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花粉の時期はいつまで?地域別の飛散状況や2023年の飛散予測も

花粉の時期はいつまで?
セゾンのくらし大研究 編集部

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花粉は春だけに飛ぶものと思っている方も多いでしょう。しかし花粉は1年中飛んでおり、季節に関係なく花粉症に悩まされている方も多くいます。この記事では、今年の花粉飛散状況予測を地域別・種類別に紹介していきます。花粉症に悩まされている方はぜひ参考にしてください。

この記事でわかること

花粉症は身体の中へ花粉が取り込まれることで、発症する疾患です。花粉症の原因となる主な花粉には、スギやヒノキ、シラカンバ、イネなどさまざまな種類があります。それぞれ地域によって飛散する時期や飛散のピークが異なりますので、ご自身が住んでいる地域の花粉飛散状況を把握しておくことが、重要なポイントといえるでしょう。

また、規則正しい生活やできるだけ体内に花粉を取り入れないことも大切です。日本気象協会では毎年花粉飛散状況を予測しています。それを参考にして、早いうちから対策を行うのもおすすめです。

花粉によって症状が起こるメカニズム

花粉症 メカニズム

まずは、どうやって花粉症の症状が起こるのかを紹介していきましょう。そもそも花粉症とは体内に入ってきた植物の花粉に対して身体が起こす免疫反応で、季節性アレルギーとも呼ばれています。

花粉などのアレルゲンが目や鼻から体内に入ると、それを身体が受け入れるかどうかをまず判断し、受け入れないと判断した場合はアレルゲンと反応するIgE抗体を作ります。

再びアレルゲンが体内に侵入すると、IgE抗体が肥満細胞にくっつきアレルギー誘発物質であるヒスタミンなどが分泌されるのです。アレルギー誘発物質は鼻の神経や血管などを刺激して鼻水やくしゃみといった症状を引き起こし、アレルゲンを体外に出そうとします。

花粉症は花粉をアレルゲンとして引き起こされる症状ですが、ダニなどをアレルゲンとして鼻炎が起こる通年性アレルギー性鼻炎などに悩まされている方もいます。さらに、複数の花粉に反応してしまう場合、1年を通して花粉症の症状が起こるという方も少なくありません。

花粉症の症状を引き起こす主な花粉の種類

花粉症の症状を引き起こす花粉にはさまざまな種類があります。以下では、それぞれの花粉について飛散時期やピーク時期、特徴などを紹介していきましょう。

スギ

スギ

国内で最も多いのがスギを原因とした花粉症であることをご存知ですか。スギ花粉の飛散時期は2月上旬~4月下旬頃で、3月頃がピークです。スギ花粉はパピラと呼ばれる突起が特徴で、1mmの1/30くらいの大きさです。スギ花粉による花粉症の症状は、連続して出るくしゃみ・透明でさらさらとした鼻水・鼻の詰まり・目のかゆみなどです。

ヒノキ

ヒノキ

スギ花粉と同様に花粉症患者が多いのは、ヒノキ花粉です。ヒノキ花粉は3月中旬~5月中旬頃まで飛散し、3月下旬~4月頃がピークです。ヒノキ花粉は1mmの1/35くらいの大きさで、スギ花粉より少々小さめです。

スギ花粉とヒノキ花粉のどちらにも症状を発症する方も多く、その場合は重症化しやすいとされています。ヒノキ花粉はスギ花粉と同様にくしゃみ・鼻水・鼻詰まり・目のかゆみなどを引き起こし、他にも喉や皮膚のかゆみ・頭痛などが引き起こされる場合があります。

シラカンバ

シラカンバ

シラカンバまたはシラカバは北海道を中心に東北地方などで多く見られる落葉高木です。北海道にはスギやヒノキがないため、シラカンバ花粉は北海道ならではの花粉といえます。シラカンバ花粉は4月~5月頃に多く飛び、大きさは1mmの1/40前後で3つの突起が特徴です。

くしゃみ・鼻水・目のかゆみなどが主な症状で、近年北海道ではシラカンバ花粉による花粉症患者が増加傾向にあります。また、シラカンバ花粉症になるとリンゴやイチゴ、メロン、サクランボなどを食べたときに口の中がかゆくなる果物過敏症になる患者も何割かいるとされています。

イネ

イネ

イネ花粉はお米が穫れる「稲」が原因ではなく、主に海外から輸入されたカモガヤやネズミホソムギ、オオアワガエリなどの牧草が原因です。イネ花粉は地域によって1年中飛んでおり、5月~6月頃に飛散のピークを迎えます。

イネ花粉は20~100μmの大きさで丸い形をしており、小さい孔があるのが特徴です。飛散距離は数十m程度と遠くまで飛ぶことはありませんが、直接イネ科の植物に触れてしまうと症状が強く出る場合があります。イネ花粉が原因の花粉症もくしゃみや鼻水、鼻詰まりが主な症状として現れますが、スギ花粉よりもアレルギー性結膜炎による目のかゆみや充血などの症状が出やすい傾向にあります。

ブタクサ

ブタクサ

ブタクサは秋に発症する花粉症の原因となることが多く、日本で初めて花粉症と診断された原因の花粉です。飛散時期は8月~10月頃で、9月頃に飛散のピークを迎えます。ブタクサ花粉は20μmほどの大きさで、金平糖のような形をしているのが特徴です。

ブタクサ花粉もくしゃみや鼻水、鼻詰まりなどの症状を引き起こし、喉や肌にも影響しやすいとされています。ブタクサ花粉は遠くまで飛びませんが、近づくと症状が出る場合があるため注意が必要です。

ヨモギ

ヨモギ

ヨモギもブタクサと同様に、秋に発症する花粉症の原因となることが多い植物です。ヨモギ花粉は8月~10月頃に飛散し、9月中旬~下旬頃に飛散のピークを迎えます。ヨモギ花粉の大きさは30μmほどで、主な症状はくしゃみ、鼻水、鼻詰まり、充血、目のかゆみなどです。また、ヨモギ花粉を吸い込むと喘息のような咳が出ることもあります。

カナムグラ

カナムグラはアサ科の蔓草(つるくさ)で、繁殖力が高い植物です。飛散時期は地域によりますが8月~10月頃で、9月頃に飛散のピークを迎えます。カナムグラ花粉はスギ花粉と同じくらいの大きさをしており、吸い込むとくしゃみや鼻水、鼻詰まりなどの症状が出ます。

カナムグラは大量の花粉を飛散させるわけではないうえに飛散距離も短いですが、どこにでも生育するため接触しないよう注意が必要です。

花粉はいつまで?地域別の花粉飛散状況・ピーク

日本地図

前述した花粉の種類は、地域ごとにそれぞれピークがあります。ここでは、地域別の花粉飛散状況やピークを紹介していきましょう。

北海道地方

北海道地方は本州に比べて飛散する花粉が少なく、花粉が飛ぶ時期も短いのが特徴です。3月中旬~5月中旬頃にはハンノキ花粉が飛散します。中でも注意が必要なのはシラカンバ花粉です。北海道には寒い地方で生育するシラカンバがたくさん生えており、初夏になると花を咲かせます。シラカンバ花粉は4月~6月頃に飛散し、4月下旬~6月上旬頃が飛散のピークです。

東北地方

東北地方ではヒノキ花粉やイネ花粉が飛散しますが、中でも要注意なのがスギ花粉です。スギ花粉は1月下旬~6月中旬頃と長い期間飛散し、2月中旬~4月頃までがピークとなります。さらに、秋から冬にかけても飛散するので、その後も症状が続く方もいるでしょう。ヒノキは3月中旬~5月中旬頃、イネ花粉は5月~9月頃に飛散します。

関東地方

関東地方

自然が少ないイメージのある関東地方ですが、季節問わず花粉が飛散し、飛ぶ花粉の種類も多いのが特徴です。関東の中でも東京23区は多摩地方から多くのスギ花粉が飛散してくるため、2月~4月頃がスギ花粉症患者にとって大変辛い時期といえるでしょう。

さらに、ヒノキ花粉も多く飛散し、3月~5月中旬頃がピーク時期となります。症状が強く出る方は、早めの花粉症対策が必要です。

中部・東海地方

中部・東海地方は、関東地方よりも飛散する花粉の量は少ないですが、1年を通して花粉が飛んでいます。特に、1月~5月中旬頃に飛散し2月下旬~3月中旬頃に飛散のピークを迎えるスギ花粉や、3月中旬~5月中旬頃に飛散し4月上旬頃から飛散のピークとなるヒノキ花粉は量が多いため注意が必要です。

他にも、イネ花粉は3月下旬~10月頃、ハンノキ花粉は1月中旬~4月中旬頃、ブタクサ花粉は9月中旬~下旬頃、ヨモギ花粉は夏~10月中旬頃に飛散するとされています。

関西・中国・四国地方

関西・中国・四国地方では、春にスギ・ハンノキ・ヒノキ花粉が飛散し、秋にはブタクサやヨモギ、カナムグラ花粉が飛散します。スギ花粉は2月~3月頃、ハンノキ花粉は3月頃、ヒノキ花粉は4月頃が飛散のピークです。ブタクサ花粉やヨモギ花粉は8月下旬~10月頃、カナムグラは夏頃~11月頃に飛散するとされています。

九州地方

九州地方

九州地方でも、2月上旬~3月上旬に多く飛ぶスギ花粉や、3月上旬~4月上旬に飛散のピークを迎えるヒノキ花粉には注意が必要です。一方で、イネやブタクサ、カナムグラ、ヨモギ花粉の飛散量はそこまで多くありません。

【2023年】春の花粉飛散状況予測

花粉の飛散状況はある程度予測できることをご存知ですか。日本では、日本気象協会が花粉飛散予測を行っています。以下では、日本気象協会が発表している2023年の花粉飛散状況予測を紹介していきましょう。

飛散量の予測はどのようにするの?

2023年春の花粉飛散状況予測を紹介する前に、どうやって花粉の飛散状況を予測しているのか紹介します。花粉の飛散量は、前年夏の気象条件を元に予測しています。前年が「高温・多照・小雨」である場合、翌年は花芽が多く形成され花粉が多く飛散すると予測できるのです。

2023年春の花粉飛散状況予測

花粉 飛沫状況

2023年春の花粉飛散状況を予測するには、2022年夏の気象条件を元にします。2022年夏は「高温・多照・小雨」の条件がそろっていたため、2023年は前シーズンと比較すると花粉の飛散量は「非常に多い」または「やや多い」傾向にあると予測できるのです。地域ごとで詳しく紹介していくと以下のような予測を立てられます。

【例年比】

 ・北海道はやや少なく、九州は例年並み、四国・中国・近畿・北陸はやや多く、東海と北陸は多く

  関東甲信地方は非常に多い

【前シーズン比】

 ・九州から東北にかけて多く、特に四国・近畿・東海・関東甲信説は非常に多い

花粉症の症状を乗り越えるには?

前述したように、2023年は比較的多くの花粉が飛散すると予測されています。では、辛い花粉症の症状をどのようにして乗り越えたら良いのでしょうか。以下では、意識してほしいポイントをいくつか紹介していきます。

規則正しい生活習慣を心がける

本来花粉は人間の身体にとって無害です。しかし、身体が異常にアレルギー反応を起こしてしまうことで花粉症の症状が現れます。この身体のアレルギー反応は体調が悪いほど悪化するため、規則正しい生活習慣によって体調を整え正常な免疫反応を維持することが、花粉症の辛い症状を乗り越えるために重要なポイントです。

薬を利用する

くすり

辛い花粉症の症状の原因となるヒスタミンの発生を抑制する効果がある抗ヒスタミン薬の利用が有効です。残念ながら花粉症の症状を完全に抑える薬はありませんが、鼻詰まりには血管を収縮させる薬、目のかゆみには点眼薬など、症状に合った薬を選んで利用するようにしましょう。

治療する

花粉症には「アレルゲン免疫療法」や「レーザー治療」などの治療が有効とされています。アレルゲン免疫療法は、体内にアレルゲンを適切に取り入れることによって身体をアレルゲンに慣れさせ、症状を緩和または完治させるという治療法です。

スギ花粉に関しては、舌下免疫療法が多くの病院で取り入れられています。花粉症におけるレーザー治療は、花粉に反応する鼻の粘膜をレーザーで焼く治療法です。ただし、粘膜が回復すると再び花粉に対しアレルギー反応を起こしてしまうため、2年ほどで再度治療を受ける必要があります。

花粉が飛ぶ日の特徴を把握する

花粉が多く飛ぶ日には以下のような特徴があります。

  • 気温が高く乾燥している
  • 風が強い
  • 雨の日の翌日
  • 晴れた日の昼過ぎや日没頃

以上のような日は花粉が飛散しやすいため、できるだけ外出を控えると良いでしょう。

体内に花粉を入れない

体内 花粉

花粉症は身体の中に花粉が取り込まれることによって起こるため、体内に花粉を入れないことが症状を緩和させるために何よりも重要といえます。体内に花粉を入れないようにするには、花粉症用のマスクやメガネを着用することが有効です。

スギの「狂い咲き」に注意する

スギには「狂い咲き」という現象があるのをご存知でしょうか。スギの狂い咲きとは、通常春先に花を咲かせ花粉を飛散させるスギが季節を間違えて、前年の秋頃から花粉を飛散させてしまう現象です。この現象は秋の気温が異常に高いと起こります。

スギ花粉は春だから、と油断していると狂い咲きの影響を受ける場合もあるため、知識として知っておくと万が一の時も対処できるでしょう。

部屋に花粉を持ち込まない 

花粉症の辛い症状を乗り越えるためには、部屋に花粉を持ち込まないことも重要なポイントです。部屋に花粉を持ち込まないようにするには、普段着ている衣類に注目しましょう。

花粉が飛んでいる時期に外出すると静電気などによって衣類に花粉が付着します。そのため、外出先から帰宅したらまずは玄関先でコートやジャケットなどを脱ぎましょう。さらに、衣類に静電気が起こりにくい柔軟剤を使用したり、静電気を予防できるスプレーをかけたりするのもおすすめです。

花粉に関するQ&A

Q&A

ここからは、花粉に関するQ&Aを紹介していきましょう。

花粉症は完治する?

毎年花粉症に悩まされている方は気になる質問でしょう。しかし残念ながら今の時点では、花粉症を完治させる治療法がありません。

季節に関係なく症状が出る場合は?

花粉が多く飛散する春や秋などの季節に関係なく症状が出る場合は、通年性アレルギー性鼻炎である可能性が高いでしょう。通年性アレルギー性鼻炎は花粉だけではなくハウスダストやダニなども原因としている場合があります。

花粉症になる人とならない人の違いは何 

花粉症

「花粉症になる人」と「ならない人」を分けるのは多くの場合遺伝が関係しています。何らかのアレルギー疾患を持っている家族がいる場合、花粉症になりやすいでしょう。さらに、花粉症以外のアレルギー疾患を持っている方も、花粉症になる可能性が高いといえます。

おわりに 

花粉症は多くの方が発症している完治が難しい国民病です。花粉が飛散する時期になると症状が重い方は辛い思いをするでしょう。しかし、適切な処置をすることで症状を緩和させることは可能です。さらに、自身が住んでいる地域の花粉飛散状況や飛散時期を確認しておくことも、花粉症の症状を乗り越えるために有効といえます。この記事を参考に、辛い花粉シーズンを乗り越えましょう。

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