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自分で相続登記をやる場合の手順と費用を徹底解説!こんなときは自分でできるケースとは?

相続登記を自分でやった方も!手順や向いている方をご紹介
セゾンのくらし大研究 編集部

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自分で相続登記をやる場合の手順と費用を徹底解説!こんなときは自分でできるケースとは?

相続登記とは、不動産の所有者が亡くなった場合に不動産の名義を相続人に変更し、新しい所有者を明確にするための手続きです。しかし「相続登記の手続きの手順は?」「相続登記は自分でできる?」など、疑問を抱いている方も少なくないでしょう。そこで、このコラムでは相続登記について詳しくご紹介します。相続登記を自分で行う場合の手順や、自分でできる方と専門家に相談したほうが良い方の違いなど、まとめてチェックしていきましょう。

相続登記は、必要な書類を集めて申請すると自分でもできる手続きです。ただし、条件によっては、書類を集めるために何度も役所に通い、時間と労力が必要になるケースもあります。

そのため、根気強く対応できる力がある方であれば、自分で手続きするのもおすすめです。また、書類の取得先である市区町村役場や法務局は平日のみ対応なので、平日に動ける方にも向いているでしょう。

その他にも、基本的な相続登記のパターンの方なら、手続きが複雑化しないため、自分で対応しても良さそうです。反対に、相続した不動産が遠方にある・イレギュラーな相続・保存期間を過ぎた書類がある・相続人同士の関係性が悪い・正確かつ手早く登記を終えたい方などは、専門家に相談した方がスムーズでしょう。

相続登記とは

相続登記とは

相続登記とは、土地や建物の所有者が亡くなった場合に、それらの遺産を引き継ぐ方に名義を変更する手続きのことです。正式には「相続による所有権移転登記」で、2023年1月時点では相続登記を必ずしなければならない法律はありません。しかし、相続登記をしないと不動産取引が円滑に行えない、災害時の復旧復興が進まないなど、さまざまな問題が生じる場合があるため注意が必要です。

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相続手続きサポート
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2024年4月1日から相続登記が義務化に

所有者が不明の土地は、管理をするのも利用するのも難しいため、問題視されていました。そこで、所有者不明の土地をなくそうという流れから民事基本法制の見直しが行われ、2024年4月1日から民法等の一部を改正する法律が成立しています。今回の改正により、相続登記や住所などの変更登記の義務化に加え、それに伴う負担軽減策などが導入される内容になっています。

相続登記の大まかな流れ

相続登記は、必要な書類を集める・不動産の分け方を決める・申請書を作成する、の3つのステップに分けることができます。専門家である司法書士に依頼するという考えもありますが、全ての登記に関して個人での対応も可能です。

自分で相続登記をやる場合の手順とは

先ほどの項目でも触れたように、相続登記は自分で行うこともできます。しかし、どのような手順で相続登記を行えば良いのか、分からない方も少なくないはずです。そこで、ここからは、相続登記を自分で行う場合の手順を詳しくご紹介します。

手順1|相続登記に必要な書類を集める

まずは、相続登記の中で、どのようなケースでも必要な書類についてです。

被相続人(亡くなった方)死亡から出生までの戸籍謄本

相続登記では、相続人が誰なのかをはっきりさせるために、亡くなった方の出生時から死亡時までの戸籍を集める必要があります。出生からの戸籍を調べることで、隠し子の有無を確認し、相続人を確定することができるのです。

亡くなった方の戸籍は、本籍地のある市町村役場に請求できます。ここで、転籍や婚姻などで本籍が変更されている場合は、前の本籍地へ請求する必要もあるので注意が必要です。例えば、遠方に本籍がある場合は、定額小為替を使用し、郵送でのやり取りを行うことも可能。しかし、各市区町村によって申請の方法は異なるので、事前に確認をしてから申請作業を行うとスムーズでしょう。

亡くなった方の戸籍の取得料金は、1通につき750円が必要になるため、全ての書類を揃えると2,000~3,000円程度かかるのが一般的。しかし、遺言書が残されている場合は、死亡時の戸籍のみで対応可能です。

相続人の戸籍謄本

相続人が生きているかどうかを確認するために必要な書類が、相続人の戸籍。相続人の戸籍は、相続人の本籍地のある市町村役場に請求をします。しかし、相続人の配偶者や子どもも同じ戸籍に入っている場合には、被相続人の戸籍があれば不要です。相続人の戸籍の取得料金は、1通450円が必要になります。ただし、遺言書が残されている場合には、相続人の戸籍は必要ありません。

また、亡くなった方に子どもがいない場合などは、亡くなった方の親や兄弟姉妹の出生から死亡までの戸籍が必要になることもあります。このような場合には、何ヵ所かに戸籍を請求する必要があるので、大変なケースもあることを覚えておきましょう。

被相続人の住民票の除票

住民登録が死亡によって抹消された住民票のことを、住民票の除票と呼びます。住民票の除票は、住民登録をしていた方が亡くなったことが事実だと証明し、亡くなった方が死亡時に住んでいた住所を確認するために必要な書類です。

通常の住民票の書面の右上に、除票と印字されており、氏名・生年月日・住所に死亡年月日が記載されています。通常の住民票と同じく、最後に住んでいた住所地の市町村役場で取得可能です。住民票の除票の取得料金は、1通300円です。

ただし、記載内容を確認した際に、登記上の住所と死亡時の住所が一致しなかった場合には、戸籍の附票を代わりに取得することになります。

不動産相続人の住民票

登記相続の対象となる不動産を相続する方の住民票も必要です。不動産を取得するにあたり、住所の確認をするために必要な書類ですが、必ず本籍地の記載があるものを取得しましょう。不動産を相続する方の住民票も住民登録をしている市町村役場で取得でき、取得費用は1通当たり300円です。

また、不動産を取得しない他の相続人に関しては、住民票を取得する必要はありません。

固定資産評価証明書

固定資産評価証明書

不動産を相続する方は、固定資産税評価額×0.4%の登録免許税を納める必要があります。登録免許税を計算する基になる、固定資産評価額を確認するために必要になるのが、固定資産評価証明書です。

固定資産評価証明書は、東京23区内にある不動産の場合は各都税事務所、東京23区外にある不動産の場合は市町村役場で取得することができます。固定資産評価証明書の取得費用は自治体や取得方法によって異なりますが、1通当たり200~400円が目安です。

登記事項証明書

登記相続の対象となる不動産の登記事項証明書は、不動産がどのように登記されているのか確認するために必要になります。また、最後に登記申請書を作成する際に、記入方法を確認するためにも必要になる書類です。登記事項証明書は、法務局の窓口や郵送による交付請求だけでなく、オンラインで取得することもできます。

登記事項証明書の取得費用は、窓口の場合手数料600円です。オンラインで請求し郵送受け取りになると手数料が500円、最寄りの登記所や法務局証明サービスセンターで受け取る場合は、手数料が480円でお得になります。窓口の業務取扱時間は平日の17時15分までなのに対し、オンラインでは平日の夜21時まで対応可能です。

手順2|不動産を「誰が」「どの程度」引き継ぐか決める

登記相続の対象となる不動産は、分け方を決める必要がありますが、どのようなステップで進めるのかわからないという方もいるでしょう。登記相続の対象となる不動産の分け方は、遺言書に沿って分ける方法と遺産分割協議によって分ける方法の2パターンになります。ここからは、それぞれの分け方を詳しく見ていきましょう。

遺言書に沿って分ける方法

まずご紹介するのは、遺言書に沿って分ける方法です。亡くなった方が有効な遺言書を作成していた場合は、遺言書に書かれた内容に従って遺産を分けていきます。そのため、不動産の分け方について相続人同士で話し合う必要はありません。しかし、遺言書の内容によっては、遺留分に注意しながら分ける必要があります。

例えば、特定の相続人に被相続人の財産を取得させるのは自由ですが、被相続人の兄弟姉妹以外の相続人である遺留分権利者が存在する場合もあるでしょう。このような場合には、遺言書の内容に関わらず、被相続人の財産から遺留分権利者に対して、最低限の財産の取り分を確保するための遺留分制度があります。

遺産分割協議によって分ける方法

次にご紹介するのは、遺産分割協議によって分ける方法です。相続人同士が話し合いを行い、誰が相続登記の対象となる不動産を引き継ぐかを決める方法で、こちらの方が一般的です。遺産分割協議を行う場合の流れは以下のとおりです。

  1. 相続人同士で相続登記の対象となる不動産を含む遺産の分け方を話し合う
  2. 話し合いで分け方が決まったら、分け方の内容を反映させた分割協議書を作成
  3. 分割協議書に相続人全員の署名と実印を使用して捺印(※実印との照合を行うため、相続人全員の印鑑証明書も必要)
  4. 3までの手順が完了したら、相続登記の申請書を作成し、必要書類を添付して提出し登記完了

遺産分割協議によって作成された分割協議書は、相続人全員が各々で所持しておきます。

手順3|相続登記の申請書を作成する

相続登記に必要となる申請書のひな型と記載方法に関しては、法務局のホームページに掲載されていることが多いです。申請書にはいくつか種類があり、相続のケースに応じたものを選ぶ必要があります。相続において代表的なケースは、遺言書に沿って分ける場合と遺産分割協議によって分ける場合の2種類です。ここからは、それぞれの相続のケースについて確認していきましょう。

遺言書に沿って分ける場合

遺言書に沿って分ける場合

遺言書に沿って分ける場合には、所有権移転登記申請書(相続・公正証書遺言)、所有権移転登記申請書(相続・自筆証書遺言)のいずれかを選ぶ場合が多いです。

遺産分割協議によって分ける場合

遺産分割協議によって分ける場合には、所有権移転登記申請書(相続・遺産分割)を使用します。

相続登記を自分でできる方とは

相続登記は、手間や労力が必要になるため、忙しい方には難しい可能性が高いです。さまざまな書類の申請や作成などが生じるため、相続登記を自分で行うには根気強く対応する力が必要になります。また、書類の申請などでは、平日のみ対応の市区町村役場や法務局に行く必要があるため、平日日中に動ける方でなければ対応できない可能性が高いです。

また、相続人が配偶者と子どものみの場合のように、基本的な相続登記のパターンであれば、自分で行うことを検討しても良いでしょう。必要な戸籍などについてもそこまで複雑化しないはずです。

相続登記を専門家に相談したほうが良い方とは

相続登記を専門家である司法書士に依頼する場合には、50,000~100,000円程度の費用が発生し、手続きが複雑な場合はさらに費用がかさむ場合もあるでしょう。しかし、中には費用を払ってでも、相続登記を専門家に相談した方が良い方もいます。

例えば、相続した不動産が遠方にある方やイレギュラーな相続が発生する場合、または保存期間を過ぎた書類がある場合や相続人同士の関係性が悪い方のような場合です。ここからは、それぞれの場合の詳しい内容をご紹介します。

相続した不動産が遠方にある方

居住地と相続不動産の所在地が離れている場合は、手続きに支障が生じる可能性が高いです。遠方にある不動産ということで、評価額の判定や、法務局での手続きなどに難しさを感じる場合があるでしょう。

イレギュラーな相続が発生する方

兄弟姉妹の相続や代襲相続、特殊な遺産分割を行うなど、イレギュラーな対応が求められる場合は専門的な知識がないと対応できないため、プロに依頼することを検討した方が良いでしょう。このような場合には、集めるべき戸籍の数が多くなるだけでなく、複雑さも増していくため、戸籍収集の難易度が高くなってしまうためです。

保存期間を過ぎた書類がある方

保存期間を過ぎた書類がある方

相続登記に必要な書類の中には永久保存ではないものもあるため、すでに破棄されている書類がある場合は注意が必要。このように保存期間を過ぎた書類がある場合は、さらに多くの書類が必要になり、間違いがないか法務局とのすり合わせなども発生するため、専門家へ依頼をした方が賢明でしょう。

相続人同士の関係性が悪い方

複数の相続人がいる際には、関係性が悪いことによって必要書類の収集の分担なども難しく、必要書類が集まらないケースも多いです。このように、非協力的な相続人がいる場合には、遺産分割協議も進まない可能性が高いため、専門家へ依頼をする方が良いでしょう。

正確かつ手早く登記を終えたい方

催促をされている場合や相続した不動産をすぐに売却したい場合など、相続登記を早く終わらせなければならない方は、専門家へ依頼するのがおすすめです。

そうぞくドットコム不動産では、必要な書類を代行で取得・申請書類一式を自動作成・全国の法務局へ郵送するなどのサービスを低価格で行っています。

各市区町村から戸籍謄本一式や住民票、不動産の固定資産評価証明書などの必要書類の代行取得が可能なうえ、「誰が相続するのか」などの入力を行うだけで申請に必要な書類が自動作成されるため、簡単に依頼ができるといった内容が好評です。法務局へ郵送する際には、完了書類の受け取りに必要になる返信用封筒や発送用のレターパックなどの備品も用意してもらえるので、手早く相続登記を行う方法のひとつとして検討されてみてはいかがでしょうか。

参照元:そうぞくドットコム不動産 

おわりに 

相続登記は、建物や土地の所有者が亡くなった際に、建物や土地の名義を亡くなった方から遺産を引き継ぐ相続人に変更する手続きのことです。現在は、相続登記を必ずしなければばらない決まりはありません。しかし、相続登記をしないままだと不動産の売却がすぐできないなど、さまざまな問題が発生することが懸念され、2024年4月1日からは相続登記の義務化が決定しました。

相続登記を行う際には、必要な書類を集めることからスタートし、不動産の分け方を決めた後に、申請書を作成する必要があります。ご自身で対応する場合も専門家に依頼する場合も、まずはご自身の相続登記の状況を把握することが大切です。

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