台風や集中豪雨の季節になると、悩みの種のひとつとして挙げられるのが雨漏りです。雨漏りが起こると室内にさまざまな不具合が起こります。加えて修理・修繕の費用はいくらかかるのか、どこに頼めば良いのかなど、さまざまな不安を感じやすいものです。
この記事では雨漏り修理費用の相場や応急処置方法、事業者を選ぶ際のポイントをご紹介します。雨漏りが発生したらできるだけ早く手を打ち、早期解決を目指しましょう。
雨漏り修理の費用相場
雨漏りの修理には、雨漏りの原因となる場所や範囲、劣化具合などによって費用相場は50,000~300,000円と幅があります。
修繕する範囲や場所によっても費用相場は前後しますが、雨漏り場所ごとでは以下がおおよその費用相場になります。
雨漏りしている場所 | 費用相場 |
屋根の補修 | 50,000~200,000円 |
屋根の全面修理 | 600,000~2,000,000円 |
天井 | 50,000~100,000円 |
外壁 | 100,000~500,000円 |
ベランダ | 30,000~200,000円 |
窓枠・サッシ | 30,000~250,000円 |
屋上 | 200,000~1,000,000円 |
他にも屋根や外壁など大規模な修理が必要となる場合は、その足場代として別途費用(大体150,000~200,000円)がかかるため注意しましょう。
続いて、雨漏り修理の費用相場を場所別に詳しくご紹介します。
屋根の雨漏りを補修するときの費用相場
屋根は台風や波風の塩害、経年劣化によって、雨漏りが深刻化するケースが多い箇所です。屋根の補修が必要なのは、主に以下のような状態です。
- しっくい部分の劣化
- 瓦のズレ
- ヒビや破損
- コケやサビの発生
- 腐食
補修範囲や補修で用いる材質・材料によって、金額は大きく異なります。
工事内容ごとの費用相場は、以下のとおりです。
工事内容 | 費用 | こんな状態のときに |
コーキング補修 | 50,000~200,000円 | 屋根の一部に軽度のひび割れがある |
谷どいの撤去・交換 | 80,000~200,000円 | 経年劣化で銅板が腐食してしまった |
棟板金の交換 | 30,000~200,000円 | ・経年劣化でクギが抜けてしまった ・塗装のメンテナンスが近い |
瓦のズレの修理・差し替え | 10,000~50,000円 | ・破損や浮き、ズレが見られる ・経年劣化でしっくいがはがれてしまった |
ルーフィング/下地の補修・張り替え | 50,000~300,000円 | メンテナンス時期の10年たっている |
屋根全体交換(重ねぶき/ふき替え) | 600,000~2,000,000円 | ・広範囲にわたるひび割れ・欠けがある ・屋根が柔らかくなってきた |
材料ごとの費用相場は、以下のとおりです。
材料名 | 費用相場 |
ガルバリウム鋼板 | 6,000円(1㎡当たり) |
コロニアル・カラーベスト | 4,500~6,000円(1㎡当たり) |
アスファルトシングル | 3,500~6,500円(1㎡当たり) |
日本瓦・陶器瓦 | 9,000~16,000円(1㎡当たり) |
ガルバリウム鋼板
価格面・性能面から人気が高い、金属製の屋根材です。
耐用年数が30年から40年と長く、防水・防火性に優れているのが特徴です。耐震性も高い屋根材でありながら、軽量のため費用相場が6,000円/㎡と、ほかの素材と比較して費用面が安く抑えられやすい点がメリットです。
一方断熱性・遮音性が低いといったデメリットもあります。必要に応じて断熱材・遮音材を併用すると良いでしょう。
コロニアル・カラーベスト
現在日本での新築住宅で一番多く使用されている屋根材です。色やデザインの選択肢も幅広い上に安く、耐用年数が25〜30年ある点がメリットです。最もポピュラーな屋根材のため、施工可能な事業者が多いことも特徴として挙げられます。
デメリットは強度や耐久性が低い点で、5~10年ほどで劣化し、割れることもあるといわれています。気温差が大きい地域の場合は屋根材が反り返りやすくなるため、より劣化が早い傾向にあります。そのため、最低でも10年に一度はメンテナンスが必要です。
屋根材自体は低価格ですが、継続的にメンテナンスが必要な点を考えると、意外と手間とお金がかかる屋根材ともいえるでしょう。
アスファルトシングル
日本では直近10~20年ほど前から使われ始めた、比較的新しい屋根材です。
防水・防音性が高く、耐用年数は20〜30年と耐久性にも優れています。継ぎ目がないことからふき替え時にクギが不要のため、水が浸入しにくい屋根材です。しかしクギを使用せず、接着剤で張り付けるシート状の素材のため、台風など強い風が吹き付けると、はがれやすく、風に弱い点がデメリットとして挙げられます。
一部がめくれるだけでも、そこから徐々に全体的にはがれやすくなるため、5年を目安に定期的に点検を行う必要があります。
日本瓦・陶器瓦
新築の家屋ではあまり見られなくなりましたが、伝統的な日本家屋によく用いられている屋根材です。
50年以上もつとされる長い耐用年数が最大のメリットで、条件によっては100年以上もつこともある、非常に長持ちする屋根材です。
日本瓦は再塗装を行う必要がないことから、ほかの屋根材と比較するとメンテナンスにかかる費用が少ないのも、メリットとしては大きいでしょう。ただし屋根材自体が高額で重たい素材のため、家の耐震性が低下しやすい点がデメリットです。家の設計によっては、日本瓦が使えない場合もあります。
雨漏りのために屋根を全面修理するときの費用相場
雨漏りにより屋根全体を全面修理する場合、「重ねぶき」と「ふき替え」の二つの方法があります。
- 重ねぶき:既存の屋根材を金属屋根でカバーする方法。カバー工法とも呼ばれる。
- ふき替え:すでにふかれている屋根材を撤去し、新しいものに替える方法。
屋根の全面修理では、屋根材や外壁材を水分やホコリから保護するために屋根の塗装も併せて行うことが一般的です。そのため全面修理を行うには、補修費用に加えて足場代などの諸経費もかかってきます。
費用相場は以下のとおりです。
工事内容 | 費用相場 | メリット・デメリット |
ふき替え | 500,000~2,000,000円 | ・屋根の下地木材を直せる ・建物の耐震性を下げない ・工事費用が高い ・廃材が出る |
重ねぶき(カバー工法) | 700,000~1,500,000円 | ・撤去廃材処分費用がかからず、コストを抑えられる ・リフォーム工事期間が短く済む ・屋根が重くなる ・劣化が激しい場合は向いていない |
屋根の塗装 | 300,000~900,000円 | ・防水性を高める ・カビやコケ対策 ・次のメンテナンスまでの期間が短い |
天井の雨漏りを補修するときの費用相場
雨漏りにより天井が腐食しているのを発見したら、すぐに天井板の交換工事を依頼しましょう。そのまま放置すると腐食が進み、天井が落ちる恐れもあるため大変危険です。
天井補修は、天井のクロスの張り替えに加え、下地の石こうボード交換が主な内容です。ただし天井下地材まで腐食していた場合は、さらに費用がかかります。
費用相場は以下のとおりです。
工事内容 | 費用相場 |
天井の張り替え+下地の石こうボード交換 | 100,000~150,000円(20㎡当たり) |
材料ごとの費用相場は、以下のとおりです。
材料 | 費用相場 | こんな状態のときに |
壁紙クロス | 50,000~80,000円 | 雨漏りによるシミや破れ |
石こうボード | 50,000~80,000円 | ・雨漏りにより強度が下がる ・雨漏りによりカビが発生した |
壁紙クロスは、台風や雨により屋根や外壁などが破損した時に張り替えます。破損場所から雨水が入ると、侵入した雨水が屋根裏を通って室内に染み出します。次第に、天井のクロスや天井板まで雨水が侵入し、シミやカビが発生する原因になります。
石こうボードは、頻繁に水分を含むと劣化が進む材料です。劣化の初期症状としては、カビやたわみなどが挙げられます。もしカビやたわみを発見したら、悪化させる前にすぐに雨漏り処置を行いましょう。
ただし石こうボードを変える場合は壁紙クロス単体とは異なり、別途クロスの張り替え費用がかかりますので注意しましょう。
外壁の雨漏りを補修するときの費用相場
外壁のヒビ割れやコーキングの劣化した部分などから、雨水が室内へ侵入することも珍しくありません。
外壁のコーキングやヒビ割れの部分補修であればそこまで費用はかかりませんが、コーキングをしっかり打ち替えたい場合には多少の費用がかかるでしょう。
外壁の雨漏り補修の場合は屋根とは異なり、塗装で解決できるケースがあります。サイディングなどの外壁材全体が劣化している場合には、張り替えが一般的です。もし重ね張りが必要な場合は、さらに別途費用がかかります。
費用相場は以下のとおりです。
工事内容 | 費用相場 | こんな状態のときに |
コーキング・ヒビ割れ補修 | 50,000~100,000円 | ・コーキング上の塗装にひび割れがある ・コーキング自体にひび割れがある |
コーキングの打ち替え | 100,000~500,000円 | ・経年劣化したコーキング材を取り替える |
外壁塗装 | 600,000~1,600,000円 | ・防水性が切れてしまうため ・築10年が目安 |
外壁全体の張り替え/重ね張り | 120,000~3,000,000円 | ・外壁の色あせ ・チョーキング ・塗膜のふくれ・はく離 ・サイディングなどの外壁材全体が劣化している |
ベランダの雨漏りを補修するときの費用相場
ベランダは直接強風雨を受けるため、雨漏りしやすい場所です。また建物から張り出している構造上、雨の影響を受けやすくなっています。
その結果、防水シートの破損や経年劣化、窓周囲のコーキング施工不良など、外壁の接合部分が劣化し隙間ができ、雨漏りするケースが多いです。また排水溝が詰まったことで水がベランダにたまり、防水加工が弱まったことで雨漏りが発生する場合もあります。
費用相場は以下のとおりです。
工事内容 | 費用相場 | こんな状態のときに |
部分的な修理・シーリング | 50,000~150,000円 | ・シーリングの寿命は、約5〜10年 ・ひび割れなどの劣化症状が見られる |
床の防水層の修理・下地の改修 | 150,000~500,000円 | ・メンテナンス時期は約10~15年前後 ・色あせてきた ・ひび割れてきた ・はがれている |
窓・サッシの雨漏りを補修するときの費用相場
窓やサッシに関する雨漏りは、ほとんどがコーキングの劣化によるものです。コーキングで簡単に隙間を埋めるだけで解決する場合が多いですが、壁・屋根のいずれかが破損していると、コーキングを埋めるだけでは解決しにくいでしょう。
費用相場は以下のとおりです。
工事内容 | 費用相場 | こんな状態のときに |
窓のコーキング補修・窓枠の補修 | 30,000~250,000円 | ・老朽化し隙間ができている場合 ・コーキングの劣化 |
雨漏り原因を調査するときの費用相場
雨漏り修理を行う際、必ず雨漏りの原因を突きとめるための事前調査を実施します。事前調査なしでは雨漏りの原因が突き止められず、適切な工事が行えません。
雨漏りの原因や被害レベルは家自体や周辺環境によって大きく異なりますが、事前調査を行うことで適切な修理が実施でき、雨漏り再発防止につながります。
雨漏り修理における事前調査の費用相場は、内容別に示すと以下のとおりです。
調査内容 | 費用相場 | こんな状態のときに |
散水調査 | 50,000~350000円 | 雨漏りの原因を特定したいとき |
発光調査 | 50,000~250,000円 | 屋根裏などの暗い室内で雨漏りしているとき |
サーモグラフィー | 100,000~500,000円 | 上記の調査で発見できなかったとき |
内側確認 | 50,000~150,000円 | 外からわからない内側の浸入場所を探るとき |
雨漏りの修理が終わるまでの期間
基本的に雨漏りの修理を行っている間も、家で通常通り暮らせます。ただし、屋根や外壁などを修理する場合は足場台が必要なため、修理期間中は足場台が家の周りに敷かれることになります。
隣家との間や庭に充分なスペースがなく足場を組みにくい、屋根が急な勾配で作業が行いにくい、作業車用の駐車スペースがないといった場合は、修理期間が延びることがあるため注意しましょう。
工事期間の目安は以下のとおりです。
工事・リフォーム内容 | 目安期間 |
屋根からの雨漏り | 1日~3日(軽度)、1~2週間(中~重度) |
天井(屋内)の雨漏り | 3日~1週間 |
ベランダからの雨漏り | 1日~5日 |
外壁からの雨漏り | 3日~1週間(軽度)、2週間(中~重度) |
窓・サッシからの雨漏り | 1日~3日 |
雨漏りをしたときの対応
雨漏りが内部にまで及ぶと、壁や天井などの内装にまで影響を与えます。放置していると、どんどん家の中に雨漏りが進行するため、発見次第、迅速な対応・処置を施しましょう。
とはいえ修理を頼んでも、実際に施行が始まるまで少し時間があくケースもあるでしょう。それまでの間、雨漏りの進行を少しでも食い止めるために、簡単な応急処置を行うことをおすすめします。
では雨漏りした際の応急処置方法についてご紹介します。
まずは応急処置
雨漏りはシミができた程度の初期段階に修理すると、費用が大幅に抑えられます。しかしそのまま放っておくと、柱や下地などの広範囲にわたってダメージを与えかねません。
雨漏りのダメージが広範囲であるほど費用がかさむため、注意が必要です。そこでご自身で簡単に行える、雨漏りの応急処置方法をご紹介します。
ビニールシートをかぶせる
ブルーシートは、余裕を持って少し大きめのものを用意しましょう。ビニールシートを屋根にかぶせる作業は危険が伴いますので、2人以上での作業をおすすめします。
防水テープをはる
防水テープはホームセンターなどで気軽に購入できるため、最もコストが抑えられる方法です。しかし紫外線の影響から劣化し、はがれやすく長持ちはしませんので注意しましょう。
コーキング材で隙間をケア
修理を行う事業者が使う素材ということもあり、隙間を埋められれば高い効果が期待できます。しかし使用方法が難しく、失敗すると逆効果になる恐れもあります。
その場合、あとからコーキング材を除去する手間が増える可能性が発生し、より高い費用がかかることもありますので注意しましょう。
バケツやタオルで床への被害を軽減
雨漏りが床まで浸透すると、修理範囲が広くなり、修理に時間がかかる恐れがあります。そのため滴り落ちようとする水滴はバケツやタオルで吸収し、床への被害を少しでも減らしましょう。
また雨漏り付近にある家電からの感電を防止するためにも、家電の電源はすぐに抜くことをおすすめします。
雨漏り箇所の撮影
雨天時に雨漏りした場合は、晴れると雨漏りが止まることがあります。正確に屋根事業者が雨漏り箇所を把握できるよう、雨漏りを発見したら写真や動画を撮影しておくようにしましょう。
業者や管理会社への連絡
雨漏りが発生したら管理会社や雨漏り修理事業者などにすぐさま連絡をしましょう。
以下は、住居タイプ別の連絡先一例です。
住居タイプ | 連絡先 |
賃貸 | 貸主(大家)、管理会社 |
分譲マンション | マンションの管理組合 |
持ち家(築10年以内) | ハウスメーカー(売主) |
持ち家(築10年超) | 雨漏り修理事業者 |
築10年超の持ち家の場合、経年劣化に対する保証は基本的にありません。
ただし自然災害が原因による雨漏りであれば、火災保険が適用可能な場合もあります。
火災保険では、風災や雪害といった自然災害で生じた被害に対する補償が受けられます。しかし保険会社の審査前に雨漏りの修理を行うと、保険が適用されなくなる場合があるため注意しましょう。
賃貸物件のときは誰が修理費用を負担?
賃貸物件で雨漏りが起きた時の修繕費用が自己負担になるのは、雨漏りの原因がご自身にある場合です。
極端な例ではありますが、賃貸住宅の屋根にボールが乗り、そのボールを取るために屋根に上がった結果屋根が抜けて雨漏りになったのであれば、当然修理費用は自己負担になります。
とはいえこのような場合は例外的ですので、賃貸物件における雨漏りの費用は貸主側の負担となることが一般的です。
雨漏りは自分でDIYをするのはおすすめしない
雨漏りの修理を自身で行うには、まず雨漏りの原因となっている場所の特定が必要です。しかし家の外側から簡単に原因箇所があることは少なく、ご自身で特定するのは難しいでしょう。
もし運よく雨漏りが止まっても、下地や防水層に雨水が侵入していた場合、そのままにしておくとカビが発生して傷んでしまうこともあるため、できるだけ早く適切な処置を行うのが良いでしょう。
雨漏りのDIYは修理が十分に行えない可能性が高いため、あまりおすすめできません。どうしてもDIYで雨漏りを修理したい方は、先ほどご紹介した簡単な応急処置だけ行い、本格的な調査や修理は専門の企業や事業所に依頼することをおすすめします。
特に屋根などの高所での作業は、プロが足場を組んで作業をしても不慮の事故が発生するほど危険なため、ご自身で行うのは避けましょう。
雨漏りの修理費用を安く抑える方法
できるだけ雨漏りの修理費用を抑えるためには、雨漏りに気付いたらすぐに修理依頼をすることが肝心です。少しの雨漏りだからと修理を後回しにすると、放置すればするだけ雨漏りが進行し、結果的に修理費用が高くなる可能性があります。
他にも相見積もりや工事やリフォームをまとめて行ったり、 国や各自治体などの助成金・補助金を活用したりすることで、修理費用を安く抑えられるでしょう。
相見積もりは忘れずに
相見積もりを行うことで相場が把握できる他、複数社の費用が比較でき、適切な雨漏り事業者が選びやすくなります。
見積もりを頼む場合は企業や事業者が優良かどうかを判断するために、WEBサイトに実績や施工事例が掲載されているかをひとつの指標とするのも良いでしょう。
工事やリフォームをまとめて行う
屋根や外壁などの足場が必要なリフォームは、まとめて行った方がお得です。どちらも高所での作業となるため、別々のタイミングで行うとその都度足場を組む必要があります。
同時に工事やリフォームをまとめて行うことで足場代一回分が浮き、施行期間もまとめられるため無駄がありません。
助成金・補助金を活用
リフォームを行う際に国や自治体から助成金・補助金が支給されるケースは、耐震性向上を目的としたものと省エネを目的としたものの二種類に分かれます。
屋根の美観を図るといった上記二種類の目的に該当しないリフォームは、助成金・補助金の支給対象になりません。支給条件も自治体によって異なるため注意しましょう。
以下、助成金・補助金の支給対象となる屋根修理の具体的な事例をご紹介します。
国が実施している補助金・助成金
基本的にリフォーム工事は設備の交換や劣化部分の修復など、破損や劣化箇所を修繕するために実施されます。そのため国や自治体が定める条件を満たし、工事の実施が耐震性もしくは省エネ性向上に寄与すると認められる必要があります。条件やリフォーム例などは、各自治体のWEBサイトを一度チェックしてみましょう。
また事前に劣化した場所などの写真を撮影し、申請をしなければいけません。
リフォーム前の様子を示すために、劣化箇所の写真を撮影し提出が必要です。自治体は提出書類や写真から、該当工事が耐震力・省エネ向上の目的に沿っているかを判断します。施行内容や各種条件を修理事業者と相談し、自治体に申請を行って工事が始まるという流れが一般的です。
屋根修理の助成金・補助金は税金を元手に支払わるため、申請者本人に税金の未納や滞納のないことが最低条件です。税金の未納や滞納のある方は、まずは状況を改善してから申請しましょう。
主な国からの助成金・補助金制度は以下のとおりです。
名称 | 補助限度額 | 対象工事及び条件 |
長期優良化リフォーム推進事業制度 | 評価基準型:100万(150万)円/戸 認定長期優良住宅型:200万(250万)円/戸 | ・長期優良住宅化リフォーム工事 ・三世代同居対応改修工事 ・子育て世帯向け改修工事 ・防災性・レジリエンス性の向上改修工事 ・インスペクションの実施 ・リフォーム後の住宅が一定の性能基準を満たすこと |
省エネ改修補助事業 | 国が費用の1/3を支援:5.000万円/件 (設備改修に係る補助限度額は2.500万円まで) | ・省エネルギー改修工事に要する費用 ・エネルギー使用量の計測などに要する費用 ・バリアフリー改修工事に要する費用(省エネルギー改修工事と併せて行う場合に限る) ・省エネルギー性能の表示に要する費用 |
耐震診断・改修など補助制度 | 耐震診断: ・民間実施‐国と地方で2/3 ・地方公共団体実施‐国1/2 耐震改修: ・密集市街地など(防火改修含む)- 150万円 ・多雪区域‐120万円 ・その他‐100万円 | 耐震性が不十分であった場合 |
自治体が実施している補助金・助成金
自治体が実施している補助金・助成金も、国が実施しているものとほとんど条件は変わりません。ただし金額自体はあまり多くないため、国の補助金・助成金と併用できるかがポイントになってきます。
以下、一部地域自治体が実施している補助金・助成金をご紹介します。
名称 | 金額 | 条件 | 自治体名 |
リフォーム全般の補助金 | 工事費の5%(上限100,000円) | 屋根の防水工事や雨どいの修理を含むリフォーム全般 | 埼玉県富士見市 |
札幌市住宅エコリフォーム補助制度 | 総工事費(税抜)の10%か一戸当たり500,000円(複数戸の場合は、100万円) | 札幌市内の住宅(戸建て住宅、又は共同住宅の住戸部分) | 北海道札幌市 |
雨漏りの修理で火災保険は適用される?
雨漏りの修理で火災保険の補償対象になる条件は、契約内容や保険会社によって異なります。
被害を受けてから3年以内に申請が必要という場合が一般的です。修理費用が200,000円以上であれば支給、というようにかかった修理費用によって補償対象となるかが変わってくる場合もあるため、申請前に補償内容を確認しておきましょう。
火災保険が適用されるには、雨漏りの原因が自然災害によるものかが重要になってきます。経年劣化や人的な被害による雨漏りの場合は、火災保険が適用されませんので注意しましょう。
適用するための確認方法
- 保険会社、保険代理店に連絡する
- 保険会社から案内・書類が届く
- 損害状況の確認・書類に記入する
- 保険会社からの調査を受ける
- 保険会社から可否についての連絡を受ける
「予算をオーバーしそう…」と感じたときは
屋根部分だけでも、リフォームはそれなりに大きな資金がかかります。そのためリフォームには専用のローンが設けられています。利用できるローンは主に「住宅ローン」と「リフォームローン」の二種類があります。
とはいえ天井部分・屋根のリフォームだけであれば、リフォームローンで十分という方が多いでしょう。都市銀行をはじめ地方銀行でもリフォームローンが用意されていますので、気になる方は銀行窓口で相談してみることをおすすめします。
リフォームローンは手続きが簡単な上に住宅ローンに比べると審査がとおりやすく、申請結果が比較的早く出る点がメリットです。一方金利が住宅ローンに比べて高く、返済期間が短期で借り入れ可能な金額が少ないといったデメリットもあります。
セゾンのリフォームローンは、担保や保証人不要でWEBサイトから24時間365日手続き可能なうえ、最短二営業日で結果回答が受けられます。
悪質な業者には注意が必要
残念なことですが、リフォームや修理事業者のなかには悪質性の高い事業者も存在します。国民生活センターに寄せられた代表的な事例をご紹介します。
- 屋根の無料点検後、このまま放置すると雨漏りすると言われ高額な契約をさせられた。
- 豪雨で雨漏りし修理してもらったがさらにひどくなった。
引用元:自然災害にみる消費者トラブル-被災した住宅の修理トラブルから、便乗商法まで-
雨漏り修理の悪徳業者は、見えにくい屋根であることや雨漏りに関する知識が少ないことを利用し、巧みに不安をあおってきます。
事業者から不安をあおられると、早く解決して不安を取り除きたい心理が働きやすく、ほかの事業者を検討せずに工事を依頼してしまう方も少なくありません。悪徳業者に依頼しないためにも、悪徳業者特有の手口を見抜くコツ知っておくことが重要です。
特に以下の点に注意しましょう。
悪徳業者の特徴・見抜き方
- 訪問販売は悪徳業者の可能性が高い
- 過去の実績を確認する
- WEBサイトを確認する
- 見積書を確認する
- 契約書を確認する
どこに頼む?雨漏りの工事業者を選ぶ時のポイント
企業や工事業者に頼むときのポイント
- 初めての方は、家を建てた際に利用したハウスメーカーや工務店に依頼するのがおすすめです。家の中のことを熟知しているため安心して依頼できるでしょう。しかし、大手だと修理費が高額になる傾向が高いため注意が必要です。
- 瓦などの屋根材による雨漏りといったように原因が特定できている場合は、損傷箇所に専門性のある事業者に依頼しましょう。迅速かつ安価での修理が期待できます。
- リフォーム会社にも雨漏り修理を行っている企業がありますが、高額なリフォームを勧められる場合も少なくないため、あまりおすすめできません。
工事業者を選ぶ時に確かめたいポイント
- 現地調査や見積もりを細かく行ってくれる
- 建設業許可を持っている
- 依頼したらすぐに対応してくれる
- 修理費用が安い
- 居住エリアへ対応している
- 見積もり内容がわかりやすい
- 近所やWEBサイトで評判が良い
- 相見積もりをして比較検討して良い企業や事業者を選ぶ
- WEBサイトがわかりやすい
- 見積もりや出張費が無料
- 保障がついている
おわりに
ここまで雨漏りの修理における費用相場や工事を依頼する際のポイントをご紹介しました。少しでもお役に立てれば幸いです。雨漏りの箇所を放置しておくと、さらに状態が悪くなり雨漏りが進行しますので、発見したらすぐに適切な事業者に依頼を検討していきましょう。