家の中で雨漏りしていることに気付いたら、事業者に修理を頼むまでの間に何かできることはないのでしょうか。家の中に被害が及ぶ前に、なんとか行動しておきたいところです。
この記事では、ご自身でできる雨漏りに対する応急処置の方法や、逆に事業者に任せたほうが良いケース、修理の予算相場などを詳しく紹介します。
雨漏りしたときに自分でできる対処法
まずは雨漏りを発見した際に、修理を頼むまでの工程をまとめました。
- 雨漏りの発生源を確認する
- 発生箇所を撮影する
- ご自身でできる範囲の応急処置をする
- 修理事業者に連絡する
- 管理会社に連絡する
このうち修理事業者ではなく、現在の物件の所有者に連絡する際には、住居の形態によって連絡先が異なるため注意しましょう。
住居タイプ | 連絡する先 |
賃貸 | 貸主(大家)、管理会社 |
分譲マンション | 管理組合(契約書に記載) |
分譲マンション(共有部) | 管理組合(契約書に記載) |
持ち家(築10年以下) | ハウスメーカー(売主) |
持ち家(築10年超) | 専門事業者 |
また、持ち家のケースで築10年未満の新築物件の場合、「住宅品質確保促進法(品確法)」という法律において、「引き渡しから10年以内に雨漏りをはじめとした不具合が発生した場合、売主が負担しなければならない」と定められています。そのため、故意に発生させた不具合でなければ、売主負担として請求できる可能性があります。
雨漏りしたときの応急処置6選
雨漏りを発見してから専門事業者に修理を依頼するまでは、ある程度時間を要することもあります。
ただし、何もしないままでは雨漏りの状況は刻一刻と悪化する一方です。ここからは、一般の方にとっても難しくない応急処置の方法を6つご紹介します。
コーキング材で隙間をケア
コーキング材とは、建材と建材の隙間や継ぎ目などに使われる、ゴムのような素材のことを指します。単純に隙間を埋めるだけの用途としてだけではなく、緩衝性や防水性、気密性に優れているため、お風呂場や外壁など家屋のあらゆる場所に使われています。
コーキング材はホームセンターやECサイトなどで販売されているため、材料や道具さえそろえばご自身で応急処置をすることも可能です。
【必要なもの】
- コーキング材
- コーキングガン
- カッター
- マスキングテープ
- ヘラ
- プライマー
- 刷毛
参照元:Amazon コーキング材一覧
手順や作業の流れ
1.古いコーキング剤や汚れがある場合は取り除く
補修したい箇所に劣化したコーキングや汚れが残っているまま作業を開始してしまうと、コーキング材がはがれやすくなる原因となります。水洗いをした場合は、充分に乾燥させてから次の作業に入りましょう。
2.マスキングテープを使って周囲を養生する
補修したい箇所以外にコーキング材が付着するのを防ぎます。
3.コーキング材をゆっくりと移動させながら流し込む
補修箇所に対して均等にコーキング材が流れ込むように意識するのがポイントです。
4.ヘラでコーキング材をならす
盛り上がっている箇所などを均等にならします。
5.マスキングテープをはがす
コーキング材が乾く前にはがすのがポイントです。コーキング材は1日ほどで乾くものが一般的です。
注意点やポイント
コーキング作業において特に避けたい点は、原因となる箇所をしっかりと見極めずに作業に入ってしまうことです。外からわかりやすく損傷している箇所があったとしても、根本的な原因となっているのは実は内部のわかりづらい箇所だった、というケースも少なくありません。
原因箇所を突き止めなければ、コーキングをしても雨漏りはおさまらないうえに、入り混んだ雨水の流れが変わり別の箇所にまで被害を拡大させてしまう可能性もあります。
ビニールシートをかぶせる
「どこから水が漏れているのか判断がつかない」という場合は、ビニールシートをかぶせておくという方法があります。非常に物理的な方法ではありますが、広範囲をカバーできるというメリットがあります。
【必要なもの】
- ビニールシート
- 土のう
- 防水テープ
手順や作業の流れ
1.土のうを使用する場合は土のう袋を用意しておく
中身がこぼれないように、しっかりとひもはきつく縛っておきましょう
2.ビニールシートをかぶせる
3.土のうやテープでビニールシートを押さえる
注意点やポイント
強風などでビニールシートが飛ばされないように、固定は入念に行いましょう。また、中身を詰めた土のうの重量は数十キロにもなるため、屋根などの高所で作業する際には十分に注意して固定してください。
防水テープをはる
ある程度雨漏りの原因箇所が絞れており、コーキングではなくもっと簡単な応急処置をしたい!という方は、防水テープでの応急処置をおすすめします。
【必要なもの】
- 防水テープ
- 雑巾
手順や作業の流れ
1.補修したい箇所の汚れを取り除く
コーキングの作業と同じく、汚れが残ったままだと防水テープがすぐにはがれ落ちてしまう可能性があるため、事前にしっかりと取り除くことが重要です。
2.補修箇所に合わせて防水テープを切る
3.補修箇所をしっかりと覆うように押さえる
注意点やポイント
心配だからとあまりにも広範囲に防水テープを貼り付けてしまうと、雨水の侵入経路が変わってしまう可能性があります。また、見栄えも悪くなってしまうためテープを貼る箇所は必要最小限に留めましょう。
バケツやタオルで床への被害を軽減
外からの原因を食い止めることも重要ですが、家の内部で問題が発生している場合は二次的被害を軽減させる応急処置も必要です。天井から雨が滴り落ちている状況であれば、床や家具などを汚さないように受け皿を用意して被害を抑えましょう。
【必要なもの】
- バケツ
- バスタオル もしくは
- レジャーシート など
- ビニールシート
- 養生テープ
手順や作業の流れ
1.バスタオルやレジャーシートなどを床に敷く
雨漏りが発生している範囲を十分にカバーできるように、大きめのものを用意できると安心です。
2.雨水が滴り落ちている箇所にバケツを置く
バケツの中に雑巾や吸水シートを入れておくと、頻繁に交換する必要がなくなります。
3.バケツに収まりきらない場合は、ビニールシートを使って流し込ませる
広範囲にわたって雨水が浸水している場合は、雨漏りしている箇所の周辺にビニールシートを囲い、ろうとのような形を作ってバケツに流れ込む形を作りましょう。
注意点やポイント
近くに大きくて動かせないような家具やモノがある場合は、被害の拡大を防ぐためにもビニールシートやレジャーシートなどで覆い隠しておくと安心です。また、ビニールシートを重ね合わせる際には、数センチ重ね合わせるように繋ぎとめると防ぎやすくなります。
雑巾を置いて水を吸い取る
天井から雨水が滴り落ちてくるケースではなく、窓や隙間から徐々に染み出してくるタイプの雨漏りは、雑巾や吸水シートなどをあてがって水分を吸い取らせておきましょう。
【必要なもの】
- 雑巾 もしくは
- 吸水シート
手順や作業の流れ
- 染み出している箇所に雑巾や吸水シートを置く
- 頃合いを見ながら取り替える
注意点やポイント
窓際などの場合、雑巾や吸水シートにカーテンがかかる場合があります。長時間触れているとカビや雑菌が繁殖して臭いが発生する原因となりますので、周りにあるものが濡れないように工夫しましょう。
漏電している部屋はブレーカーを切る
電化製品やコンセントの部分に水分が触れると、非常に危険です。
- 電源ケーブルの被膜が破れている
- ケーブルやコンセントが濡れている
以上の条件に当てはまった場合、漏電している可能性があるため細心の注意を払いながらブレーカーを落としましょう。
【必要なもの】
- ゴム製の手袋(電気を通さないため)
手順や作業の流れ
- ゴム手袋を着用する
- 漏電のおそれがある家電のプラグを抜く
- 濡れない場所に移動させ、完全に乾くまで待つ
注意点やポイント
上記で挙げた内容のほかに、特に煙が発生しているなどの異常がみつけられた場合は火災や感電などの二次災害が発生する危険性があります。むやみに家電を起動しないように、不安があれば専門事業者へ問い合わせることをおすすめします。
雨漏りしたときにやってはいけない応急処置
ここでは、応急処置のうち、やってはいけないものをいくつか紹介していきます。
高い場所ではひとりで作業しない
雨漏りの原因となる箇所は屋根などの高所である可能性も高いのですが、高い場所で作業をする際には一人きりで行うのは危険ですからやめましょう。作業自体をひとりで実施できる場合でも、もうひとりは地上で待機をして、もしものことがあった際にすぐに誰かに連絡できるような体制を作っておくことが重要です。
屋根が濡れている状態で作業しない
屋根が濡れている状態で作業を行うと、滑り落ちる可能性があり非常に危険ですから、天候が安定している状況で行うことも重要です。高所作業はプロでさえ事故やケガが発生するほど危険な作業であることを心に留めておきましょう。
原因を特定せずに作業しない
初心者が特に行いやすいミスとして、原因を特定しないまま作業を始めてしまう、ということが挙げられます。たとえば、実際には雨漏りの原因が防水シートの損傷であるにもかかわらず、とりあえず見えている壁のひび割れをコーキングすると、水の流れが変わり、状況を悪化させてしまうことがあります。
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雨漏りの原因を自分で発見する方法
これまでご紹介した応急処置を的確に済ませるためにも、雨漏りの発生源となる原因を突き止めるのは非常に重要です。きちんと安全を確保したうえで、以下の方法を試してみましょう。
まずは外から目視できる範囲を探す
雨漏りが発生する原因として、外壁や屋根にひびや隙間、欠けている箇所などから侵入するというパターンが一般的です。目に見えてわかるほど損傷や劣化が見られるということは、それだけ内部への影響も多いということですから、発見次第応急処置に取りかかりましょう。
また、はっきりとした損傷が見られなくても、外壁の塗装がはがれていたり粉を吹いていたりするような状況も注意が必要です。外壁塗装は雨風から家をコーティングして守る効果もあるため、劣化の兆候があるということは外壁にダメージが及んでいる可能性が高くなります。
散水調査
もうひとつの方法は、家に水を撒いて雨が降っている状況を再現し、発生源を突き止めるというものです。この方法で注意したいポイントは、最初の段階で家の頂上から水をかけてはいけないということです。
当たり前ですが、水は上から下に向かって滴り落ちます。そのため、家の高い位置から始めてしまうと場所の特定が困難になります。低い位置から徐々に高さを上げていくことで、より具体的な場所を特定できるようになります。
また、雨が降っている状況を再現するためには、数分程度水を撒いただけでは再現できない可能性もあります。あまり長くかけ続けるのも家自体にダメージが及びますから、30分程度を目安に位置を変えていくと効率的です。
雨漏りしたときに自分で修理するのはNG?
雨漏りの修理は、非常に専門性の高い作業といえます。理由としては、誰もが見つけられるような大きな破損が生じていない限り、原因箇所の究明が困難であることと、高所作業が伴うという点が挙げられます。
そのため、あくまで修理事業者が来るまでの一時しのぎのDIY対策と割り切って作業を実施するのがもっとも効果的です。
正確な原因が特定されないまま修理をしようと思っても、誤った場所にコーキングをしたり防水テープを貼ったりすることで水の通り道を塞ぎ、被害が拡大してしまうおそれがあります。その場合もちろん最終的に専門事業者に依頼する場合は費用がかさんでしまうことになり、何も良いことがありません。
また、高所作業の点で注意したいのはやはりケガの危険性があるという点です。特にひとりで作業をする場合は、地上に近い部分であればそれほど問題はありませんが、二階以上や屋根上などの高所に該当する場合は行わないようにしましょう。また、ベランダや窓から身を乗り出して作業をすることもたいへん危険です。
雨漏り修理の費用相場
では、できる範囲で応急処置を済ませたあと、専門事業者に修理を依頼する場合はどの程度の予算がかかるのでしょうか。家屋で使用されている材質や雨漏りの進行度合いによって異なりますが、おおよその費用相場は以下の表のとおりとなっています。
雨漏れしている場所 | 費用相場 |
屋根の補修 | 50,000円~300,000円(軽度の場合) |
天井 | 50,000円~150,000円 |
外壁 | 50,000円~500,000円(軽度の場合) |
ベランダ | 50,000円~150,000円 |
窓枠・サッシ | 50,000円~250,000円 |
特に屋根や外壁部分の修理内容には幅がありますが、これは部分的な処置で問題がない軽度での修理内容による相場目安です。
全面的な修理が必要と判断された場合、数百万円単位での費用が発生することもあるため、修理を依頼する際には予算や修理する範囲についてお互いが把握したうえで進めましょう。
「予算をオーバーしそう……」と感じたときは
先で触れたとおり、雨漏りの修理費用は範囲が広くなればなるほど高額になる傾向があります。予想以上に雨漏りが深刻な状態ですぐに修理した方が良いと言われたけれど、すぐに何百万円も捻出できない!という場合には、「リフォームローン」を活用することをおすすめします。
リフォームローンは、その名のとおり劣化や破損などを補修するためのリフォーム工事を目的とした際に組むことができるローンの種類です。新築物件でも利用できる住宅ローンと比較して審査基準が厳しくないことと、家を担保にする必要がないケースが多いことが特徴です。
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なお、修理事業者を選ぶ際には金額だけを判断材料にしないようにしましょう。雨漏りの修理に限る話ではありませんが、あまりにも相場とかけ離れた金額を提示している修理事業者は、悪徳業者を装っている可能性があります。
家に押しかけて無理やり契約を迫る、詳しく調査をしないまま見積もりを請求する、見積もりの内容が詳しくわからないといったケースは悪徳業者である可能性が高いため、実績や口コミなど情報収集をしながら安心して任せられる専門事業者を見つけましょう。
おわりに
毎日暮らしている家で雨漏りが起きてしまったら、一刻も早く修理をお願いしたいですよね。とはいっても、その日のうちに修理に来てくれるケースはまれで、特に大規模な修理になれば何日もかかってしまうことも考えられます。
今回は、修理に来てもらえる間にご自身でできる範囲の応急処置の方法をご紹介しました。特に高所での作業は非常に危険ですので、無理をしない程度に留めておきましょう。