自動車保険の等級は引き継ぎにより保険料を安くできます※が、引き継ぎができない場合もあります。家族と別居している場合や、満期後に期間が空く場合などです。
※引き継ぎ前に事故で保険金請求していた場合は、引き継いでも安くなりません。
当コラムでは、自動車保険の等級引き継ぎができないケースを説明するとともに、引き継ぎができる場合の事例や手順をご紹介します。
自動車保険の等級を引き継ぎできない場合がある?
自動車保険には保険料を決める等級があり、1等級から22等級まで定められています。契約の開始は6等級からスタートし、1年間無事故なら次の等級へ上がり、事故を起こしたりして保険金の支払いを受けたら下がるというシステムです。
等級が上がるほど保険料の割引率が上がり、保険会社により異なりますが、20等級では約44〜63%の割引になります。
この等級は一定の要件に該当する場合、引き継ぐことが可能です。高い等級がある場合、引き継ぎができれば保険料が割引されますが、引き継ぎができなければ6等級に戻って保険料が上がってしまいます。引き継ぎができれば大きなメリットがありますが、できない場合もあるため注意が必要です。
自動車保険の等級が引き継ぎできる場合について、見ていきましょう。
一定の要件に該当すれば引き継ぎできる
自動車保険の等級を引き継ぐケースは、「自分自身が引き継ぐ場合」「家族が引き継ぐ場合」の2つに分けられます。自分が等級を引き継ぐ場合は、車を買い替える、もしくは保険会社を変更するときです。
車を買い替える場合は「車両入替」という手続きを行うことで、等級はそのまま引き継がれます。しかし、引き継ぎをせずに新たに自動車保険の契約をすると等級は6等級からのスタートになるため、注意しましょう。
自動車保険を他社に乗り換える場合も、原則として等級は引き継がれます。例えば、現在加入中の自動車保険が15等級の場合、保険期間中に無事故であれば、新しい自動車保険に加入したときには16等級に進むということです。
自動車保険の契約を途中で解約した場合でも等級は引き継がれます。ただし、満期で自動車保険を乗り換えるときよりも等級アップの時期は遅れる可能性があるため、注意しましょう。
等級は家族にも引き継ぐことができますが、一定の要件に該当しなければなりません。
・等級の引き継ぎができる家族とは
等級の引き継ぎができるのは、次の要件に該当する家族です。
- 記名被保険者の配偶者
- 記名被保険者の同居親族
- 記名被保険者の配偶者の同居親族
配偶者以外の家族は、同居していれば等級を引き継ぐことができます。同居の子どもが免許を取って新たに車を購入したとき、記名被保険者である親から同居の子どもへ等級を引き継ぐことが可能です。10〜20代は統計的に他の年代と比較して事故率が高いことから保険料も高く設定されていますが、家族から等級を引き継ぐことで、保険料を安くできるメリットがあります。
自動車保険の引き継ぎができない場合
自動車保険の引き継ぎができない場合もあります。具体的には、次のような場合には等級の引き継ぎができません。
- 解約または満期の翌日から8日以上期間が空く場合
- 保険会社から契約を解除された場合
- 配偶者以外の家族で別居している場合
1と2は自分が引き継ぐ場合、3は家族に引き継ぐ場合の例外です。それぞれ、詳しく見てみましょう。
満期後に期間が空く場合
自動車保険の解約または満了する場合、解約または満了の翌日から7日以内に継続の手続きをしなければ等級を引き継げなくなります。すぐに新しい自動車保険に加入しない場合は、一定の条件を満たせば、「中断証明書」の発行が可能です。
中断証明書の発行は廃車や譲渡・売却により車を手放す場合、車が盗難にあった場合など保険会社ごとに要件が決まっています。同じ等級で保険を開始するには、中断証明書の有効期限内に手続きしなければなりません。何らかの事情で長期間車を運転しない場合で保険を一度解約する場合は、必ず中断証明書を取得しておきましょう。
契約を解除された場合
保険料の滞納が続いたなどを理由に保険会社から契約を解除された場合、等級の引き継ぎはできません。クレジットカードの利用限度額いっぱいだった場合など、1回の滞納で直ちに契約が解除されることはありませんが、2回以上続けて滞納すると解除される可能性が高くなるため注意しましょう。
保険会社から契約解除の通知が届いた時点で契約は解除されており等級はリセット※されます。そのあと保険に再加入した場合は、6等級からスタートすることになります。
※1~5等級(デメリット等級)は引き継がれ、6等級にリセットされません
家族が別居している場合
家族に等級を引き継ぐ場合、本人または配偶者と同居していることが要件です。別居している両親や子どもには引き継げません。
例えば、息子が新車を購入した場合に父親の等級を引き継ぎたいと思っても、離れて暮らしている場合は引き継げないということです。同居している家族が今後、住まいが別になる予定がある場合は、同居している間に引き継ぎの手続きをしなければなりません。
自動車保険の等級を引き継ぐ場面と手順
自動車保険の等級を引き継ぐ場面は、大きく分けて次の4つです。このほか、記名被保険者が死亡した場合が考えられます。それぞれの等級を引き継ぐ手順と注意点をご紹介します。
- 他社の保険に乗り換える
- 車を買い替える
- 家族の等級を引き継ぐ
- 家族の車を譲り受ける
他社の保険に乗り換える場合
他社の保険に乗り換える場合、まず新しい保険会社を決めて契約の手続きを行います。現在契約している保険を解約する場合は解約の連絡を入れますが、満期で乗り換える場合は基本的に連絡は不要です。ただし、自動継続特約が付いている場合は必ず継続しないことの連絡を入れましょう。
乗り換えの場合、解約または満期の翌日から7日以内に新しい契約を行うことが必要です。また、等級の引き継ぎは満期になる日までに事故があったかどうかで判定されるため、満期日より前に新しい保険に乗り換える場合、等級が上がるのは新しい保険の契約から1年後になってしまいます。
車を買い替える場合
車を買い替える場合も等級の引き継ぎができますが、車両入替という手続きが必要です。車両入替とは保険の対象となる車両を新しい車に変更する手続きのことで、オドメーター値(累計走行距離)と車検証の記載情報などの情報を提供して差額保険料の精算を行います。
車両入替の手続きを行わないと等級が引き継がれないだけでなく、事故の際に、補償が受けられない可能性もあるため、充分注意しましょう。
家族の等級を引き継ぐ場合
家族の等級を引き継ぐ際は保険会社に車両を入れ替えることを伝え、保険契約者と記名被保険者を変更する手続きを行います。親が今後、車に乗らず子どもに等級を引き継ぐといったケースです。
等級を譲り、親が2台目の車を購入する場合、新規の保険加入が必要になります。その際、適用条件を満たせば、通常6等級からスタートする等級が7等級からスタートできる「セカンドカー割引」の利用が可能です。
家族の車を譲り受ける場合
家族の車を譲り受ける場合、記名被保険者を変更することで引き継ぎができます。乗らなくなった車を子どもに譲渡する、単身赴任をするため家族に車を譲渡するといった場合です。等級を引き継ぐには、次の3つの手続きをしなければなりません。
- 車両の名義変更
- 保険契約者の変更
- 記名被保険者の変更
誰に変更するかなど変更内容によって手続きや必要書類は異なるため、事前に契約している保険会社に確認してください。
その他の引継ぎができるケース
保険契約者が死亡して被保険者の範囲を変更する場合でも、等級の引き継ぎができます。ただし、引き継ぎができるのは家族への引き継ぎと同じく以下の場合に限られます。
- 記名被保険者の配偶者
- 記名被保険者の同居親族
- 記名被保険者の配偶者の同居親族
必要書類は保険会社によって異なるため、契約している保険会社に連絡して確認してください。
等級の引き継ぎができない場合でも保険料を安くできる?
等級の引き継ぎができずに保険料が高いと感じる場合でも、保険料を抑えることは可能です。まず、代理店を通さないダイレクト型自動車保険を検討してみましょう。保険会社と直接契約を結ぶため手数料などのコストがかからず、保険料が割安となる傾向があります。
また、保険を選ぶときは一括見積もりサービスを活用し、サービスの内容や価格をよく比較すると良いでしょう。納得感の高い保険料の自動車保険をお探しの方におすすめなのがおとなの自動車保険です。インターネットで新規契約すると、最大1万3,600円※の割引になります。
※最大1万3,600円割引は、ネット割と早割50日を合算した割引です。ネット割新規は1万3,000円割引となります。分割払の場合は、年間最大1万3,560円割引となります。
1歳刻みの保険料体系を採用し、事故率の低い世代が他の世代と比較し割安となる保険料となるため、納得感が高い自動車保険です。ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
おわりに
自動車保険の等級は、車の買い替えや他社の保険に乗り換える場合に引き継ぎができます。また、一定の要件に該当すれば家族に引き継ぐことも可能です。
しかし、解約または満期の翌日から8日以上期間が空いてしまった場合には引き継ぎができません。車の買い替えで引き継ぐ場合には車両入替の手続きが必要です。等級の引き継ぎを行う場合は間隔を開けず、速やかに行うようにしましょう。
SA2022-1141(2022.12)