を融資の条件としている住宅ローンがほとんどですが「フラット35」など、加入が任意の住宅ローンもあります。
なお、健康状態によっては、団体信用生命保険に加入できないこともありますので、注意が必要です。
現在のライフプランに合った返済額や年数に変えられる
住宅ローンの借り換えは、現在のライフプランに合わせて返済額や年数を考え直す良い機会にもなります。新たにローンを組むため、月々の返済額を減らして返済期間を長くしたり、月々の返済額を増やして早くローンを完済したり自由自在です。
「住宅ローンを組んだ当時と現在で生活スタイルが変わった」という方もいらっしゃるでしょう。住宅ローンの借り換えは、返済方法をライフプランに合った内容に変更するタイミングとして最適です。
ご自身にぴったりの住宅ローンを選ぶためには、一度専門家に相談してみるのも良いかもしれません。
「住宅ローンの相談窓口」では、お客様のご希望に沿った住宅ローンをご提案しています。金利タイプ・返済年数・保険などさまざまな条件から商品を選定し、お申し込み・審査・融資実行までをご支援します。住宅購入を検討されている方は、お気軽にご相談ください。
住宅ローン借り換えのデメリット
住宅ローンを借り換えるデメリットとしては、借り換えに手数料がかかること、将来的に返済総額がアップする可能性があることが挙げられます。それぞれを解説していきましょう。
借り換えには手数料がかかる
住宅ローンの借り換えでは、事務手数料や保証料などさまざまな費用が発生します。住宅ローンの借り換えで一般的に必要とされるお金がこちらです。
<住宅ローンの借り換えでかかる費用>
- 事務手数料
- 保証料
- 印紙税
- 抵当権設定のための登録免許税
- 司法書士報酬
- 火災保険料(すでに加入している保険の継続も可能)
- 団体信用保険の保険料(プランや特約によって追加費用がかかることもある)
金利の低さに飛びついて住宅ローンの借り換えをしたけれど、借り換え手数料などの諸経費でかえって出ていくお金が増えてしまったというケースもあります。住宅ローンの借り換えを考える際は、こうした費用まで考慮して総返済額を減らすことが可能かどうか、丁寧にシミュレーションすることが大切です。
将来的に返済総額がアップする可能性も
住宅ローンの借り換えが、必ずしもお得な結果になるとは限りません。金利の上昇は予測が不可能なため、かえって損をしてしまうケースも考えられます。固定金利の住宅ローンから金利が低い変動金利の住宅ローンへ変更して一時的に返済額が下がったとしても、将来的に金利が上がり、総返済額がアップする可能性があることは理解しておきましょう。
変動金利で住宅ローンを組んでいる方でこうしたリスクが気になる方は、固定金利を選ぶ手段もあります。
住宅ローンを借り換えるおすすめのタイミング
住宅ローンの借り換えは、タイミングを逃すと条件の良い金利で借り入れることができない、審査がスムーズに進まない、といったことになりかねません。
住宅ローンの借り換えにおすすめのタイミングを5つご紹介しましょう。
固定金利期間が終わるとき
固定金利で住宅ローンを組んでいる方は、金利の優遇期間が終わる時期が借り換えのタイミングとしておすすめです。優遇期間が適用されたプランの場合、借り入れ当初の適用金利が優遇期間の終わりとともに上がるケースがほとんどのため、借り換えたほうが金利上昇による負担を軽減できる場合があります。
固定金利10年の住宅ローンなどは、固定の金利が終わるタイミングで金融機関から通知が届くので参考にしましょう。
変動金利の返済額を見直すとき
変動金利で住宅ローンを組んでいる方は、金利の見直しが行われる時期が借り換えのタイミングとしておすすめです。変動金利の住宅ローンは、金融機関の判断で金利の見直しが行われます。返済額の通知などを確認して、金利がこれまでよりも上がっているようであれば、借り換えを検討しても良いでしょう。
転職や減収する前
転職を予定している方や減収することが分かっている方は、その前が住宅ローンの借り換えとして適したタイミングです。
住宅ローンの借り換えでは、新規で住宅ローンを組む場合と同様に審査で返済能力があるかどうかが判断されます。その際に、多くの金融機関で重視されているのが勤続年数と年収です。勤続年数の短さや収入の少なさが住宅ローンの審査結果に影響するケースがあるため、住宅ローンの借り換えを検討している方は、転職や収入が減る前に手続きを進めたほうが良いでしょう。
減収の前にローンの借り換えをすることは、家計の負担を減らすためにも重要です。共働きで夫婦いずれかが仕事を辞める、残業手当がなくなる、といったタイミングはローンの返済が厳しく感じる時期でもあります。そういった変化を見越して早めに住宅ローンを切り替えておくと、暮らしへの影響を最小限におさえることができるかもしれません。
条件の良い住宅ローンを見つけたとき
条件の良い住宅ローンに出合ったときも、借り換えのタイミングといえるでしょう。各金融機関では、時代や時期に適した住宅ローンを提供しています。そのため、当初組んだ住宅ローンが常にベストであるとは限りません。
時代の流れとともに、初めて住宅ローンを組んだときにはなかったキャンペーンや好条件の住宅ローンが登場するケースもあるため、適時シミュレーションをして借り換えを検討してみましょう。
例えば、「セゾンのフラット35(保証型)借換え」は保証人・保証料なしで、全期間固定金利で借り入れができます。団体信用生命保険への加入は任意です。なお、セゾンの住宅ローンサイトでは気軽に現在のローンとの比較シミュレーションができるため、ぜひ参考にしてください。
借り換えシミュレーションはこちら:セゾンのフラット35
健康状態が良いとき
住宅ローンの借り換えは、健康状態が良好なタイミングに行いましょう。住宅ローンの借り換えでは原則として団体信用生命保険の加入が必要です。しかし、健康状態が思わしくない場合は団体信用生命保険に加入できず、借り換えが叶わないことがあります。そのため住宅ローンの借り換えは、ぜひ健康状態に不安がないときに検討しましょう。
住宅ローンを借り換えるときの注意点
住宅ローンを借り換える際は、タイミングをおさえて行う他にも気をつけておきたいポイントがあります。金利だけで判断して思わぬ損をしないよう、ぜひ注意点もご確認ください。
住宅ローンを借り換えるシミュレーションを行う
住宅ローンの借り換えにおいて得をするためには、シミュレーションが不可欠です。金利の低さや単月の返済額だけで判断してしまうと、借り換えによる効果が薄れることがあります。
その際は、住宅ローンの残高や残年数を考慮しましょう。冒頭でご説明したように、一般的に金利差が大きく、元金の残高が多く、返済期間の残りが長いほど減らせる利息が多くなり、総返済額を減らすことができる可能性が高まります。
ただし、住宅ローン契約者の年齢によっては注意が必要です。返済期間が長いことがひとつのポイントですが、60歳以降も返済が続くようなプランは家計を圧迫しかねません。退職金や貯蓄、年金でやりくりができるかどうか、しっかりとシミュレーションを行いましょう。
「住宅ローン借り換えのデメリット」の項でご紹介したように、事務手数料や保証料、印紙税や抵当権設定のための登録免許税、司法書士報酬などを考慮することも大切です。
ご自身にぴったりの住宅ローンを選ぶためには、一度専門家に相談してみるのも良いかもしれません。
「住宅ローンの相談窓口」では、お客様のご希望に沿った住宅ローンをご提案しています。金利タイプ・返済年数・保険などさまざまな条件から商品を選定し、お申し込み・審査・融資実行までをご支援します。住宅購入を検討されている方は、お気軽にご相談ください。
控除が受けられるように借り換える
住宅ローン控除の適用期間が残っている状態で借り換えを行う場合は、返済期間に注意しましょう。住宅ローン控除を受けるには、ローン返済期間が10年以上あることが条件です。そのため、借り換えで返済年数が10年未満になるようであれば、住宅ローン控除をそれまでのように受けることができなくなります。
金利メリットが大きい住宅ローンに借り換えても、住宅ローン控除の適用外となることで効果が薄れてしまうことがあるため気をつけましょう。
繰り上げ返済手数料も確認しておく
住宅ローンを借り換えるということは、現在の住宅ローンを繰り上げ返済するということになります。そこで注意したいのが繰り上げ返済手数料です。
繰り上げ返済手数料の有無は金融機関によって異なり、50,000円を超える金額が設定されているケースもあります。必ず事前にこの金額を把握し、新たに借り換える住宅ローンの事務手数料や保証料などでかかる費用と合わせて計算したうえで、借り換えすべきかどうかを判断していきましょう。
おわりに
住宅ローンを借り換えるタイミングとしては、現在のローンの金利が上がる、転職や減収の予定がある、低金利のローンに出合えた、といったときがおすすめです。
シミュレーションをしてみて、繰り上げ返済手数料や新たなローンを組む際の手数料などを差し引いてもお得であれば、前向きに借り換えを検討してみましょう。住宅ローンの借り換えは、団体信用保険や返済額・期間を見直す機会にもなります。